Hanacell
ヨーロッパ三面記事


大きな「ß」がようやく誕生 from Germany

大きな「ß」がようやく誕生
「大きな「ß」が ようやく誕生
同じアルファベットでも、フランス語には「アクサン」「セディーユ」とあるように、ドイツ語にも「ウムラウト」や「エスツェット」といった個性的な文字がある。ドイツ語に馴染みのない方のためにご説明すると、ウムラウトは「ä」「ü」「ö」と文字の上にチョンチョンが付いているもの。フランス語の「トレマ」と形が同じせいか、ウムラウトの知名度は意外と高いかもしれない。でも一方の「エスツェット(ß)」は、「B(ベータ)」と間違われることがしばしばで、存在感はいまいち。その上にアルファベットの大文字がないので、これまでなかなか厄介な問題を起 こしてきた。

実はドイツ語で「ß」で始まる単語はないので、大文字の必要性はあまりないと言えばない。でも例えば曲の題名のように、全部を大文字で書かなければいけないような場合もある。「ß」は「ss」とも書けるので、これを大文字で書くときは「SS」で代用するという逃げ道もあるのだが、これだと「MASSE」が「Masse(塊、群衆)」なのか「Maße(大きさ、範囲)」なのかが曖昧になってしまう。無理やり大文字の間に小文字を「MAßE」と埋め込んでしまえば、今度はどうも不格好になって しまうし……。

そんな悩みを解決すべく、最近になってその「エスツェット」にようやく大文字形が誕生した。「ß」の大文字誕生の必要性については、すでに130年も前から論議されていたというが、コンピューターが普及して私的な文書も活字体になった今日になって、「B」と間違えられないような形がデザインされたというわけ。

とはいっても、ドイツ語のつづり方を決める「正書法」では、引き続き大文字の「ß」は「SS」で書くのが正規のルールとなる。そもそも、ほとんどのパソコンでは「ß」の大文字をキーボードで打ち出す方法がない。通常なら各アルファベットは、シフト・キーとの併用で大文字になるはずだが、「ß」キーとシフトを押すと「?」が出てきてしまうのはちょっと皮肉。大きな「ß」の前途は、まだまだ多難なようだ。

yahoo nachrichten (DPA) "Das große ß ist da"



最終更新 Mittwoch, 30 Juli 2008 12:18
 

経済問題となった落ちこぼれ from France

経済問題となった落ちこぼれ
国の未来のためにも、しっかりと勉強しておくれ
5月に開催された今年のカンヌ国際映画祭で中学校を舞台にしたドキュメンタリー・タッチの作品「Entre Les Murs(The Class)」が最高賞のパルム・ドールを受賞して以来、教育に関する話題がフランス国民の関心を呼んでいる。この映画を観たグザビエ・ダルコス教育相も、「(財政的に)厳しい状況の中で、それでも教育に取り組むフランスの教師たちの姿勢に敬意を表した作品だ」と温かなコメントを寄せた。

フランスの教育界といえば、現在最も話題になっているのが落第生の多さ。経済協力開発機構(OECD)加盟国内での留年経験者は平均13パーセントなのに対して、フランスにおける15歳までの生徒の中で、留年経験のある生徒はなんと38パーセント。つまり、5人に2人が留年の経験があるという計算になるのだから驚きだ。

先のダルコス教育相も、この問題についてはかなり真剣に取り組んでいるよう。ある社会学者によると、フランスで落第生を完全になくせば、彼らを受け持つ教員2万5000人に充てる経費、その額約10億ユーロ(約1600億円)が節約できるという。教育予算を大幅に削ることを既に決定し、来年度から1万2000人もの教員を一気に整理しようとしている教育相にとっては、それこそ最大の懸案。つまりは落ちこぼれ学生も、その落ちこぼれ学生を指導する熱血先生も、国の経済問題にまで発展するほどのまさに問題児と化してしまったというわけだ。

そんな中で公開されたのが、フランスにおける教育のあり方を浮き彫りにした映画、「Entre~」。開催地であるフランスの映画が最高賞に選ばれたのは20年ぶりというから、それだけ大きな支持が寄せられたのであろう。そういえば、今年春にダルコス教育相が教員数削減案を打ち出したとき、フランスの学生は真っ先にデモ行進を行って教育者を支援していた。映画のようなハッピー・エンドにはならなくとも、勉学に励む学生と彼らを鼓舞する教師たちが共にハッピーになれるような世の中になれば、この映画も浮かばれることであろう。

「Le Figaro」紙 "Le redoublement dans le collimateur de Darcos"



最終更新 Mittwoch, 30 Juli 2008 12:16
 

明るく楽しく政治資金を集めましょう from UK

明るく楽しく政治資金を集めましょう
ブレア元首相のテニスの腕前はセミプロ・レベルだとか
日本だと「賄賂」とか「袖の下」、はたまた「毒饅頭」といった犯罪まがいの行為と結び付けられてばかりの感のある政治献金。背広をきっちりと着こなした中年男性が、アタッシュ・ケースを開けると札束がズラリ……。なんていうシーン、読者の皆さんもテレビ・ドラマなどで見た覚えがあるはずだ。ところが、さすが議会政治発祥の地である英国。この国では、もっと爽やかに政治資金を集めております。

そもそも、どこの国に住んでいようが、政治活動には莫大なお金がかかるもの。11年にわたって政権を握っている労働党でさえ、党資金は2000万ポンド(約40億円)の赤字を抱えていると言われている。どうせお金をかき集めなければならないのならば一層のこと明るく楽しく、と労働党関係者たちが考えついたのが、オークション大会だった。

そこで出展された商品といえば、名門サッカー・クラブ、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督とのランチや、美人モデルとの高級ホテルでのディナーなど。かつて労働党政権で広報官を務めていたアレスター・キャンベル氏が執筆する小説の登場人物になることができる権利なんていうのまであった。しかも彼と食事しながら、あらすじについての相談もできる特典付き。まあ、それが本当に魅力ある商品なのかどうかはちと微妙なところだが。

このオークションに出された商品はまだある。英国の人気コメディアンであるデービッド・ウォリアムズ氏と一緒に水泳を楽しむことができる権利に加えて、著名プロデューサーに自分のCD録音を手伝ってもらえる券。極め付きは、トニー・ブレア元首相と一緒にテニスができる券、なんていうのもあったそうな。

関係者にとっても、こうやって楽しく遊んだ上でついでに政治資金ももらえれば、まあ言うことないだろう。結局、このオークションを楽しんでいたのは、誰よりも労働党党員たちだったのかもしれない。あ、労働党関係者の皆様、集めたお金は英国の未来のために大切に使うこともお忘れなく。

「The Guardian」紙 " Cash-strapped Labour auctions off game of tennis with Tony Blair"



最終更新 Mittwoch, 30 Juli 2008 12:17
 

田舎のサッカー・チームがリーグ1部に from Germany

バーデン=ヴュルテンベルク州にある人口わずか3300人の村、ホッフェンハイムのサッカー・チーム「1899ホッフェンハイム」が、来季から1部リーグのブンデス・リーガでプレーすることになった。この快挙に村中が興奮で湧き上がる一方、否定的な意見もちらほら出てきているという。

ホッフェンハイムは何を隠そう、企業向けのソフトウェア大手SAPの創設者の1人でドイツを代表する億万長者、ディートマー・ホップ氏(68)の故郷。ホップ氏もプレーしたことがある地元サッカー・クラブを、同氏が1991年から資金面で支援するようになったのが運命の変わり目だった。当時は最下位となる8部リーグから7部リーグに昇格したばかりの弱小チームだったが、同氏による大規模な強化案が実って、2006/2007シーズンには2部昇進を決めるなど、以後はとんとん拍子で上昇してきた。

2006年になると、ホップ氏はブンデス・リーガでの経験が豊富なラルフ・ラングニック氏を監督に、ホッケーの元ドイツ代表監督ベルンハルト・ペータース氏をスポーツ・ディレクターに迎えるなど、トップ・クラスの指導者を結集させた。指導部だけでなく、有能な選手も次々と獲得。小さな田舎から生まれたこのチームが選手獲得に費やした金額は、王者バイエルン・ミュンヘンに次ぐ高さだったというから驚きだ。将来的に値が上がると見込んだ若手選手を獲得したというのも、実業家ならではの計算が働いたのか。

そういうわけで、1部の壁もなんのその。2部でプレーした初めてのシーズンでさっそくリーグ2位になり、1部への昇格を決めた。現在は近くのシンスハイムに、3万人を収容する新スタジアムを建設中。総工費6000万ユーロ(約100億円)も、もちろんホップ氏のポケット・マネーから出ている。

ただそんな散財ぶりから、「金にものをいわせて即席で生まれたレトルト・クラブ」やしょせんは「金持ちの道楽」と言われるなど、批判的な声があちこちで上がっているのも事実。ならばやっぱり、最後は実力を見せつけるしかないだろう。来季におけるこのチームの活躍に注目だ。

ZDF.de
"Hoffenheim, der ungeliebte Aufsteiger"

最終更新 Mittwoch, 19 April 2017 15:00
 

フランスからバーがなくなる?? from France

フランスからバーがなくなる?? from France
もうバーで美味しいお酒をたしなむことも出来なくなるのか……
フランス人と言えば、美味しいお酒を飲んでご馳走を楽しむグルメ志向のイメージが強い。しかし近年、そんなフランス人の楽しみを脅かす法律が多々見られるようになってきた。レストランやバーを含む公共の場での喫煙が禁止されたのは記憶に新しいが、なんと来年からは、お酒も自由に飲めなくな る可能性が出てきたのだ。

2007年の統計によると、交通事故が原因で死亡した人は平均で1日13人。特に若いドライバーによる無謀な運転が悲劇を招くケースが多い。そのうち、飲酒運転による死亡事故は実に全体の34.5パーセントを占めるという。そんなことから、環境大臣のジャン=ルイ・ボルロー氏は、深夜2時以降まで営業をしているバーやディスコなどにアルコール検知器(エチロテスト)の設置を義務づける政令を発表した。対象となるバーは全国で約4万5000軒となる見通しだという。

でもこれって、レストランで肥満度指数を計測したり、カジノで預金残高の確認を促されるようなもので、興冷めすること間違いなし。というかそもそも飲酒問題を起こすような人は、そこら辺に置いてある検知器などにはきっと目もくれないだろう。

バー経営者の反応も様々で、「お客さんが店を出る前にアルコール摂取度を検査するシステムができれば、私たちは(飲酒事故などの)責任から逃れることができる」と肯定的に受け止める意見がある一方で、「いきなりこういった政令が発表されるのには我慢ならない」と不満を漏らす人もいる。

さらなる問題が、検知器の設置には高額な経費が発生するということ。購入せずにレンタルをすることも可能らしいが、レンタル代が週に360ユーロもするというから驚きだ。特に田舎で、地元のおじさんが集まる小さなバーなどでは、アルコール検知器を置きたくてもなかなか手が出せないのが現状だろう。バーでの喫煙禁止が始まったかと思ったら、ほとんど間をあけずに通知されたアルコール検知器導入の義務。バーの経営者にとっては泣きっ面に蜂である。

フランスの酔っ払い諸君には、厳しい時代となった。

「Figaro」紙
"Ethylotests dans les bars de nuit début janvier 2009" ほか



最終更新 Mittwoch, 09 Juli 2008 12:35
 

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