Hanacell
ヨーロッパ三面記事


謎のグラフィティ・アーティスト、激写される! from UK

謎のグラフィティ・アーティスト、激写される!
タワー・ハムレット地区に描かれた
バンクシーの最新作
Picture by: Tim Ireland/
PA Wire/PA Photos
ロンドンの路地で、風刺の利いたグラフィティを描き続けているアーティスト、バンクシー。その素顔は謎とされ、本名も年齢も不明という彼が最近、ロンドン東部のタワー・ハムレット地区で制作中のところを、なんと通行人に携帯電話のカメラで激写されてしまった。

写真に写っているのは、バンクシーらしきアーティストが道路に敷かれた黄色の通行線をペンキで延長し、壁に大きな花を描いている様子。花の横には、ペンキ缶に腰を下ろしローラーを手にした男性のステンシル画が描かれている。バンクシーを撮影したとされる写真はこれまでにも存在しているが、制作中の姿を写したものは今回が初めて。バンクシーのスポークスマンは、作品が本物であることを認める一方で、写真の人物がバンクシー本人かどうかについてはノー・コメントを通している。実はスポークスマン自身も、バンクシーに会ったことがないのだそう。

バンクシーといえば、その作風のみならず、人々の度肝を抜くようなゲリラ制作/展示から、アート・テロリストとも呼ばれる人物。分離の象徴であるパレスチナの壁に、穴の向こうに青い空が広がっている絵を描き、子供たちの楽園であるディズニーランドには、テロ容疑者が多く収容されているグアンタナモ米軍基地の囚人を模した人形を設置した。原始人がショッピング・カートを引いている絵を勝手に大英博物館に展示した際には、博物館側が気付くのに8日かかったという。

しかし、誰もが彼の作品を「芸術」と見なしているわけではない。ロンドン東部の地区では町の「落書き」をすべて洗い流す決定を下しており、当局は「地元住民はグラフィティを、町の景観を汚すものと考えている」と語っている。そもそも今回の作品は、そんな当局の決定に対する仕返しなのだとか。

いずれにしても、誰が描いたのか分からないという謎の一面がバンクシー作品人気の一翼を担っていたことは確か。今回、(もし本物ならば)こんな形で一般市民によって素顔を明らかにされてしまったバンクシー。彼の作品の評価が、この一件をきっかけに変わる可能性もあるかもしれない。

「タイムズ」紙 "Banksy, the celebrated graffiti artist, is caught in the act for first time"



最終更新 Mittwoch, 21 November 2007 13:56
 

支持率アップの鍵は「環境ニュー・ディール」政策!? from France

支持率アップの鍵は「環境ニュー・ディール」政策!?
環境・持続的開発相のジャン・ルイ・
ボルロー氏
Photo: Hajime Yanagisawa
10月24~25日にかけて政府と非政府の環境団体らが出席して行われた「環境グルネル会議」が、サルコジ大統領のスピーチによって閉幕した。

サルコジ大統領はスピーチで、農業、原子力、税制改革などについて説明。特に注目が集まっている農業については、4年以内に最も有害とされる約50種の殺虫剤を禁止すること、また、現在流布している殺虫剤の使用を半減させることなどを発表した。ボルロー環境・持続的開発相は、殺虫剤の使用量半減について「できるだけ早いうちに」と述べるにとどまったが、あくまで強気の大統領は「できれば10年以内に実現させたい」とタイムリミットを明示。現在、全農地面の2%で行われている有機農業についても、10年までには6%、12年までは20%までに増やす目標を掲げるなど、具体的な数字を挙げた。

ところで、有機農業はフランスでは「持続可能な農業」としてひとくくりに扱われることも多いが、実はその農法によって細かく分類されている。殺虫剤などの化学物質を一切使用しない農法もあれば、減農薬で有機肥料を取り入れる農法、また、無肥料、無耕作、無除草を通す農法もあり、どの方法をとるかは農家の事情により千差万別だ。土地の質、耕作している農作物の種類などによって収穫高が大幅に変わってくるため、有機農法を実践する各農家は、それぞれの目指す目標に向かって日夜試行錯誤を重ねている。

しかし、ここでふと心配になるのが経済上の問題。サルコジ大統領が目標に掲げるように農地面積の20%を有機栽培に割り当てるためには、作物や土壌の研究を進め、農家が収支のバランスをとれるようにするのが必須であるが、そのための研究は誰がするのだろうか。また、有機農業の促進のために300万ユーロ(約50億円)の財政資金を注入すると発表されたが、その資金はいったいどう工面するのだろう。大統領選挙戦も今は昔、勇ましく公約を掲げているだけで国民が喜んでいた時期はもう終わり。今回掲げた一連の「環境ニュー・ディール政策」が成功するかどうかは、今後の大統領の支持率を左右するキー・ポイントになるかもしれない。

「Liberation」紙 "Sarkozy fait son show ecolo"



最終更新 Mittwoch, 21 November 2007 13:57
 

ハッカーも願った!?スト回避 from Germany

ハッカーも願った!?スト回避
いまや時の人、GDLのボス、
マンフレッド・シェル氏(左)。
現在は保養休暇中。長期戦と見たか……
もうそろそろ潮時でしょう。「こうなったら意地だ、とことんやってやる!」なんて勘弁して……。数カ月にわたり熱い火花を散らしているドイツ鉄道、ドイチェ・バーン(DB)の労使交渉のことである。賃金引き上げなどをDB側に要求する機関士組合(GDL)は鉄道ストをドッカン、ドッカンと打ち上げ、威勢のいいことといったら花火並み。「すずめの涙ほどの給料で、こき使われてたまるか!」という気持ちはよく分かる。でも世の中、そんな物分かりの良い人ばかりではないのが現実で……。

10月半ば、一向に前進する気配のない交渉に、両者ともピリピリしていたある日のこと。GDLがその数日前に時限ストを実施し、次はでっかく終日といくか、とスト突入のタイミングを狙っていたまさにその時、当のGDLの公式ホームページに、こんな号外が発信されたのだ。「我々GDLはDB側と歩み寄り、ストを決行しないことにした」

スト宣言や交渉の経過など、逐一ニュースが更新されるGDLのホームページは、恐らく今、全国で最もアクセスが多いサイトなのではないだろうか。あの日このニュースをチェックして、ホッと胸を撫で下ろした人もいただろう。でも実はこれ、真っ赤なウソ。なんとハッカーの仕業だったのだ。

あせったのはGDLだ。ストだ!と気勢を上 げていた時に、自分たちのホームページに寝耳に水のニュースが載ったのだから。GDLはハッカーの侵入発覚後、直ちにホームページへのアクセスを停止し、その偽情報を消去した。でもその間約1時間。地方のラジオ局などではこのニュースを放送してしまったところもあったという。

ハッカーが流したこのニュースは、こう続いていたらしい。「我々は、この『戦い』をエスカレートさせることで、一般利用者やDBに多大な損害を与えるわけにはいかない」。…… 結構しおらしい。もしかしたらこのハッカーも電車通勤者なのかもしれない。ストに見舞われ会社に遅れ、上司に嫌味を言われ……。

何はともあれ、気になるのは労使交渉の行方。願わくば、この記事が掲載される頃には合意に至っていてほしいものだが、無理か……。

「Die Welt」紙オンライン版 "Hacker schlichten Tarifstreit bei der Bahn" ほか



最終更新 Mittwoch, 31 Oktober 2007 14:33
 

母乳育児ブームの行方は…… from France

母乳育児ブームの行方は
パリのシャルルティ・スタジアムで
行われたイベントには、パパたちも参加
フランスの母乳率はヨーロッパで最下位だ。母親の就業率が高いという理由以外にも、胸の形が崩れるという美容上の問題を気にしている女性もいるという。また、貴族の地位にあった女性が子育ての一切を乳母に任せて社交に明け暮れていた、という歴史的事情の名残りか、母乳育児を「野蛮」と見る一部の風潮も多少この結果に影響を与えているようだ。ところが、最近この傾向に少し変化が出始めている。2000年には産院から退院する時に母乳育児をしている女性が56パーセントのみだったのが、2005年には62パーセントになったというのだ。

母乳育児には、さまざまな利点が挙げられる。まず、子供は粉ミルクで育つよりも病気になりにくくなるといういくつかの調査結果が出ている。下痢やアレルギー症、感染症や突然死の割合が下がる上、成長してからも肥満になりにくくなるという。また、母親にとっても、母乳で育てることで子宮収縮ホルモンが分泌されて能率よく動けるようになるという効果がある。しかし、現実はなかなか厳しい。母乳が母子の健康に良いとは分かっていても、赤ん坊が生まれてから2カ月後に母乳育児をしている女性は5~10パーセントのみになってしまうのが現状なのだ。罪悪感に駆られつつ、結局は便利な粉ミルクへと移行する母親が圧倒的多数だという。

ただ、哺乳瓶全盛の時期から比べると、今は授乳が一種のブーム。10月中旬に設けられた「母乳推進週間」の際には、パリを始め全国34の都市で「授乳大会」なるイベントが開かれた。全国で約3000人の母親たちが参加し、母乳育児に関する講演に耳を傾けたこのイベント、なかには「革命が進行中である!」と勇ましく叫ぶお母さんたちの姿も。

夜は子供をベビーシッターに預けてカップルで外出したり、早い時期から母と子が別々の寝室で寝たりと、フランスでは親と子の境界線がはっきりしている。個人主義が尊重されるこの国で、母乳率はこれからどうなっていくのだろうか。一過性のブームで終わってしまうのか、それとも定着していくのか注目していきたい。それにしても、授乳まで「革命」になってしまうとは、これもやっぱりお国柄!?

「Le Parisien」紙 "Allaiter, c'est bien... mais pas si facile"



最終更新 Mittwoch, 31 Oktober 2007 14:30
 

100年をかけた無罪証明 from UK

100年をかけた無罪証明
クリッペン逮捕のニュースは
欧州中を駆けめぐった
もしあなたが冤罪に問われ絞首刑となり、その100年後に無罪が証明されたとしたら……。こんなSF映画のような出来事が、科学の進歩のおかげで現実のものとなりそうだ。

事件が起きたのは、97年前の1910年。後に、英国史上最も悪名高いと言われることになる事件がロンドンで発生した。ある医師が踊り子だった妻を毒殺し、その死体をバラバラにして自宅の床下に埋めたのだ。罪に問われた医師の名は、ホーリー・クリッペン。クリッペンは、妻コーラが行方不明になったと皆に告げた後、男性に変装させた若い愛人とともに大西洋上を逃避行中に、目ざとい船長に身元確認され逮捕された。その後の裁判で、有罪が確定するまでに費やされた時間はたったの27分。クリッペンは、絞首刑を受ける直前まで無罪を訴えていたという。

この事件に着目したのが、米国の科学捜査チーム。毒殺で遺体を解体するのは珍しいという理由から、大規模な捜査を開始した。まずは7年の歳月をかけて、米カリフォルニアやプエルトリコで暮らすコーラの子孫の行方を突き止めた。そしてロンドン王立病院の書庫に眠るコーラの遺体サンプルから取り出したミトコンドリアDNAと子孫のそれを比較したところ、コーラのものだと思われていた遺体は全くの別人のものだということが発覚したのだ。

「ミトコンドリアDNAは、母親から子へと受け継がれるもので、ほとんど変化を受けないという特徴があるのです」とはチーム・メンバーの医師の弁。そして、ミトコンドリア DNAが合致しないということは、ほとんど100%の確率で別人であることが証明されるそうだ。現在このチームはDNA鑑定の結果を基に、クリッペン医師の大赦を求めている。

絞首刑の2週間前に「私は無罪だ。いつか必ず私の無罪を証明する証拠が出てくるだろう」と書き残したというクリッペン医師。今頃は天国で安堵の息をついているだろうか。

しかし、クリッペン医師の自宅の床下で発見された死体が、コーラのものではないと分かった今、彼女の行方や、発見死体の身元は謎に包まれたままである……。

「ガーディアン」紙 "100 years on, DNA casts doubt on Crippen case"



最終更新 Mittwoch, 31 Oktober 2007 14:31
 

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