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特集


ヴァイオリニスト エリック・シューマン インタビュー

Erik Schumann ヴァイオリニスト エリック・シューマン - 完璧な音を、永遠に求め続ける

ロマン派を代表する偉大な作曲家、
ロベルト・シューマンと
姓を同じくするのは運命の導きか。
「名は体を表す」と諺にあるように、
音楽に対するその献身の姿勢は、
並大抵のものではない。
その人の名は、エリック・シューマン。
独日ハーフのヴァイオリニストだ。
音楽一家に生まれ、環境と才能に恵まれながらも、
決して驕ることなく、懸命に音楽と向き合う中から、
若き音楽家はどんな音楽観を育んできたのだろうか。

(編集部:林 康子)

エリック・シューマン 
Erik Schumann

1982年生まれ。母親は日本人ピアニスト、父親はデュッセルドルフ交響楽団のヴァイオリニスト。4歳からヴァイオリンを始め、ザハール・ブロン氏に師事。94年、11歳で全ドイツ学生音楽コンクールにて最年少優勝。2002年、ロン=ティボー国際コンクール入賞、04年、優秀な若手奏者に贈られるシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭のレナード・バーンスタイン音楽賞など受賞歴多数。現在は弟のマーク(チェロ)、ケン(ヴァイオリン)、そして日本人ビオラ奏者、後藤彩子と共に組むシューマン・カルテットの活動のほか、ソリストとしても欧州、日本、米国などの各地のオーケストラと共演している。 www.erikschumann.com

本当の始まりは、コンクールの後

1994年、弱冠11歳のヴァイオリニストが、全ドイツ学生音楽コンクールを最年少、最高得点で制し た。方々から「天才少年」と評されたシューマン氏。その背景には、生まれたときから家庭内で育まれてきた音楽的センスがあった。

私は、母がピアニスト、父がヴァイオリニストという典型的な音楽一家に生まれました。最初にヴァイオリンを手にしたのは4歳の頃、おもちゃとして買ってもらった16分の1の子ども用のものでした。それが何となく自分に合っていると感じ、その後本格的に弾くようになったというわけです。父の下で2年ほど練習し、その後3年間スズキ・メソード*1 で学びました。母もピアノ伴奏をしてくれたり、楽曲を教えてくれたり、さまざまな形で私の支えとなってくれました。ヴァイオリン以外に、ピアノも少しは弾いてみたのですが、自分にとってはヴァイオリンの方が技術、操作面での上達が早かったですね。

同コンクールのおよそ1年前、その後のシューマン氏に音楽家としての道筋を示すことになるザハール・ブロン *2 氏との出会いを果たす。同氏の下、コンクールに向けて猛練習を積んだ。生まれ持った音楽的センスは、師の手によりひたむきな努力と結び付き、開花していく。

ブロン先生と出会ったのは10歳のとき。彼がロシアからドイツに来たばかりの頃です。渡独の条件が、自分の生徒を連れて行くことだったそうで、その中には、現在世界トップクラスで活躍するマキシム・ヴェンゲーロフやヴァディム・レーピン、アルテミス・カルテットのナターリャ・プリシチェペンコらがいました。最初は右も左も分からなかった私ですが、彼らが素晴らしい演奏をしているということだけは分かり、自分もとにかく練習しなければと思いました。

モスクワで高いレベルの音楽教育を受け、ソ連(当時)の名立たる音楽家の1人に数えられるブロン氏は、学んだことをほかの人たちと共に分かち合い、与えようとする人で、生徒1人ひとりの才能や持てる力を最大限に引き出すような指導をしてくれました。天性の才能を持ち、良い教育を受けていても、それらを次世代に伝えていこうとしない音楽家もいる中、彼は生徒全員に分け隔てなく接し、全身全霊を込めて音楽と指導に取り組んでいる。どこからそのエネルギーが沸いてくるのかと、感心するほどです。

センセーショナルなデビューの後に続く、華々しいコンクール受賞歴。中でも自分を支えてくれたものは、パリのロン=ティボー国際コンクール入賞(1998年)とシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州音楽祭の枠内でのレナード・バーンスタイン音楽賞(2004年)だと語る。コンクールでの受賞歴は、彼のキャリアを築くに当たって必要不可欠な存在なのだろうか。

この2つのコンクールは国際的に名の知れたものです。世界各地から集まった大勢の聴衆の前で演奏するという経験は、それまで自分になかったため、大きなプレッシャーでした。そこで入賞したことにより、エージェントやほかの音楽家たちと知り合うきっかけとなったのは事実です。ただ、コンクールといっても相対的で、受賞してもその後のキャリアにつながるようなコネクションを築けない人もいれば、たった一度の受賞で次々と公演が決まるケースもある。もちろん、勝つに越したことはないのですが、思うにコンクールで大切なのは、約8、9週間掛けて楽曲と集中的に向き合う本番前のプロセスです。何かを学ぶとき、時間的な制限によるプレッシャーがなければ良い結果は得られないでしょう。大切なのは本番にたどり着くまでの準備段階。結果よりも、そこで何を達成できたかということです。

とはいえ、結果を得られなければ落ち込みます。常に良い調子で上手く進むことなんてあり得ませんから。しかし敗退は次へのステップとして、音楽家を鼓舞し、後押しすることにもなります。逆に、有力なコンクールで入賞したからといって自身の実力を誇れるわけではない。そこは単なる入り口であって、その後にこそ、音楽家にとって本当の意味でのコンクールが始まるのです。

音楽において、自由でいようと努める

「天性の努力家」という言葉が合う人だと感じた。真摯に楽曲と向き合う姿勢は、音楽を愛する者に授けられた一種の才能なのではないだろうか。そこまでシューマン氏を音楽へと駆り立てるものとは何かを掘り下げるべく、自身に影響を与えた作曲家を尋ねると、「作曲家から着想を得たとは言えない」という意外な答えが。

エリック・シューマン

作曲家が私に影響を与えたと言うには、あまりにも存在が大き過ぎるかと。着想を与えてくれたと言うなら、ほかの音楽家、演奏家ですね。尊敬すべき同僚たち。例えば、チェリストのニコラス・アルトシュテットやレオナード・アイシェンブロイヒ、石坂団十郎。彼らと共演するときは、互いに刺激し合っています。誰かが何かを感じれば、私もそれを察知して受け止め、応えようとします。

指揮者なら、常に強大なエネルギーを音楽に注ぎ、華やかさ、軽やかさを表現していたカルロス・クライバー*3。彼のベートーベンを聴くと、これぞ理想的なベートーベンだと感じます。また現在、クリストフ・エッシェンバッハ*4と時々一緒に仕事ができるのも、本当に幸せなことですね。偉大な音楽家と共演すると、彼らがいかに音楽に浸っているかを肌で感じられ、自分が表現したいと思うものだけでなく、自分が本来備えている能力を発揮できる。才能ある音楽家は、ほかの人の潜在能力を見出し、それを成長させてくれるのです。

私がヴァイオリニストとして繰り返し聴くのが、ダヴィッド・オイストラフ*5やヤッシャ・ハイフェッツ*6、ヘンリク・シェリング*7ら。私の原点とも言えます。全身の血を音楽に注ぎ込んだ人たちで、聴いているとヴァイオリンの演奏の域を超えて、心底「音楽を聴いている」のだと感じます。各々が独自に持つ自由な精神から紡がれる音楽は、なんと生命感に満ち溢れているのかと。音楽において自由でいようと努める、それがヴァイオリニストだと感じさせられます。

演奏家としてのハイライトはオーケストラとの共演だという。特に気に入っているホールは札幌のキタラホール、東京のサントリーホール、そしてライプツィヒのゲヴァントハウス。一方で、アットホームな雰囲気を作り出せる室内楽も欠かせない。1年に70~80回はこなすというコンサートの中で、シューマン氏が重んじていることとは。

一番大切なのは精神です。ただ、技術なくして演奏に精神を込めることはできません。目的達成のための手段として、技術が必要なのです。これらは互いに関連し合っていますね。どんな音楽家も、人生を懸けて完璧な音を出そうと努力している。技術が勝り、精神が追い付かないこともあれば、その逆も然り。完璧な音を、永遠に探し続けているのです。目的が達成できたと言うことができる時が来れば最高ですが、それは一方ですべての終わりを意味するので、悲しいでしょうね。決して終わらない、そのために音楽はあるのだから。その時々で自分が正しいと思う、理想的な瞬間をコンサートで実現すべく、挑戦するのみです。

僕は「禅」の精神が大好きで、剣道をやっていたこともあるのですが、そこで大切なのは一点に集中することです。そして集中するときにこそ、力を抜いて深呼吸する。これは音楽にも共通していて、楽譜上の音を、あるべき一点に導く。そのとき落ち着いて深呼吸をすると、時間や空気の感じ方がふと変わるのです。これがコンサートで表現できれば、音楽家としてはトップレベルだと思います。

伝統的な日本の精神に敬意を示すのは、もちろん日本人である母親の影響によるところが大きい。ブロン氏を通じて知り合い、兄弟のように親しんだ樫本大進をはじめ、川久保賜紀、庄司紗矢香、岡崎慶輔など日本の著名ヴァイオリニストとも親睦が深い。自身の中に、強く日本人としてのルーツを意識するのは自然の成り行きだろう。

日本に長期間住んだことがないので、ドイツから受けた影響の方が大きいのは当然ですが、母は常に、私に日本の文化に触れられる環境を与えてくれました。子どもの頃は母と一緒に、大阪にある祖父母の家に遊びに行き、大人になってからは公演で何度も日本を訪れ、ますますこの国への愛情が深まっていったのです。今や日本は私の一部、誇りであり、訪れるたびにその文化を体験できるのが幸せですね。

日本人は常に冷静で規律を重んじる。人だけでなく、物や存在に対しても尊敬の念を抱けるというのは、日本人特有の精神でしょう。音楽で言えば、日本人ほど集中して耳を傾ける観客はいません。演奏中、それが手に取るように伝わってきます。日本で演奏するのは楽しい。とても居心地が良いです。

音を通して、聴き手と一体になる感覚

自分が持てる情熱、技術を伝えていくことを惜しまないブロン氏の門下生として、次世代へのクラシック音楽の伝達にも積極的。ドレスデン出身のピアニスト、ラース・フォクトが手掛けるプロジェクト「ラプソディー・イン・スクール」への参加がその一例だ。それほど大したことではない、当然のことをしているだけ、というような控えめな口調で語ってくれたが、そこにかける想いは熱い。

このプロジェクトは、有志で集まった音楽家が国内の学校をめぐり、これまでクラシック音楽など聴いたことがなかった子どもたちに、それに触れる機会を与えるものです。もちろん子どもたちは、そういうジャンルの音楽があることくらいは知っていますが、馴染みはなく、なんだか複雑で退屈そう、というイメージを抱きがち。そこで、「難しくなんかない。簡単に理解できるものなんだよ」と教えます。だから、いきなり彼らの前でベートーベンの弦楽四十奏を弾くような真似はしません。プロジェクトの目的は、子どもたちが将来どこかで楽曲を耳にしたときに、「あ、これ聴いたことある。そういえば昔、誰かが学校に来て弾いてくれたな」と気が付いたり、「クラシックってこんなものなんだな」と思ってくれるようになること。そして願わくば、「ちょっとコンサートに行ってみようかな」と言ってくれること。未来の観客たちと早めにコンタクトを取るわけです。また、自ら楽器に触れてもらうことで興味を芽吹かせ、クラシックが全く別世界のものでなく、生活の一部であると思ってもらえたら嬉しいですね。

演奏家が、自分の理想とする音を追求するだけでなく、聴き手もその音を通して何か特別な感情を得ること。シューマン氏はそれを、音楽を通してのコミュニケーションと考えている。

音楽は、人が持つすべての感情を表現する高度なレベルのコミュニケーション術。人は言葉で多くを語ることができますが、音楽と比べれば言葉は限定的です。でも、音楽には限界がない。例えば画家は、その瞬間に美しいと感じるものやインスピレーションを多彩な絵の具を使ってキャンバスに保存しますよね。音楽もそれと同じ。作曲家が感じた瞬間を音に残し、演奏家が独自の方法で再生して伝えていくのです。

聴き手とのコミュニケーションという視点で言えば、ホールに2000人もの観客が集まり、オーケストラが静かな音を奏でるとき、見えない何かが起き、そこにいる全員がそれを感じます。互いに知らない人同士なのに、一体となり、1つの色調を奏でる。信じ難いような、不思議な感覚です。もし、普通に会話をするならば理解し合えないかもしれない人たちが、人それぞれ微妙に感じ方は異なるでしょうが、音楽を通してつながり、あたかも1つの船の上にいるかのような気分になるのです。ものすごいエネルギーを感じますよ。

Schumann Quartett

壮大な宇宙に共通する音楽

歴代の偉大な音楽家を尊び、演奏を通して聞き手の心に語りかけ、音の共鳴体を広げていく。音楽に100%献身する姿勢が、言葉の端々から溢れ出ている。その情熱が向かう先は? 最後に、現在の活動を含め、彼が抱く世界観と、心に思い描く自身の将来像をうかがった。

私は時間があれば、ヴァイオリン製作の芸術についての書籍や、宇宙に関する大衆向けの専門書などを読んでいます。果てしない宇宙のスケールに思いを馳せ、私たちが今生きている空間がいかに薄い層であるかと考えると、息苦しくなります。しかし、その先に広がる壮大な宇宙を想像すれば、解き放たれるような気分になります。その後で音楽を聴くと、何か宇宙と共通するものを感じるんですよね。「作曲家や演奏家たちも、自分と同じように感じていたのではないか」と。人はいかに音楽で多様なことを成し遂げてきたか。音楽を前にしては、私の存在はあまりにも微力です。時にとても表面的だと感じる現代において、クラシック音楽は私にとって唯一、奥深く壮大なものなのです。

シューマン・カルテット

具体的な目標としては、自分が所属する「シューマン・カルテット」の活動を中心に、一生を通してできる限り多くの室内楽の演奏を行っていきたいです。弦楽四重奏は、室内楽の中でも最も繊細で軟らか、かつ壮大な合奏形態で、膨大な練習時間と労力を必要としますが、その分、多くのことを伝え、音楽家としての自分を熟成させてくれます。私たちのカルテットは、ロマン派を特に好んで演奏しており、今年5月の大阪国際室内楽コンクールでは第2位という大きな成果を上げました。この調子で、世界をリードするカルテットを目指します。

個人的には、何事に対しても心をオープンに、感受性豊かな音楽家でありたいと願っています。素晴らしい音楽家たちと交流、共演する中から刺激を受け、何かを学び、分かち合う。常に音楽に誠実でいたいです。

完璧な音をひたすら追い求めながら、その音の先に無限大に広がる音楽の世界を見つめ、より多くの人とそれを共有したいと願うヴァイオリニスト、エリック・シューマン。インタビューの最後に読者に向け、メッセージを残してくれた。

音楽は、聴き手を必要としています。呼吸をするときに酸素が不可欠なように、聴く人がいなければ音楽は成り立ちません。コンサート会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしています。人が音楽を愛すれば、音楽も人を愛してくれます。

語り尽くせない想いを音に託す演奏家と、それを受け止める聴衆がいて、初めて音楽は息をする。変に身構えず、自然体でシューマン氏が奏でるヴァイオリンの音に耳を傾けたなら、彼の見つめる音楽の世界を一緒に体感できるのかもしれない。

  • *1 ^ スズキ・メソード:日本のヴァイオリニスト、鈴木鎮一によって創始された音楽教育法の1つ。乳幼児期に音楽を聴き、練習することで情緒や心豊かな人間性を育てることを目的としている。
  • *2 ^ ザハール・ブロン(1947~):カザフスタン出身。リューベック音楽院、ロンドン王立音楽アカデミー、ロッテルダム音楽院などの教授を経て、現在はケルン音楽院、チューリッヒ音楽院で教鞭を執る。
  • *3 ^ カルロス・クライバー(1930~2004):ベルリン生まれの指揮者。デュッセルドルフやシュトトゥットガルトなどの歌劇場で第1指揮者を務め、世界的に名を馳せた。
  • *4 ^ クリストフ・エッシェンバッハ(1940~):ポーランド・ヴロツワフ(旧ドイツ領シュレージエン)出身の指揮者。もともとピアニストとして活躍したが、70年代より指揮者に転向した。
  • *5 ^ ダヴィッド・オイストラフ(1908~74):旧ソ連(現ウクライナ)出身のヴァイオリニスト。37年、ブリュッセルのエリザベート王妃国際音楽コンクールで首位獲得。
  • *6 ^ ヤッシャ・ハイフェッツ(1901~87):ロシア帝国領ビルナ(現リトアニアの首都)出身のヴァイオリニスト。幼少時から才能を発揮、7歳でデビューし、「ヴァイオリンの王」と呼ばれた。
  • *7 ^ ヘンリク・シェリング(1918~88):ポーランド人で、メキシコに帰化したヴァイオリニスト。作曲家として、ヴァイオリン協奏曲や室内楽も手掛けた。
エリック・シューマン 公演情報

● 8月6日(土)20:00
ニュルンベルク「クラシック・オープンエアー」
Nürnberg Klassik Open Air
プログラム:チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」
会場:Luitpoldhain, 90478 Nürnberg
入場無料
www.klassikopenair.de

● 9月18日(日)19:00
デュッセルドルフ「旧市街の秋・カルチャーフェスティバル」
Altstadtherbst in der Tonhalle
プログラム:メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」
会場:Tonhalle, Ehrenhof 1, 40479 Düsseldorf
16~39ユーロ
www.tonhalle.de

● 9月18日(日)~10月16日(日)
「ベスト・オブ・ノルトライン=ヴェストファーレン」
Best of NRW
シューマン・カルテットがエッセン、ボン、メンヒェングラットバッハなど各地を巡回
プログラム:ベートーベン「弦楽四重奏曲第8番」、シューベルト「弦楽四重奏曲第13番」など
※ 公演日程、場所、チケットの詳細はwww.best-of-nrw.deより

最終更新 Freitag, 09 August 2019 10:43
 

ドイツ在住者のためのお金の話

資産と笑顔を増やそう ドイツ在住者のためのお金の話

金融危機にユーロ危機、次々と襲いかかる経済不安。
景気の悪い話が耳をつく今日この頃。
実生活と、切っても切り離せないお金の話に敏感になっている人は多いはず。
今回は、お金のプロの皆さんの力を借りながら、真剣に考えれば世界が広がり、
笑顔も増える、そんなお金の話をQ&A形式でおさらいしよう。
(編集部:高橋 萌)

質問者

高橋ニュースダイジェスト編集部。
アラサーで未婚。これまで自由気ままに生きてきたけれど、そろそろ結婚や出産など人生の次なるステップに向けて心と資金の準備を始めたい(本音)。

アドバイザーの皆さん

エアハルトさんシュタットシュパーカッセ・デュッセルドルフの
エアハルトさん

日独両方の銀行でお仕事された経験と抱負な知識、やわらかな物腰でドイツの日常生活に欠かせない銀行とのお付き合いを支えてくれるエキス

隅田さんメッツラーアセットマネジメントの隅田さん
金融業界に長く身を置き、修羅場をくぐり抜けてきたお金の達人。そこで培われた感と哲学、豊富な情報からお金とのつきあい方をジョークを交えつつ熱く語ってくださる。
Metzler Asset Management GmbH: www.metzler.com

ゲルトくんゲルトくん
ドイツでの暮らしに必要なお金に関する制度について目下、研究中。

1. お金って、どうやったら貯まりますか?

お金

高橋思ったように貯蓄が増えません。いろいろなところで節約してはいるんですけど、欧州で暮らしていると旅行も楽しいし、なんて言い訳ですけど・・・・・・。

エアハルトさんまずは、ご自身のライフプランあってのマネープランです。あと何年くらいドイツで生活する予定か? 転職の予定は? 家族がいたら進学や住宅購入についても考えるでしょう。そういった個々の状況によって、有効なマネープランは異なります。自分の将来設計を見通した上で、どのタイミングで、どのくらいのお金が必要なのかを考えるところから始めてみましょう。

高橋「利益(お金)とは、目的ではなく、手段である」(ピーター・ドラッカー)ってことをついつい忘れていました。漠然と、将来のために貯蓄を増やそうと気が焦っていましたが、人生設計に合わせてマネープランを立てないと、人生を楽しめないということですね。

ヒント● 非課税手続き『Steuerfreibetrag』
手続きを行えば、単身者で最高801ユーロ、既婚者で最高1602ユーロが非課税に。手続きに必要な税識別番号(Steuer-Identifikationsnummer)を控え、口座を開設している銀行でご相談を。
● 被雇用者の財産形成を支援する制度
『Vermögenswirksame Leistungen』 被雇用者のための貯蓄制度。月額最高40ユーロ、貯蓄用に口座に収入が振り込まれる仕組み。自営業者、フリーランサー、試用期間中、年金受給中の人は対象外。パートタイムの人は制限付きとなる。銀行貯蓄、住宅資金貯蓄、企業年金、ファンドなど制度として5種類の貯蓄プランがある。手続きは簡単。この制度の利用を雇用者に申し出るだけ。条件を満たせば、国からの助成金ももらえる。

2. ドイツでの銀行との付き合い方、注意点は?

銀行

高橋世界中にたくさんの銀行があり、金融商品も様々。海外で生活する際も、口座を作って、貯まったお金を運用するのに、銀行とのお付き合いは欠かせません。ドイツの銀行を利用する際、どんなことに注意したら良いでしょう?

エアハルトさんまず、どの銀行を選ぶかですが、オンラインバンキングに強い、手数料が安い、金利が高い、信頼できる、など銀行によって条件に差があると思います。ご自身で金融商品を選び、リスクに対処できる知識や経験をお持ちであれば、窓口のないオンライン・バンクでお得な条件を活用するのも良し。銀行員の知識を引き出し、相談しながら安心・安全を優先する運用をお望みなら、すぐに相談できる支店を持つ銀行を。金融商品についてもそうですが、自分なりの条件を持って、納得できるものだけを取捨選択することが大切です。

高橋大切な自分の財産を預ける銀行。
慎重に選びたいものです。

ヒント● 振替口座『Girokonto』
大きなリターンを目指すには、大きなリスクを負わなければならない。これが、運用の際の原則。口座で言うと、お財布感覚でいつでも引き出しや預け入れができる振替口座より、一定期間は解約できない定期預金や積み立て預金の方が金利が高くなっている。振替口座をほったらかしにして、運用できるお金を眠らせてはいませんか?(自己反省も込めて)
● サインは印鑑代わり『Unterschrift』
ドイツでは、書類にサインを求められる場面が多くあります。サインは、日本の印鑑と同等の効力を持つものなので、銀行でのサイン登録は慎重に。真似されにくく、そして自分にとって書き慣れた(忘れない)ものを。何が書かれているのか分からない契約書にサインをするのは絶対にNG。サインした契約は、取り消しができないものと思って。

3. 「備えあれば憂いなし」とは言いますが、
どんな備えをしておきましょう?

高橋いつまでも健康で、トラブルなし! そんな人は、世の中そうそういません。加入が義務付けられている健康保険には加入しているけど、いざと言うとき、それだけで大丈夫?

エアハルトさん健康を守るための保険(健康保険)のほか、生活を守るための保険(生命保険、個人賠償責任保険、家財総合保険など)についても、一度見直してみましょう。

4. 老後の備え、早めに始めたいのですが?

高橋少子高齢化の時代が本格化していく中で、日本でもドイツでも、年金制度だけに頼っていては老後の生活で、とても苦労しそうです。

ゲルトくん年金が破たんする可能性は、日本でもドイツでもかなり低いでしょう。ただし、年金の支給開始年齢は引き上げ傾向にあり、自分が何歳まで働けそうか、働きたいかを見通しながら私的年金に加入するなど、公的年金+αの対策があるとより安心でしょう。

ヒント● 日独社会保障協定
ドイツと日本の2国間で年金の加入について取り決めた協定。年金の二重加入を防止し、また年金加入期間を通算することができる。詳細は社会保険庁(日本)、またはDeutsche Rentenversicherung Bund(ドイツ)にお問い合わせください。
● 公的年金 『Altersrente』
老齢年金のほかに稼得能力の減退による年金があることがドイツの年金制度の特色。現在、被雇用者の名目賃金に占める年金保険料は19.9%。5年以上の加入で受給資格が得られ、2011年現在、支給開始年齢は65歳。
● 私的年金 『Privatrente』
公的年金に加えて、被雇用者用のリースター年金(Riester-Rente)や、自営業者のためのリュールップ年金(Rürup-Rente)がある。日本に帰国予定の人には向かないが、ドイツで老後を迎えようと考えている人は、一考の価値あり。

5. 結婚や出産を経て、家族を持ったら
適用される、お金にまつわる制度は?

高橋配偶者や子どもがいる場合、お金の面でどんなメリット&デメリットがあるのでしょう?

ゲルトくん夫婦に対する所得税は、専業主婦(夫)家庭にやさしく共働き夫婦に厳しいなど、時代に即していないと批判されているけど、一方で、確かに子育て期間における国からの金銭的援助が手厚いのがドイツです。

ヒント● 夫婦単位課税制度
『Ehegattensplitting』

夫婦のどちらか一方が家計を担うことを前提にした税制。そのため、共働きの夫婦より片方のみが働いている夫婦の方が税負担が少ない。
● 児童手当『Kindergeld』
子どもが18歳(学生は25歳)になるまで保護者に支給される。1カ月当たりの支給額は、第1、2子が1人につき184ユーロ、第3子は190ユーロ、第4子以降は215ユーロ。これらは非課税。
● 両親手当『Elterngeld』
育児休暇中の12カ月間は、休暇に入る前の手取り月収の67%(月額上限1800ユーロ)が支給される。さらに、もう一方の親も育児休暇を取ると、支給期間が2カ月間延長される。
● 児童控除『Kinderfreibetrag』
児童手当の代わりに受けることができる税金控除制度。1年間の所得金額にかかる税額が、子ども1人の家庭で2208ユーロ以上である場合など、高所得者には児童手当よりも有利な制度。

6. ユーロの将来に、
ちょっと不安を持っています。

高橋ギリシャ危機や、世界的な不況のあおりを受け、ユーロが対円でめっきり安くなってきました。数年前までは、1ユーロ≒150円の時代もあり、ユーロで振り込まれるお給料を円に換算してはニヤニヤしていたのに。今、大揺れに揺れているユーロの未来を、どう見れば良いのでしょう?

隅田さん私自身は、ユーロの未来を悲観していません。ユーロは強い通貨になるために試練の時を迎えていることは確かですが、これを乗り越えたとき、例えばギリシャは前よりもずっと健全な財政状況になるでしょう。良薬は口(国?)に苦いもの。そういう意味で、ユーロ諸国は総じてあるべき方向に向かっていると思います。通貨の価値は、信用があるかないか。信用がなければ、お金もただの紙切れ。だから、健全な土台を持った強い通貨を持つというのは、意味のあることだと信じています。

高橋円高ユーロ安にばかり目を向けていました。もっと長い目で通貨を捉える必要があるかもしれませんね。

7. 資産運用を考える際、
どんなことに注意したら良いですか?

資産運用

高橋ただお金を貯めるのではなく、そのお金を運用したい。その行動を起こす前に知っておくべきこと、心構えについて教えてください。

隅田さん一攫千金を目指すなら、ギャンブルに走るのも1つの手です。でも、そこまで高いリスクを負わないで、自分の人生のために資産を大切に運用をしたいと考えるとき、一番重要なことは「常に出口戦略を考えながら行動すること」です。つまり、いつ止めるのか、どういう状況になったら止めるのか、あらゆるリスクに備えて出口を準備しておく。何のための資金なのか、何のために運用しているのか、目的が明確だと出口も見えやすいですね。これは人生論にも通じる部分があると思います。

高橋確かに「出口戦略」は人生の選択にも当てはまる哲学ですね。いろいろとお金にまつわるお話を伺ってきましたが、自分の知識の中ではとてもじゃないけれど対応しきれないような気がします。

隅田さんそんなときは、迷わずお金のプロに相談するのが良いでしょう。日本で言うFP(Financial Planner)のように、ドイツにはIFA(Independent Financial Adviser)という人たちがいます。彼らはお金のプロとして、独立した業務を行っているので、第三者の視点で的確なアドバイスをくれるはずです。もちろん、銀行にも優秀なアドバイザーがたくさんいて、いろいろな情報を提供してくれるでしょう。

まとめ

お金のことを考えるって、人生を考えることに繋がるんですね。どうにかして丸儲けしたい、儲けられなくても、損はしたくないと、がめつく望んだこの企画ですが、大切なことを教えていただきました。自分が心から望む人生、それこそ欲や見栄、恐れも含めて目をそらさずに向き合えば、もっとお金と仲良くなれそう。お金を自分にとって一番有効なツールにするために、お金との付き合い方をもう一度考え直したい。ドイツでの暮らしの中での新たな課題が見付かりました。


参考

ドイツ在住者向け銀行紹介

ドイツには2277もの金融機関が存在する(2007年現在、連邦銀行調べ)。 ここでは、その中のほんの一握り、特色ある11の銀行をご紹介。

comdirect bank comdirect bank

オンライン銀行としては長い歴史を持つコメルツバンクの姉妹銀行。口座開設時に50ユーロのボーナス+満足保証があるなど、新規顧客へのサービスが充実。

振替口座:comdirect Girokonto
口座維持費:0ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA(無料)
ATM(Geldautomaten):国内約9000カ所
銀行グループ:Cash Group
www.comdirect.de

Commerzbank Commerzbank

ドイツでナンバー2の預金高を誇る銀行。下記の振替口座のほか、学生用の口座、毎月1200ユーロ以上の入金がある人を対象とした口座もあり、これらは維持費無料。

振替口座:Aktiv-Konto
口座維持費:5.90ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:MasterCard(29.90ユーロ~/年)
ATM(Geldautomaten):国内約9000カ所
銀行グループ:Cash Group
www.commerzbank.de

norisbank norisbank

ドイチェ・バンクの姉妹銀行。口座維持費無料の振替口座としては、そこに含まれるサービスの多さに定評がある。とにかく安く手軽に口座を持ちたい人向き。

振替口座:Top Girokonto
口座維持費:0ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:MasterCard(無料)
ATM(Geldautomaten):国内約8000カ所
銀行グループ:Cash Group
www.norisbank.de

ING-DiBa ING-DiBa

ドイツ最多の顧客数を誇るオンライン銀行。現金の引き落としはATMのほか、スーパーマーケットREWEのレジでも可能(20ユーロ以上の買い物をした場合)。

振替口座:Girokonto
口座維持費:0ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA(無料)
ATM(Geldautomaten):国内約1200カ所
銀行グループ:ING-DiBa
www.ing-diba.de

netbank netbank

「ネットバンク」という名前の通り、オンライン銀行。振替口座 giro Loyal は、口座の目的別に条件が異なり、給与の振込口座として利用すると各種カードの利用料が無料に。

振替口座:giro Loyal
口座維持費:0ユーロ/月
EC-Karte:5ユーロ/年(初年度無料)
クレジットカード:MasterCard(20ユーロ/年)
ATM(Geldautomaten):国内約2500カ所
銀行グループ:Cashpool
www.netbank.de

Stadtsparkasse Düsseldorf Stadtsparkasse Düsseldorf

シュパーカッセ(貯蓄銀行)は、信頼度とサポート力で評価が高い。各都市で独立運営しており、サービス内容も異なる。デュッセルドルフには、日本語対応のデスクがある。

振替口座:Vorteilskonto Plus
口座維持費:5.20ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:MasterCard(18ユーロ/年)
ATM(Geldautomaten):国内約2万5000カ所
銀行グループ:Sparkassen-Netz
www.sparkasse.de

DKB DKB

国内には支店が9カ所しかないが、オンライン銀行としてその機能を発揮。DKB-VISA-Cardを使用し、世界中で引き落とし無料という強みを押し出している。

振替口座:DKB-Cash
口座維持費:0ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA(無料)
ATM(Geldautomaten):DKB-VISA-Cardで、世界約100万カ所(例:デュッセルドルフ約20、ミュンヘン約10)
www.dkb.de

Postbank Postbank

豊富な支店、潤沢な人材がポストバンクの財産。振替口座Giro plusは、毎月1000ユーロ以上の入金があれば毎月の維持費が無料になる。

振替口座:Giro plus
口座維持費:5.90ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA/MasterCard(22ユーロ/年、初年度無料)
ATM(Geldautomaten):国内約9000カ所
銀行グループ:Cash Group
www.postbank.de

Deutsche Bank Deutsche Bank

ドイツ最大の銀行として、幅広いサービスを展開。下記のAktivKontoのほか、特典の多いBestKonto(維持費9.99ユーロ/月)が人気。

振替口座:AktivKonto
口座維持費:4.99ユーロ/月
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA/MasterCard(30ユーロ~/年)
ATM(Geldautomaten):国内約9000カ所
銀行グループ:Cash Group
www.deutsche-bank.de

Targo Bank Targo Bank

Citibankがフランスの信用協同組合 Crédit Mutuel に売却されて、2010年2月22日からTargo Bank に名前を変えた。毎月600ユーロ以上の入金で口座維持費無料。

振替口座:Aktiv-Konto
口座維持費:4.90ユーロ
EC-Karte:無料
クレジットカード:VISA(30ユーロ/年、初年度無料)
ATM(Geldautomaten):国内約2500カ所
銀行グループ:Cashpool
www.targobank.de

銀行選びのポイント

● 口座の維持費(Grundgebühr)

オンライン銀行では無料のところも多い。また、たとえ口座維持費が有料でも、金利の条件が良く、保険やクレジットカードなどの特典がある場合、総体的に見て無料の口座よりも有利なことも。口座維持費に何が含まれているかをしっかり確認。維持費無料の条件(預金額や入金額)がある際は、帰国時の解約なども考える必要あり。口座を開設したら、閉設まで管理を。

● 銀行グループ(Geldautomaten-Verbunde)

ドイツには、ATMの利用を定めた銀行グループがあり、同じグループ内では、無料で預金の引き出しなどができる。

● 金利(Zinsen)
金利が付かない場合の多い振替口座だが、中には金利付きのものもあるので要チェック。

※上記の情報は2011年7月5日現在のものです。予告なく変更になる場合がございます。詳細については、各行にお問い合わせください。

最終更新 Donnerstag, 20 Juni 2019 12:57
 

ロンドンで、極上のティー・タイム

ロンドンで、極上のティー・タイム

ロンドンでは、英国が誇る「アフタヌーン・ティー」の伝統に恥じない、おいしいスイーツに巡り合うことができる。人々に長く愛されてきた伝統的で素朴なケーキから、最新のモードを体現したおしゃれで繊細なケーキまで、シーンや目的に合わせて色々試してみたい。ロンドン観光の際はぜひとも体験したい、お茶と極上のスイーツのひととき。今一番気になる、評判のカフェを10店厳選してお届けします。

文・写真: Miki Yamanouchi

※掲載内容(営業時間、メニューなど)は季節により変更となる可能性がございますのでご了承ください。

至福のデザート・フルコースに舌鼓
William Curley

William Curley Foret Noire
Foret Noire
(デザート・バーでいただけるアラカルトのうちの1つになることも。デザート・バーは水〜日の13:00より。3コースで£15)

木漏れ日が差し込む広場に面した、チョコレート色のひさしが目印。イタリアの最高級チョコレート「アメディ」を使った、細工の美しいケーキが並ぶ。こちらのスイーツは、パティシエであり、ショコラティエでもあるウィリアムさんと寿々江さんご夫婦の出身地、スコットランドと日本の伝統が生み出すハーモニーでもある。他所では見ない、黒酢やウィスキー「山崎」のトリュフなどもいただける。

デザート・バーで饗されるアシェット・デセール(皿盛りデザート)は、注文後に作られる3点構成のデザート。プリ・デザート2品、アラカルト3品からそれぞれ1品ずつ選び、最後にプチ・フールで締める。お勧めの「Foret Noire」は、筒状にしたダーク・チョコレートをキッシュ・クリームとチョコレートのムースで満たし、ピスタチオのアイスクリームとラズベリー・ソースを添えた一品。ムースとチョコのリッチな滑らかさに、温かいソースと冷菓の温度差も絶妙な起伏ある味わいは、できたてだからこそ。

198 Ebury Street SW1W 8UN
Tel: +44(0)20 7730 5522
www.williamcurley.co.uk
月〜木 9:30-19:00 金・土9:30-20:00 日10:00-18:30
アクセス: Sloane Square駅から徒歩5分

スイーツとファッションの甘い関係
Cocomaya

Cocomaya High Tea
High Tea £25
(15:00より。要予約)

テーブルに運ばれてくるアンティークのティー・セットに心躍る瞬間、ココマヤの魔法にかけられる。ファッション界のビッグ・ネームが立ち上げたブティック・ベーカリー、そのエッセンスが詰まった3段トレーの「High Tea」は、乙女が夢見るお茶会を絵に描いたよう。花が散りばめられたトレーには、バラの形が愛らしいミニ・ローズ・ケーキがちょこんとお座り。昔風のドロップ・スコーンには、シェリー・グラスに入ったクリームとジャムがお供している。パンもジャムも手作りだが、特にサンドイッチに使われているナッツ入りのパンは、日本でも人気のケーク・サレ(塩味のケーキ)そのものの注目の味だ。

素朴なケーキと華麗なティー・セットのバランスがおしゃれな、スイーツ・ファッションとも呼ぶべきデザートを提供するこちらのカフェは、それでいてご近所さんと店員が親しく挨拶を交わす、肩の凝らないフレンドリーな空間でもある。「High Tea」でサーブされるケーキは個別に買うこともできる。

12 Connaught Street W2 2AF
Tel: +44(0)20 7706 2883
www.cocomaya.co.uk
月〜土 10:00 -19:00 日11:00 -18:00
アクセス: Marble Arch駅から徒歩10分

華やかエリアのニューフェイス
Lanka

Lanka Green Tea Strawberry Cake
Green Tea Strawberry Cake
£3.80

「温かみのある、ヨーロッパらしいケーキを作っていきたい」というオーナー兼フレンチ・シェフの羽良さん。ミシュラン・レストランで研鑽を重ねた彼が、昨年オープンしたのがランカだ。周辺はおしゃれな店が立ち並び、そぞろ歩くのも気持ちいい。モンブランやマカロンなど30種以上のスイーツが揃う。クレーム・ブリュレは注文があってからカラメリゼするなど、こだわりある食への姿勢はケーキにも表れている。

店名は紅茶の国スリランカから取ったというだけあってお茶も充実。オリジナルのフレーバー・ティーは3種類で、お勧めの「Royal Delight」は、自然なイチゴの香りの後に茶葉のしっかりした味わいが口中に広がり、印象深い。看板ケーキの「Green Tea Strawberry Cake」は、イチゴと抹茶のスポンジ、ホワイト・チョコレートのクリームという極上のトリオが楽しめる。プリムローズ・ヒルはすぐそば。おいしいケーキで一服したら、丘に登ってロンドンを見晴らしたい。

71 Regent's Park Road NW1 8UY
Tel: +44(0)20 7483 2544
www.lanka-uk.com
火〜土 9:00 -18:30 日 9:00 -17:00 月曜定休
アクセス: Chalk Farm駅から徒歩7分

滋味ある素材の力をモダン・スタイルで
Ottolenghi

Ottolenghi Passion Fruit Meringue Tart £ 3.70
Passion Fruit Meringue Tart
£3.70

うずたかく積まれたメレンゲ菓子の甘い姿に惹かれるように、ケーキを求める客が後を絶たない。朝のペストリー&コーヒーから夕食後のデザートまで、奥の大テーブルでいつでも気軽にいただけるのも、人々に愛されるゆえんだ。エキゾチックなスパイスや材料を取り入れたデリの食事は、栄養のバランスが取れたサラダも多く、甘いものを食後にいただいても罪悪感なし。

厳選された素材の良さがルックスににじみ出るようなスイーツの中でも、きつね色の尖ったメレンゲ帽子がキュートな「Passion Fruit Meringue Tart」は、ケーキ・カウンターの最前列を飾る人気者だ。ベストセラーの同店レシピ・ブックにも掲載されず、作り方は非公開というのも、来店したくなる理由だろう。一口含むと、メレンゲの柔らかさとフルーツ・ソースの種の歯触りが楽しく、ほろりと崩れるデリケートなタルトも絶品。ミルクなしのストレート・ティーと一緒にいただくと、フレッシュな南国フレーバーがより引き立つはず。

63 Ledbury Road W11 2AD
Tel: +44(0)20 7727 1121
www.ottolenghi.co.uk
月〜金 8:00-20:00 土8:00-19:00 日8:30-18:00
アクセス: Notting Hill Gate駅から徒歩10分

ロンドンっ子も夢中、ポップなアメリカン・ケーキ
The Hummingbird Bakery

The Hummingbird Bakery Red Velvet Cupcake
Red Velvet Cupcake £2.35

すべてのケーキ・レシピがアメリカン、というこちら。米国らしい、アイシングがたっぷりの、甘く、ポップな仕上がりがラブリーの一言だ。ビッグ・サイズのブラック・コーヒーと合わせて、パンチのある味を楽しもう。キーライム・パイや、パンプキン・パイ、バナナ・クリーム・パイなどのアメリカン・パイはもちろん勢揃いで、ホール・ケーキも3段レイヤーのヘビー級だ。

人気のカップ・ケーキは定番の4種類のほかに、抹茶やアール・グレイ、フルーツ・ティーなど曜日ごとに変わるフレーバーもあり、カップ・ケーキ好きなら毎日1つずつ制覇したくなるかも。赤いスポンジが鮮烈な「Red Velvet Cupcake」と、チーズ・ケーキが真ん中に入ったダーク・チョコレート味の「Black Bottom」は、大人がおしゃれに楽しめるスイーツ。女友達と待ち合わせして、ベルベットのスツールに足を組んで座れば、スタイリッシュな米ドラマ・シリーズ、「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公、キャリーになった気分だ。

47 Old Brompton Road SW7 3JP
Tel: +44(0)20 7851 1795
www.hummingbirdbakery.com
月〜木・日 9:00 -19:00 金・土 9:00 -20:00
アクセス: South Kensington駅から徒歩3分

研ぎ澄まされた感覚はケーキにも
Rose Bakery

Rose Bakery Carrot Cake
Carrot Cake £4

食にうるさいパリっ子をうならせ、英国発のカフェとしてパリでも成功しているローズ・ベーカリー。ファッション・デザイナー、川久保玲が率いるセレクト・ショップ・ビルの最上階にあり、昼時になると最新モードに身を包んだ若者や服飾関係者が、ランチにやってくる。ケーキやキッシュ、サラダなどが楽しめるが、ベーカリーというだけあって、目の前の特大オーブンで次々と焼き上がるスコーンやパウンド・ケーキが、カウンターにずらりと並ぶ様子は壮観。どれも黄金色にしっかり焼き込まれ、シンプルな粉のおいしさと香ばしさが伝わってくるようだ。

看板ケーキの「Carrot Cake」は胡桃がざっくり入り、にんじん入りの生地ならではのしっとり感に、スパイシーなシナモンの香り。かなり甘さを控えめにしたクリーム・チーズのアイシングが、たっぷりとトッピングされている。ミニマムで抑えめなのにエッジー。洗練されたセンスは、ファッションのみならず味覚にも表れているようだ。

Dover Street Market, 17-18 Dover Street W1S 4LT
Tel: +44(0)20 7518 0680
www.doverstreetmarket.com
月〜土 11:00-17:00 日休
アクセス: Green Park駅から徒歩3分

歩き疲れたら、おいしくリフレッシュ
Brompton Quarter Cafe

Brompton Quarter Cafe Seasonal Fruit Clafouti
Seasonal Fruit Clafouti £4.75

デコラディブなシャンデリアが天井高く吊られ、マフィンやクロワッサンが並ぶ総ガラス張りの一角が、道ゆく人々の視線をキャッチする。光が降り注ぐ一階の白い空間は、デリ仕様のカフェ・スペース、地階はフォーマル・レストランになっている。ガラス・ケース越しの色とりどりの総菜と、デザート・カウンターに並ぶタルトやホール・ケーキを目の前にすると、ポッシュなフード・マーケットに来たかのよう。自然史博物館やV&A博物館の斜め前にあり、ハロッズなどのデパートからも近いので、買い物などで歩き疲れた脚を休ませに立ち寄りたい。

「Seasonal Fruit Clafouti」は、タルト生地に入ったカスタードのフィリングに、たっぷり散りばめられたブルーベリーがフルーティーな、ホッとする味わい。ほかに、マスカルポーネのチーズ・ケーキ、塩キャラメルのタルトなど常時7種類ほどのケーキが並ぶ。リクエストすれば果物や野菜を自由にミックスしてもらえるスムージーもあり、リフレッシュにぴったりだ。

225 Brompton Road SW3 2EJ
Tel: +44(0)20 7225 2107
www.bqbrasserie.com
月〜日 7:30-23:00
アクセス: Knightsbridge駅から徒歩5分

ちょっぴりデカダンに、優雅なお茶を
Sketch

Sketch Seasonal Fruit Clafouti
Tangy Pate au Choux £5

ポップ・アートとヴィンテージの室内装飾が混在するインテリア構成で、アート・ギャラリーも顔負けの店内。入ってすぐ右手が、お茶を楽しめるパーラーだ。アートな照明で夜の雰囲気を醸し出す奥の空間と、賑やかなファブリックが自然光に映える窓際エリアがあり、気分によって使い分けてみたい。席に着くと、骨董本に挟まれたメニューというプレゼンテーションにまずうっとり。

看板ケーキのページには、素朴なケーキからはかけ離れた、説明書きを読むだけで期待に胸が膨らむ斬新なケーキがずらり。1つだけなんて言わず、友人といくつか注文して気ままにテイスティングしてみたい。こんもりと盛られたホイップ・クリームが愛らしい「Tangy Pate au Choux」は、軽いシューとリッチなクリームの甘さの中に、レモン・クリームとマンゴーのゼリーのシャープな味わいが個性的。バラ模様のティー・セットと行き届いたサービスに、優雅なプリンセスのように永遠にお茶をしていたくなる。

9 Conduit Street W1S 2XG
Tel: +44(0)20 7659 4500
www.sketch.uk.com
月〜金 8:00-2:00 土10:00-2:00 日休
アクセス: Oxford Circus駅から徒歩3分

懐かしい甘さに、心ほどける安らぎの時間
Louis Patisserie

Louis Patisserie Tiramisu
Tiramisu £3

ウッド・パネルの壁とモカ色のソファ、額に飾られた絵までもが懐かしい気分にさせる店内。空気の流れも一気にスロー・ダウンし、窓越しのざわめきが嘘のようだ。こっくりした味のバター・クリームのケーキ、ペストリー、クッキーなどショー・ケースに並ぶスイーツは、オーナーのルイスさんが地下のキッチンで焼き上げている。

お茶を注文すると、1人分でもカップとポット、差し湯、ミルクに茶こしのセットがトレーで運ばれてくるので、素敵なティー・タイムが過ごせそう。ケーキは大きく、ゆっくり休憩してね、というメッセージが込められているようだ。「Tiramisu」はマスカルポーネ・チーズのクリームとモカ・クリームがバニラ・スポンジの層に重なったものだが、こちらのものは重くないので、昼下がりのひとときにいただくのにぴったり。ハムステッド・ヒースを散歩した後、ハイ・ストリートの坂を駅に向かいショッピングを楽しみつつ、こちらで休憩するのがお勧めだ。

32 Heath Street NW3 6TE
Tel: +44(0)20 7435 9908
月〜日 9:00-18:00
アクセス: Hampstead駅から徒歩2分

「さりげないおいしさ」が落ち着く
London Review Cake Shop

London Review Cake Shop Lemon, Rosemary &  Olive Oil Cake
Lemon, Rosemary &
Olive Oil Cake £2.80

文芸評論誌が経営する書店が2007年に併設したカフェは、本好きのみならず甘いもの好きにも評判に。大英博物館そばの落ち着いたエリアにふさわしく、ゆったりと活字に親しむ人も多い。注文して席に着くと、まず水をサービスしてくれるのもうれしい。ゆっくりとお茶をしながら、久しぶりに手紙などしたためたくなる。入り口は別だが、中で書店と繋がっているので、気になる本を持ち込んだり、カフェの棚にある話題本を手に取ったりと、ロンドンの最新文学事情をキャッチできる。

ケーキの種類は日によって変わるが、人気なのはバターの替わりにオリーブ・オイルを使い、レモンとローズマリーの風味を効かせたケーキ。夏のイタリアの木陰を思わせる爽やかさがうけ、定番になったスイーツだ。お茶は、湯を注ぐと閉じていた花が開く中国茶など、25種類を数える。キャロット・ケーキやアップル・パイなど、ほかにも誘惑がたくさん。のんびりしていたら、思わず2つめに手が伸びそうだ。

14 Bury Place WC1A 2JL
Tel: +44(0)20 7269 9030
www.lrbshop.co.uk/cakeshop
月〜土 10:00-18:30 日休
アクセス: Holborn駅から徒歩5分


ロンドンのスイーツ・カフェ地図

最終更新 Freitag, 09 August 2019 10:48
 

ドイツ美食マップ ソーセージ編

ドイツ美食マップ ソーセージ編

地域ごとにバラエティに富んだ食文化を持つドイツ。
フランス料理やイタリア料理のような華やかさはないかもしれないが、
地産地消を基本としたこだわりの味はその土地でしか出会えない宝物。
さて、どこでどんな味が待ち受けているのか、地図を頼りに進んでみよう。
今回のテーマは、国内だけでも1500種以上のバリエーションがあるという
「Wust(ソーセージ)」。
(編集部:高橋 萌)

ドイツ・ソーセージ地図
クリックでドイツ・ソーセージマップを拡大!

加熱ソーセージ Brühwurst

日本でソーセージというと、「アルトバイエルン」や「シャウエッセン」がその代表格だが、皮はパリッと、中はジューシーな美味しさが魅力のこの種のソーセージを「Brühwurst」と呼ぶ。腸詰にしたソーセージを茹でる(brühen)製法を取っているため、こう呼ばれる。

フランクフルター 
Frankfurter Würstchen

フランクフルター日本人にとって一番馴染み深いソーセージ。ウィンナー(Wiener)と言ったほうが、ピンとくるかもしれない。13世紀にフランクフルトで生み出さたこの伝統の味を、19世紀初期にフランクフルトで修行したウィーン人の職人が故郷に伝えたことから、すっかりウィーンに定着。そこから世界に向けて発信された。基本的には同じ製法だが、見分け方はフランクフルターの方が長いということ。少し塩を入れた熱いお湯でボイルして食べる。

ボックヴルスト 
Bockwurst

ボックヴルストボックヴルストという名前に、ビール好きは「ボックビール(Bockbier)」を連想するはず。そう、何を隠そうこのソーセージはボックビールと一緒に食すために作られたもの。キリスト教徒の断食期間中の大切な栄養源であるアルコール度数高めのボックビールに負けじと、粗挽きの肉が存在を主張する。フランクフルターよりも皮のパリッと感は控えめ、調理法は、こちらも食前にボイルして。地方によっては、Knobländer、Rote、Rote Wurstなどとも呼ばれる。

ヴァイスヴルスト 
Weißwurst

ヴァイスヴルストミュンヘン名物として有名な白いソーセージ。「ヴァイスヴルストに12時の鐘の音を聞かせるな」と言われるように、午前中に食すのが良いとされる鮮度命の一品。甘いマスタード、ブレーツン(バイエルン方言でプレッツェルのこと)、ヴァイスビア(小麦ビール)がヴァイスブルストの三種の神器。皮をつるっと剥いて食べる。ミュンヘンっ子の大好物だが、ほかの地方のドイツ人は苦手意識を持っている人も多いとか。同種のソーセージに、WollwurstやStockwurstがある。

ビアヴルスト
Bierwurst

ビアヴルストビールが一滴も入っていないのに、「ビア」ヴルストと呼ばれるソーセージ。名前の由来は、スパイシーでビールに良く合うから・・・・・・とのこと。細かく切った肉に、脂肪や芥子の種、ナツメグ、ガーリックなどを練りこんで、サラミのような断面に。お肉屋さんでは、ハムのように薄切りで売られていることが多い。ビアシンケン(Bierschinken)は、ハム(Schinken)と呼ばれるているが、ソーセージの一種、。こちらもビールのつまみに最適との理由から名付けられた。

レバーケーゼ
Leberkäse

レバーケーゼ腸詰ではないが(北部では腸詰めのものもある)、ソーセージの一種。レバーもチーズ(Käse)も入っていないのに、レバーケーゼというこの名前。元来のレシピによると、レバーを加えることになっていたのだが、だんだんと現在のレバーの入っていないものが多勢を占めるようになったそう。それゆえFleischkäseと呼ばれることも。チーズとの関連はその形状。四角い型にペースト状の肉を入れて焼いたレバーケーゼは、チーズの塊に似ているとも。厚切りにして、マスタードを添えて食べる。


ドライソーセージ Rohwurst

腸詰にした肉を冷燻して、乾燥させたもの。サラミを生んだイタリアから伝来した調理法で、加熱調理していないことから、生(Roh)と表現されるが、これは生ハムと同じ感覚。ドイツのドライソーセージとしては右記のほかに、Zervelatwurstや、Knacker(Knackwurst)などが有名。

ラントイェーガー
Landjäger

ラントイェーガー角ばった形に加圧し、平たく伸ばされたドライソーセージ。1日かけて冷燻し、よく乾燥させたラントイェーガーは、かなり歯ごたえがある。農作業や狩猟の合間の栄養源として、農民や狩人が持ち歩いていたものということで、ラント(耕地)イェーガー(狩)の名を持つ。2つのソーセージがつながった形で売られている。Peitschenstecken(鞭棒)、Bauraseufzer(農夫のため息)、Unteruhlbacher(シュトゥットガルト近郊の街に由来)とも呼ばれる。

メットヴルスト 
Mettwurst

メットヴルスト脂肪を含まない豚のひき肉(Mett)を使用したもの。メットヴルストと一口に言っても地方によって千差万別なのが、その硬さ。北部では硬く、サラミに近いものを指し、南部やオーストリアでは、StreichmettwurstやZwiebelmettwurstのような柔らかいものを指すことが多い。パンと一緒に食べるのが一般的。柔らかいメットヴルストをパンに塗って、タマネギを散らした様子は一見、ネギトロのよう。似たようなソーセージにテーヴルスト(Teewurst)もある。


調理ソーセージ Kochwurst

生肉を腸詰にするのではなく、内臓や肉、その他の材料を調理してから腸、または人工の皮に詰め、その後、加熱したり、燻製にしたりして作るソーセージ。レバーなどの内臓や血、脂身、ゼリーなどが材料となり、その種類は豊富。

レバーヴルスト 
Leberwurst

レバーヴルストレバーペーストと言えば、イメージしやすいかもしれない。フォアグラほどの繊細さはないが、パンによく合う食卓の人気者。香草や野菜、ベーコンなどを加えることにより、多数のバリエーションが生まれる。レバー特有の風味が気になる場合は、プレーンのレバーヴルストより香草がたっぷり入ったものを選びたい。

ブルートヴルスト
Blutwurst

ブルートヴルスト血のソーセージはドイツ最古のソーセージの1つ。血・・・・・・と苦手意識を持つ人も多いが、濃厚な旨みがある(思ったほど血生臭くもない)。地域によってRotwurst、Blunzn、Flönzと名前を変える。肉の代わりにタン(Zunge)を使うと、Zungenwurstに。冷たいブルートヴルストにタマネギの輪切りを添えて食したり、グリルで焼いて食べる。

ズルツェ 
Sülze

ズルツェ脂肪分や軟骨のゼラチン質を利用した煮こごり。スープを固めたものと思って、塩気の強い風味を期待すると予想以上の酸味と出会い、驚くかもしれない。しっかりとした味付けで、ビールのお供としては申し分なし。肉をメインにしたもののみならず、野菜や卵をゼラチンで固めたものなど、バリエーション多数。冷たいままでいただく。


焼きソーセージ Bratwust

ブラートヴルストは、フライパンや炭火で焼いて食べるソーセージの総称。フランケン地方やテューリンゲン地方には伝統的にブラートヴルストが強く根付いている。パンにはさんで食べるファストフードとしても人気。

テューリンガー 
Thüringer Rostbratwurst

テューリンガー焼きソーセージといえば、テューリンゲンのソーセージ! とその名をドイツ全国に知らしめている。炭火でグリルするのが正統派の食べ方。「テューリンガー」と名乗るためには、テューリンゲンで作られ、規定の原料を使用している必要があり、どこの地域でも易々と名乗れる名称ではない。本物をお求めの際は、テューリンゲン風(Thüringer Art)の表記に惑わされぬようご注意を。

ニュルンベルガー
Nürnberger Rostbratwurst

ニュルンベルガー言わずと知れたニュルンベルクの名物料理。ほかのブラートヴルストと比べて小ぶりなニュルンベルガーには、西洋ワサビ(Meerrettich)がよく合う。テューリンゲン同様、当地でも「ニュルンベルガー」の品質と伝統を守るため、ニュルンベルク市内で正しく製造されたソーセージのみがその名を名乗れる。考えてみれは当然のことだが、レシピを真似て名を騙るお店がでるほど人気の高いソーセージということだろう。

ソーセージを美味しくいただくヒント

お肉屋さん

美味しさの秘訣は?「秘密がないこと」と教えてくれたのは、DLG(ドイツ農業協会)の品評会などで数々の賞を受賞しているデュッセルドルフのお肉屋さんMetzgerei Schlösserの食肉製造マイスター、イェルク・シュレッサーさん。信頼を置く地元の農家と契約し、毎日新鮮な肉を届けてもらう。その後の加工の過程で使用するスパイスや副原料などはすべて無添加。100年の歴史を誇るお肉屋さんならではの、伝統のレシピで作るレバーヴルストやヴルートヴルストが自慢だ。ドイツの食肉文化を守る者として、「ドイツ人にとって、ソーセージは職人の技術と情熱が作り出す文化。美味しくないわけがない」と胸を張る。

Metzgerei Schlösser
Oststraße 154, 40210 Düsseldorf
TEL: 0211-362787

白ソーセージが自慢。ミュンヘンでの品評会で金賞受賞の店
Gaßner der Metzger -u. Gastromarkt

Zenettistraße 11, 80337 München
TEL: 089-7461410
www.metzgerei-gassner.de

フランクフルターが美味しいお店
Metzgerei Bode

Taunusstraße 16, 63225 Langen
TEL: 06103-21579
www.metzgerei-bode.de

IFFA2010、DLGで金賞多数
Fachfleischerei During

Rothenburger Straße 5, 01099 Dresden
TEL: 0351-8043602
www.fachfleischerei-during.de

業界で話題の名店、ブランデンブルクの穴場お肉屋さん
Privat-Fleischerei Gebr. Arnold

Saathainer Straße 9 04910 Elsterwerda
TEL: 03533-6228
www.privatfleischerei-arnold.de

血のソーセージなどケルン伝統の味がずらり
Metzgerei Stürmer

Severinstraße 103, 50678 Köln
TEL: 0221-706931
www.metzgerei-stuermer.com

手作りの味にこだわるハンブルクのお肉屋さん
Genuss-Factory

Borsteler Bogen 1, 22453 Hamburg
TEL: 040-5537309
www.genuss-factory.de


レストラン

ソーセージに合うビールは?と聞くと、困った子を見るような眼差しを向けられた。「ソーセージはビールを選ばないし、ビールもソーセージを選ばない。最高のお供だよ」と言うBrauerei Schumacherのは、自身も週に3~4日はソーセージを食べると言うアルトビール醸造所シューマッハーのウェイターの皆さん。「ドイツ人のソーセージ好きは、もう疑問の余地がない」と締めくくる。

Brauerei Schumacher
Oststraße 123, 40210 Düsseldorf
TEL: 0211-8289020
www.schumacher-alt.de

Bratwursthäusle炭火焼の香りに誘われて
ニュルンベルガーをがぶり
Bratwursthäusle

Rathausplatz 1, 90403 Nürnberg
TEL: 0911-227695
www.bratwursthaeusle.de

CURRY.カリーヴルストの専門店
CURRY.

・Moltkestraße 115, 40479 Düsseldorf
TEL: 0211-5143256
・Hammer Straße 2, 40219 Düsseldorf
TEL: 0211-3032857
・Fraunhoferstraße 11, 80469 München
www.curry-deutschland.de


マスタード

マスタードソーセージの味を引き出す調味料は西洋ワサビやケチャップなど色々あるけれど、日本では考えられないくらい多くの種類を擁するマスタードにこだわりたいなら、専門店へ行ってみよう。

デュッセルドルフ名物のマスタードがずらり
Düsseldorfer Löwensenf

Berger Straße 29, 40213 Düsseldorf 0211-8368049
www.loewensenf.de

家族経営で最高のマスタードを目指す
Senfmühle Thomas Weber

Kirchfeldstraße 2, 94486 Osterhofen/Galgweis
TEL: 08547-9152205
www.weber-senf.de

素朴な店構え、ランチで味見もできる
Bautzener Senfstube

Schloßstraße 3, 02625 Bautzen
TEL: 03591-598015
www.senf-stube.de


カルチャー

Deutsches Currywurst Museum Berlinベルリン発祥のカリーヴルストの
すべてがここに
Deutsches Currywurst Museum Berlin

10:00〜22:00
Schützenstraße 70, 10117 Berlin
TEL: 030-88718647
www.currywurstmuseum.de

コンテストなどイベント盛りだくさんの
食肉の見本市
SÜFFA Die Fachmesse für die Fleischbranche

10月2日(日)〜4日 9:00〜18:00
Messe Stuttgart
Messepiazza 1 70629 Stuttgart
www.messe-stuttgart.de/cms/sueffa11_aussteller_messe0.0.html

最終更新 Mittwoch, 05 Juni 2019 15:44
 

穴場の音楽祭ガイド2011

穴場の音楽祭ガイド2011

「コンサートには、よく行くよ。何せチケットが安いからね」── 日本の家族や友人に、そう自慢げに話すのが、ちょっと楽しかったりするドイツ生活。街角の告知ポスターなどを見ても、ここでは音楽が日常の一部であることを感じずにはいられない。皆さんは、そんな音楽の楽園を骨の髄まで味わい尽くせていますか? 「う〜ん、自信がない」というあなたのために、今年開催される音楽祭(のほんの一部)をご案内しましょう!
(編集部:林 康子)

有名どころだけじゃない
クラシック

人気の高いメジャーなクラシック音楽祭は、チケット販売直後に売り切れ続出となってしまうことが多い。でも、クラシックをこよなく愛する国ドイツだからこそ、規模は小さくても質の高い音楽祭が多数存在するのだ。

バーデン=ヴュルテンベルク

シュヴァルツヴァルト音楽祭
Schwarzwald Musikfestival

6月2日(木)~13日(月)、9月23日(金)~10月3日(月)
www.schwarzwald-musikfestival.de

トリスタン・コルヌこの音楽祭の支配人を務めるマーク・マスト氏は「インターバル」をコンセプトに掲げ、個性ある2つの音色が重なり合うとき、そこに全く新しい音が誕生するという「音の共鳴」に注目する。同コンセプトに基づき、音楽祭も2回に分けて開催される。目玉は、同音楽祭が独自に主催する「特別賞」で、今年その栄誉に輝いたフランスの新星チェリスト、トリスタン・コルヌ。

ラインラント=プファルツ

ハンバッハ音楽祭
HAMBACHER MusikFEST

6月22日(水)~26日(日)
www.hambacher-musikfest.de

プファルツ地方ハンバッハで1997年に産声を上げた音楽祭。生みの親は、質の高さとレパートリーの豊富さで群を抜く実力派と評されるマンデルリング四重奏団だ。ぶどう畑が広がる風光明媚な地に佇むハンバッハ城内で、国内外の著名演奏家によるコンサートを聴いた後は、地元のワイン、地ビールに舌鼓を打ちながら演奏家たちと音楽について語り合うことができる。

ニーダーザクセン

ヒッツアッカー音楽祭
Sommerliche Musiktage Hitzacker

7月30日(土)~8月7日(日)
www.musiktage-hitzacker.de

エルベ川流域の静かな街ヒッツアッカーで毎年開催されている、伝統ある音楽祭。66回目を迎える今年は「家族の絆」をテーマに、家族と音楽の関係に様々な視点から光を当てる。世界に名を馳せる音楽一家のスクライド家やコパチンスキー家のメンバーらが舞台に立つほか、「ヴィトゲンシュタイン・サロン」と称し、同家が刻んだ音楽的軌跡をたどる。

ヘッセン

ダルムシュタット城音楽祭
Darmstädter Residenzfestspiele

7月28日(木)~8月7日(日)
www.residenzfestspiele.de

ダルムシュタット城音楽祭 バロック時代の絢爛豪華な宮廷祝賀の息吹が今なお感じられるダルムシュタット城で、当時の賑わいさながらの音楽祭を開こうと、2001年に市民が立ち上がった。以降、毎年開催されている音楽祭は今年でちょうど10周年。宮殿での艶やかな音楽祭を締めくくるのは、ドイツ・オペラ界を代表するテノール歌手ルネ・コロによるワーグナーの「タンホイザー」。

バイエルン

オーベルストドルフ夏季音楽祭
Oberstdorfer Musiksommer

7月28日(木)~8月18日(木)
www.oberstdorfer-musiksommer.de

オーベルストドルフ夏季音楽祭ウィンタースポーツのメッカ、リゾート地として知られるアルゴイ地方の山々に、美しいクラシックの音色が響き渡る。この音楽祭のハイライトは、標高2000メートルのネーベルホルンで聴く山頂コンサート。アルプスの大自然の空気と一流音楽家が奏でる豊かな音色を全身で感じよう。今回は、オーボエやフルート、クラリネットなどの木管楽器に焦点を当てる。

ベルリン

ヤング・ユーロ・クラシック
Young Euro Classic

8月5日(金)~21日(日)
www.young-euro-classic.de

クラシックや現代音楽の未来を担う1500人以上の音楽家の卵たちが世界中からベルリンのコンツェルトハウスに結集し、その実力を披露するこちらは、「若い世代のバイロイト音楽祭」と呼ばれるほど人気の高い音楽祭。20以上のコンサートが17日間にわたって開催される。今年は、エネルギッシュな演奏で会場を熱気に包む南米の音楽家たちにご注目!

ブレーメン

ブレーメン音楽祭
Musikfest Bremen

8月27日(土)~9月17日(土)
www.musikfest-bremen.de

ブレーメン音楽祭 ブレーメン市内とその近郊29カ所で、宗教曲から交響曲、室内楽まで全40のコンサートが繰り広げられる。8月27日、オープニングの夜はイルミネーションで飾られたブレーメンの中央広場の舞台に、ソウル・フィルらビッグ・ゲストが登場。クラシックのほかにも、ジャズやワールド・ミュージック、パーカッションなど、贅沢なプログラムが組まれる。

バイエルン

ヴュルツブルク・バッハ音楽祭
Würzburger Bachtage

11月18日(金)~27日(日)
www.bachtage-wuerzburg.de

ヴュルツブルクといえばモーツァルト音楽祭が有名だが、当地では18世紀を代表する偉大な音楽家バッハの楽曲を次世代へと伝える事業に務める「バッハ協会」が、バッハ音楽祭も開催している。毎年バッハともう1人の音楽家を取り上げている同音楽祭。今年はバッハと同年に生まれ、彼と共にバロック音楽後期の一時代を築いたとヘンデルとの関係を紐解く。

フランツ・リスト生誕200周年
2011年クラシック音楽のハイライト

今年は、18世紀を代表する音楽家フランス・リスト(1811~86年)の生誕200周年。ハンガリーに生まれ、指揮者、作曲家、ピアニストとして類稀なる才能を発揮したのみならず、音楽教育、演奏会の主催にも尽力したリストが音楽界に遺した多大な功績を称え、彼が11年間生活したテューリンゲン州で、1年を通して様々な記念コンサートや展覧会が開かれる。

注目はこちら!
展覧会ヴァイマールの中の 1人のヨーロッパ人 
Ein Europäer in Weimar

リストが欧州各地を旅して行った音楽活動の軌跡をたどる。
コンサートや講演も多数開催。

6月24日(金)~10月31日(月)
Schiller-Museum
Neugasse 2, 99423 Weimar Schlossmuseum Weimar
Burgplatz 4, 99423 Weimar
www.liszt-2011.de
www.klassik-stiftung.de/liszt

しっとり大人の時間を味わう
ジャズ

この国で、クラシックと並んで人気の高い音楽ジャンルといえばジャズ。その音が、大人のムードを盛り上げてくれるからだろうか。本場米国をはじめ、国内外からプロの演奏家を招いて開かれるジャズの祭典も充実している。

ラインラント=プファルツ州

パラティア・ジャズ
palatia jazz

開催中~8月13日(土)
www.palatiajazz.de

トリロク・グルトゥ修道院の廃墟やルートヴィヒ1世の夏の別荘、バイエルン王朝時代に建てられた要塞など、プファルツ地方の歴史的建造群を巡りながら、約3カ月間にわたり繰り広げられる祭典。欧州各地のスター奏者たちが、即興を交えながらジャズの多様性を紹介する。現代パーカッショニストの最高峰トリロク・グルトゥによる、息を呑むほどに美しい演奏も逃せない!

ノルトライン=ヴェストファーレン

メールス・フェスティバル
moers festival

6月10日(金)~12日(日)
www.moers-festival.de

ルール地方の西の端、メールスの夏を飾るのは、40年の伝統を持つジャズ祭り。景気後退の影響でここ数年は開催を危ぶまれたが、規模を縮小してでも続けたいという市民の熱い願いにより今年も開催。今回は米国で活躍する若き黒人ミュージシャンを中心に、欧州やアフリカなど、各地のジャズ・シーンを紹介する。日本を代表する箏奏者、八木美知依も登場。

ノルトライン=ヴェストファーレン

デュッセルドルフ・ジャズラリー
Düsseldorfer Jazzrally

6月10日(金)~12日(日)
www.duesseldorfer-jazzrally.de

クルーゾ参加アーティスト数約500人、観客動員数約30万人で国内最大規模を誇る毎年恒例のジャズ・イベントが、今年も街中をしっとりとジャズの音色に包み込む。ジャズ以外にも、ファンクやソウル、ブルース、ロックといった幅広いジャンルの音楽が披露されるこの祭りの今回のイチオシは、ハスキーボイスと甘い歌詞で聴衆を酔わせる人気シンガー、クルーゾ。

シュレースヴィヒ=ホルシュタイン

ジャズ・バルティカ
Jazz Baltica

6月29日(水)~7月3日(日)
www.jazzbaltica.de

パット・メセニー「ピアノ・ピアノ ── エスビョルンを偲ぶ」をモットーに、キール、フズム、ザルツァウの3都市で開かれるジャズ祭り。ザルツァウで旗揚げし、世界的名声を博したスウェーデンの偉才ジャズピアニスト、エスビョルン・スヴェンセン。3年前に事故で急死した彼へのオマージュとして、2003年に彼と共演した米国人ギターリスト、パット・メセニーが再び舞台に立つ。

バーデン=ヴュルテンベルク

ジャズオープン・シュトゥットガルト
Jazzopen Stuttgart

7月1日(金)~10日(日)
www.jazzopen.com

ジャズオープン・シュトゥットガルト“open”というタイトルが示す通り、1994年の初開催以来、同フェスティバルはあらゆる観客が音楽に親しめることをモットーに続けれられてきた。そのためプログラムも、ジャズに主軸を置きながらも、国境や音楽のジャンルの垣根を超えた多種多様な内容となっている。最終日には、ビッグ・アーティストらによる子どもたちのためのジャズ教室も開催。

ザクセン

ドレスデン・ジャズデイズ
Jazztage Dresden

11月4日(金)~15日(火)
www.jazztage-dresden.de

2001年にドレスデン・ウンカースドルフ地区の教会で、ジャズ・トリオ、オクラッツ・ブラザーズがイニシアチブを執って開いた小さなジャズ祭りは、今や国内外のトップ・アーティストが集う国際的なイベントへと急成長を遂げた。今年のプログラムは現在調整中だが、すでに英国ディキシーランド・ジャズの代表格、クリス・バーバーの参加が決定している。

新鮮な空気に包まれて
ジャズ

開放感と一体感を同時に感じられるオープンエアのコンサートやオペラ、演劇。真夏へと向かうこれからの季節、ジャンルの垣根を越えた盛りだくさんのプログラムを提供するイベントで、新たな音楽の楽しみを見付けよう。

ヘッセン

ヴェッツラー・フェスティバル
Wetzlarer Festspiele

5月31日(火)~6月29日(水)
www.wetzlarer-festspiele.de

バロック様式の街並みが美しいヘッセン州ヴェッツラーで行われる演劇祭の、今年のテーマは「人物像」。役者の衣装や化粧、仮面は時代や社会背景のみならず、人間の内面を表現するという効果に着目し、演劇における“人間の顔”に迫る。賢人ナータンやピーターパン、モーツァルトら、音楽と共に語られる人物たちの「真実の顔」に出会える舞台がここにある。

バーデン=ヴュルテンベルク

テント・ミュージック・フェスティバル
Zelt Musik Festival

6月29日(水)~7月17日(日)
www.zmf.de

テント・ミュージック・フェスティバル クラシックやジャズ、ロック、ポップなどの音楽はもちろん、スポーツやダンス、コメディー・ショーまで、あらゆるエンターテイメントがフライブルクに大集結。舞台は巨大なテントの中に設置されているから雨が降っても安心、日焼けの心配もない。メジャー・デビューへの登竜門とされるこの野外フェスで、今年はどんなニューカマーが発掘されるのか!?

ノルトライン=ヴェストファーレン

ドリームタイム・フェスティバル
Traumzeit Festival

7月1日(金)~3日(日)
www.traumzeit-festival.de

モグワイデュイスブルクの工業団地跡に造られた公園。その昔は高価な銑鉄が集められていた場所に、今は明日を夢見る音楽の“原石”たちがやって来る。今回はスコットランドのポストロックバンド、モグワイが出演するほか、テーマ国をミャンマーとし、バラエティー豊かな同国の音楽を紹介する。期間中、ぶっ通しで音楽に浸りたい人は、会場近くのキャンプ場を利用し、泊り込みで楽しもう。

バーデン=ヴュルテンベルク

ボイス:合唱&ソング・フェスティバル
Stimmen: Internationales Festival für
Gesang und Chormusik

7月7日(木)~31日(日)
www.stimmen.com

人間が出す「声」に耳を傾け、その力強さ、美しさを感じ取ろうという主旨のフェスティバルが、ドイツ最南端の街レーラッハで開かれる。深みのある声と歌詞で聞き手の魂を揺さぶる米国テキサス州出身のソウル・シンガー、エリカ・バドゥによるオープニング・コンサートを皮切りに、歌や朗読、演劇など様々な分野でアーティストたちが自慢の美声を聴かせる。

バイエルン

フェスティバル in レジデンツ・ミュンヘン
Festtage in der Residenz

8 月26日(金)~28日(日)
www.residenzfesttage.de

フェスティバル in レジデンツ・ミュンヘン貴族が栄華を誇ったルネサンス期に、地位、名誉、そして絶世の美女アナ妃を勝ち取ったバイエルン公アルブレヒト5世の祝賀の模様が、ミュンヘンのレジデンツを舞台に綴られる。道化あり、ムーア人のアクロバティックダンスあり、ルネサンス音楽や宮廷舞踊ありと、ドイツ語が分からなくても十分に華やかな宮廷の雰囲気を楽しめる内容となっている。会場では、小物や雑貨を販売するルネサンス・マルクトも開催。

最終更新 Montag, 12 August 2019 11:36
 

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