「独政府はアフガニスタン人の庇護に責任」ベルリン行政裁判所が判決
6月20日、ベルリンで今回の裁判所への訴えを支持する活動家たちが「約束」と書かれたプラカードを壊すメルツ氏に扮し、抗議活動を行った
2021年にアフガニスタンでタリバンが復権したのを受け、ドイツ連邦政府は2000人以上のアフガニスタン人の庇護を約束していたが、移民政策の転換で受け入れが停止。これに対しベルリン行政裁判所は、連邦政府は約束した対象者の庇護を遂行する義務があるとの判決を下した。9日付の南ドイツ新聞が報じた。
2021年8月にタリバンが復権したのを受けて、当時アフガニスタンで欧米諸国の軍事および政府関係、NPOなどに従事していたアフガニスタン人に対して早急に庇護が必要となり、連邦政府は約2400人の受け入れを約束した。多くは2021年にアフガニスタンを後にしたが、一方で現地に留まった人たちもいた。
連邦政府はアフガニスタンに留まる庇護対象者に対し、パキスタン経由でドイツへ移動するように勧告を出していた。今年4月中旬にパキスタンからドイツへの最後の特別チャーター便が運行、その後ドイツ連邦政府は受け入れプログラムの停止を表明していた。
今回ベルリン行政裁判所に訴えていたのは、現在パキスタンのイスラマバードに滞在しているアフガニスタン人の学者で作家である女性とその家族。彼らは2023年にドイツ政府から庇護を約束されていた。行政裁判所は即時裁判で「連邦政府は庇護対象者をこれ以上待機状態においてはいけない」として、「同プログラムの一環で受け入れを約束されたアフガニスタン人の庇護対象者に対しては、ドイツに入国するためのビザが発給されなければならない」との判断を示した。
これに対し、アレクサンダー・ドブリント内相(キリスト教社会同盟・CSU)は、受け入れプログラムの停止が可能であるかどうかを法的に検証したいとしている。連立パートナーの社会民主党(SPD)からは、「(タリバン後の)アフガニスタン人の受け入れプログラムは法的効力のあるもの」「現地で協力者だった人たちが危険にさらされている状態に対して、われわれは責任を果たすべきだ」との声が上がっている。
15 Juli 2025「 AfD党員を公務員に採用しない」違憲性指摘され、RLP州が取り下げ
ラインラント=プファルツ(RLP)州は、先に発表した「ドイツのための選択肢(AfD)党員を公務員として採用しない」との方針を取り下げることを明らかにした。15日付の公共放送SWRが報じた。
RLP州のミヒャエル・エプリング内相(社会民主党・SPD)は10日、AfD党員を、今後は同州で公務員として採用しないとする方針を発表。内相は「公務員は、民主主義と自由を保障する基本法の理念に忠実でなくてはいけない」として、過激派組織に属す人物を公務員に不適正とする方針を打ち出していた。
これに対し法律専門家らから「単にAfD党員というだけで、一律に公務員採用から排除することは、基本法に抵触する可能性がある」「公務員としてふさわしいかどうかは、各個人を審査して決定するべき」と批判の声が上がり、内相は前言を撤回。AfD党員であっても基本法を守る姿勢が認められれば公務員として採用すると変更した。
7 Juli 2025ポーランドがドイツ国境の検問を開始経済への影響に懸念
7日、ポーランドはドイツ国境52箇所での検問を開始した。同日付のターゲスシャウが報じた。
ドイツでは2023年10月以降、不法移民を取り締まるとの目的でポーランド国境での検問を開始。現政権になってからこれをさらに強化する方針を打ち出している。今回のポーランド側の決定は、表向きは「不法な移民ブローカーを取り締まるため」とうたっているが、ドイツの国境政策に対抗し、ポーランド国内で高まっている「ドイツ側から不法移民が送り返されている」との風評に対応したものとみられている。
11 Juli 2025コロナ禍を検証する特別委員会設置2027年までに最終リポート
連邦議会は、コロナ禍を総括する特別委員会の設置を決定した。11日付の南ドイツ新聞などが報じた。
同委員会(Enquete-Kommision)は、将来的に同様のパンデミックが発生した際の教訓を引き出すことを目的とし、14人の連邦議員と14人の専門家で構成される。2027年末までに最終報告書をまとめる予定。
パンデミック対策や早期警報システム、連邦と州の間での政策決定のプロセスなどを検証することで、危機レジリエンス(回復し立ち直る力)を導き出すことを目指すとしている。