市民手当の合計支給額は470億ユーロ避難民に適用しない案も
費や住居費手当が加わる
2024年の市民手当(Bürgergeld)支給額合計が470億ユーロと前年比10%増を記録したことから、この制度のあり方をめぐる論議が高まっている。3日付の南ドイツ新聞などが報じた。
市民手当は通常の失業手当の受給期間終了後になお失業状態にある場合や、わずかな収入しかない場合などに適用される公的扶助。2024年の統計では全体の約半数である247億ユーロがドイツ国籍者に支給され、残りの222億ユーロが外国籍者に、さらに63億ユーロがウクライナからの避難民に支給された。
これに対しバイエルン州首相のマルクス・ゼーダー氏(キリスト教社会同盟・CSU)は公共放送ZDFのインタビューで「ウクライナからの避難民には市民手当を適用せず、これに代わって市民手当より低額の難民手当を支給するべきだ」と発言。連立協定では市民手当からの除外に「新規入国者のみを対象とする」としているが、ゼーダー氏はその枠を超えた制度改正を求めている。その理由として米国の関税が引き上げられることを上げ、「経済状況の変化に応じての制度のアップデートが必要だ」としている。
ゼーダー氏の発言に対し、財相を兼任するラルス・クリングバイル副首相(社会民主党・SPD)は「連立内で検討すべき内容ではない」と一蹴。首相府長官のトルステン・フライ氏(キリスト教民主同盟・CDU)は「議論を進めていく上での一案として受け入れている」とコメントした。一方で、CDU/CSU内からも批判の声が上がっており、「ウクライナ避難民への手当を減らすことは、ドイツでの彼らの就業の機会をさらに狭めることになる」との意見も出ている。
連邦政府は秋以降に市民手当制度の改正を計画しており、受給者の減少を目指すとしている。内容としては、再就職斡旋の迅速化や、資格取得や健康のための支援強化、受給規則に違反した場合のペナルティ強化などを上げている。
7 August 2025SPDの連邦憲法裁判事候補が辞退CDU/CSUの協力得られず
連邦憲法裁判所裁判官に推薦されていた法律家のフラウケ・ブロジウス=ゲルスドルフ氏が、同判事候補を辞退することを明らかにした。7日付のターゲスシャウなどが報じた。
ブロジウス=ゲルスドルフ氏は辞退の理由を書面で表明。第1の理由としてキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)の協力が得られなかったことを挙げており、連立政権の対立が深刻化することを望まないとしている。ポツダム大学教授を務める同氏は、社会民主党(SPD)から推薦されていたが、7月に連邦議会で予定されていた選任投票が直前に中止となった。理由はCDU/CSU内に同氏の擁立に反対する声が起こり、誹謗中傷キャンペーンがあったことから、選任に必要な3分の2の賛成票が獲得できないと見られたため。
同氏は、「誹謗中傷に屈しない姿勢を貫くことは重要だが、現実的に選任される可能性がないのだとしたら意味がない」として、辞退を表明した。
5 August 2025AfD政治家元スタッフの裁判が開始中国諜報機関へのスパイ容疑
ドイツのための選択肢(AfD)の連邦議会議員のマキシミリアン・クラー氏の元スタッフの男に対して、中国のスパイ容疑での裁判がドレスデン上級行政裁判所で始まった。5日付のターゲスシャウなどが報じた。
中国出身でドイツ国籍のこの男は、長年にわたりドイツと欧州連合(EU)に関する膨大な量の情報を中国諜報機関に提供していた。欧州議会議員を務めていたクラー氏のスタッフとして欧州議会で得た情報のほか、AfD内部や欧州の中国反体制派の情報も流していたとされる。男は昨年4月にスパイ容疑で拘束されていた。
6 August 2025工期延長で莫大な費用が発生シュトゥットガルト21、DBの単独負担に
工事が長期化しているシュトゥットガルト中央駅の改築プロジェクト「シュトゥットガルト21」に対し、バーデン=ヴュルテンベルク(BW)州行政裁判所は、工事の追加費用をドイツ鉄道(DB)が単独で負担することを命じた。6日付の南ドイツ新聞などが報じた。
同工事の総工費45億ユーロは、DBとBW州、シュトゥットガルト市が折半することで合意していた。しかし、工期が大幅に長期化したことで莫大な追加工費が発生。行政裁判所は、追加工費として発生した65億ユーロ以上はDBが単独で負担すべきとの判断を下した。