ハーベック前経済相が議員を辞職外国での学術機関で研究職に
8月27日、公共放送ZDFのトークショー「Markus Lanz」に出演したハーベック氏
前政権で副首相および経済相を務めたロベルト・ハーベック氏(緑の党)が1日付で連邦議会議員を辞職した。政界を離れ、デンマークおよび米国の学術機関での研究職に就き視野を広げたいとしている。8月25日付のtaz紙のインタビューで本人が明らかにした。
ハーベック氏は現在55歳。シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州出身で、2004年に同州の緑の党代表を務めたのを皮切りに、同州議会議員、同州副首相およびエネルギー相などを務め、その後連邦議会に進出した。2018年にはアンナレーナ・ベアボック氏と共に緑の党の共同代表に選出されたが、連邦議会選挙では同党首相候補をベアボック氏に譲り、2021年の社会民主党(SPD)、自由民主党(FDP)との信号機連合政権発足で副首相および経済相に就任。その後信号機連合の崩壊により今年2月に実施された連邦議会選挙では、緑の党首相候補となったが、同党は得票率を11.6%と大きく減らし、政権入りを果たせなかった。
ハーベック氏はtaz紙のインタビューで、「幽霊のように事務所の廊下を歩いて、私はかつて副首相だったんだ、覚えているか?」などという存在になりたくないとして、政界から離れる意思を語った。同氏はすでに前政権の時点で辞職の意思を固めていたが、緑の党の若手党員が慰留を呼びかけた嘆願書に45万筆の賛同が集まり、思いとどまったとしている。しかし共同代表を共に務めたベアボック氏も政権交代後、独政界を離れてニューヨークの国連本部で国連総会議長に就任。4月にはハーベック氏辞任の噂は広まっていた。
緑の党内では、移民法動議の際にキリスト教民主同盟(CDU)がドイツのための選択肢(AfD)の賛成票を取り込んだことへの批判が手ぬるいとのハーベック氏への不満も上がっていた。今回の議員辞職を受けてSNSのXでは惜しむ声が上がり「Robert Habeck」がトレンド入り。フォルザ研究所のアンケート調査でも35%が、同氏の政界復帰を願うと回答している。
25 August 2025難民受け入れ決断から10年問われる「われわれにはできる」の意味
2015年、シリアをはじめとする国々から大勢の難民が地中海経由でドイツを目指す流れが加速した。その後、アンゲラ・メルケル元首相が「われわれにはできる」(Wir schaffen das)のスローガンとともに大規模な難民受け入れを決断してから、8月31日で10年目を迎えた。8月25日付のターゲスシャウが報じた。
公共放送ARD制作のドキュメンタリー、難民を受け入れてきたシュヴェービッシュ・ゲミュントの市長が「予測できない状態で次々と難民を受け入れ、さらにウクライナからの避難民もドイツにやってきた。制御不能なカオスな状態になっている」と現状の苦悩を語った。ドイツ社会への適応を模索するシリア人も「10年経って、この国で自分が歓迎されているとは思えない」と不安を語っている。ARDのインタビューに応じたメルケル元首相は、「われわれはまだ道半ばだが、多くのことをやり遂げてきた。さらに続けてやり続けなければいけない」とコメントした。
27 August 2025メルツ首相が仏大統領らとモルドバ訪問親欧州と親ロシアの間で揺れる小国
メルツ首相はフランスのマクロン大統領とポーランドのトゥスク首相とともにモルドバ共和国を訪問した。8月27日付のターゲスシャウが報じた。
ウクライナとルーマニアの間に位置する人口約250万人の小国モルドバは、旧ソ連の崩壊に伴い1991年に独立。しかしロシア軍が90年代から同国東部の離反地域に駐留を続けている。2024年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まった際には、モルドバがウクライナから最も多くの避難民を受け入れ、同年6月からは欧州連合(EU)への加盟交渉を開始している。
29 August 2025ハンブルク港で火災アウトバーンA1が一時閉鎖に
ハンブルク港の工業地帯で8月25日午後に火災が発生。巨大な黒煙が上がり、消火活動に合計70時間を要した。8月29日付の公共放送NDRが報じた。
火災はハンブルク港の工業地帯フェッテルで発生。300人以上の隊員が70時間にわたって消火活動にあたり、消火ロボットの「スーパーヴォルフHR1」も出動。ハンブルクでは近年で最も大規模な消火活動となった。28日には「消火活動の完了」が公式に発表された。火災により、消防隊員を含む6人が負傷した。火災の原因は倉庫で起こった自動車の炎上だとみられている。