
英国における大衆音楽の分野で、レコード・ジャケットが表現方法の一つとして重要視されるようになったのは、やはりビートルズ以降と言えるだろう。それまでは、バンドのメンバーがただ笑っているだけの写真を使ったものがほとんどだったが、ビートルズはまずセカンド・アルバム「With the Beatles」で、笑っていない4人を写した渋いモノクロームの肖像で新しい世界観を示した。以降、新作ごとに画期的な試みを取り入れ、とりわけ「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」は、ジャケットに初めて歌詞を載せたアルバムとして有名。ビートルズが打ち出した新しい表現は後世に多大な影響を与え、今でも何度となく模倣されている。
また、米西海岸に端を発するLSDカルチャーはサイケデリック音楽を生み、それに伴ってジャケット・アートも発展。英国では先に述べたビートルズ の「Sgt. Pepper's~」に影響が見られるほか、クリームはアルバム「Disraeli Gears」で、ボブ・ディランの作品などでも知られるマーティン・シャープを起用し、その音楽性をダイレクトに反映した圧倒的なカバーを完成させた。サイケデリック・ロックはその後、キング・クリムゾンなどに代表されるプログレッシブ・ロックへと発展し、ブリティッシュ・ロックの新しい分野を確立することとなる。
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (1967)
The Beatles
ポールによる下絵をもとに、ポップ・アーティストのピーター・ブレイク卿がデザイン。4人の背後には彼らがヒーローと崇める歴代の著名人たちが勢揃いしている。当初、ジョンはヒトラーも候補に挙げていたが、撮影当日に却下されることとなった。(写真提供:Toot'n Reg)Disraeli Gears (1969)
Cream
60年代にサイケデリック・アートの一時代を築いたオー ストラリア人アーティスト、マーティン・シャープの傑作。ビクトリア時代の版画も取り入れた絢爛(けんらん)なデザインだ。シャープは収録曲「Tales of Brave Ulysses」で歌詞も提供している。(写真提供:Toot'n Reg)In The Court Of The Crimson King (1969)
King Crimson
クリムゾン作品の歌詞を担当していたピート・シンフィー ルドの友人で、コンピューター・プログラマーのバリー・ゴドバーが自画像として描いた作品。ゴドバーは本作リリース直後の1970年に、心臓発作により24歳の若さで急逝している。(写真提供:Russell Taylor)Abbey Road (1969)
The Beatles
1969年8月8月、レコーディ ングを行った「EMI」のアビー・ ロード・スタジオ前で撮影され た、あまりにも有名な1枚。こ ちらもポールによるスケッチが 原案。フォトグラファーのイア ン・マクミランが撮影にかけた 時間はたった10分だという。(写真提供:Satori K)Ogdens’ Nut Gone Flake (1968)
Small Faces
ベーシストのロニー・レーンが、当時マリファナ入れとしてよく使われていたタバコ缶に着想を得て、ビクトリアン・デザインのパッケージで有名なタバコ会社「オグデンズ」に協力を仰ぎ制作。12インチのオリジナル盤は見開き5面の円形ジャケット。(写真提供:Toot'n Reg)The Who Sell Out (1967)
The Who
The Whoの3作目となる、ラジオ局とCMをテーマにしたコンセプト・アルバム。ジャケットも商品広告を意識しており、前後面をそれぞれパネル状に2分割し、各メンバーが巨大化された食品や日用品を手にしているというポップなデザイン。(写真提供:Nick Collins)
70年代は音楽が産業として大きく発展した時代。さまざまなムーブメントが生まれ、スタイルが分化されていく。そしてロキシー・ミュージックやデヴィッド・ボウイに代表されるように、バンドやミュージシャンは自身のパブリック・イメージにこだわりを持ち、自らアート・ディレクションを手掛けるなど、アートワークや演出により重点を置くようになる。
それまでジャケット制作は、レコード会社の専属スタッフによりインハウスで行うことがほとんどだったが、この頃から独立系デザイナーを起用するバンドも出てくる。その代表格が、ストーム・ソーガソンが所属するデザイン集団、「ヒプノシス」に制作を依頼したピンク・フロイドだ(彼らはビートルズの次に「EMI」社から外部デザイナーの起用を許可されたバンドだった)。一方、ローリング・ストーンズは独自のレーベルを立ち上げ、その1作目として「Sticky Fingers」を発表。アンディ・ウォーホルがデザインしたジャケットが話題を呼び、以降もセンセーショナルな作品を次々と生み出していく。
また、70年代後半のパンク・ムーブメントは、そのDIY精神とともに多大なインパクトをもたらした。「パンクは過去100年の間に起こった数々の運動、たとえばロシアのアジプロ、ダダイズム、シュールレアリズム、シチュエーショニズムなどに根ざしたムーブメントの一つと捉えている」と語るアーティストのジェイミー・リードは、アンバランスな帯に新聞の見出しから切り取ったランダムな文字列を配したり、ユニオン・ジャック柄や安全ピンなどを用いたりして、時代のイコンとなったセックス・ピストルズのイメージを完璧なまでにグラフィックで表現した。
Wish You Were Here (1975)
Pink Floyd
デザイン・グループ「ヒプノシス」のストーム・ソーガソンがタイトルとアートワークを担当。シド・バレット脱退後ともあって「不在」をテーマにしており、炎に包まれ燃えている男が握手しているイメージは、初対面の際に本心を明かすことを嫌う人間心理を象徴しているとされる。(写真提供:Nick Collins)Sticky Fingers (1971)
The Rolling Stones
本物のジッパーが付いた斬新なカバーは、アンディ・ウォーホルの発案。ジッパーを下ろすと、後にバンドのロゴとなるベロ出しリップ柄を施したブリーフのカードボードが現れる。同作は猥褻との理由で物議を醸し、スペイン盤は別デザインに変更された。※ 写真は一部破損(写真提供:Nick Collins)Animals (1977)
Pink Floyd
ストーム・ソーガソンのデザイン。巨大なブタの風船をロンドンのバタシー発電所上空に飛ばし、3日間かけて撮影。途中、風船が空高く飛んで行ってしまい、一時は警察も出動する騒ぎとなったが、最終的にケント州の農場にほぼ無傷で着地したのだとか。(写真提供:Nick Collins)Barrett (1970)
Syd Barrett
ピンク・フロイド創始者の一人、シド・バレットのソロ2作目にして最後のスタジオ・アルバム。もともと画家志望でアート・スクール出身のバレットが自ら描いた昆虫の絵に、絶妙なタイポグラフィによるタイトルが添えられた、儚さが漂う美しい1枚。(写真提供:Nick Collins)Some Girls (1978)
The Rolling Stones
ハリウッド女優たちとバンドのメンバーが交互に配された内ジャケットの写真が、外ジャケットの切り抜かれた顔部分からのぞくという凝った仕様。レーベル側が女優たちに正式に許可を取らなかったことから、後に裁判沙汰に発展した。(写真提供:Satori K)Roxy Music(1972)
Roxy Music
バンド・メンバーの50'sスタイルへの愛好を反映したデザインは、その後ロキシー・ミュージックのアートワークを数多く手掛けたニック・ドヴィルが担当。カバー・ガールは、後にミック・ジャガーの弟、クリス・ジャガーと結婚した、カリ=アン・ミュラー。(写真提供:Toot'n Reg)Physical Graffiti (1975)
Led Zeppelin
通算6作目となる2枚組アルバムで、ニューヨークの4階建てフラットの写真を使用。内ジャケットに描かれた人物写真や絵が、外ジャケットのくり貫かれた窓部分から見える仕掛け。1976年のグラミー賞でベスト・アルバム・カバー賞に選出されている。(写真提供:Toot'n Reg)Brain Salad Surgery (1973)
Emerson, Lake & Palmer
スイス人画家でデザイナーのH・R・ギーガーによる原画を採用。表面は2枚仕立てで、観音開きのトップ面を開くと女性像が現れる。後に映画「エイリアン」のデザインを手がけて世界的に人気を博したギーガーの、初の公式作品としても有名。(写真提供:Nick Collins)Do It Yourself (1979)
Ian Dury & The Blockheads
アート・スクール出身のイアン・デューリーも絶賛のグラフィック・アーティスト、バーニー・バブルズがデザインしたバンド2作目のアルバム。背景に使われているのは壁紙のサンプルで、12以上のパターンが制作された。バブルズは1983年に自殺。(写真提供:Nick Collins)Never Mind The Bollocks, Here’s The Sex Pistols (1977)
The Sex Pistols
セックス・ピストルズのアートワークといえば、ジェイミー・リード。どぎつい色にランダムなレタリングを配した、シンプルながら強烈なデザイン。これ以上ないほどの粗さとインパクトの強さが、バンドのイメージに完全マッチ。(写真提供:Kaz)Go 2 (1978)
XTC
「ヒプノシス」による高いデザイン・コンセプトをもつ1枚。「This is a RECORD COVER」から始まって、機械的で皮肉めいた解説が続き、読んでいるとまるでロボットが喋るのを聞いているような感覚に陥る。音もジャケットに違わず斬新で前衛的。(写真提供:Nick Collins)
ポップ・スターが記録的ヒットを量産する一方で、続々と生まれた独立系レーベルが精力的な活動を展開した80年代。なかでもインディ・ムーブメントの担い手、ザ・スミスを送り出したレーベル「ラフ・トレード」の存在は大きい。そして同じころ、マンチェスターでは「ファクトリー・レコード」社が新たなムーブメントを生み出そうとしていた。同レーベルの専属デザイナーとして活動を始めたピーター・サヴィルは、ニュー・オーダーなどを手掛けて注目を集める。また、「4AD」社はヴォーガン・オリバーをデザイナーに迎え、独自の世界を築いた。個性がより生かされ、表現の幅もますます広がっていくなか、CDという新たなフォーマットの登場により、ジャケット・デザインは大きな転換期を迎える。
Low-Life (1985)
New Order
グラフィック・デザイナーのピーター・サヴィルは、もう一人のメンバーと言っても過言ではないほど、デザイン面でバンドと密接に関わってきた。フロント・カバーの人物は意外な抜擢、ドラムのステファン・モリス。トレーシング・ペーパーの効果が生きたクリアでミニマルなデザイン。(写真提供:M.E)Welcome To The Pleasure Dome (1984)
Frankie Goes To Hollywood
性的な歌詞が問題になり放送禁止となった大ヒット作「Relax」 や、米ソ冷戦を批判した「Two Tribes」等で一世を風靡したFGTHのデビュー作。このカバー絵は、当時アート・スクールを出たばかりだったロ・コール作。(写真提供:M.E)Doolittle (1989)
Pixies
ニルヴァーナやレディオヘッドなどにも多大な影響を与えた米国出身の彼らは、デモテープを英レー ベル「4AD」に気に入られて英国からデビュー。アートワークはヴォーガン・オリバーが一貫して 担当しており、サウンドに合ったシュールで退廃的なイメージ。(写真提供:Nick Collins)The Sky’s Gone Out (1982)
Bauhaus
20年代のドイツの芸術活動「バウハウス」に名を借りた彼らは、ゴシックの元祖。ライブでは常に黒い衣装を身にまとい、ストロボ・ライトの閃光による演出のもと、ダークで激しい音を鳴らしていた。これはそんな彼らの表現活動をビジュアル化したような1枚。(写真提供:Nick Collins)Meat Is Murder (1985)
The Smiths
菜食主義を声高に訴えた名作。スミスのカバーのほとんどはモリッシーが選んだ古い映画や写真のイメージだが、本作では1968年のドキュメンタリー映画「亥年」のカットを採用。ヘルメットに書かれていたオリジナルのスローガンは「Make War Not Love」。(写真提供:Kaz)Bummed (1988)
Happy Mondays
伝説のクラブ、「ハシエンダ」で見出されてファクトリー・レコードと契約。後に全盛となるマッドチェスター・ムーブメントの先駆けとなった1枚で、同ムーブメント関連のアートワークの担い手だった「セントラル・ステーション・デザイン」がカバーを担当。(写真提供:M.E)
マッドチェスター、ギター・ポップ、エレクトロニカなど、新ジャンルが次々生まれると同時に、CDが完全に主流となった90年代。大判のレコード・ジャケットに心を躍らせる人の数は圧倒的に少なくなった。反面、デザインのデジタル化も進み、今までとは全く異なるアプローチの表現が可能となったうえ、ブックレットという形の12センチ四方のアートが新たに生まれたことも事実だ。コンピューターの普及なども手伝って、バンドのメンバーが自らアートワークを手がけることも珍しくなくなった。
2008年夏、ピーター・サヴィルは「アルバム・カバーの時代は終わった」と発言。音楽ダウンロードが一般的になり、価値観が変わりゆくなかで、ジャケット・アートは今後どう変化を遂げるのだろうか。
Screamadelica (1991)
Primal Scream
90年代のマッドチェスター全盛期を代表するアルバム。音、アートワークともに当時のドラッグ文化の影響をモロに反映。前面にタイトルなどが一切入っていないにもかかわらず、バンドおよびEカルチャーの出現を象徴する1枚として広く認知された。(写真提供:Satori K)Dubnobasswithmyheadman (1993)
Underworld
メンバーのカール・ハイドとリック・スミスが所属するデザイン集団、「トマト」の作品。混迷するラインと文字を配した過不足のないデザインは、エレクトロニック・ビートとカットアップの美学を見事に反映。ダンス・アルバムのデザインにおける新基準となった。(写真提供:Satori K)Mezzanine (1998)
Massive Attack
メンバーの1人でデザイナーの3Dは、自然史博物館のために昆虫の写真撮影をしていた経験もあるファッション写真家、ニック・ナイトの作品を起用。南米産の珍種カブト虫の頭部写真に特殊加工を施し、シャープで危険、かつ力強いイメージを完成させた。(写真提供:Satori K)You Could Have It So Much Better (2005)
Franz Ferdinand
今や飛ぶ鳥落とす勢いの、グラスゴー出身の4人組。全員アート・スクール出で、ビジュアル・イメージも自ら手がける多才ぶり。2作目となる本作では、ロシア構成主義を代表する前衛芸術家、アレキサンダー・ロドチェンコの作品をモチーフにしている。(写真提供:Satori K)Kid A (2001)
Radiohead
1994年以降、バンドの全作品のアートワークを担当しているスタンリー・ドンウッドが本作で描いているのは、熱と冷気が一度に迫ってくるような、山脈を中心とする風景。ドイツの画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒなどからの影響も見て取れる。(写真提供:Satori K)Hey! Venus (2007)
Super Furry Animals
通算8作目となる本作では、2作目以降、全作品のカバー・デザインを担当してきたピート・ファウラーに代わって、日本人アーティストの田名網敬一を起用。バンド・メンバーが来日時に田名網氏の作品を見て「ブッ飛んだ!」ことから採用が決まったという。(写真提供:Chinami)
世にパロディものは多々あれど、ビートルズほどその対象となったバンドはないだろう。かなりの数のパロディが出回っている 「Abbey Road」をはじめ、彼らのジャケットでコピーされなかったものはないとまで言われているほどだ。例えば米国の覆面前衛芸術集団、The Residentsのファースト・アルバム「Meet The Residents」(写真左)は、「Meet The Beatles」からデザインとタイトルを借用。EMI がこれに憤慨して告訴すると騒いだが、実はジョージとリンゴはこれを気に入り、自ら購入したという噂だ。ほかに「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」などもよくパロディ化されている。写真右はその一枚、80年代のガレージ・コンピ盤 「Graveyard Stomp」。

(写真提供:Nick Collins)
ロキシー・ミュージック「Country Life」、R・ストーンズ「Beggars Banquet」(写真左) など、猥褻、悪趣味、冒涜表現などで物議を醸し、デザイン変更を余儀なくされたカバーは、後にコレクターズ・アイテムとなって高値で取引されていることが多い。例えば写真の通称「ブッチャー・カバー」、ビートルズの「Yesterday And Today」(同右)。白衣を着たメンバーが解体された赤ん坊の人形と肉片を手に微笑む姿は、あまりに不気味で制作意図を疑うが、背景には彼らの意思を無視したレコード会社への反抗などの理由があった様子。しかしやはり悪趣味すぎるため、発売後、回収されて別カバーに変更。オリジナル盤には相当な高値がついている。

(左写真提供:Nick Collins、右写真提供:Satori K)

Superfuzz Bigmuff Mudhoney
Nick(「All Ages Records」オーナー)
80年代の終わりごろ、地元のリーズである日、なじみのレコード屋の前を通りかかったら、このジャケットが目に飛び込んできたんだ。思わず「うわっ!なんだよこれ!」って。即買いして家で聴いたら、これまたブッ飛んじゃってさ。忘れられない体験だね。
Long Island (single) Gorilla Angreb
Ayako(「All Ages Records」スタッフ)
ジャケットはいつも、写真よりイラストの方に惹かれますね。これはロンドンで見つけたデンマークのバンドのシングル盤なんですが、インパクトのある絵と色合いが好き。実はTシャツも持ってます。残念ながら、このバンドはもう解散しちゃったんですけどね。
Jesus Meets The StupidsStupids
Philippe(音楽プロモーター)
英国のハードコア・バンドなんだけど、イラストがまずいいよね。さらに裏面のスケボーしてるメンバーの写真を見て気に入って、音を聴いたらやっぱり好きだった。この1枚で彼らのことを知って、過去のアルバムも遡って全部聴いたよ。
Up All Night! 30 'Northern Soul Classics' VA
Etsu(グラフィック・デザイナー)
90年代後半に雑誌でノーザン・ソウルの記事を読んで興味を持ち、大阪のレコード屋で購入。見た瞬間「音もいいはず!」と思ったのを覚えてます。実際、全曲当たりで踊れる曲が満載でした。いつか本場英国のシーンを体験したいという気持ちも芽生えましたね。
In The Land Of The Blind Oneeyed Is King
Mika Vainio
Taigen(「BO NINGEN」 Vo.&Bass)
フィンランドでPAN SONICっていう音響ユニットを知ったんですが、Mikaはその1人なんですね。後日、ロンドンであるアーティストのライブに行った時、会場でこれを発見。写真も一目で気に入って購入しました。いろんな意味で、聴く時間を選ぶ作品ですね。
Plastic Ashtray (Single) Urusei Yatsura
Russell(ミュージシャン)
自分が音楽をやるきっかけになったバンドなんだ。18歳の時にジョン・ピールのラジオで聴いたのが初めての出会い。以来、ライブに通って、そのうち彼らの活動を手伝うようにまでなって。ジャケットもみんなカッコいいんだけど、これは特にお気に入り。
Inside In / Inside OutThe Kooks
Lono(音楽コーディネーター)
写真に惹かれてジャケ買いしたら、音も良くてライブもサイコー!私自身、しばらく音楽業界から離れていた時期だったんですが、彼らのライブを見に行って業界に戻る決意を固めました。しかも私、街でよく彼らに会うんですよ。不思議な縁を感じますね。
Cosmic Slop Funkadelic
Aruta(変態絵描き)
アルバム・ジャケットのアートワークには自分自身、すごく影響を受けてます。これはカムデンのレコード屋で見つけて即買い。もともとCDで持ってたんですが、この絵はやっぱり大きいサイズで持ちたいと思って。カオスな感じがたまりませんね。
Radiator Super Furry Animals
Chinami(グラフィック・デザイナー)
デビュー当時から音は好きだったけど、この、ピート・ファウラーが手掛けた2作目のジャケにハートを射抜かれちゃって!以来、大ファンになって、毎回新作が出るのを心待ちにするほどでした。SFAの音ともピッタリで、最高のコラボだったと思います。
6 For A Fiver Short Bus Window Lickers
Pasty(パンク・ロッカー)
実はこれ、友達のバンドなんだけどね。ジャケットに使ってるのは道端に落ちてた手袋なんだよ。ほら、よく見るとあちこち汚れてるんだけど、いい味出してるだろ?音は一言でいうとストリート・パンク!ちょっとバカげてて、これまたサイコーなんだ。



在留届は提出しましたか?

*英国人コメディアンのラッセル・ブランド、テレビ司会者ジョナサン・ロスが、BBCのラジオ番組内で、コメディ俳優アンドリュー・サックス氏の孫娘と性的関係を持ったとする内容を同氏の留守番電話に残すという悪ふざけを行った。これが聴取者などからの抗議を呼び、後日発表した声明の中で、両者は共に謝罪した。





ちょっととっつきにくそうな店員さんも、車や鉄道の話になるや、物静かな口調ながら次から次へとお勧めの本を語り出す。こんな本屋では、本を購入するだけでなく、いかにも英国らしい、ちょっとシャイで頑固な店員との会話を楽しみたい。
ジョンさん一押し。現在はロンドン交通局が所有するグレート・ウェスタン鉄道のタンク式蒸気機関車の物語。実はジョンさんの共著本だ
2007年度「ガーディアン」紙が選ぶ「世界で最も優れた本屋」において、英国内の本屋で唯一トップ10にランク・インしたのがこの「Hatchards」。創業1797年、3つの王室御用達の称号を持つこの書店にはかつて、オスカー・ワイルドやバイロン卿も通ったとか。
美しい装丁が魅力の教会ねずみシ リーズ絵本。クリスマス・プレゼ ントにもぴったり
ロマンスも扱っているのは、「もちろん、私がロマンス本も書いているからさ(笑)」。マニア向けと思いきや、マキシムさんの個性が反映された、ちょっぴりお茶目な本屋だった。
ホームズの物語に詳しい注釈を付けた研究者向けの本。著者は弁護士でシャーロキアン
そしてもう一点、特筆すべきなのが本の配列。旅行書のみならず、小説などすべての書籍が国ごとにまとめられているのだ。本棚を眺めただけで、それぞれの国の文化や歴史まで見えてくるような、時間や空間を超える広がりを持つ本屋である。
作家エマニュエル・リトビノフが、ロンドンのイーストエンドで暮らした自身の少年時代を振り返る
「普通の本屋だったら、本が一番大切でしょう。でも私たちにとって何より大切なのは人との関係なのです」。顧客はほとんどがコレクター。彼らとのコネクションを通して、本を購入し、販売する。長年培ってきた彼らとの関係性を守り続けること、そして「あまり欲深くならないこと」、こうした姿勢を貫くことで、「Gekoski」は希少本の世界における確固たる地位を保ち続けている。
グラハムには珍しいこの詩集は、現在では世界に数冊しか残っていない貴重なもの。何とグラハム本人から購入したという本の最後には、直筆の詩も書き加えられている
ヨーロッパ最大の独立系本屋と言われるドイツのWalther Koenig Books。そのロンドン支店としては、ケンジントン・ガーデン内のサーペンタイン・ギャラリー店が知られているが、チャリング・クロス・ロードにも今秋、新たな店舗がオープンした。黒で統一されたシンプル&シックな店内はさほど大きくないが、アートや建築、写真の分野では定評のある書店の支店だけあって、選び抜かれた本はどれも店のセンスがキラリと光るものばかり。また、店独自で出版しているものもあるので要チェックだ。人気の現代作家のアート本や写真集が置かれた1階をゆっくり楽しんだ後は、ぜひ地下へ。分野を問わず、さまざまな本が大幅に値下げされていて、思わず目移りしてしまう。
スーパーのチラシから電話ボックスに貼られた女性のヌード写真まで、さまざまなチラシをユニークなアレンジでまとめたスクラップ写真集

ロンドンの街を網羅した詳細な地図を時代別にまとめたシリーズの1冊
本屋という枠組みを超え、新しい文化の発祥地として若者を中心に絶大な人気を誇るショップ。本のみならず、Tシャツやキャラクター・グッズ、文房具などが販売されている店内には、混沌としながらもどこか統一感を覚えさせる不思議な空気が漂う。ありとあらゆる分野の人々がドアを開けて店内に入り、何かを求めるという行為はとても人間的に豊かなこと、とはオーナーの弁。客からのフィードバックを大切にし、そのアイデアを取り入れることで進化し続ける空間に、今後も目が離せない。
「MI5の職員をスパイせよ」などユニークな指示が挿入されたダイアリー・シリーズの2009年版
じっと留まっていなければならないこの仕事は、かなりの重労働に違いない。それでも彼らが毎日、本を売り続けていられるのは、「本が好きで、このエリアが好きだから」。時には馴染み客が本を売りにやって来ることもあるという。本を好きな人と人が集まれば、そこにはもう、「本屋」という空間が存在しているのかもしれない。










国際的に活躍するビジュアル・アーティストとリバプール近郊の3都市が協力し合い、それぞれの街にパビリオンが作成された今年。中でもリバプールの北に位置するカークデールでは、「見捨てられた土地をコミュニティー・ガーデンにしたい」という街の要望にアーティストが応えた。このパビリオンは2つのエリアに分かれており、1つは城のような、そしてもう片方は「バー・コード」というガーデンとなっている。これは一見すると「一体、どこがガーデン?」と思ってしまうような代物だが、中に入ると、壁の内部が植物で覆われていることが分かるという仕組みになっている。グリーン思想とアート、そして地元の人々の生活が一体となった作品だ。
建築分野でのキャリアも持つ米国人アーティスト、サラ・ジーは、細部まで細かい趣向を凝らしつつも、奔放な雰囲気が漂うインスタレーションを制作することで知られている。今回、展示場である階段横の吹き抜けを最大限に利用したサイト・スペシフィックな作品を発表したジーは、「これは1つの風景というよりも、ある風景のなかで起こっている動きの連続」であると語る。インテリア用品のサンプルやレンガ、建築の材料にコケなどが配置されているのだが、これらの作品の1つ1つが「次の動作」に移ろうとする瞬間で「一時停止」されているのだ。そしてそれらのオブジェは構成されたというよりも、それぞれが生命体として意思を持っているかのように力強い。



破天荒な現代アートの思想がこの空間に凝縮
イタリア人アーティストのロベルト・クオギが作り出す、音の芸術展。紀元前7世紀前後にメソポタミア文明を築いたアッシリア帝国の崩壊をテーマとしたという、ICAらしい一風変わった芸術作品は、11月23日まで公開。入場無料。
コンラン卿プロデュースで食をアートへと変える
Alan Aldridge:
都会人のためのシックなバー
最近のコンセプチュアル・アート界を牽引するブラジ ル人アーティスト、スィウド・メイレリスの特別展。日常生活で手にする事物を使いながら、観る者に驚きや困惑を与えてしまうような、不思議な作品世界を作り上げる。2009年1月11日まで。入場料£8。
待ち合わせにも最適
多角ビジネスを手掛ける英国人企業家ジョン・マデイスキーからの300万ポンド(約6億円)の寄付によって建築された展示スペース。数年ごとに展示内容を変更しながら、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのコレクションを公開している。入場無料。
ロンドン中心部の隠れ家的名所
ナショナル・ポートレート・ギャラリーの最初の所蔵品になったのが、文豪ウィリアム・シェイクスピアの肖像画だった。ただ同館でもこれがシェイクスピアを描いたものであるかどうかを断定できない、いまだ多くの謎に包まれた作品なのだという。
新古典主義の庭で優雅なお茶を嗜む
19世紀のフランス画家エドゥアール・マネが死の直前に完成させたという「フォリ・ベルジェールの酒場」(右写真)は必見。コートールド美術館への入場は£5(60歳以上、学生は£4、月は14:00まで無料)。
破天荒な現代アートの思想が凝縮
Dryden Goodwin: Cast
異なるアートにはおあつらえのカフェを
Kings Place Gallery
甘いお菓子とともにみっちりとお勉強
常設展の中にある人体の展示。体の部位を意味する英単語を押すと、その部位が光る仕組みになっている。「胃」、「肝臓」といった初歩的なものから「膀胱」といった単語の復習に便利。ウェルカム・コレクションの常設展への入場は無料。
世界で初めてのミュージアム・カフェ
Cold War Modern: Design 1945-1970
英国貴族が嗜んだお茶の時間を追体験
フランドル絵画の代表作として知られる、17世紀のオランダ人画家フランス・ハルスが描いた傑作。入場無料の常設展に飾られている。
都会の喧騒から逃れるための隠された屋外庭園
RIBA の内装
The Parlour@Sketch
Poetry Place
5th view@Waterstone's
Books for Cooks




























Melissa
英国出身のシューズ・デザイナー、トーマス・マーフィー。一見、地味であるが、ディテールを見ると実に面白い。例えば金色に輝くコッパー(銅)製のヒールは、年月を経につれダークな茶に変化していくという過程を楽しみながら履くことが出来る。素材は木や金属に皮など、自然の素材を使用。メンズ靴の思考を取り入れ、長く履き込むと味が出るよう計算されている。
ありそうでなかった、雑誌を丸めたようなクラッチ・バッグ。伊勢丹のバイヤーがサンプルを購入したというから、日本上陸も近いかも。雑誌「バニティ・フェア」の表紙デザインでの特注オーダーも入ったのだとか。
プリントからデザインするというケイトのバッグは、ブロードウェイ・マーケットやスピタルフィールズ・マーケットで買うこともできる。カンバス素材のでかバッグは軽くてお手頃価格、普段使いに愛せるタイプだ。プリントものが旬なこのシーズンに、個性を出せる。
シルクのフリル・バッグに革のヒップ・バッグもフリルと、甘くなりそうなデザインなのになぜか辛口なのは、ブラジルとスウェーデンのデザイナーという対極コンビの賜物かも。ベルトも静かなシャープさで、かっこいい印象。日本では「ビームス」などで取り扱っている。
旬のモデル、アギネス・ディーンが雑誌の表紙で被り、一躍注目が集まったベレー帽は、PVC製でどことなくコミック的かわいさがある。長いリボンとメッシュが新感覚のサンバイザーなど、不思議なデザインを涼しい顔で着こなして、目指せ、お洒落の達人!
ステートメント・ジュエリーは素敵だけど、1日着けると重さで意外に疲れを感じるもの。それを意識し、軽い素材で作られた大ぶりのアクセサリーがこちら。果物の木を彫った黒花モチーフなど、見かけによらない軽さにびっくりだ。
こちらのブランドでも、レディースではミニ・サイズの帽子が目立つ。リアルなイチゴがついたカクテル・ハットは、「主役は私」を目指したい日のコーディネートにぴったり。アクリルの蛍光色が近未来的なキャスケットは、冒険好きなメンズへの提案だ。






















低所得層の居住区に低予算で建てられた保育園だが、国内では他に類を見ない衝撃吸収効果のあるゴム材を用いた屋上の遊び場を持つユニーク設計で、2007年のRIBA(王立英国建築家協会)アワードを始め数多くの賞を受賞。館内のフロアもスライディング・パネルの仕切りによって50パターンの使い方ができるなど、フレキシブルでアイデア満載のつくりになっている。
閉鎖されたショーディッチの鉄道高架に廃棄処分の地下鉄車両を搬入し、アーティストのスタジオとして再利用。内装に持続可能な建築材を用いるなど、環境保護に十分配慮した設計だ。夏場にはライブやアウトドア・シネマなどのイベントが行われるほか、高架下のウェアハウスでは常時クラブ・イベントやファッション・ショーなどを開催している。
生後6カ月から5歳までの幼児や児童のために開かれた複合施設。幼稚園、レセプション、養護学校を併設しており、各種アクティビティや母親のためのコースも充実している。異素材を効果的に配した有機的なデザインで、自然光の取り入れ方も見事。子どもたちの発想力を高めてくれそうな空間が実現している。
2006年新設の、生徒数1175人の中等学校で、校舎は翌07年に完成。緑が基調の鮮やかな配色が目を引く建物の内外には、環境汚染の原因となるストームウォーター軽減機能や、自然換気による温度調節を実現するコンクリート材の利用など、数多くのエコ機能が搭載されている。2008年RIBAアワード受賞。
ノーマン・フォスター卿設計のロンドン市庁舎。この、卵とも筍とも見紛う不思議なフォルムが、実は自然の断熱や換気を可能にしている。加えて、コンピューターや照明器具の使用から生じる熱の再利用などで温度調節を図っているほか、節水機能や太陽光発電装置も備えるなど、隅々までエコ・フレンドリー。環境保護対策を公約に掲げている市長も満足に違いない。
1861年に創設されたドイツ体操協会の本拠地で、世界で最も古い近代オリンピックの一つとして数えられる1866年大会では、ほとんどの体操競技がここで行われた。木の合板を用いたアーチ状の梁は、キングス・クロス駅の設計の原型として知られる。現在はビジター・センターとして機能しているが、開発が進む周辺地区のなかで、やや異色の存在感を放っている。
1930年代に次々と建造された映画興行チェーン、「グラナダ・シネマ」は、伝統的な装飾をふんだんに施した壮麗なインテリアで知られる。1937年建造のこの建物もその一つで、超豪華シネマ、トゥーティングのグラナダと同様、ロシア人の舞台監督兼デザイナー、セオドア・コミサルジェフスキーが館内装飾を手掛けている。現在は娯楽産業チェーン、「ガラ・ビンゴ・クラブ」のホールとして営業中。
ラッセル・スクエア駅からすぐの裏通りに佇む1797年建造の小さな古びた馬小屋は、なんと国内外のアンダーグラウ ンド・カルチャーを発信する、会員制のアート・ヴェニューだった。レアでアヴァンギャルドな映画や音楽、アート関連のイベントを定期的に開催。ヴィンテージ服の宝庫でもあり、膨大なストリート・ファッションのコレクションを誇っている。
優れた建築に与えられる評価基準の一つ、「グレードⅡ」に認定されている、優美なアールデコ建築の元映画館は、現在、ゾロアスター教の欧州本部センターとなっている。ゾロアスター教とは古代ペルシアで発祥し、世界三大宗教にも影響を与えたとされる、世界最古の宗教の一つ。そう聞くと、アールデコの幾何学的なデザインがどことなく神秘的に見えてくるような……。






