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英国に居ながらにして、日本語メディアへのアクセスがとても簡単に出来てしまうインターネット全盛の今。しかしそんな時代だからこそ、この秋、あえて英語の本に挑戦してみませんか?物語の展開を楽しみながら、英語そして英国文化に浸れるのが読書の良い所。今回の特集では、英国への理解が深まるペーパーバックなどを英語レベル別に並べてみました。秋の夜長の読書タイムをお楽しみあれ。(本誌編集部: 筒井和美)
英語で本を読むコツ
英国に暮らしている以上避けて通れないのが英語。日常生活や友人との会話などに困らないレベルに達していても、英語の本となるとなぜか避けてはいませんか?「日本語で読んだ方が速い」「なんとなく取っ付きづらい」などと思っているあなたに、「英語で読書」のコツを教えます。
その1)読みやすい本を選ぶ
日本語の読書にも言えることですが、読書を楽しむためにはある程度のスピードが必要です。数行進む度に、辞書を引かなくてはならないようだと、読書が嫌になるのも納得。自分の文法力や語彙力に合わせた本を選びましょう。話全体に影響を与えないレベルの単語なら、分からなくても辞書に頼らずそのまま読んでしまうのも、スピードを落とさないという点からいうと◎。
その2) 自分の興味にあった本を選ぶ
全く興味を持てない分野の話は、日本語で読んでも理解がイマイチだったりします。 何より、つまらないと思いながらページをめくるのは苦痛以外の何物でもありません。自分の趣味に関する本や、日本語で読んで感動した本の原作など、心からワクワクする本を選びましょう。どうしても面白くないと思った本は、思い切って読むのを止めてしまうのも手。
その3) 読み切れる厚さの本を選ぶ
たとえ興味のある話でも、小さい文字の詰まった分厚い本にアレルギー反応を示す人も多いはず。まずは、視覚的に読みやすそうな本(文字が大きくて薄い)を選んで、読破感を得るようにしましょう。「読み終えた!」という自信が、次の1冊へのステップになりますよ。
最も取っ付きやすい本と言えば、絵本。しかしながら、大人になってから「本当の絵本」を読むのはちょっと恥ずかしい……。そんな人には、子供向けに出版されているペーパーバックをおすすめ。ただし子供向けと言っても、文章にボリュームがあったり、言い回しが古く分かり難いものもあるのでよく吟味して。
| おすすめ作家 |
Roald Dahl (1916-1990)
ロアルド・ダール
風刺やブラック・ユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で有名なウェールズ出身の作家。第二次大戦では英国空軍のパイロットとして従軍したが、乗っていた飛行機がリビアで墜落し重症を負う。その後、アフリカで聞いた不思議な話やパイロット時代の経験を元に小説を書くようになった。
代表作は、近年映画化もされた「Charlie and the Chocolate Factory(チョコレート工場の秘密)」。ちょっとねじまがった空間で展開される子供向けのストーリーでよく知られているが、作家としての名声を確立したのは、優れたウィットと最後のどんでん返しで読者を引き付けた大人向けの短編集「Someone like you(あなたに似た人)」だった。子供向けストーリーは、主に孫たちのために書いていたと言われている。ちなみに、彼の孫の1人はモデルのソフィー・ダール。
ダールの子供向けシリーズがすらすら読めるよ うになったら、大人向け短編に挑戦してみよう。
| これに挑戦! |
| ペーパーバック初心者にはこれ! Fantastic Mr Fox (すばらしき父さん狐) £4.99 |
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キツネと人間の知恵比べを描いた寓話。丘の上で暮らすキツネ一家の父さんを仕留めようと、ニワトリを飼っているデブ、アヒルを飼っているチビ、七面鳥を飼っているヤセの3人の農場主は様々な知恵を絞る。しかし、3人がどんなに頭を絞って出した作戦も、父さんギツネは痛快に切り抜けてゆく。そんな父さんギツネの大奮闘が痛快!薄い上、文法も単語も簡単なので挫折せずに、ドキドキ、ワクワクしながら読めること請け合い。 |
| 奇想天外な工場へ侵入してみよう Charlie and the Chocolate Factory (チョコレート工場の秘密) £5.99 |
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近年映画化され話題になったので、知っている人も多いはず。チョコレート工場を経営している変わり者のウィリー・ワンカは、工場に5人の子供を招待することを決めた。招待券は、ワンカ社特製チョコレートの包装紙の中。チョコの中に金色の招待券を見つけた幸運な者だけが、ワンカの工場を見学できるという。貧しいチャーリー少年は、この夢のような招待券を偶然にも手にすることが出来た。チャーリー少年がチョコレート工場で見たものとは……。 |
| 「チョコレート工場」にハマった人は是非 Charlie and the Great Glass Elevator (ガラスの大エレベーター) £5.99 |
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先に紹介した「Charlie and the Chocolate Factory」の続編。今回は、チャーリー少年の家族をも巻き込んで思いも寄らぬ話が展開される。ある日、チャーリー少年とその家族は、ウィリー・ワンカと共に行き先不明のガラスのエレベーターに乗り込む。そのエレベーターが空高く舞い上がったまでは良かったが……。前作に引き続き、またしてもありえないハプニングの連続で、ページをめくるのが待ち遠しくなる。 |
| こんなのもおすすめ |
| おとぼけキャラがキュート Winnie-the-Pooh(くまのプーさん) by AA Milne £29.99(写真のもの) |
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作者AAミルンが、自分の子供であるクリストファー・ロビ ンに語り聞かせた物語。ハチミツを食べ過ぎて、木に出来た 穴を抜けられなくなってしまうほど、おっちょこちょいだけど憎めないプーさんが、年老いたロバのイーヨーやこぶたのピグレット、いつも元気一杯なトラのティガーと一緒に素敵な物語を繰り広げる。 Winnie the Pooh: Complete Collection of Stories and Poems |
| 夢溢れるウサギのお話 The Tale of Peter Rabbit (ピーター・ラビット) by Beatrix Potter £29.99(写真のもの) |
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湖水地方を舞台に、動物たちの触れあいが描かれた秀作。第1話では、母の言いつけを破りマクレガーさんの農場へ遊びに行ったウサギのピーターが、マグレガーさんに追いまわされ、上着と靴をなくしてしまう。その他、アヒルやカエルなどのキャラクターが登場する様々な話がシリーズ化されている。 Beatrix Potter Complete Tales: The 23 Original Peter Rabbit Books and 4 Unpublished Works |
| ある少女の不思議なアドベンチャー Alice's Adventure in Wonderland (不思議の国のアリス) by Lewis Carroll £2.12~ |
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夏の昼下がり、目の前を走り去っていった奇妙な白ウサギを追いかけることから始まる不思議な物語。オックスフォード大学で数学を教えていたドッジソン教授(ルイス・キャロル)が、知人の娘のために作った「世界でたった1冊の本」が元となっている。ルイスの巧みな言葉遊びが幾重にも交錯し、読む度に新しい発見があるはず。 |
ヤング・アダルトという出版分野が確立している英国では、大人でも十分楽しめるティーン向け文学作品を見つけるのは簡単。ここでは、数あるヤング・アダルト文学の中でも、英国人にも人気のある作家とその代表作品などを紹介します。
| おすすめ作家 |
Terry Pratchett (1948- )
テリー・プラチェット
日本では「知る人ぞ知る」といった存在だが、英国では彼の本が出版されると必ずベストセラーになるぐらい非常に著名なファンタジー作家。英国で子供時代を過ごした人なら、1度ぐらいは彼の本を手に取ったことがあるはず。特に1987年から続いている大人向けファンタジー、ディスクワールド・シリーズが有名。
13歳で初めて本が出版されるなど、少年時代に物語を何本か書き上げたプラチェットだが、そのまま作家になる道へは進まなかった。趣味として物語を書き、ジャーナリストや電力会社の広報官として働いていたプラチェットが作家を本業とするようになったのは、後の代表作となるディスクワールド・シリーズの1作目「The Colour of Magic」を書き上げてからのこと。ちなみに「ディスク」とは宇宙を漂う巨大亀の背に乗った4頭の像が支える円盤世界のことで、同シリーズは、この世界で繰り広げられる物語を描いている。現在では30巻を超える大作となったこのシリーズは、全体的に大人向けだが、子供向けに書かれた作品もいくつかある。
| これに挑戦! |
| 賢い猫のモーリスにハラハラ、ドキドキ The Amazing Maurice and His Educated Rodents (天才ネコモーリスとその仲間たち) £6.99 |
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2001年度のカーネギー賞(英国図書協会から優れた文学に贈られる賞)を受賞した子供向けディスクワールド・シリーズ。「マジック・ラット」を食べ、素晴らしい知能を獲得した猫モーリスは、魔法使い大学から出されたゴミを食べこちらも賢くなった12匹のネズミたちを引き連れ、町から町を移動し「ハメルーンの笛吹き男」よろしく荒稼ぎを繰り返す。しかし、知性と共に倫理感も身につけたネズミたちは、自分たちの行動に疑問を持ち始め……。思わずニヤっとさせられるような風刺が随所に散りばめられた良書。 |
| 魔女ティファニーの勇気に脱帽 The Wee Free Men (魔女になりたいティファニーと奇妙な仲間たち) £5.99 |
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こちらも子供向けに書かれたディスクワールド・シリーズ。魔女になる訓練をしている9歳のティファニー。ある日、教師であるミス・ティックが目を離した隙にティファニーの弟が、魔の女王にさらわれてしまう。ティファニーは弟を救い出すために、ミス・ティックから借りたしゃべるカエルや辛らつで 好戦的なウィー・フリー・メンを従えて、女王の世 界へと乗り込んで行く。ティファニーは無事に弟を救い出せるのだろうか? 「スパイダー・マン」のサム・ライミ監督による映画化の話も出ている作品。 |
| 魔女ティファニーの冒険は続く A Hat Full of Sky (邦訳なし) £6.99 |
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前作で魔の女王と戦ったティファニーの2年後を描くシリーズ続編。11歳になったティファニーは、さらなる魔法の勉強のために家を出る計画を立てていた。そんなある日、不可思議な物体がティファニーの体内に侵入し、今まで覚えた魔法を濫用し始めた。ティファニーの行動を不審に思った仲間の魔女たちは、ティファニーを救うため彼女の体内に入り込み……。ちなみに今年9月には、このティファニー・シリーズの更なる続編「Wintersmith」が出版されたばかり。 |
| こんなのもおすすめ |
| 飼い猫はストリートで生き残れるのか? Varjak Paw(邦訳なし) by SF Said £5.99 |
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黒猫のヴァージャック・パウが主人公のファンタジー・シリーズ第1弾。過保護に育てられた家猫のヴァージャック・パウは、今まで一度も外の世界に出たことがない。しかし、平穏な家にやってきた不気味な男性と2匹の意地悪な猫たちのために、ヴァージャックは1人で街に引っ越さなくてはいけなくなり……。1匹の猫が、外の世界での友情や争いに触れ、困惑するなかで成長してゆく姿を描いている猫好き必読の書。続編の「The Outlaw Varjack Paw」もおすすめ。シャープなイラストにも注目したい。 |
| 少女ライラの冒険がここに始まる Northern Lights(黄金の羅針盤) by Philip Pullman £6.99 |
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ライラの冒険シリーズ3部作の1話目。おてんばな11歳の少女ライラは、両親を事故で亡くし、オックスフォード大学で教 鞭をとる叔父と共に暮らしている。そんなある日、ライラの親友ロジャーが突然消え、子供の誘拐事件が多数起きていることに気付く。どうやら北極で子供たちが何らかの実験に使われているらしい。ライラは、ロジャーを救うために、世界に6つしかない黄金の羅針盤を手に北極へと向かう……。第2部「The Subtle Knife (神秘の短剣)」第3部「Amber Spyglass (琥珀の望遠鏡)」も続けて読んでみよう。 |
| 自閉症児が挑む謎 The Curious Incident of the Dog in the Night-Time: Children's Edition (夜中に犬に起こった奇妙な事件) by Mark Haddon £6.99 |
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ずば抜けた数学的能力を持っているが、他人とのコミュニケーションが下手な自閉症のクリストファー。ある日、近所の犬が殺され、その濡れ衣を着せられた彼は、憧れのシャーロック・ホームズを真似て、犯人探しを始める。事件を追う内に、やがて驚くべき事実が明らかになり……。クリストファーが事実を発見する過程が、自閉症の彼の視点、独特の語り口で書かれた感動作。1章の分量も少なく読みやすい。同ストーリーの大人版もあり。 |
いよいよ上級。ここまでくると、本屋で好きな本を選んで読めるレベル。小説の他にも、論評やノン・フィクションなどバラエティーも豊富になって、読書がますます楽しくなりそう。たくさんあってどれが良いのか分からないという人のために、英国人の大人が読む一般書の中から、比較的読みやすいものや英国文化への理解が深まる作品を紹介します。
| おすすめ作家 |
Nick Hornby (1957-)
ニック・ホーンビー
教師、ジャーナリストといった職を経て、1992 年にサッカー・チームのアーセナル狂の男性を描いた「Fever Pitch(ぼくのプレミア・ライフ)」で 作家デビューしたニック・ホーンビー。その処女作はニック・ホーンビーの自叙伝と言われる通り、 自身もかなりのフットボール狂(ちなみに後の「High Fidelity」に至っては、音楽オタクの一面を披露する)。この「Fever Pitch」はミリオン・セラーとなり、ブックメーカー(賭け元)のウィリアム・ヒルがスポーツをテーマとした優れた文学に贈るウィリアム・ヒル・スポーツ・ブック・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した。
元々は劇作家を目指していたというホーンビー が得意とするのは、英国のさりげない日常を人間味豊かに切り取ること。登場人物に思わず共感を覚えてしまうのは、こんな彼の得意技のせいだろう。また、難しい言葉を使わずにユーモアの効いた洒落た言い回しをする天才なので、思わず真似したくなる表現に作品中至る所で出会えるのもうれしい。英語での表現力を高めたい人は必読。
1993年に誕生した長男が自閉症だったため、自閉症児を助けるチャリティー、トゥリー・ハウスの創設に積極的にかかわり、自身が編集した短編集「Speaking with the Angel」の売上のほとんどを寄付したという一面も。
| これに挑戦! |
| サッカーに人生を賭ける男の物語 Fever Pitch (ぼくのプレミア・ライフ) £7.99 |
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アーセナル・ファンを自認するニック・ホーンビーの自伝的小説。11歳の時に父親に連れられサッカー観戦に行ってからというもの、寝ても覚めてもアーセナル一色となってしまった男性が綴ったサッカー試合の記録。出てくる試合は、もちろんホーンビー自身が観戦したもの。ユーモアと情熱を持って詳細に記録されているので、英国サッカー史としても貴重な文献となっている。1968年から1992年までの英国サッカー事情に詳しくなること請け合い。 *英国ではコリン・ファース主演で映画化されたが、米国版映画では野球狂の話となった。 |
| 音楽オタクの恋愛小説 High Fidelity (ハイ・フィディリティ) £7.99 |
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ロンドンでマニア向けレコード店を経営する30代半ばのロブが、長年付き合ってきたガールフレンドのローラに振られる場面から物語は始まる。変わり者のオタク生活を続けてきたロブだが、どうやら本物の大人になる時期が来たようだ。そんなロブが、恋愛を通して成長してゆく過程がコミカルに、そしてたくさんの音楽情報と共に描かれているポップ・ミュージック好きにはたまらない1冊。ちなみに同名タイトルの映画は、ロンドンではなく、米シカゴが舞台となっている。 |
| 年齢を超えた友情、そして愛 About a Boy (アバウト・ア・ボーイ) £7.99 |
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父親の遺産で悠悠自適な生活を送る30代半ばでコミットメント・フォビアの独身男、ウィルは、シングル・マザーとの後腐れない関係に味を占めていた。そんな時ひょんなことから、いじめられっこの12歳の少年マーカスと出会い、彼の母親でシングル・マザーであるフィオナの自殺場面に出くわしてしまう。各々との交流の中で、ウィル、マーカス、フィオナは、それぞれの強さを取り戻していく……。少年マーカスの目から見た、母親フィオナの鬱状態の描写も素晴らしい。一見暗い話が、ホーンビーの手にかかると軽やかで爽やかな話になるから不思議。 |
| こんなのもおすすめ |
| 日本人女子留学生とのほろ苦い恋も One for My Baby (そして愛する彼女のために) by Tony Parsons £6.99 |
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家族をテーマにした作品が多いトニー・パーソンズが現代の男性像を描いた作品。香港で語学教師をしていた英国人男性のアルフィーは、最愛の恋人ローズの死をきっかけに英国に戻り、新しい生活を始める。しかしそこにあるのは、ローズのことを思いながらも、生徒の日本人留学生に手を出すようなフラフラした毎日。そんなある日、シングル・マザーのジャッキーが現れ、アルフィーの生活に変化が訪れる。アルフィー自身の冴えない生活に、両親の離婚や祖母の病気を取り混ぜながら、家族というテーマを軽やかに描いた秀作。 |
| 登場人物の共通点は白い歯 White Teeth (ホワイト・ティース) by Zadie Smith £7.99 |
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様々な人種と文化が入り混じり共存している現代のロンドンを舞台に、人種、階級といった深遠なテーマをユーモラスに描いた1975年生まれの新進気鋭の女性作家のデビュー作。半世紀以上も前に戦場で出会ったロンドン下町育ちのアーチーと、バングラデシュ出身のサマードの厚い友情に、イスラム原理主義、動物愛護などの現代英国社会の問題を絡めた作品で、リアルな英国を知るのにもってこい。ウィットブレッド賞処女長篇賞、ガーディアン新人賞、英国図書賞新人賞、コモンウェルス作家賞最優秀新人賞などを受賞。 |
| イシグロ文学の最高峰 Never Let Me Go (わたしを離さないで) by Kazuo Ishiguro £7.99 |
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「Remains of the Day(日の名残り)」で伝統的な英国社会を描き出し喝采を浴びた著者の最新作。全寮制施設ヘールシャムに生まれ育ったキャシーは、自他共に認める優秀な介護人だ。そんな彼女が介護するのは「提供者」と呼ばれる人々。しかし、亡き友人とのヘールシャムでの青春の日々を思い返している内に、奇妙な授業内容、教師たちの不思議な態度、自分たちがたどった皮肉な運命に疑問を抱くようになり……。純文学風の作品が多いイシグロには、珍しくミステリー仕立てなので読みやすい。 |
| 英国人の本音が満載 The World According to Clarkson(邦訳なし) by Jeremy Clarkson £7.99 |
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車を扱った人気テレビ番組「Top Gear」の司会を務めるジェレミー・クラークソンが、「サンデー・タイムズ」紙に寄稿したエッセイを収録。掲載当時に話題になった時事問題を、クラークソンが鋭い視点で、かつユーモアたっぷりに斬って行く。1つのエッセイが4ページに収まっているので、手をつけやすく、興味のある話題から読み進められるのがグッド。英国ミドル・クラスの考え方を知るのにももってこい。 |
| 思わず頷く場面もたくさん Watching English(邦訳なし) by Kate Fox £8.99 |
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文化人類学者のケイト・フォックスが英国人の習性について筆を取った、ウィット溢れるエッセイ集。天候についての話の決まりごと、携帯電話の決まりごと、Eメールの決まりごと、ドレス・コードなどといった英国生活の不文律から、パブ文化、競馬、ドラッグ、犯罪、暴力に至るまで、英国文化の様相が事細かに記されている。「へぇ」と唸ったり、「そうそう!」 と膝を打つシーンに多く出くわすに違いない。 |
| 番外編 |
| 「おいしい」英語をどうぞ - 料理本 | |
| 英語が苦手でも取り組みやすい分野と言えば、料理本。セレブ・シェフと呼ばれる有名シェフがたくさんいる英国では、 眺めているだけで満足できるような綺麗な料理本が多数発行されている。これを「読書」というにはズルした気分になるけれど、英語で書かれているのは紛れもない事実。料理を覚えながら英語も上達するなんて、正に一石二鳥!? | |
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左「Funky Food」by Jaimie Oliver 右「Kitchen Heaven」by Gordon Ramsey |
| 日本語で読んだあの話をもう一度 - 日本人作家の翻訳本 | |
| 夏目漱石、谷崎潤一郎といった大御所はもちろんのこと、最近では村上春樹、吉本ばなな、宮部みゆきなどといった現代作家の小説がどんどん英訳されている。特に、村上春樹はここ英国でも大人気なので、かなりの数の作品が翻訳済み。すでに展開がわかっているストーリーなら、多少英語が分からなくでもすいすい読めそう。 | |
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表紙にオリエンタリズムが漂う、村上春樹の翻訳本 |
| すぐ読めるから自信がつく - ポケット・ペンギンズ・シリーズ | |
| 出版社ペンギンの創設70周年を記念して作られた70冊の短編集。ホーマーといった超古典から、ニック・ホーンビーなどの現代作家まで様々な作家の珠玉の短編が並ぶ。全冊64ページからなる極薄の本なので、読破感を得るのにピッタリ。ただし、短くても語彙が難しいものもあるので、選択は慎重に。移動中にチョコチョコと読むのにも向いている。 1冊£1.50~ 全巻ボックス・セット£105 *ペンギン社のウェブサイトwww.penguin.co.ukで購入すると、£50 |
| 耳から学ぶ英語 - 読書でクィーンズ・イングリッシュを習得 | |
| 子供向けの本やベスト・セラーなどは、オーディオ・ブックとしてCD化されていることがほとんど。リスニングを強化したい人は、オーディオ・ブックを利用しない手はない! |
憧れのあの作家に会える! サイン会情報
ウォーターストーンズやボーダーズなどといった大手書店では、有名作家を招いたサイン会を頻繁に行っている。本にサインしてもらうだけでなく、読書会的に著者と本について語り合う機会が設けられていることもあるので、足を運ぶ価値大。情報は、各書店のウェブサイトや、作家自身のウェブサイトで確認できる。近日中に行われる大物サイン会はこちら。
| 講演会 |
Jeremy Paxman 「On Royalty」
どんな相手もタジタジにさせるBBCのニュース司会者・インタビュアーのジェレミー・パックスマンが、王室について書いた新刊「On Royalty」の発売を記念して、講演を行う。チャールズ皇太子の卵論争*の真相が明らかになるか!?
*パックスマンは、チャールズ皇太子は「完璧」なゆで卵を望む余り、ゆで加減の異なる7つの卵を用意させると叙述したが、皇室関係者はこれを否定した。
10月31日(火)20:00~
チケット£8(前売有)
Blackheath Halls, 23 Lee Road, London SE3 9RQ
Tel: 020 8853 8530
| サイン会 |
Ian Rankin 「The Naming of the Dead」
英国の刑事物を書かせれば、右に出るものがいないイアン・ランキンが新刊本の発売を記念して、サイン会を行う。
11月1日(水)12:30~
無料
Waterstone's Leadenhall Market
1-3 Whittington Avenue, London EC3V 1PJ
Tel: 020 7220 7882
Stephen King 「Lisey's Story」
「キャリー」などを生み出した米国きってのホラー作家、スティーブン・キングが、英国での新刊プロモーションのために、サイン会を行う。
11月7日(火)13:00-14:00
無料
Borders Oxford Street
203 Oxford Street, London W1D 2LE
Tel: 020 7292 1600



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「風が強い日は、家全体が揺れます」
左)ご近所に住むオペラ歌手のラッセルさん。「妻と離婚してしばらくしてから、このカナルの上で住むようになりました。歌の練習をしても、周りから文句を言われないのがいいですね」。 

亜也子さんが住んでいるボートは、基本的には住宅専用なのでほぼ常時停泊している。しかしエンジンさえかければ、水上を移動することはいつでも可能。
それぞれのナロー・ボートにはしっかりと住所がある。その宛先に送れば、川岸に設置された郵便受けにちゃんと手紙が届くのだ。
川岸に設置されたホースを通じて、水道の蛇口からナロー・ボートの船底にある貯水タンクに注入。船内では浄水システムも整っている。
キッチンでの料理には、川岸に常備しているガス・ボンベから定期的に吸入して利用。部屋の暖房は、昔ながらの石炭ストーブを利用する。
ボートの入り口に設置された扉には、頑丈な鍵をかけることができる。すぐ側に外界があるので、戸締りは重要。
実はボートが停泊している川岸へ入るまでの道にも大きな扉があり、カナルの住人たちはこの扉にも鍵をかけている。
ロンドン中心を流れるリージェンツ・カナルに臨む博物館。ここでは、かつて英国経済の基盤となっていたカナルに関する歴史や文化を振り返る展示を見ることができる。
荷物運搬のルート整備を目的とした人工川であるカナルには、水位調節のためのロック(閘門)と呼ばれるポイントがいくつか設けられている。このロックの建設によって、段差のあるポイントにも水の通路を敷くことができるようになったのだ。ポイントを通過するにあたって通常は船やボートの乗組員が自分でロックを開閉するが、複雑な仕組みになっていたり、管理が必要なポイントではロック・キーパーが開閉を行う。また今回取材したライムハウス・マリーナでは、大型船を受け入れる係留所も兼務している。



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世界最大のストリート・マーケット
Still Too Few
Lyn Munro
エンジェルにある隠れ家的マーケット

インテリア関係者御用達の常設マーケット
Beth
Dodo
左)店で最も人気があるという、ギネスの大判ポスター。650ポンド
20世紀を代表する女性陶器デザイナー

ロンドン北部イズリントンの「カムデン・パッセージ」 に、旦那様のマイクさんとお店を構える寿子・ウイードンさん。この道30年近くのキャリアをもつ寿子さんに、ロンドンのアンティークについて話を聞いた。
この時期のアンティークは優雅なデザインのものが多く、明るく華やかな雰囲気。加えてビクトリアンは過去の素晴らしいデザインをコピーしている時代で、デザイン的にも優れたものを輩出しています。例えば、クィーン・アン・スタイルを取り入れたカブリオレ・レッグ(猫足)の椅子などは女性的で繊細です。食器類なども、素朴で重厚なジョージアンに比べ、ビクトリアンには手が込んだ装飾が施されています。
「スージーのコンセプトは『日常使いの食器』。そこに彼女の魅力があると思う。同年代の人気作家クラリス・クリフの作品は、芸術的に素晴らしいとはいえ、色使いもビビッドでインパクトが強い。一方スージーの作品は、1930年代にデザインされたとはいえ、現代のライフ・スタイルにもしっくり溶け込む、タイムレスなフォルムを持っている。またティー・ポットなどは、紅茶が注ぎこぼれないように、独特のデザインが施されているんだ」。



ジョン・F・ケネディ米大統領の実弟、ロバート(ボビー)・F・ケネディの暗殺事件を題材にした人間ドラマ。 人気俳優のエミリオ・エステベスが監督業に初チャレンジした作品だ。アンソニー・ホプキンスやイライジャ・ウッド、ヘレン・ハントやデミ・ムーアなど、映画界を代表する俳優たちが堂々たる存在感を見せつけている。
トム・ペロッタの同名人気小説を映画化したサスペンス・ドラマ。ケイト・ウィンスレットとジェニファー・コネリーという英米を代表する実力派女優が競演しているのが見物。監督は「イン・ザ・ベッドルーム」で知られるトッド・フィールド。
「ノッティング・ヒルの恋人」の監督ロジャー・ミッシェルが、再びロンドンを舞台に手掛けたヒューマン・ドラマ。モーリスとイアンは、旧友であり、共にうだつのあがらない古参の俳優。平穏な2人の日常は、イアンの姪ジェシーの出現により一変する。イアンの世話をするため、イングランド北部から出てきたジェシーだが、家事がまるでできない。気の短いイアンは、そんな彼女に腹を立ててしまう。一方で温厚なモーリスは、共に芸術に触れることで、人生について何かを教えようとする。しかし晩年を迎え、まだ自身の人生の意味さえわかっていないことに気付き……。
「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞監督賞を受賞、英国を代表する監督の1人であるアンソニー・ミンゲラの最新作は、ロンドンの街を舞台にしたスタイリッシュな犯罪ドラマとなった。元々は脚本家としてスタートしたミンゲラ監督が、久々に脚本を担当していることでも注目されている。主演は、英国の人気俳優、ジュード・ロウ。
ベストセラー作家、エリック・シュローサーの小説「ファストフードが世界を食いつくす」を、ベテラン監督、リチャード・リンクレイターが映画化したドラマ。原作のシュローサーは、リンクレイター監督とともに脚本も担当している。
本の世界と現実世界が入り混じる、ユニークなコメディー。優秀な税務署員のハロルドは、ある朝、自分の行動の一部始終を語っている女性の声を耳にする。同じ頃、小説家のカレンは執筆中の作品に頭を悩ませていた。「エンディングで主人公ハロルドをどう殺そうか?」。突然、自分が小説の中の登場人物だと理解したハロルドは、生き延びるため、カレンにエンディングを変えさせようと試みる。
孤独な男女が出会ったことから巻き起こる、ミステリアスなドラマ。警備会社で働くジャッキーの仕事は、ひたすらモニターを観察すること。人気のないグラスゴーの地所を毎日見守っているジャッキーにとって、そこに何かが映ることはありえないように思えた。そんなある日、モニターに1人の男が映り込む。その後もたびたび姿を現すこの男に、ジャッキーは次第に興味を持ち始めるが……。
「Uzak/ウザク」で03年カンヌ国際映画祭グランプリを獲得したトルコ人監督、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン最新作。自身が主演も務めた本作は、今年度のカンヌ国際映画祭では惜しくも受賞は逃したものの、批評家から絶賛を浴びた。
米国、メキシコ、モロッコ、そして日本を舞台に展開していくそれぞれのストーリーが、やがて1つの結末に向かって収束していく壮大な人間ドラマ。ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットら世界的俳優らとともに、役所広司と菊地凛子が日本のシーンでの出演を果たしている。





















「ブレードランナー」や「アキラ」的世界と言えばわかる人も多いはず。鉄骨とガラスの外観は、パリのポンピドー・センター(総合文化センター)も手がけた建築家リチャード・ロジャーズのデザイン。 過剰とも言える配管が、見る者に畏怖感を与える。これが世界屈指の保険組合ロイズのオフィスなのだ。1901年に建設され、100年後の2000年に改修工事が始まり、現在の姿に再生された。その際、オリジナルの内装や構造はそのままに、最新の建築技術を加味することが試みられたと言う。RIBA*アワードを受賞。グランド・フロアと11階 のギャラリーを公開する。
こんな壮大な風景を毎日見ていたら、小さな悩みなんて吹き飛んでしまって、自由自在に生きていけるかも、と思わず想像してしまうのは、ここがロンドン市長舎だからかも。テムズのたもとにたたずむ巻貝みたいなフォームそのままに、中には螺旋らせん階段が最上階まで延びている。このユニークなデザインは、大英博物館のグレート・コートも手がけた現代建築の巨匠、ノーマン・フォスターならでは。2002年度フォスター・アンド・パートナー賞受賞。螺旋階段や会議場などが公開される。16日の10:30~13:00に子供向けイベントあり。
大学や大学院というと、長い歴史を彷彿とさせるいかめしい建物が多い中、ロンドン・メトロポリタン大学は、かなりいけてる。なにしろ、「オリオン座」というコンセプトのもと、ビクトリア&アルバート美術館の螺旋階段の設計やデザインを手がけたダニエル・リベスキンドの「作品」だから。外壁はステンレスのパネルで覆われ、幾何学的な窓は光が室内にたっぷり届くように設計されている。2004年度RIBAアワードほか、受賞多数。今回は講義室、バルコニー、共有フロア、グラウンド・フロアなどが公開される。
大家族のために、都会でどこまでプライバシーと開放的な空間を創造・維持できるかという課題に、極限まで挑戦した現代建築の「天才的回答」のひとつとも言える作品。四方を建物で囲まれ、細い路地を通らなければ玄関にたどり着けない構造は、東京の住宅事情を連想させるが、ここはお金持ちが多く暮らすノッティング・ヒルだ。随所に現代建築の粋とアイデアが盛り込まれたその造りは、いつの日か東京に家を建てる時の参考になるかも。2006年度RIBAアワード、2005年度ジャンニ・ボツフォード建築賞受賞。
建築は依頼主の趣味に左右されることが多いけれど、では建築家が自分自身のスタジオを作ったらどうなるのか。ホプキンスは、まずは1993年にオフィス・キャンパスを、ぺテラと呼ばれる壁の装飾を活かした第2ビルと共に拡張。さらに1995年にガラスのレセプション・ルームを追加して、現在のスタジオに作り上げた。パイプやガラスを多用したデザインは、光があふれる彼の作品の特徴でもある近代的なフォルムの代表作。それぞれの建物は渡り廊下でつながっているので、「拡張の過程」を自分の目で確認し発見できる。
公共の建物なら普通に入れるが、個人の家にお邪魔する機会はなかなかないだけに、ツリー・ハウスはぜひ訪れてみたい。敷地を占領する古木にインスピレーションを得て設計されたこの家は、結果的に光があふれる場所となり、自然との共存というコンセプトを家中の至るところで発見することができる。この気持ち良い共生を体感すれば、 従来の家中心の建築方法に疑問がわき、ちょっとは頭が柔らかくなり、もしかしたら環境問題や新しい生き方に、おのずと目が開かれるかもしれない。

会員制のヨット・クラブと聞くと、それだけで敷居が高い。いかにもお金持ちが集いそうな、いかめしくて立派な建物を連想しがちだけど、現代アートの粋を集めたようなアルミニウムと木材でできたこのクラブは、かなりアートしている。ここから眺めるテムズはまさに絶景。桟橋と河や河岸とのコントラストも斬新、きっと新しい発見があるはず。今回はメインのクラブ・ハウスへの入場が可能で、メンバーと話せるチャンスあり。それにしてもヨットのオーナー達って、甲板でもクラブでもこんな良い思いしているんですね。
ミレニアム記念としてテムズ河岸に登場したロンドン・アイ。すっかり新名所として定着したその「輪」は世界最大級で高さは135メートル。普通の観覧車と違って、1つのカプセルに数十人が乗れて天井も壁も透明。さらにはカプセル内を自由に歩けるのも楽しい。昼間も良いけど、煌めくロンドンの夜景はとってもロマンチック。カプセルを丸ごと借り切って、プロポーズするのが大人気というのも確かにうなづける。RIBAアワードはもとより、1999年度にはマークス・バーフィールド建築賞も受賞している。
ハイド・パークの一角にあるウェリントン・アーチは、バッキンガム宮殿の門であり、ロンドンのランドマークとしても親しまれている。つい先ごろ修復が終了したばかりでもあるこの文化遺産は、建築家デシマス・バートンによって1830年に制作され、1882年に現在の場所に移された。リフトでバルコニーに登ると、ハイド・パークや国会議事堂が一望でき、その素晴らしさは登った人にしかわからないと言われる。頂上の彫刻はヨーロッパで最大の大きさ。アーチ内部にあるかつてのロンドン最小の警察署が公開される。
ピクルスに似ているからと「ガーキン(ピクルス用の若いキュウリ)」の愛称で著名なこのビル。一度見たら忘れられない姿に、一度入ってみたいと思った人は多いはず。総ガラス張りで40階建ての「キュウリ」が世界屈指の金融街にそびえる姿は、やっぱり異様。今回公開されるのはロビーと最上階。ガラスのドーム天井からはまぶしいほどに太陽光線が差し込み、雲が真近に流れていく。そんな場所からガラス・フレーム越しに見下ろす360度の下界は、いったいどんな眺め?2004年度RIBAアワード、 2003年フォスター・アンド・パートナー賞を受賞。
テムズ河に沿って発展したロンドンは、水力発電が発達したため、電気には不自由してこなかったと言われる。長らく人々の文化生活を支えてきたのが、1869年に建設された8角形のタワーを持つ初期の水力発電所のひとつである、ライムハウス蓄電タワーだ。今回公開される螺旋階段を登ってたどり着くオープン・バルコニーからは、カナリー・ドックと後方に広がる壮大な風景が楽しめる。37年前のロンドンと、どこが変わらず、どこが新しいかを、パズルを解くように、風に吹かれながら考えつつ眺めるのも一興だ。
これがイングランドとウエールズの最高法廷?とため息をつくほど美しいビクトリア・ゴシック建築の傑作は、弁護士から建築家に転身したジョージ・エドモンド・ストリートの設計に基づき1882年に完成したが、彼自身は完成を見届ける前に他界した。総部屋数1000、回廊が全長5.6キロという壮大さは、ちょっと類がないほどのスケール。裁判所なんて一生ご縁がないほうがいい、なあんて思っている人でも、建築を見るという理由があれば、堂々と入れるかも。メイン・ホールと限定された法廷数室などが公開される。
英国の田舎を車で走っていて、ダーク・カラーの木材と白い漆喰が美しい幾何学模様を描く家を発見し、入ってみたいなあと思ったことありませんか。文化遺産でもあるこの家にはかつて劇作家ウィリアム・ギルバートが住んでいたことがあり、建築家リチャード・ノーマン・ショーの「古き良き英国スタイルの田舎の家」の代表作の一つとしても知られている。英国らしい美しい庭も文化財に指定されており、池に映る建物と花々は、まるで絵のような世界。あの長寿連続ドラマ、イーストエンダーズのロケ地でもあります。
クラシックの巨匠とロックの神様……、ちょっと奇妙なこの取り合わせを一挙に体験してみませんか。目の前に立つのはバロック音楽の巨匠ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが1723~59年に没するまで住んだ家。そしてそのすぐそばには60年代後半、ギターに火をつけるなどの過激なパフォーマンスで一世を風靡し、「ギターの神様」と呼ばれたロック・ミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスが1968年から1年間暮らしたフラットが立っている。両方の建物を訪れて、異なる2つの偉大な音楽の才能が、時空を超えて同じ場所に引き寄せられた空気を、肌で感じてみてほしい。
公共図書館での無料配布





学生時代は政治活動には無関心で、自治会にも政治グループにも加わらなかった模様。学生時代の彼はそれよりも音楽活動を熱心に行っていたことで知られている。長髪を振り乱し、自身のバンド「The Ugly Rumours(醜い噂)」で演奏していたというから驚きだ。
学部時代の化学とはまったく異なる文科系の修士号も持っているという勉強熱心な彼女。ブレアとは対照的に、学生時代からオックスフォード大学保守党協会の会長を務めるなど、政治活動に熱心だったという。
人を食ったようなとぼけた表情がトレードマークのコメディアン、ローワン・アトキンソンも実はオックスフォード出身のインテリ。日本でも大人気の「ミスター・ビーン」の構想は在学中、何とたったの48時間ほどでつくり上げられたものなのだとか。
ちなみに卒業時の成績はセカンド(正確には2.2)。皇太子の成績までオープンになってしまうのはさすが英国。在学時にはドラマ・ソサエティに参加し、レビューやソロでの演技をたびたび披露、実は演劇関係に興味があったらしい。
女優としてだけでなく、脚本でアカデミー賞を獲得するなど、才色兼備ぶりを発揮しているエマ・トンプソン。在学中にはフットライト・コメディ・クラブの副代表を務めていた。1980年には、ケンブリッジ大学初の女性のみの舞台に、(共同)制作・演出、そして役者として参加している。
ブラックホール研究の第一人者として知られるホーキング博士。実は彼、オックスフォード(ユニバーシティー・カレッジ)とケンブリッジ(トリニティ・ホール)の両大学で学んでいた。学部時代はオックスフォード、博士課程はケンブリッジ。現在はケンブリッジ大学でルーカス教授職(数学教授)に就いている。
Michael Jeffersonさん
Ashminder Kaurさん
Marie Taborさん
Dominic Youngさん
Kate Steadさん

寄宿制である、というのも典型的なパブリック・スクールの特徴の1つ。下級生はユース・ホステルのような6人部屋を共有し、学年が進むと2人部屋、上級生になると個室が与えられる、といったパターンが多い。このため朝昼夜の食事の時間、放課後の観劇やコンサート鑑賞まで、ともかくグループ活動三昧となる。寮内での喧嘩も日常茶飯事だそうで、生徒たちはこういった修羅場を経て自分の意見を主張することと共にチームワークの大切さを学んでいくという。








15世紀にヘンリー6世によって設立された超有名校。これまでに19名の英国首相を輩出している。貴族の子弟が多く通い、エリートの象徴として君臨している。
イートンのライバル校と目されるロンドン北西部の男子校。「ハロ ー・ハット」と呼ばれる水夫がかぶるような制服帽子が有名。北京やバンコクにも分校を持つ。
イングランド南部ハンプシャー州に位置する男子校。同地区の主教を務めていた「ワイカムのウィリアム」初代校長のモットー「礼儀作法が人間を造る」が校訓。
ウエストミンスター寺院の真横に位置する名門共学校。カソリック教会付属の教育機関として生まれ、宗教戦争を生き延びたという長い歴史を持つ。
スポーツの「ラグビー」発祥の地として知られる共学校。サッカーの試合中に思わずボールを手で持ちゴールに駆け込んだエリス少年の伝説は余りに有名。
チューダー朝のイングランド王、エドワード6世とエリザベス女王1世が設立に関わった歴史を持つイングランド中西部の男子校。数年後に共学化を予定している。
ロンドン南西部郊外バーンズにて、テムズ河を見晴らす校舎を持つ男子校。ロンドンの観光名所でもあるセント・ポール大聖堂付属の公立学校として生まれた。
ロンドン郊外サリー州に位置する。授業料と寮費合わせて年間2万3955ポンド(約479万円)という、英国で最も高価な学校。近代サッカー発祥の地との説もある。
ロンドン郊外ノースウッド地区の男子校。かつてはロンドンの金融街シティに位置していため、同地区で大流行したペストからの被害を乗り越えてきた歴史を持つ。

ウェールズの歴史は長い。ウェールズ人の祖先であるケルト人は、遥か紀元前5世紀頃に鉄器文化を伴ってブリテン島に渡ってきたという。自然を信仰の対象としたケルト人は、ブリテン島全域で暮らし、音楽・詩など芸術をこよなく愛したと言われている。



カーディフが名実共にウェールズの首都となったのは、ウェールズに独立した議会が設置された1998年のこと。「市」となってからもまだおよそ100年ほどという、ヨーロッパで最も若い首都だ。もともとは産業革命時に、石炭や鉄を集積する港として栄えた町だが、現在ではカーディフ湾に面したお洒落なウォーター・フロントが建設されたりと様々な変化の波に乗っている。EU諸国から毎年選ばれる「ヨーロッパ文化首都2008」候補地ともなり、これからの益々の発展が期待できる都市。
カーディフの真ん中にそびえる古城。ローマ人やノルマン人が要塞として使用したという歴史ある城だが、17世紀以降は廃墟と化していた。1766年に石炭の輸出で財を成したビュート公爵家が購入し、現在の形に復元された。建物内部は悪趣味なまでに豪華絢爛だが、庭にはクジャクやアヒルが戯れ、のどかな雰囲気を醸し出している。
海岸沿いに建ち並んだパステル・カラーのカラフルな家、「ピアッツァ」と呼ばれる村の広場、ウェールズに突如として現れたイタリアの町のようなポートメーリオンはユニークな趣向の村だ。
エドワード1世が1295年に着工したが、途中で資金が底をついて工事が中止されたという未完の城。しかしながら、完全な左右対称のバランスや城壁の中に城壁があるという珍しい構造上、建築の観点から言って「最も完全な城」と称されることもある。世界遺産指定。




スノードン山頂上までの約8キロを1時間かけて登る観光用の鉄道。登山はしたくないが、ウェールズの広大なパノラマを見てみたいという人にピッタリ。辛い登りは列車を使い、下りはウォ ーキングという楽しみ方も可能。
ウェールズでの移動に便利
英国に住んでいると、世界中の国の人々と共に生きていることを日々実感するのでは。その中でもインドでは1947年の独立まで約200年間、英国の支配が続いた関係で、多くのインド人たちが英国に移住して暮らしている。彼らの歴史は21世紀の今日に至るまで、社会のあらゆる面において見ることができる。この特集では現在の英国社会においてインド出身の人々がいかに活躍しているのか、探ってみたい。
英国で生活をする上で必需品が欲しくなった時便利なのが、ニュースエージェント。コーナーショップとも呼ばれるこの種の店では、なぜかインド系の人達が店番をしていることが多い。これは偶然なのだろうか? 昨年、全国小売ニュースエージェント協会の会長を初のインド出身者として務めたメハンドラ・ジャデージャ氏に話を伺った。



8月11日(金)から公開される「カビ・アルビダ・ナー・ケーナ(英語タイトル:ネバー・セイグッバイ)」。それぞれ倦怠期を迎えている2組の夫婦。互いに全く面識のなかった彼らが、ある時、運命の十字路に迷うことに……
左)ヘンナで施した繊細なデザインが花嫁の手を彩る
いい香り!料理で使用されるスパイス。 






