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ロンドンのゲストハウス
So. 20. Okt. 2019

「平和革命 1989/90」展がスタート

5月7日、壁崩壊20周年に関連したベルリン市の記念行事で中心的な位置を占める野外展示が、アレクサンダー広場で始まった。テーマは「平和革命1989/90」。市民の主導で成功させ、壁の崩壊に導いた東ドイツの非暴力革命を700点もの写真と記録物で振り返る大規模な展示会だ。世界時計の近くの円形のパビリオンからいくつもの展示パネルが放射状に広がり、通りの両側に並べられた透明な金属プレートには、「われわれこそが人民だ」「非暴力」「民主主義と人権」など89年秋に東独市民がデモの際に基本理念として掲げた言葉が刻まれている。

この5月7日という日付は、象徴的な意味を持っている。20年前のこの日、東ドイツで5年に1度の統一地方選挙が行われた。ホーネッカー率いる社会主義統一党は得票率98%の圧勝と報じたが、開票結果に疑問を抱いたいくつもの市民団体が独自の調査によって開票集計の歪曲を暴いた。そのことが西側の報道を通じて東独市民の間にも広まり、党中央部への失望感は増大。以降、毎月7日には若者を中心としてアレクサンダー広場で抗議行動が起こるようになり、多くの人々は国を去る決心をした。東ドイツ終焉への序章となった日なのである。

展示は「出発」「革命」「統一」の3つの部分から構成されており、時系列に並んでいる。かなりのボリュームになるが、やはり順番に見ることをおすすめしたい。

第1部「出発」では、80年代の東ドイツのサブカルチャーや環境運動、ポーランドから始まった東欧の民主化運動などが詳しく紹介されている。東ドイツの環境汚染の実態を告発した市民団体の写真や、空爆直後のように荒れ果てたポツダム旧市街の街並みには衝撃を受けた。東ベルリンのシオン教会で続けられた「環境図書館」の地道な活動は、シュタージから圧力を受けるものの、その勇気ある行動が後へとつながっていった。

さまざまな伏線があった上で、第2部「革命」で89年の平和革命の年に至る。ここでは特に、写真が与えるインパクトが強烈で、壁崩壊に至る道筋がわかりやすく示されている。特に重要な出来事に関しては当時のニュース映像や市民がとらえた記録映像などが流れ、10月9日のライプツィヒのデモ、11月4日の東ドイツ建国以来最大の規模と言われたこのアレクサンダー広場でのデモの様子は、3D効果によって、まるで歴史の現場に居合わせているかのような臨場感と興奮を味わえる。

展示会場となっているアレクサンダー広場
展示会場となっているアレクサンダー広場

この展示会は、あくまで市民が実現させた平和革命という視点から構成されており、ドイツ再統一までの道のりを描いた第3部は、扱いがやや淡々としている印象も受けた。

この野外展示がすばらしいのは、11月14日まで24時間いつでも観覧できることだろう。展示は全て独英表記なので、観光客も大勢足を止めて見入っていた。小さな活動が積み重なり、いつしか巨大に膨れ上がった市民のエネルギーを体感できる野外展示だ。壁イヤー必見のひとつに数えられるだろう。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(ダイヤモンド社)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
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