Hanacell

クロムバッハー Krombacher

ピルスの王様

夏といえばビール。まあ、ドイツは夏でも冬でもビールですね。友だち同士で集まったら、どう元気?のあいさつもそこそこに、まずは乾杯。というわけで最終回は、「メイド・イン・ジャーマニー」と言ったらこれ、ビールで締めてもらいましょう。ご存知の通り、ドイツには地方それぞれに愛すべき地ビールがあり、みなさんのお気に入りもいろいろでしょうが、私がたまたま今日スーパーで買ったのがピルスの代名詞クロムバッハーだったという、ただそれだけの理由で、このメーカーを紹介することに決めました。ビール片手にお付き合いください。

ロートハール山岳地域の自然が育てたビール

クロムバッハーは、ジーガーラント(Siegerland)とザウアーラント(Sauerland)の境に位置する町クロムバッハ(Krombach)で生まれたビール醸造会社。この小さな田舎町は、ケルン方面などに向かう商人らが使った重要な街道沿いにあったことから、14世紀ころにはすでに人々の往来が盛んで、彼らの喉を潤すために、すでにその頃からビールの醸造が始まっていたといわれる。

そんな地の利と、ロートハール山岳地帯(Rothaargebirge)の豊かな自然を味方に付け、1803年にクロムバッハーが誕生した。1840年に入って産業革命の波が押し寄せると、醸造所はにわかに忙しくなり、町の居酒屋の数も急激に増える。工場労働者らが、1日の仕事の後に美味しいビールにありつこうと足しげく馴染みの酒場に通うようになったからだ。

クロムバッハーはこの時代に醸造所を近代化、生産量をぐんと伸ばす。「クロムバッハー」のシンボルマークが登場したのもこの頃だ。生まれ故郷の町との強い絆をアピールするため、町の名所である高くそびえたキンデルスベルク塔をモチーフにした。このマークは1908年に初めて採用され、それ以降、今日まで同社のラベルに使われている。

Krombacher
左上)中世の時代、すでにこの地方で始まっていたビール造り
左下)豊かな自然に囲まれた本社
右)同社のシンボルKindelsbergturm

友よ、クロムバッハーを飲もう!

二つの世界大戦が勃発し、一時は暗黒色に染まったビール産業だったが、1950年台から再建の時代を迎える。国民一人当たりのビール消費量も46年には25リットルとどん底だったのが、59年には91リットルにまで増え、クロムバッハーもその波に乗って急成長を遂げる。

67年は、同社にとって祝い事が二つある記念すべき年だ。一つ目は、年間生産量が初めて50万ヘクトリットルの大台に乗ったこと。そして二つ目は、いまや伝説ともなったコマーシャル「Freunde, lasst uns einen krombachern! 」が生まれたことだ。当時、他の大手醸造所の目が輸出用ビールの生産に向けられていたころ、クロムバッハーは逆に、地元からルール地方、そして全国へと地道に拡大させる経営方針を掲げていた。山の番人がビールグラスを持ってにっこり笑うこのコマーシャルは大当たりし、国民の注目を一気に引き寄せたのだった。

それから30年余りが過ぎた1990年には、同社の年間生産量は200万ヘクトリットルを上回り、今世紀に入るとその数字は500万ヘクトリットルを軽く超してしまう。連邦統計局の調べによると、2007年のドイツ国内におけるビール醸造メーカーの数は1302で、そのうち年間生産量が50万ヘクトリットル以上の大規模な醸造所は45社。昨年の生産量が640万4000ヘクトリットルに達したクロムバッハー社は、もちろんこの中に入っている。

Krombacher
右)1967年、生産量50万ヘクトリットル達成!
左)「Freunde, lasst uns einen krombachern!」

ビールは我々の情熱だ

ロートハール山岳地帯の中腹に、欧州でも1、2を争う最新設備を誇るクロムバッハー社の醸造工場はある。そこで造られるビールは、1516年に施行された純正令(Reinheitsgebot)にのっとり、岸壁から湧き出る軟水、質の高い二条大麦、それからくっきりした泡立ちと爽快な香りを保証する選りすぐりのホップという3大原料、そして同社のマイスターが独自に栽培する発酵酵母から成っている。

興味のある人には、同社の醸造所見学もオススメ。メーンである麦汁煮沸室、発酵室から瓶詰め作業まで、醸造の各工程をじっくり見て回ることができる。もちろん、見学が終わったらお待ちかねのビアホールへ。ヴェストファーレン地方の名産であるハムや黒パンと一緒に味わえる「Krombacher Dreiklang」をどうぞ召し上がれ。

ピルス部門では他社をぐんと引き離し、国内売上げナンバー1(2007年の市場占有率10.1%)を誇る「クロムバッハー・ピルス」。宝石のような黄金色に、爽やかな苦味が特徴的なこのビール、夏のバーベキュー・パーティーにぴったりです。Prost!!

Krombacher
左)同社が2002年から力を入れるアフリカの熱帯雨林保護キャンペーンには、人気司会者のギュンター・ヤウフ氏を起用り
右)看板商品「Krombacher Pils」、TVコマーシャルより

Foto: fotofotofoto.com

www.krombacher.de

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作