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Sa. 22. Feb. 2020

ドイツで迎える老後のお話 - 医学博士 篠田郁弥

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シニアWGの1日
“リンゴの皮を剥くか剥かないか”も大事なこと

柏原 誠

前回まで、様々な要介護者用のSenioren-Wohngemeinschaft (高齢者介護付共同住宅、以下シニアWG)についてご紹介しました。今回は、ベルリンのとあるシニアWGの1日をご紹介しながら、より具体的にシニアWGについて考えてみたいと思います。

このベルリンのシニアWGは、最大10人まで入居できるようになっており、部屋割りは1人部屋が4部屋、2人部屋が3部屋あります。私が訪れた際は、総勢8人の方々が暮らしていました。介護度はおおむね2~3度の人たちです。状態は千差万別で、寝たきりで応答のない人や不自由なりにも自立歩行が可能な人、認知症のため自立生活が不可能な人などです。

ここでの1日は、朝6時に早番スタッフが到着すると始まります。朝一番の早起きは70歳になるご婦人Aさんです。自分で洗面所で体を拭き、身支度を始めます。スタッフは、ほかの人のシャワーの準備や寝起きの悪い男性Bさんに声を掛けて回ります。やがて日勤のスタッフ2人が到着。1人は介護スタッフで、もう1人は家事担当です。家事担当は早速朝食の準備に取り掛かり、1人1人の好みに合わせて、パンやハム、果物などを食べやすい大きさに切って盛り付けます。パンの種類や、コーヒーなのか紅茶なのかどうかも重要なポイントです。介護スタッフは、パーキンソン病で寝たきりのご婦人Cさんのベッドへ。この日はCさんのシャワーの日でした。Cさんは自分では何もできませんし、反応もありません。しかし、シャワー後のすっきりとした表情は、心なしか喜んでいるように見えました。

それぞれの身支度が終わると、8時頃に朝食。寝起きの悪いBさんも起きて来て、部屋からリビングのテーブルに着くまで、皆に投げキッスで挨拶をします。一同が着席すると、一斉に「Guten Appetit!」。朝食後は、理学療法士や音楽療法士、美容師が来たり、親類が訪問することもあります。掃除担当スタッフも来て、午前中は賑やかに過ぎていきます。

昼食は1日のうちで唯一の温かい食事となり、グラーシュや肉詰めパプリカ、ジャガイモスープなど、典型的なドイツ料理が並びます。家事担当スタッフは、週末の食事の作り置きや3時のおやつの準備、さらに買い物や洗濯もしたりと大忙しでした。

午後になると、昼寝をする人やデイサービスに出掛ける人もいて、比較的静かになります。この時間を利用して、スタッフは各居住者のその日の記録をカルテに書き込みます。水分摂取量や排泄、行動などを記し、これが、医者に掛かったり、介護度の変更を申請するなどの際に重要な資料となります。また、介護保険の審査機関による抜き打ち検査もあるため、カルテの記入は気を抜けない仕事の1つです。

老後

午後3時はティータイム。スタッフも遅番に入れ替わります。ドイツ人のお茶は必ず3時、皆がそろって始まります。夕食は午後6時。パンとソーセージといった伝統的なドイツの夕食“Kaltes Essen” です。また、寝る前には多くの人がリンゴを食べます。リンゴの皮を剥くか剥かないか、一口大に切るか薄切りにするか、スタッフは全員のニーズに応えており、彼らの役割はとても大きいと感じました。スタッフは、それぞれの居住者の自立性を尊重し、生活をサポートしていました。

介護を受けるWGとはいえ、基本的には自分の住まいです。自宅で生活しているような気持ちになることが最大の課題と言えます。その人がそれまでどのような生活を送ってきたのか、その人の歴史を尊重し、生活環境を整えてあげることが、シニアWG運営者には求められているのです。

Illustration: ©31design / www.31design.biz

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期 日: 10月11日(土)、12日(日)
場 所: デュッセルドルフ市内
※詳細は、www.dejak-tomonokai.deもしくはwww.caravanmate.comをご覧ください

柏原 誠
シャリテ・ベルリン医科大学にて公衆衛生学修士号取得。現在同大学に研究員として勤務。ドイツ初のキャラバン・メイトとして活躍。介護での文化の違いを配慮することを目指す DeJaK-友の会会員(www.dejak-tomonokai.de)。
 

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