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Mi. 13. Nov. 2019

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

世界の歯科医療事情 - 中国・北京の場合

最近総務省が発表した統計によると、日本の人口は2009年(1億2800万人)をピークに8年連続で自然減少しており、このペースで推移すると25年後には2割減の1億人にまで減少すると推測されています。そのなかで大きな社会問題になっているのは、少子化による労働者人口の減少と高齢化社会による国力の低下です。一方、一人っ子政策で人口増加を抑制していた隣国の中国では、その効果もあってようやく増加の伸びが緩和されてきたものの、いまだに人口は14億超という世界一の人口大国。その中国でも今から心配されているのは一人っ子政策によってもたらされた少子化、そして相対的に起こっている高齢化社会なのですが、人口が自然減少また政策減少であっても、もたらされる社会問題は同じというのは皮肉なものです。

特に日中ともに直面している喫緊の課題は、高齢化社会に伴って起こる医療費の増加。人間は誰しも年を取れば、病気の治療や予防にかかる金額は、国の負担または自己負担にかかわらず上昇してしまいます。その点では、まだ日本では国が借金を抱えながらも多くの医療に関わる人たちの努力によって、国民が高度な医療サービスを享受することができる医療システムを維持しています。一方、中国は社会主義というだけあって医療も平等に受けられると思われがちですが、多くの中国国民にとって社会保障制度は「ほぼ無いに等しい」というのが現実で、医療も命も自己責任という厳しい社会のようです。

私事ですが、先月仕事で中国・北京に行く機会があり、「現在の北京歯科医療事情」について大変興味深い話を聞くことができたので、ご紹介します。中国の医療現場を支えるのは、主に政府や地方自治体が運営する公的病院で、実際に中国の医師・歯科医師の大部分がそこに所属。首都の北京では北京大学の影響力が非常に強く、特に北京大学歯学部病院は世界でも最大級の規模を誇ります。大学歯科病院は第1から第5病院まであり、総数2500人以上の従業員を抱え、診察する年間患者数はなんと160万人超。また毎日の来院数が5000人以上というから驚きです。しかもそれほど大きくない「中規模」の公的歯科病院でも、日本の歯科大学病院以上の大きさというのがいかにも中国らしいところ。

しかしそれだけの歯科病院があっても、まだ数千万人の北京市民の歯科医療のニーズに応えられていないのですが、それを補っているのが近年の医療規制緩和により増加してきたプライベート歯科診療所です(日本では大学病院と公立病院に付属している口腔外科以外は、ほぼすべての歯科診療所がプライベート)。

ただし開業には多額の資金が必要なため、プライベート歯科診療所の多くは個人・企業などの民間投資により設立され、裕福な中国人やビジネスで在中の外国人をターゲットにしている場合がほとんどです。前回のコラムでは欧州全体に歯科医院チェーン化が進んでいることを取り上げましたが、中国でも民間投資による歯科医療施設のチェーン化は急速に広がっていることが分かりました。世界的な趨勢を見ると、いずれ日本の歯科医療市場も同様の流れになるのではないかと思われます。

北京のとあるプライベート歯科医院の待合室(筆者撮影)北京のとあるプライベート歯科医院の待合室(筆者撮影)

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