instagram Facebookツイッター
ロンドンのゲストハウス
Mo. 22. Okt. 2018

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯科診療用の椅子について

今回は、歯科診療所に欠かせない「歯科診療用の椅子」についてのお話しです。これは、患者が診療時に座る椅子に、通常の歯科治療で使用する機器類を統合した装置で、一般的に「デンタルチェアユニット」と呼ばれています。

歯科用タービン(歯を削る機械)での治療や抜歯の記憶を思い出し、このデンタルチェアユニットに座るだけで心臓がドキドキし、歯がうずいてしまう人も多いことでしょう。

歯科診療用の椅子
1832年に登場した歯科診療用の椅子

歴史を振り返ると、患者がどこにでもあるような椅子に座って治療が行われた時代もありましたが、歯科用としてのチェアが初めて作られたのは1832年。英国人の歯科医師が角度調整の可能なフットレストやリクライニング機能付きのチェアを開発したのが始まりです。しかしその当時、主な歯科治療は虫歯の抜歯で、治療用機器もそれほど発達していませんでした。そのため、80年間ほどは「患者の姿勢を治療に合わせて変える」ことが目的の改良に限られていました。

1900年代に入ると歯を削る機械が開発され、歯科治療の幅も広がったことにより、従来のチェアでは対応が難しくなってきました。そこで生まれたのが、現在のデンタルチェアユニットの原型になる「座る・削る・道具を置く・口をゆすぐ」機能が合わさったシステム。その当時としては画期的な製品で、間を置かず日本でも国産品が次々と作られました。1950年代になると歯科治療機器の発達とともに、手動式だった機能が電動やポンプによって動くものに進化し、治療の際にも歯科医師の労力が大きく軽減するようになります。

しかし、機能が多くなって利便性が向上すると、それに比例してサイズも大きくなってきたため、日本の狭い診療所では新しいデンタルチェアユニットの使用が難しい場合も。そこで、それまでは欧米製品の模倣が多い傾向にあった日本の歯科機器メーカーは、日本の不動産事情やスタイルに合わせ、多くの機能をコンパクトにまとめたデンタルチェアユニットの開発を進めました。

世界でも日本のデンタルチェアユニットは「コンパクトで高性能」、またドイツ製品は「高級感があり機能性が高い」ことで有名ですが、自動車と同様に歯科機器の品質でも国民性が反映されています。

デンタルチェアユニット
現在、使用しているデンタルチェアユニット

さて、現在のデンタルチェアユニットの機能はどこまで進化しているのでしょうか?

チェアは人間工学を徹底的に分析した構造で、シンプルかつ高い安定性。システムのコントロールは全てタッチパネルで直感的に操作ができるようなっており、さらに複数の歯科医師に合わせたカスタマイズもできます。また、歯を削るタービンを回すためのフットペダルはワイヤレスになり、歯科医師の治療体勢に合わせて自由に移動可能。患者さんが口をゆすぐための水は自動的に消毒され、また適度な温度に調整することによって水温による知覚過敏を防止しています。

まだまだ進化が続きそうなデンタルチェアユニットですが、近年では歯科医師のほうが機能を覚えるのに精一杯!?

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Japan Airlines HIS ツアー
ドイツからのお引越しはグローバス・リロケーション バナー 日本メディカルセンター 習い事&スクールガイド バナー バナー

日本タウン誌・フリーペーパー大賞で英国ニュースダイジェストが受賞いたしました!
ロンドンのゲストハウス