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Di. 18. Sep. 2018

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯科矯正ってなに?!

患者さんと話をしていると「虫歯治療と違って、歯科矯正は何をするのかよく分からない」と言われることが多々あります。

確かに虫歯治療は細菌感染したところを削り、そこにプラスチックやセラミックなどの人工物を埋めて再び咬めるようにするという、理屈としては誰もが理解しやすい治療です。

ところが歯科矯正治療の場合、口の中に取り外し式や固定式などいろいろな器具を長い間使う必要があり、さらに定期的な矯正器具の調整も何をされているかよく分からないというのが実際のところでしょう。

しかし、なぜ歯科矯正が一般的な歯科治療とこんなにも大きく違うのかというと、一言で言えば「歯と顎を動かす治療」だから。

そんなことくらい知ってる! と思われるかもしれませんが、実は歯科矯正治療は一般的に考えられているほど特別なことをしているわけではなく、あくまでも誰もが持っている生体反応を利用しているだけなのです。

「 昔は前歯がもっと真っ直ぐなはずだったのに、 いつの間にかガタガタになってきた」という経験はないでしょうか。これは咀嚼(そしゃく)や歯ぎしり、舌や頬の筋肉、また加齢などによって歯や顎骨が変化した結果。歯科矯正治療をしなければ動かないと思われている歯も臓器の一部で、実は一生を通して常に動いているのです。


 レントゲン撮影の様子
歯科矯正治療の一例

すでに古代ローマでは、「歯の位置を指で押すことによって整列させる」という記述が残っており、実際に歯数本だけの小さな移動であれば、割り箸やアイスキャンディーに付いている木の棒で毎日歯を押すことによって移動させることが可能です。

また、歯の動き方や反応は年齢や状況によって異なるものの、歯科矯正治療は健全な歯さえあれば幅広い年齢層で可能です(当診療所での歯科矯正患者さんの最高齢は78歳)。

歯科矯正には歯の動きのほかに、「顎骨の成長コントロール」という一般歯科治療とは異なるもう一つ重要な要素があります。これは主に成長期にある子供の治療で、顎骨が何らかの原因で過不足があった時に、矯正器具(一般的に取り外し式)で子供の顎骨成長を促進してあげるものですが、この治療も歯の移動と同様に、本来誰もが持っている成長のポテンシャルを利用するもの。

顎骨の成長の度合いや形は遺伝的な影響(先天性)を強く受けますが、それと同時に口腔周囲の筋肉にも大きく左右されます。

特に幼少期から口呼吸のクセがついている人は、顎の成長が阻害されて歯並びがガタガタになったり、上顎前突(出っ歯)や下顎骨の後退が起こることが多くあります。

舌の位置

本来、舌の位置は上顎のアーチ部分全体を風船が膨らむように圧迫していて、その力(約500グラム)が上顎全体を大きく成長させる大きな要因になります。上顎が十分に大きければ、下顎も上顎に合わせて成長することになるのですが、口呼吸の人は舌の位置が下方または後方にあるために上顎に十分な力が加わりません。その結果、上顎が狭くなって下顎の成長にも悪影響を及ぼすことになります。

次回のコラムでは、どのような装置を使って歯列を矯正するかについてお伝えします。

 
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