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So. 17. Nov. 2019

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

スポーツ用のマウスガードについて

ボクシングなどのコンタクトスポーツではよく知られている、歯や口の中のケガを予防するための「スポーツ用マウスガード」。かつてはごく限られたスポーツでしか認知されていませんでしたが、近年では歯だけでなく顎関節障害や脳しんとうなどのリスクも下げると期待されていることもあり、使用者が増えてきました。実際にマウスガードの効果は非常に高く、スポーツ活動中の装着で口腔外傷のリスクを80~95%も下げることが分かっています。

一般的に歯や口のケガをするスポーツというと、ボクシングや空手など直接相手と接触するものだけと思われがちですが、実はバスケットボール、野球、サッカー、バレーボールといった身近なスポーツでも口腔外傷が多く発生しています。また本格的なスポーツ活動だけでなく、小中高校の体育の授業でケガをした学生の62%に歯の破折や脱臼(歯が正常な位置からずれたり、抜け落ちたりする)が含まれているとの報告があるほど、運動時の口の中のケガは頻繁に起こっているのです。

さて、多くのスポーツ分野でマウスガードが推奨されているのは、もちろん「口腔器官のケガの予防」のためですが、実はその背景には経済的な理由も大きく影響しています。

映画やマンガなどで「顔を殴打されて奥歯が抜けた」というシーンを見ることがありますが、現実にはそのようなことはほどんどなく、抜けてしまう歯の9割は上の前歯です。歯のケガには唇や粘膜の裂傷も伴いますが、軟組織は傷が深くても消毒と縫合がしっかりしていれば時間の経過とともにほとんどきれいに治癒します。ところが歯の場合は一度折れてしまうと元通りにくっつくことはなく、また抜け落ちてしまった歯は運よく元の位置に戻せたとしても寿命はかなり短くなるため、スポーツによる歯の外傷では上の前歯が抜け落ちてしまうケースが多いのです。

そのような場合には、歯が欠損している部分の骨にチタン製の歯科用インプラントを打ち込み、そこに隣接した歯と調和したセラミックの歯を被せることになります。また前歯は見た目も大事なので、審美的にも満足できるような人工歯の作成には高い技術が求められます。

ドイツでは1本の前歯につきトータル(インプラントとセラミッククラウンなどすべて含む)で3500~4000ユーロほどコストがかかりますが、スポーツによる歯の外傷は複数本になることが多いため、実際の治療費はさらにかさみます。しかし、せっかくきれいに治療した歯も、また運動中にケガをしてインプラントの歯を折ってしまえば再び手術をすることに。特にプロのスポーツ選手は常に口腔外傷のリスクにさらされているため、サッカーチームも選手の医療費を抑制するために(義務ではないものの)マウスガードの着用を推進しています。

マウスガードは大きく分けると「市販」のものと、歯型を取って歯科医院で作製する「カスタムメイド」の2種類があります。カスタムメイドは200~300ユーロ程かかるものの、それに見合った高い品質と機能性があります。一方、市販品は20ユーロ前後と非常に低価格ですが、性能はカスタムメイドと比較するとかなり見劣りします。スポーツ事故が起こって、健康とお金を損なう被害を考えると、カスタムメイドは値段以上の価値があるでしょう。

スポーツ用マウスガードのイメージ
スポーツ用マウスガードのイメージ

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