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Mi. 26. Jun. 2019

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

歯ぎしりの問題について

「上下の歯が擦れて、次第に歯が削れてきたかも?」そう感じたら原因はほぼ間違いなく、歯と歯を強い力ですり合わせる「歯ぎしり(ブラキシズム)」です。歯が削れる原因は、食事でよく噛むからではないかと思われるかもしれませんが、食べ物を咀嚼(そしゃく)する際には上下の歯の間に食べ物が介在するため、歯同士が直接当たることはほとんどないので、食事によって歯が削れるということはありません(詳細はドイツニュースダイジェストNr.1046を参照)。

「今まで誰にも指摘されたことがないから、歯ぎしりはしてないだろう」と考える人も多いのですが、程度の差はあれど、実はほとんどの人がブラキシズムをしているのです。

一般的にブラキシズム活動は睡眠時に起こりますが、そのパターンは歯を左右に大きく擦り合わせたり、垂直的に食いしばったりなどさまざま。なかでも歯の角度やタイミングが合ったときにあのギリギリという嫌な音が発生し、家族から「歯ぎしりしてる」と指摘されることになります。しかも、ブラキシズムの強さは平方センチメートル当たり100㎏を超えることもあるほど、大きな力なのです。

しかし、ブラキシズムは一般的に睡眠中に起こるため自覚はほとんどなく、朝起きたときに顎の筋肉がこわばっていたり、歯がジンジンとうずくことで、歯を食いしばっていたことに気が付くこともあります。

ブラキシズムは昔から歯科医療の現場で、歯や歯肉にダメージを与えたり、せっかくつくったクラウンを破壊してしまったり、また顎関節障害や頭痛などを引き起こす原因として、認識されていました。

そのため、以前は「どうやったらブラキシズムを止めることができるのか」という観点から、顎を固定させるためのさまざまな装置の考案が試みられてきたものの、残念ながらそれらが成功することはありませんでした。というのも、ブラキシズム自体は顎の筋肉の活性なのですが、その筋肉に働きかける命令は自律的に脳から出ているものだからです。

15年ほど前から機能的磁気共鳴断層撮影装置(fMRI)などの機器を使ったブラキシズムと脳の研究も少しずつ明らかになり、現在では、ブラキシズム対策は「止める」のではなく、「力をコントロールする」という考え方にシフトしてきました。

ブラキシズムが発生する要因は未だにすべては解明されていません。しかし、ストレスが増えることによってその強度や時間が増大したり、細かいことに悩んだりしやすい性格の人がブラキシズムの強い傾向にあったり、歯並びの悪さがブラキシズム時の筋肉活性を上昇させることもあります。

ブラキシズムによって擦り減った下の前歯
ブラキシズムによって擦り減った下の前歯

特に駐在などで生活する在独邦人で、「ドイツに来てから歯や顎が痛くなったり、詰め物が取れるようになってきた」という人は、気が付かないうちに海外生活のストレスを溜め込んでいる可能性があるので要注意。

一般的にブラキシズムは睡眠時に起こることがほとんどなのですが、場合によってパソコンの前でずっと仕事をしていたり、テレビを観たり、車の運転中など日中でも1人で活動している際など知らないうちにブラキシズムをしている人も一定数存在します。

ブラキシズムの対応策としては、「歯ぎしり用マウスピース(Kniescherschiene)」の使用が第一選択です。誰にでも起こりうるブラキシズムによる歯や顎の問題、気になる人は一度かかりつけの歯科医師に相談することをおすすめします。

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