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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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75両親の「万が一」に備えて

海外に住んでいると、日本にいる親族に何かあったときが一段と大変です。急遽、高額なフライトチケットを購入して、一時帰国しなければならないこともあるでしょう。そのためには、普段からお金を確保しておかなければなりません。万が一のことが起こってもパニックにならないよう、想定し得るさまざまなことに備えておくことが大切なのです。

例えば親が亡くなった場合に、相続関係が決まるまでは、資産が凍結されてしまいます。早急に相続人全員の合意が得られないと、残された配偶者の生活にも支障がでる可能性が考えられます。特に、家族が海外に点在していたり、連絡のつかない親族がいると余計に時間がかかってしまうので、予め備えておくことが重要です。

最も困ることが、認知症など判断力を失ったために存命であってもその財産や銀行口座が凍結されてしまうこと。そうなると配偶者や子どもであってもその財産に手をつけることはできません。遺書を用意していたとしても、生きているうちは相続がなされないので、やはり手をつけることはできません。普通預金はカードや暗証番号が分かれば、引き出しは不可能ではありませんが、定期預金を解約したり、証券や不動産の売却などはできません。そうなると介護に必要なお金を捻出できなくなることも想定されます。認知症の場合、ケアに必要な年数は平均7〜8年と言われていますので、その間は凍結されたままになってしまいます。

「家族信託」制度が最適

このような問題を防ぐには、親の判断力がある間に「家族信託」という制度を利用すること。これは本人と家族との契約で、もし本人が認知症になった場合に、財産の管理や売却などを家族が行うことを許可する制度です。財産管理をする上で、相続税や贈与税はかかりません。

家族信託を行うためには、認知症になってしまってからでは遅いので、その前に親族と対話を始めなければなりません。実はこれが大変で時間を要するもの。多くの場合、親族が「まだ、大丈夫」と協力してくれないことも想定されます。とは言っても、親は子に迷惑をかけたいとは思わないはずなので、早めの相談がおすすめです。

海外に住んでいると対話する時間を十分に確保することがなかなか難しいので、普段からコミュニケーションの機会を設け、一時帰国の際に話が具体的に進められるよう計画しておきましょう。

家族信託契約を結ぶことができなかった際は、後見人制度を利用することになります。ただし、家族信託と違い家族が自分たちの意思で自由にお金を使えるわけではありません。親族が後見人になれるとは限らず、第三者である弁護士や司法書士が後見人に指定された場合は、彼らが通帳やキャッシュカードなどを管理します。介護のためなど、裁判所の許可が出る目的にしかお金を使えません。もちろん目的に合致すれば不動産の売却も可能です。

後見人制度はこのように手間と時間がかかる上、後見人に対する報酬もかかります。対象となる資産が5000万円だった場合、後見人の報酬は月約5万円。年間で60万円、8年では480万円もの費用がかかるのです。基本的には途中で後見人制度を解除することはできません。家族信託の契約締結にかかる司法書士や公証人費用の合計は、資産5000万円の場合で100万円ほどですから、数年に渡る期間になれば後見人制度よりもはるかに安く済みます。

以上のような理由から、万が一に備えておくことがいかに重要かをお分かりいただけたかと思います。両親が健在の場合、2人分の遺言書と家族信託を用意しておけば、親も子もお互いに安心です。

 
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