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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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銀行預金はリスク大!?

4 銀行預金はリスク大!?

早速ですが、今回はまず問題提起から始めたいと思います。①1万ユーロを貯蓄口座に入れ、1%の利息で25年間預けた場合、お金はどのくらい増えるでしょうか? ②3%のインフレーション(物価上昇)が続くと、物価は何年で2倍になるでしょうか?

①の場合、1万ユーロは25年後に複利効果で1万2824ユーロとなり、利息で30%近くも増えます。しかし、お金は本当に増えたと言えるのでしょうか? その答えを考える前に②の問いを見てみましょう。インフレ率が3%の場合、複利効果が付き、約24年後に物価は2倍になります。「24年とは、意外に早い」と思われましたか? ①の問いに答えるには、インフレ率を考慮する必要があります。②のように、約3%のインフレ率で25年後に物価が2倍になったとします。その場合、貯蓄開始時点では1万ユーロで買えたものが、25年後には2万ユーロを支払わなければ買えない計算となります。つまり、たとえ利息で30%弱お金が増えたとしても、購買力はその間に0.64倍と36%も落ちることになり、同じものを買うことができないのです。

実際、2013年現在のドイツのインフレ率は約2%で、中長期的には3%を超えています。ユーロ通貨の導入後、物によっては価格がすでに2倍になっているということは、皆さんもご存知でしょう。1970年代には1杯0.80マルク(0.41ユーロ)だったコーヒーの値段は現在2ユーロ以上で、25年後には4ユーロを超えているかもしれません。同じく当時、約1万マルク(5112.92ユーロ)だったフォルクスワーゲンのゴルフの値段は現在約1万7000ユーロ。25年後には3万4000ユーロを超えることになるのです。

物価の推移

「とりあえず銀行に預けておけば、元本は保証されるのでリスクはない」と思っている人は少なくありません。しかし、銀行の利息はインフレ率よりも低いので、銀行に貯蓄しておくだけでは、お金は確実に目減りしていきます。皮肉なことに、リスクがないと思っているところに確実なリスクが潜んでいるのです。

ドイツでも日本でも、右肩上がりで経済成長が進んだ時代には、あまりお金のことを考えなくても豊かな生活を享受できましたが、残念ながらそのような時代は終わりました。ドイツや日本は豊かである(であった)がゆえに、お金に対する意識が低いとも言えるのではないでしょうか。

スポーツや習い事で自己を向上させたいならば、ルールを知り、先生から学び、繰り返し練習することが大切ですよね。それと同様に、これからの時代、自分や家族が安心して充実した生活を送るためには、お金のルールを知り、自ら意識して運用することが必要なのです。お金のルールには、前回ご紹介した「複利」や今回の「インフレ」、またリスクとその回避方法など、一般的なルールもあれば、年金や保険・助成金・税金など、各国の制度によって変わって くるものもあります。次回からは、それらについてお話ししていきますので、これを機会にお金について真剣に知ろうと思い、また実際に学んでいただければ幸いです。


 
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