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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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銀行に騙されるな

35 銀行に騙されるな

銀行の普通口座(Girokonto)にある程度のお金を入れていると、銀行から電話がかかってきて、「今は低利子なので口座に入れておいてももったいないですよ。もっと良い貯蓄方法をご案内しますから一度支店にお越しください」というようなお誘いを受けたことはありませんか? 銀行が親切に相談に乗ってくれると思って予備知識もなく出向くと、銀行にとっては願ってもない上客になっていたということになりかねませんので、注意が必要です。

銀行が売りたい商品と、自分に合った商品は違う

このような場合、大抵は投資信託(Fonds)というものを勧められます。投資信託自体は初心者の投資手段として決して悪いものではないのですが、銀行はその手数料を収入としています。そのため、銀行が売りたいものは基本的に手数料が高い商品なのです。手数料のほとんどかからない商品もありますが、もちろんそれを勧められることはありません。

また、貯蓄型の方がその人に合っている場合でも、一括購入を勧められます。なぜかというと、例えば1回の接客で1万ユーロ分の投資信託を一括購入してもらえた場合、一定割合の手数料が一度に収入として入るからです。毎月100ユーロを投信に積み立てる貯蓄プランでは、不景気なニュース(中国経済の先行きが怪しいとか、株価が下がったとか)に影響を受け、顧客心理が変わってしまい、数カ月後には解約されてしまうかもしれません。

投資の基礎知識は現代の一般教養

また、セールスの経験のある方はよくご存知だと思いますが、銀行員はプロのセールスコーチのセミナーを受けて、顧客心理を勉強し、お客さんがこう言ったらこう切り返すという接客ロール・プレイングをし、トレーニングしています。ですから、「投資なんか怖いから絶対にしません」と言っているような方が、優秀なセールスマンにかかれば「だからこそ、今がチャンスなのです」などと言われ、逆にころっと購入を決めてしまったりします。普段の買い物では少しでも安いものを探すような人であっても、知らない分野になると思考が停止してしまい、高額な商品であるにも関わらず不思議なくらい安易に決めてしまうことがあります。そのような方から「なぜ私はあの時サインしてしまったのだろう?」と後から相談を受けたことも。

投資をする人はもちろんですが、しない人こそ、投資の基礎知識を持っておくことが大切だと思います。自分は投資をしていないし、そういう話があれば全て断るから大丈夫と、お考えであっても、現代社会を生きていれば、投資と縁を切ることはできないのです。国の年金も個人年金も、お金はどこかに預けて運用されているわけですし、銀行は預けているお金を運用して利ざやを稼いでいるわけです。銀行預金しかしないとしても、利子の複利効果を知り、小さな利子でも長く置いておけばお金が増えることを知れば、貯蓄に対する考え方が変わるでしょう。「ドルコスト平均法」(価格変動リスクを抑える投資手法の一つで、定額を一定期間継続して投資する)を知っていれば、まとまった日本円をユーロに換金したいときにもその知識は生きてきます。

そしてリスクとリターンの関係や、リスクの分散方法を知ることは、お金のことに限らず、人生のいろいろな場面で役に立つでしょう。また、そのようなお金の知識は学校では教えてくれませんから、子供が自分で判断できるように情報提供してあげることも大切だと思います。まずは、今回のコラムの中によく分からない言葉があれば、ぜひインターネットで調べてみてください。

 
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