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ロンドンのゲストハウス
Sa. 24. Aug. 2019

Nr. 23 発言力、尊重し過ぎて私語ばかり?!

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前回は発言力を重視するドイツの教育についてお伝えしました。テストの評価が良くても、授業中に手を挙げて意見しない子の成績は上がりません。先生から、学習態度の面で不十分だと見られてしまうからです。自分の意見を表明する。これはドイツの教育においてとても重視されるポイントです。ところが、「それで大丈夫??」と思えることもあります。たとえば、私の娘が現地小学校3年生の頃のことです。

「授業中に先生の声がよく聞こえない」と、現地校に入学した当初からずっと、耳にタコができるほど娘はそう言っていました。授業中に発言する子が多いので、後ろの席にいる場合には先生の声が聞こえないと言うのです。話をよく聞くと、教室を歩き回る子もいて、私語もかなり飛び交っているようです。

ドイツで子育て&教育相談所
イラスト: © Maki Shimizu

そんなある日、席替えがありました。くじ引きで2カ月ごとに席が変わるのですが、この時娘は最前列の席に座ることになりました。「今度は先生の声がよく聞こえるんじゃない?」そう言ってみると、娘は首を横に振りました。「どうして?」「だって周りがうるさいから先生がすっごく大きな声で話すの。そのせいで耳がジーンって痛くなるよ」。もしそれが本当ならば、そのうち耳鼻科にいく羽目になるかもしれない。私は心配しながらも、実は娘の教室の様子が想像できていませんでした。むしろ娘が少し大げさに話しているようにも思えました。ところがその後すぐ、私はその事実を目にする機会に直面したのです。

私は、娘が忘れた水筒を届けるために小学校へ行きました。どの教室もドアが閉まっているので、授業中なのでしょう。次のチャイムが鳴るまで廊下で待っていようと考えながら、娘の教室の近くまでやって来ると、中から悲鳴のような子どもの声が聞こえてきました。ドアの前に立つとかなり賑やかな笑い声が響いてくるので、たぶん先生が教室にいないのだろうと推測し、教室のドアを開けました。

ドイツで子育て&教育相談所
イラスト: © Maki Shimizu

私はそのときに見た光景を、今でも忘れられません。教室は授業の真っ最中。年配の女性が力の限りに声を振り絞って何かを話していますが、それはよく見るとドイツ語の先生でした。数人の男の子たちが教室を走り回り、娘の姿は見えません。前列で8人くらいの女の子が笑顔で集まっているのが見えます。娘はその輪の中で、椅子に座って笑っていました。

「走るのはやめなさい!!」

先生は怒鳴っていましたが、子どもたちには届いていません。この教室の音量は幼稚園の休み時間を上回っているなと思い、同時に“学級崩壊”という言葉が頭をよぎりました。結局、あの授業はグループワークをしていたのだと先生から聞きましたが、その後の保護者会では騒がしい授業のことが議題となりました。

「教室に“騒音計”を取り付けたらどうか?」これは5年生の保護者会である父親から出た提案です。騒音計を設置して教室内の声が一定のレベルを超えると警報が鳴る仕組み。警報によって子どもに自粛を促す。「それは素晴らしい案だ」と、その費用をどう捻出するかというところまで話は進みましたが、結局は実現しませんでした。しかし教室に警報機を付けようだなんて……。「ピーピー」と警報が鳴ればおとなしくなる子どもたちなのだろうか。発言力というのは、一昼夜では育たないものだとは思いながらも、発言を野放しにしているあの自由過ぎる雰囲気はいかがなものか?! この現象について、次回も考えてみましょう!

 
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ドイツニュースダイジェスト編集部
Fax: 0211-357766 / Email: info@newsdigest.de

内田 博美
東京都出身。国立音楽大学卒業後、横浜国立大学大学院で教育学を学ぶ。2000年に渡独。ミュンスター大学で音楽療法士の資格取得。現在、教育関連の仕事と思春期の子育てに奮闘中。
Maki Shimizu
芸術家・イラストレーター 。 WEB: http://makishimizu.de/
関連リンク: 輝け、原石たち - 清水麻紀さん (10 Juli 2009 Nr.773)
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