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Di. 22. Aug. 2017

第21回 日独租税協定の改正

国際税法では、納税者が二つの国で収入を得ている場合、一つの所得が納税者の「居住国」と「源泉地国」(収入が発生した場所)の両方で課税されることを回避するため、二重課税に関する協定(Doppeltbesteuerungsabkommen)を発効しています。ドイツと日本の間でも、すでに長年にわたって二重課税に関する日独租税協定が施行されており、今年1月1日には改正後の新協定が発効されました。今回は、その概要をご紹介します。

1)総則

日独租税協定は、両国の国内税法とは関係なく、納税者の二重課税を回避する目的で合意された二国間条約です。海外で経済活動を行う個人や企業を過度に制限しないよう、課税権(Besteuerungsrecht)について二国間で合意するわけです。

所得税納税の原則は「全世界所得課税」、つまり納税者が全世界で得た所得の全額に対する課税です。二国間租税協定は、納税者の居住国が複数である場合に、まず、この者をどの国の居住者として扱うかの指針となります。居住国が確定したら、この者の納税義務を全世界所得課税原則に照らして確認します。納税者の収入が一つ以上の国で発生している場合には、二国間協定が適用されます。この経緯を経て、居住国と源泉地国のどちらが課税権を行使でき、他方の国でどのような免税措置が可能であるかが決定されます。

2)課税権の原則

企業利益は、原則的に企業の所在地で課税されます。事業が多国間にわたっている場合には、「恒久的施設」(Betriebsstätte)という概念が重要になります。「恒久的施設」は、それが存在する国で納税対象とされるからです。

納税者が被用者である場合には、被用者が住んでいる国だけで課税されます。唯一の例外は、被用者が他方の国で実際に勤務を行った場合です。この場合の給与は、第二国でも課税されることになります。

不動産賃貸による収入は、その物件がどこにあるかが決定要因となるので、物件が存在する国が課税権を行使します。

3)二重課税を回避するための措置

二重課税を回避するには、基本的に二つの方法があります。一国で最初から所得が非課税とされるか、納税者が一国で納税した所得税が他国での納税額査定の際に算入されるかです。

日本が居住国である場合には、後者の方法が適用されます。つまり、ドイツでの納税額は、日本での課税額から差し引く形で減免されます。

ドイツが居住国である場合には、二重課税回避は次の二つの方法で実施されます。

基本的に、日本に課税権がある所得は、全世界所得課税の原則適用から除外されます。この場合の所得は、いわゆる「累進性の留保 」(Progressionsvorbehalt)という考え方に即して、個人の税率を調整します。

また、以下の項目の所得については、日本で徴収された所得税をドイツでの査定時に算入する方式で、二重課税を防ぎます。

● 配当
● 売却益(不動産、会社株など)
● 企業監査役としての収入
● 芸術家やスポーツ選手の報酬
● 年金手当

4)新日独租税協定

改正後の新協定では、配当金、利子、使用料(ロイヤルティー)の3項目で、源泉所得税の大幅な減免が行われています。従来は、配当金の発生した国が一括10〜15%の源泉税を徴収しており、源泉徴収の免除証明書(Freistellungsbescheinigung)があれば課税を回避することが可能でした。しかし、証明書がない場合には、必要書類をすべて揃えて確定申告するしかありませんでした。

新しい協定では、利子と使用料については従来10%だった源泉税が0%、つまり免除になりました。源泉地国で自動的に徴収が行われることはなく、利子と使用料への課税は居住国でのみ行われます。

配当については、従来の限度税率は15%でしたが、今後は税率が納税者の持株比率と資本参加期間によって段階分けされ、これに応じて税率軽減または課税免除が行われます。配当受益者が18カ月以上にわたって一企業の議決権(=株式)の25%以上を所有していた場合には(企業間の「適格株式保有」)、源泉税は免除されます。配当受益者が6カ月以上にわたって同議決権の10%以上を所有していた場合には(企業間の「一般株式保有」)、源泉税は5%に軽減されます。ただ、上記の条件のどちらも満たさない場合には、公開株式とみなされ、以前と同様に15%の源泉税が徴収されます。

5)まとめ

以上が新しい日独租税協定の概要ですが、在独日系企業にとっては、「恒久的施設」の概念や、グローバル組織としての納税義務などの点で疑問が生じるかもしれません。その際には、弊社のコンサルティングサービスをどうぞご利用下さい。また、ドイツ財務省の公式サイトでは日独租税協定の日本語版全文が公開されていますので、こちらもご参照下さい。

(筆者:税理士ファブリス・ベーナー)

RinkeRINKE TREUHAND GmbH
リンケ・トロイハント会計税理事務所

ジャパンデスク
担当:田中
www.rinke-japan.de
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