脱税でバイエルン会長に懲役3年半
自己申告考慮されず、執行猶予なし
ミュンヘン地方裁判所は13日、サッカー・ブンデスリーガの名門クラブ、FCバイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長(62)の脱税に関する裁判で、被告に懲役3年半の実刑判決を言い渡した。ヴェルト紙が伝えた。
ヘーネス会長は2001~06年に掛けて、スイスの隠し口座の金を使って株式投資を行っていたが、大きな損失を出してからは投資から手を引いていたという。しかしこの隠し口座の発覚を恐れて2013年1月、税務署に脱税を自己申告。同年3月には検察の捜査が自宅に入り、ヘーネス会長自身に逮捕状が出されたが、多額の保釈金を支払って釈放されていた。
ヘーネス被告の脱税総額は、2850万ユーロと見られており、検察は巨額であることを重くみて懲役5年を求刑していたが、ハインドル裁判長はこれを却下。被告自身が罪状を認め、自白していることが考慮されて厳罰は回避されたが、被告の自己申告による脱税額が実際の額を大きく下回っていたことなどから、自己申告を受けての減刑措置は取られず、懲役3年半で執行猶予なしの実刑判決となった。ヘーネス被告の弁護人は被告の自己申告を踏まえて裁判の中止、または執行猶予処分を求めていたが、今回の判決を受けて上告を見送ることを発表。へーネス被告はバイエルン会長職の辞任を表明した。
ヘーネス被告の判決に、有名人としての特別措置が取られなかったことについて、バイエルン州のゼーホーファー首相(キリスト教社会同盟=CSU)は「衝撃を受けている」とコメント。一方、社会民主党(SPD)のシュテーグナー副党首は「ミュンヘン地裁の判決は正当」と発言。緑の党のホーフライトナー院内総務も「まったく正しい判決」、左派党のヴァーゲンクネヒト副党首は「今日は法治国家にとって非常に良い日となった」と述べた。
過去に多額の脱税で有罪判決を受けた有名人には、02年に懲役2年と罰金50万ユーロの判決を受けた元テニス選手のボリス・ベッカーがいる。このほか、1997年には元テニス選手シュテフィ・グラフさんの父親でマネージャーでもあったペーター・グラフが、懲役3年9カ月の実刑判決を受けている。