ドイツワイン・ナビゲーター


持続可能なワイン

10回にわたり「ワインと食の合わせかた」というテーマで、 古代から現代までのさまざまなワインと食の組み合わせをご紹介しました。参考になることも、ならないこともあったと思います。ワインと食事の組み合わせは、自分の好みとフィーリングがすべてです。好みのワインに出会い、食事時に味わううちに、自然に選べるようになっていくことと思います。

最近ではビオワインがすっかりおなじみとなり、ユーロリーフ・マークが付いたビオワインを選ばれる方もいらっしゃると思います。特に意識していなくても、好みのワインがビオの造り手のものだった、というケースも度々あることでしょう。ビオワインの栽培面積は、過去6年の間に3%増え、全体の8%を占めるまでとなり、さらに増加中です。世界には、認証を取っていなくても、可能な限りビオを実践している醸造所もたくさんあります。近年では、ビオ認証の有無にかかわらず、多くの醸造所が、持続可能なワイン造りを目指すようになっています。ドイツでは、2013年に「Fair and Green」という持続可能なワイン造りを目標とする醸造家団体が誕生しています。

持続可能なワイン造りにおいては、農薬散布量を減らすことが大きな課題の一つです。散布を減らすことができれば、畑にトラクターを入れる回数が減り、CO2排出量も減ります。土壌も生きかえり、農薬を散布する人の健康も守れるほか、農薬も労力も少なくて済むためコストの削減にもなります。栽培が困難で人手が足りない急傾斜の畑を維持することも可能です。

農薬投入量を大幅に減らすことができるのがピーヴィー品種*です。ピーヴィー品種は、2012年の記事でご紹介したように(926号)、ブドウの大敵である複数のカビ菌に耐性があり、場合によっては農薬散布量を80%まで減らすことができる新交配品種です。条件が良い年であれば、いずれかのカビ菌に対する農薬がゼロで済む場合もあります。

ピーヴィー品種は、カビ菌に耐性のある米国品種やアジア品種とヨーロッパ品種の交配によって生まれます。品種改良が進むにつれ、より現代人の嗜好に合う味わいのものが登場しています。ドイツの複数のワイン研究所では、抵抗力が強く、しかも美味しいワインができる品種を生み出そうとしているのです。

2012年当時、ピーヴィー品種のワインといえば、赤のレゲント、白のヨハニーター、ブロナーに時々出会うくらいでしたが、現在では品種も多様になり、味わいも良くなっています。レゲントを生んだユリウス・キューン研究所からは、白のカラルディス・ブランやカラルディス・ムスクなどが、 ヨハニーターとブロナーを生んだフライブルク・ワイン研究所からは、白のソヴィニエ・グリとムスカリス、赤のモナルヒなどが登場しています。

数年前から、人気が上昇しているのが白品種のカベルネ・ブランです。ネーミングも良く、栽培醸造所は着々と増えています。カベルネ・ブランを生んだスイスの育種家、ヴァレンティン・ブラットナーは、ほかにも赤のピノティン、カベルティン、ラウロなどを生み出しています。ドイツではファルツの苗木業者のフォルカー・フライタークが ブラットナーの交配品種の普及につとめています。

*PiWi=Pilzwiderstandsfähige Rebsorten

 
Weingut Abthof
アプトホーフ醸造所(ラインヘッセン)

Weingut Abthof
左からマーティン&アリーナ夫妻、マーティンの妹の
チェチーリエさん、シャルロッテ&ヘルベルト夫妻

ハーンハイムの家族経営の醸造所。かつて苗木業者でもあった父ヘルベルト・コッホとガイゼンハイム大学とウディーネ大学で醸造学を修めた息子マーティンが、家族と共同でワイン造りに取り組む。中世にはシトー会修道院の所有だった石灰質土壌の畑で、リースリングなどの伝統品種を栽培するほか、ピーヴィー品種に力を入れている。コッホ父子が選択したのは白のソラリス、ムスカリス、ソヴィニエ・グリ、赤のモナルヒの4種類。いずれの品種からも上質のワインを生み出し、高く評価されている。所有畑16ヘクタールのうちピーヴィー品種の割合は20%に及ぶ。進歩的な醸造所だが、伝統を重んじ、失われつつある固有品種ゲルバー・オルレアンを新たに栽培し始めている。ミサ用ワインの公式生産者でもある。

Weingut Abthof
Bahnhofstr. 27
55278 Hahnheim
Tel. 06737-380
www.weingut-abthof.de


Schäferlay2017 Auftakt Souvignier Gris trocken
2017年産 アウフタクト、
ソヴィニエ・グリ、辛口 7.50€

コッホ父子は10年以上前からピーヴィー種を栽培しているが、初ヴィンテージは2015年。納得のいくワインができるようになってからリリースし始めたのだという。「アウフタクト」はアプトホーフ醸造所のピーヴィー品種の新ブランドで「はじまり」を意味する。ソヴィニエ・グリはフライブルク・ワイン研究所で誕生したセイヴァル・ブラン(米国品種とのハイブリッド)とツェーリンガーの交配種。爽快なアロマ、グラウブルグンダーのようなふくよかさを持つ。サラダなど野菜主体の前菜やチーズと特に相性が良い。

最終更新 Mittwoch, 10 Oktober 2018 13:18
 

ワインと食の合わせかた10 ワインとスイーツ

和食にはデザートの概念がなく、食後に季節の果物をいただくことはあっても、甘いものはいただかずにお茶で締めくくります。甘いものを楽しむのは、午後のおやつの時間や特別な行事の時。快い苦味を持つ抹茶と上品な甘さを持つ和菓子の絶妙なハーモニーは、食事とは異なるシチュエーションで楽しみます。

ヨーロッパには食後のデザートとワインの組み合わせにも長い伝統があり、デザートワインと呼ばれるワインがあります。濃厚な甘口ワインのことで、通常のワインとシェリーやポートワインのような酒精強化ワインとがあります。デザートワインはチーズと合わせることもありますが、スイーツとも良く合います。

デザートワインとスイーツの定番の組み合わせといえば、ヴィン・サントとカントゥッチ、 極甘口のリースリングとりんごのシュトゥルーデル、ポートワインとチョコレートなどが思い浮かびます。

ヴィン・サントはイタリアのトスカーナ州などで造られているデザートワインですが、名前の起源はギリシャのサントリーニ島だと言われています。サントリーニ島では、古来からヴィン・サントと呼ばれる甘口ワインが生産されているのです。ヴィン・サントは、風通しの良い屋根裏などで乾燥させたぶどうを圧搾して造るデザートワインで、辛口から甘口までさまざまな味わいのものがあります。単独で味わうこともありますが、通常はカントゥッチというアーモンドがごろごろ入った堅いビスケットに浸して味わいます。

ドイツやオーストリアの極上甘口ワインには、アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)、アイスワインなどがあります。 いずれもヴィンテージ、収穫時の糖度、醸造所のスタイルにより、軽やかなものも濃厚なものもあります。リースリングは極甘口でも、酸味が非常に豊かなので、りんごのシュトゥルーデルのほか、ベリー類、トロピカルフルーツのような甘みと酸味を併せ持つフルーツを使ったコンポートやタルトと調和します。

現在、熱いテーマとなっているのが、ワインとチョコレートの組み合わせです。チョコレートはブランデーやウイスキーとの組み合わせがポピュラーで、ワインならポートワインのような甘口の酒精強化ワインがベストマッチですが、チョコレートの進化とともに、通常のワインに合わせる人も増えてきました。

チョコレートは、カカオマスのうちのココアバターだけを使用するホワイトチョコレートから、カカオ100%のダークチョコレートまで多種多様。カカオの種類、産地やブレンド比率、含有量などによりずいぶんと味わいが異なります。ワインとの共通点はポリフェノールが豊富なこと。一部の赤ワインには、チョコレートの香りを持つものもあります。

一般に、カカオ含有量が多いほど、より辛口の力強いワインがマッチすると言われます。例を挙げると、ホワイトチョコレートにはリースリングのアウスレーゼなどを。カカオ含有量が45%以下のミルクチョコレートにも甘口の白ワイン。ミルクチョコレートに自然塩やナッツが加わると、辛口の白が合うケースもあります。カカオ含有量65%くらいまでのダークチョコレートなら、バリック樽仕込みの辛口の赤を、ただしカカオ含有量が70%以上なら、ポートワイン、バニュルス、PX(ペドロ・ヒメネス)シェリーなどの甘口ワインをおすすめします。

 
Weingut Weegmüller
ヴェーグミュラー醸造所(プファルツ地方)

Weingut Weegmüller

今年、創業333年を迎えたプファルツの著名な醸造所。オーナーはベテラン女性醸造家で、数多くの実習生を育ててきたステファニー・ヴェーグミュラー=シェアさん。販売を担当する姉のガブリエレ・ヴェーグミュラーさんとのチームワークで醸造所を運営する。

ヴェーグミュラー家の先祖はスイス、チューリヒ出身。1657年にプファルツに移住し、1685年に醸造所を興した。ステファニーさんはその11代目。「プファルツのバルコニー」と言われるハート地区の高台に畑がある。

畑面積は14ヘクタール。ビュルガーガルテン、マンデルリングなど、1828年にすでに格付けされていたポテンシャルの高い畑から、リースリング、ブルグンダー種を中心とする卓抜したコレクションを展開している。

Weingut Weegmüller
Mandelring 23
67433 Neustadt
Tel. 06321-83772
www.weegmueller.de


Schäferlay2017 Märchenzauber
Scheurebe Spätlese
2017年産「メルヒェンツァウバー」
ショイレーベ、シュペートレーゼ 12.50€

ステファニーさんは、ラインヘッセン地方のゲオルグ・ショイ博士が交配し、現在では希少品種となったショイレーベ、オーストリア品種のグリューナー・フェルトリーナーなど、特別な思い入れのある品種を幾つか栽培している。

中でもショイレーベはトップクラスの品質で評価も高い。辛口と甘口の双方を生産しているが、いずれも白い果実の風味にあふれ、みずみずしいワイン。今回ご紹介するのは甘口で、チーズのほか、りんごや桃などフルーツをふんだんに使ったデザートとよく合う。

最終更新 Mittwoch, 26 September 2018 14:48
 

ワインと食の合わせ方9 寿司とワイン

2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に認定されました。「和食-日本人の伝統的な食文化」という名称で登録されています。農林省によると、多様で新鮮な食材の持ち味を活かしている、一汁三菜を基本とし、栄養のバランスが良い、うま味を活かし動物性油脂が控えめ、季節感を表現している、食文化と年中行事が結びつき、家族や地域の絆を深める役割を果たしている、といった特徴が評価されたとのことです。

日本人以外であれば、和食といえば、まず「寿司」を思い浮かべるはずです。今や「SUSHI」は、世界で最もポピュラーな和食といえるでしょう。ドイツでも、日本の職人たちが選り抜きのネタを仕入れて握る本場の寿司から、さまざまな国籍の調理人が作る寿司、機械化されてスーパーで販売されているパックの寿司まで、あらゆる寿司が消費されています。ドイツの家庭や会社でも、ピッツアのように宅配の寿司を気軽に頼むようになっています。

寿司はそれだけで、華やかな食卓を構成できるほど、バリエーションが豊富です。スタイリッシュなディナーにも、子供のパーティーにも対応できます。にぎり寿司はカナッペのように応用がきき、酢飯の上に乗せる素材は無限にあります。細巻き、太巻き、手巻き、軍艦巻など、海苔で巻く寿司の具も、ちらしの具も同様です。

素材のバリエーションが豊かな和食には、寿司のほかに天ぷらや串揚げのような揚げ物があります。天ぷらも串揚げも、揚げられないものはないといってもよいほどで、寿司を丸ごと揚げたホットロールも登場しています。寿司にも、天ぷらや揚げ物を載せたり、巻いたりできる包容力があります。

寿司はネタによって、さまざまな種類のワインを組み合わせて楽しむことができます。もちろん、1種類のワインで通すことも可能ですが、スパークリングワイン、白、ロゼ、赤を1種類ずつ用意しておくと、組み合わせの妙が楽しめます。

個人的には、白もロゼも赤も、酢飯の香味を邪魔しない控えめな風味の軽快なグーツワインが、うまく調和するように感じます。白ならヴァイスブルグンダー、シャルドネ、ジルヴァーナー、グートエーデル(シャスラ)などがぴったりです。私がよく選ぶのは、ラインヘッセンで見かけるヴァイスブルグンダーとシャルドネのブレンドワインです。リースリングはワインのスタイルが千差万別なので、寿司の種類、個人的好みを少し考慮して選ぶと良いでしょう。

果実味豊かなワインと寿司の組み合わせも、試してみる価値はあると思います。以前、シチリアのズィビッボ(マスカット・オブ・アレキサンドリア)の辛口と寿司の組み合わせを、美味しくいただいたことがあります。リースリングのミネラル感は、海苔の風味とうまく重なるので、海苔をパリパリと沢山いただく、家庭での手巻き寿司にリースリングを合わせるという手もあります。

脂の乗った魚には、ぜひ赤を合わせてみてください。サーモンやブリならロゼくらい、マグロのトロには、あまり重厚すぎない赤ワインが思いのほか良く合います。寿司とワインの橋渡しである醤油も、赤ワインと好相性です。赤はシュペートブルグンダー、フリューブルグンダー、ポルトギーザー、あるいはブレンドしたものをおすすめします。

 
Weingut Franz Keller
フランツ・ケラー醸造所(バーデン地方)

Weingut Franz Keller

オーナーのフリッツ・ケラーは醸造所のほかに、ドイツの政治家や著名人に愛されてきた伝統あるレストラン「シュヴァルツァー・アドラー」(ミシュラン1つ星)、ホテル、ワイン商などを経営するドイツ有数のガストロノミスト。岩場を掘って造られたトンネル状の「ベルクケラー」には、ボルドーを始めとするワインコレクションの数々が眠る。醸造所はカイザーシュトゥール地域特有の段々畑の風景に溶け込むような設計。 畑は石灰岩と火山岩の双方が混在する独特の土壌構成だ。フランスワインに造詣が深い彼が得意とするのは、シュペートブルグンダー。日常的なワインも、偉大な長熟タイプのものも、いずれも熟しすぎない絶妙のタイミングで収穫され、極めてエレガントな仕上がり。VDP会員。
写真)フリッツ・ケラー、フリードリヒ・ケラー親子

Franz Keller - Schwarzer Adler
Badbergstraße 44,
79235 Vogtsburg-Oberbergen
Tel.07662-93300
www.franz-keller.de


Schäferlay2015 Franz Anton
Spätburgunder trocken
フランツ・アントン
シュペートブルグンダー 辛口 20€

ブランド名「フランツ・アントン」はオーナーであるフリッツ・ケラーの祖父の名前。オーバーベルゲンの一級畑バスガイゲを除く、複数の一級、特級畑のシュペートブルグンダーをブレンド。いわゆる「ラーゲンキュヴェ」だ。主に火山岩土壌で育つ古木のぶどうを使用し、小型オークの古樽で熟成している。ほのかな果実味と品の良い香ばしさ、絶妙な重量感が印象的なシュペートブルグンダーは肉料理にぴったりだが、タレをつけた鰻や穴子の寿司、マグロのトロとも相性が良い。マグロは炙ると、より調和するはずだ。

最終更新 Montag, 25 Juni 2018 09:29
 

ワインと食の合わせ方8 日本の洋食にもドイツワイン

日本人は古来からあらゆる外来の食文化を取り入れてきました。特にアジア圏からの影響は大きく、精進料理、豆腐、味噌などは中国を経て伝来し、すっかり和食に取り込まれています。16世紀には南蛮料理に影響を受け、南蛮漬けや天ぷらなどが生まれ、これも和食化しました。

明治時代以降は牛肉を食べるようになり、牛肉を使ったすき焼き、牛鍋が和食のスタンダードとなります。加えて、欧米由来の「洋食」も食卓に上るようになります。中でもとんかつはすっかり和食化した洋食といえるでしょう。カレーライスも和食化しており、ハンバーグ、オムライス、ナポリタンなどは、洋食といっても、日本的にアレンジされています。明治時代には中華街からラーメンも伝わり、和食化し、日本各地の名物となっています。

今回は、日本人の食卓にたびたび登場する、和食化した洋食に合うドイツワインを探してみましょう。

とんかつ

イタリアのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ、それがオーストリアに伝わり、ドイツでも人気となったウインナー・シュニッツエルは、いずれも子牛肉を使いますが、とんかつと似ています。コトレッタ・アッラ・ミラネーゼにはバルベラ(赤)など、ウインナー・シュニッツェルには、グリューナー・フェルトリーナー(白)やゲミッシュター・ザッツ(白のブレンドワイン)を合わせます。とんかつにレモン汁を絞って食べるなら、ヴァイスブルグンダー、ジルヴァーナー、リースリングなどの白、濃厚なソースをかけるなら、シュペートブルグンダー、レンベルガーなどの赤が良いでしょう。

カレーライス

カレーライスはスパイスの調合などにより、ずいぶん味わいが違います。インドにはトマトベースのものやココナツミルクベースのものがあり、タイやマレーシアではココナツミルクベースが主流です。ドイツでは刻んだパイナップルを入れた、フルーティなカレーが人気で、カレーにマンゴーやリンゴなどのフルーツ系のチャツネを加えるレシピもあります。日本でも、すりおろしたリンゴや蜂蜜を入れるレシピがありますが、カレーと甘酸っぱいフルーツは好相性です。ワインも果実味豊かなリースリングやゲヴュルツトラミーナなど、フルーティなものを選ぶとうまくいきます。辛口でも良いですし、ほのかな甘みがあるハルプトロッケン(halbtrocken)やファインヘルプ(feinherb)を合わせても美味しくいただけます。刺激的な味わいには、白やロゼのセッコ(パールワイン)も合います。

ハンバーグ

ハンバーグも調理法によりさまざま。大根おろし、紫蘇などの薬味で食べる和風ハンバーグなら、ジルヴァーナーやブルグンダー系の辛口の白やロゼを、煮込んだりデミグラスソースなどをかけるなら、シュペートブルグンダー、レンベルガーのほか、シュヴァルツリースリング(=ピノ・ムニエ)などもおすすめです。

オムライス

オムレツにはヴァイスブルグンダー、シャルドネ、グートエーデルなどの白を合わせますが、オムライスにはトマト味のアクセントがあるので、グラウブルグンダーやロゼや赤のシュペートブルグンダーなども合います。後者はナポリタンにも合うはずです。

 
Weingut Rappenhof
ラッペンホーフ醸造所(ラインヘッセン地方)

Weingut Rappenhof

ラッペンホーフ醸造所のルーツは1604年に遡る。現在のオーナーは12代目のクラウス&カリン・ムート夫妻。醸造所はライン川沿岸のアルスハイムにあり、6つの村に計50ヘクタールのブドウ畑を所有。ニアシュタイン村のペッテンタール、エールベルクなどの偉大な畑から優れたリースリングを生み出している。リースリングが主力品種だが、ジルヴァーナー、ゲヴュルツトラミーナ、白と赤のブルグンダー種も栽培。グーツワインは「ヒエロニムス&アレクサンダー」というブランド名でリリース。1代目ヒエロニムス・ヒルシュと、夭逝した13代目アレキサンダー・ムートへのオマージュだ。今夏からは、アレキサンダーの姉エリザベトが13代目として両親と共に醸造所を牽引する。VDP会員。

Weingut Rappenhof
Bachstr. 47, 67577 Alsheim
Tel.06249-4015
www.weingut-rappenhof.de


Schäferlay2017 Hieronymus und
Alexander Weissburgunder trocken
ヒエロニムス&アレクサンダー ヴァイスブルグンダー 辛口 7.50 €

グーツワイン「ヒエロニムス&アレクサンダー」は、2016年ヴィンテージからスタートしたばかり。リースリング、ヴァイスブルグンダー、シュペートブルグンダーのロゼのセッコ(パールワイン)の3種類を展開している。いずれも軽快でみずみずしく、上品な果実味を持つワイン。普段の食卓や、春から秋にかけての戸外での気楽な食事にぴったりだ。この3種類をストックしておけば、たいていの和食と日本の洋食に合わせることができる、頼りになるコレクション。中でもヴァイスブルグンダーは広く活用できるワインだ。

最終更新 Mittwoch, 30 Mai 2018 10:47
 

ワインと食の合わせ方7 和食に向く頼もしいワイン

日本人の食習慣はとても大らかでオープンです。日本独自の食文化を維持しながらも、世界各地のあらゆる食材や料理法を自在に取り込み、アレンジしてしまいます。食事の流れも、先にお惣菜を味わい、最後にご飯と汁物で締めくくることもあれば、お惣菜と汁物とご飯を交互に食べることもあります。

お酒の楽しみ方も大らかです。アペリティフのように楽しむビールに始まり、季節により冷酒か熱燗へ、あるいはワインへと進む方もいれば、焼酎の水割りを好む方もいますし、食事によってはウイスキーやハイボールを好む方もおられるでしょう。

洋食では、スープ、前菜、メインと料理を一つずつ順番にいただきます。ワインを合わせる場合は、1皿の料理と1種類のワインを対にして、組み合わせを楽しみます。和食をワインと合わせる場合も、コース仕立てにすると、ワインが選びやすくなります。例えば、酢の物などの前菜にゼクト、茶碗蒸しにシャルドネ、寿司にリースリング、牛のタタキにシュペートブルグンダーといった風に組み合わせます。

とはいえ、普段の食事では、色々な料理を行き来しながら味わうことが多いので、大抵の料理と合うワインが理想的です。そのような頼もしいワインとは、どんなワインでしょう?

日本の食中酒としてポピュラーなビールと日本酒は、それぞれに奥の深いお酒で、ビールはホップ由来のハーブ系のほろ苦さ、日本酒は透明感あふれる清らかな味わいが、日本人の食事になじみ、愛されているのだと思います。よく地元の食事には地元の酒が合うといいますが、和食には日本のビールや日本酒など、日本の酒が良く合い、日本のワインも好相性です。中でも軽快で、抑制された上品な風味を持つ甲州には、日本酒のニュアンスが感じられるものがあり、和食に向くワインです。

ドイツワインには和食との相性が良いものが多いです。スパークリングワインなら、ブルグンダー系品種を使用したゼクトかパールワイン、白ワインならヴァイスブルグンダー、オクセロワ、シャルドネ、 グートエーデル(シャスラ)、ジルヴァーナー、エルプリング、 ミュラー=トゥルガウ、リースリングなど、赤ならシュペートブルグンダー、サン・ローラン(ザンクト・ラウレント)などがおすすめです。いずれも、軽快な仕上がりのグーツワインが合わせやすく、5~10ユーロくらいで品質の良いものが見つかり、日本酒より低アルコールです。

和食にはブレンドワインも良きパートナーとなります。ドイツには、ミュラー=トゥルガウ&リースリング、ヴァイスブルグンダー&シャルドネといった、ドイツらしいキュヴェ(ドイツ語ではブレンドの意)があり、単独品種のワインよりも料理に合わせやすい場合があります。

個人的には、目下、和食とオクセロワ(別名ゲルバー・ブルグンダー)の組み合わせが気に入っています。ドイツではバーデン地方クライヒガウ、上モーゼル地方、プファルツ地方で栽培されているブルゴーニュ系品種で、寿司や刺身、煮物、焼物、揚げ物など大抵の和食に合う包容力のあるワインです。出汁や醤油、味噌はもちろん、しょうが、わさび、柚子胡椒などの薬味ともうまく調和するので重宝します。

 
Weingut Klumpp
クルンプ醸造所(バーデン地方)

Weingut Klumpp
マルクス(右)、アンドレアス兄弟

1983年にバーデン地方北部ブルッフザールで、ウルリヒ・クルンプ、マリエッタ夫妻が興した醸造所。1996年からビオを実践。2004年からは長男のマルクスが主に醸造を、2010年からは次男アンドレアスが主に栽培を担当しているが、実際には家族全員ですべての仕事を行っている。所有畑は25ヘクタール。主な栽培品種はリースリングとブルグンダー種。このほかサン・ローラン、ブラウフレンキッシュ、シラー、ボルドーの赤品種も栽培している。畑のあるクライヒガウは、6500万年前、オーデンヴァルトとシュヴァルツヴァルトの土壌隆起で形成された盆地で土壌が変化に富む。地域性を生かすこと、家族が一つとなって働くこと、品質第一をモットーとしている。

Weingut Klumpp
Heidelberger Str. 100
76646 Bruchsal/Baden
Tel.07251-16719
www.weingut-klumpp.com


Schäferlay2016 Auxerrois trocken
2016 オクセロワ 辛口 10.50 €
(2016年産は完売、2月半ばに2017年産がリリース予定)

クルンプ家の所有畑で、最も古いのがオクセロワの畑。栽培面積は3ヘクタール弱。樹齢53年の古木はブルッフザールのギプスコイパー(石膏質泥土岩)土壌で、その他はツォイテルンのレスとロームの混合土壌で育つ。オクセロワの原産地はシャブリ近郊で、ホイニッシュとブルグンダー系品種の自然交配種といわれる。房がコンパクトなので、生育期に先端の3分の1をカットして空間をつくり、腐敗を防いでいる。酸の分解が早く、収穫のタイミングは慎重を要する。アプリコットの優しい風味と穏やかな酸味。10%をバリックで仕立てている。

最終更新 Mittwoch, 07 Februar 2018 16:00
 

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