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トーマス・ヒッツルスペルガー

トーマス・ヒッツルスペルガーThomas Hitzlsperger
1982年4月5日ミュンヘン生まれ。
ドイツ代表を務めた元プロ・サッカー選手。
©Nigel French/EMPICS Sport

現役引退から4カ月後の今年1月9日、週刊ツァイト紙上で「プロアスリートにおける同性愛について議論を進めてほしい」とカミングアウト。サッカー・ドイツ代表経験のある元選手が初めて、同性愛者であることを自ら告白したことで、ニュースやトークショーでも大きく取り上げられる展開となった。

バイエルン・ミュンヘンの下部組織から2000年に英プレミアリーグのアストン・ヴィラに加入。05年からシュトゥットガルト、10年からラツィオ・ローム(伊)、ウェスト・ハム(英)、ヴォルフスブルクで実績を積み、12/13年シーズンの英エヴァートンを最後に、けがのため現役から退いた。シュトゥットガルトでは06/07年シーズンのリーグ優勝に貢献し、ドイツ代表としては06年のワールドカップ、08年の欧州選手権(ユーロ)で大活躍。A代表のキャップ数は52試合に上った。

カミングアウトは、「長くて困難なプロセスだった」。かつてはガールフレンドと8年間同棲し、07年7月に結婚を予定しながら破局。「男性に惹かれても、それが本心か分からず、はっきり自覚したのは3年前。両親と兄弟姉妹には2年前に明かし、理解してもらえた」。今のタイミングで告白したのは「機が熟したから」。「サッカー界で同性愛はタブー視されているので、議論してほしい」と言う。

現役時代から外国人差別・反ユダヤ主義・極右に反対する活動を支援し、南アフリカ共和国のHIV陽性児童を助けるプロジェクトに携わるなど、社会活動が高く評価されてきた。09年からはツァイト紙でスポーツコラムを担当。温かい支援の声が届いている。

最終更新 Donnerstag, 06 Februar 2014 11:34
 

クラウス・マリア・ブランダウアー

クラウス・マリア・ブランダウアーKlaus Maria Brandauer
1943年6月22日オーストリア生まれ。俳優、映画・舞台監督。ウィーン国立音楽大学マックス・ラインハート・セミナー(ドラマスクール)教授。
©PEER GRIMM/AP/Press Association Images

1963年から舞台に立つ演劇界の重鎮であり、アカデミー外国語映画賞に輝いた映画『メフィスト』(81年)以来、ハリウッドからも請われる演技派俳優である。昨年12月21日からは演劇の最高峰、ウィーンのブルク劇場でシェイクスピアの『リア王』(ペーター・シュタイン監督)に出演。娘たちの真意を読めず、自己の世界を崩壊させていく老いた狂王リアを熱演している。

フランクフルター・アルゲマイネ紙によると、役者ブランダウアーとは「傲慢、自己愛、自律と知性と成功に裏打ちされた強固な自意識の混合体であり、評価は大好きか大嫌いかのどちらかに分かれる」とのこと。007シリーズ『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(83年)でのショーン・コネリーを痛めつける悪役、『愛と哀しみの果て』(85年)でのメリル・ストリープを騙し続ける不実な夫役は、まさにはまり役だったかも。今回、70歳にして挑んだ『リア王』には「カーテンコールで再登場してもリア王の凄みがある」との評判が上がり、大いに気を良くしている。

父はドイツ人税関吏、母はオーストリア人。幼児期をザルツブルクに近いアルトアウスゼー湖畔で過ごし、ドイツ・バーデン地方で成長。20歳で初舞台を踏み、幼馴染と結婚、1児の父になった。その最愛の妻を30年後に病で失った際は、「生きる意欲がなくなり、自分も死にたかった」と語る。

現在は息子の立ち会いの下、2007年に再婚した演劇評論家と第2の幸福を味わっている。まもなく50年ぶりに父親になるとか。

最終更新 Mittwoch, 29 Januar 2014 10:33
 

エリアス・ムバレク

エリアス・ムバレクElyas M’Barek
1982年5月29日ミュンヘン生まれ。オーストリア国籍。俳優。
©Michael Sohn/AP/Press Association Images

服役を終えて出所した銀行強盗ツィキ・ミュラー。大金の隠し場所に戻ってみると、工事現場だったそこには、Goethe総合学校の体育館が建っていた。潜入するため、空きの用務員職に応募してみたら、代用教員が来たと思われて10年B組の面倒を見ることに。そこは「ファック・ユー、ゲーテ」と学校を罵る大荒れクラス。偽の教員ミュラーは、さぼる生徒を教室に連れ戻し、正しいスペリングを教え、規律を仕込む羽目になる。

生徒が書いたスペルミスの落書き『Fack ju Göthe』をタイトルにしたこの映画で主人公を演じ、ただいま人気沸騰中だ。父はチュネジア人、母はオーストリア人。ミュンヘンで育ち、カトリック系の寄宿学校を卒業後に演技の世界へ入った。オーストリアのTVシリーズ『Doctor's Diary』で好感を呼び、2012年の映画『Türkisch für Anfänger(ビギナー向けトルコ文化講座)』で全国的にブレイク。トルコ人マッチョ役でバイエルン映画賞、バンビ賞、ドイツ・コメディー賞に輝いている。

公開3週間で400万人の観客を動員した今回の『Fack ju Göthe』では、「誰にも気付かれずに地下鉄に乗れなくなった」とため息。ドイツ版スクールロックのストーリーには、「僕は進級試験に3度落ちて登校拒否になっても、3年遅れでアビトゥア(大学入学資格)を取得した。誰にもセカンドチャンスはある。この制度は悪くない。僕がその生き証人だ」と学校側に嬉しい発言。時々オーストリア訛りで話すのは、母方の親戚が勢ぞろいするこの国にルーツを感じているから。「ちなみに、トルコ語は話せないからね」と笑う。(Y.T.)

最終更新 Donnerstag, 19 Dezember 2013 16:06
 

レアンダー・ハウスマン

レアンダー・ハウスマンLeander Haußmann
1959年6月26日クヴェートリンブルク(旧ドイツ・ハレ県)生まれ。映画監督、舞台監督、俳優。
©Riccardo De Luca/AP/Press Association Images

 旧東独(DDR)にはドイツ社会主義統一党とシュタージ(秘密警察)以外に “普通の市民”の泣き笑い人生があったことを、映画『Sonnenallee』で示したのは1999年。以後、映画監督として知られているが、シェイクスピアなどの舞台演出で評判を得ている劇場監督でもある。先頃、自嘲たっぷりの自伝小説『Buh. Mein Weg zu Reichtum, Schönheit und Glück(ブー! 僕の富と美と幸運への道)』を発表し、40歳代に何度も心療内科への入退院を繰り返していたことを告白した。

「心に刃物を抱えているような感じで、いつしかベッドから起き上がれなくなった」が、当時はそれが鬱うつだと分からず、アルコールに逃げて強制入院させられた。医者から「治療不能」と突き放されたことを、「正しい診断だね。自分に治す気がなきゃダメなんだと初めて理解した」と語る。

退屈を異常に恐れる心理が背景にあると言う。「DDRは退屈な国だったから自分で笑いを作り出さなければならず、皆で酔っぱらってフリークになった。その結果だね」と。

芸術一家に育ったということもあるだろう。父方の曾祖母はスイスの女流作家、その娘(レアンダーの祖母)はオペラ歌手で、最初の夫がヘルマン・ヘッセ、再婚相手のエリック・ハウスマン(祖父)とその息子(父)エツァードは共に有名な舞台俳優だった。『毛皮の朝食』で知られるシュールレアリストのメレット・オッペンハイムは祖母の姉の娘に当たる。

11月21日からベルリーナー・アンサンブルで手掛けているのは『ハムレット』。ワーカホリックは治らないようだ。(Y.T.)

最終更新 Donnerstag, 05 Dezember 2013 12:26
 

テレツィア・モラ

テレツィア・モラTerézia Mora
1971年2月5日ハンガリー国ショプロン生まれのハンガリー人。ベルリン在住。ドイツ語作家。
©Claus Setzer

ドイツの文壇での活躍が目覚ましい若手女性作家の1人である。今年9月に発表した小説『Das Ungeheuer(怪物)』が先頃、ドイツ語圏で最も優れた長編に与えられるドイツ書籍賞の2013年度作品に選ばれ、フランクフルト書籍見本市で報道陣に囲まれた。

冷戦終了直後の1990年にドイツへ入国して以来、ベルリンに住んでいる。フンボルト大学でハンガリー文学と演劇学を学び、97年に戯曲作品で文壇デビュー。以後、短編や翻訳、長編へと執筆幅を広げてきた。

生まれ育ったのは、オーストリアと国境を接するハンガリー西部の村ショプロン。ドイツ語も話すハンガリー人の少数派に属し、ドイツ語を嫌悪する村人たちからは常に疑いの目を向けられてきた。その上、詩作までしていた少女は完全なる不審者。プールで泳いでいるときだけ疎外感から開放されたという。

この原体験から、作品では社会の隅に置かれた市民や移民のパラレルワールドを描くことが多い。2009年に発表した長編小説『Der einzige Mann auf dem Kontinent(大陸でただ1人の男)』では、IT企業のセールスエンジニア、ダリウス・コップがネットと現実の狭間で翻弄されていく様を描き、その続編である今回の受賞作では、妻フローラを鬱病による自殺で失ったダリウスが、遺灰を車に積んで妻の故郷ハンガリーへと迷走する。全ページを上下に二分し、上にダリウスの悲憤の旅、下にフローラが残した日記を平行させた。

物語が終わっていないのは、ダリウス3部作の完結編を予定しているから。まさにストーリーテラーである。

最終更新 Freitag, 22 November 2013 15:51
 

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