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特集


ビューティー&ヘルス:あなたを輝かせる夏スタイル

あなたを輝かせる夏スタイル 身体の外から、中からキレイに

目に見えるすべての景色が光り輝く夏は、開放感に溢れ、
自分自身を目いっぱい素敵に見せたい、健やかでありたいと 願う気持ちが高まるもの。
今年の夏を掛け替えのないものにしたいなら、その美意識をしっかり開花させましょう。
ヘア、メイク、ネイル、スパで外側を美しく、そしてフィットネスやマッサージで
内側からリフレッシュして、自信みなぎるキレイな身体をゲット!
今号は、自分磨きをサポートしてくれるスポットの情報が満載です。
(取材・文:林 康子 ヘアスタイル写真:Kervin このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください

爽やかにキメる!夏のヘアスタイル3選

Atelier des Artistes 大西 健司さんスタイリング動きのあるショートボブで
クールビューティーに

大西 健司さんAtelier des Artistes
大西 健司さん

ダークトーンのカラーを使用し、クールでシャープ、大人っぽい女性をイメージしたショートボブ。片側をあえて数ミリ短くすることで、ややアシンメトリーな違和感を出しました。髪に動きが出にくい方は、毛先に少しパーマを掛けることをお勧めします。トップにレイヤーカットを、バックの襟足付近にグラデーションカットを施すことで、フラットになりがちな後頭部に丸みのある立体感を出します。

スタイリング&ケアのポイント

髪を乾かすときは、初めに根元を中心に風を送ります。風の方向は、常に後方から前方へ当てるようにします。分け目は、はっきり付かないように注意してください。少しドライなワックスを毛先のみに揉み込み、襟足は首に沿わせるようにすることで、後頭部の丸みを引き出します。日差しが強い夏は髪が傷みやすいので、週に1度程、自宅で集中トリートメントをすることをお勧めします。

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Haartiste  斎藤誠一さんのスタイリングアレンジ自由自在、
髪を軽やかに見せる
ゆるふわウェーブ

斎藤 誠一さんHaartiste
斎藤 誠一さん

ふんわりとしたゆるく大きめのウェーブで、ロングヘアに軽やかさを出しています。バッサリ短く切るのはちょっと……という方のための夏スタイルです。カラーは、ツヤ感の出る暖色系に、それとは対照的なアッシュ系のものを混ぜて使うことで、やわらかく自然なイメージに。ゆるふわウェーブだから、多様なアレンジが可能。後ろ髪を内側に巻き込んでピンで留めれば、ボブ風スタイルの完成です。

スタイリング&ケアのポイント

ウェーブの掛かった髪を乾かすには、タオルドライをした後、自然乾燥でOK。髪がまだ 濡れているうちにワックスやムースをつけ、乾いたら揉み込むようにします。自分でウェーブを作るときは、カールの大きさが異なる2つのアイロンを使って巻くと、よりナチュラルな印象に仕上がります。夏の紫外線から髪を守るには、UVカット効果のあるヘアクリームなどのスタイリング剤がお勧めです。

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SACHI さんスタイリング風になびくやわらかボブで
かわいらしさアップ

SACHI さんMirage スタイリスト
SACHI さん

「ルーズ」「無造作感」がこの夏のキーワード。ベースのパーマを生かしたボブで、髪 全体に、風になびいているような動きとやわらかさを出しています。見た目には重みがあっても、触ってみるとふわっと軽いスタイルなので、自宅でのスタイリングも楽々。赤みを抑えたカラーにすることで、色落ちしても上品にキマります。骨格に合わせたノンセニングカットで、髪が傷まないスタイルを提案します。

スタイリング&ケアのポイント

生き生きとしたキレイな髪を保つには、日頃のホームケアが欠かせません。髪を乾かす前にオイルをつけるなどして潤いを与え、常に良好な状態に保っていれば、フェミニンでかわいらしいスタイリングが叶います。最近では、特に髪に栄養を行き渡らせ、傷みにくくするアルガンオイルを使った商品も人気です。その他、カラーを長持ちさせるために、帽子を被るなどの紫外線対策もお忘れなく。

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美に磨きをかけたい「大人女子」必読! プロに聞く、夏のメイク術&ネイルケア

夏のメイク術 Q&A


ヘアサロン hair make CHIKAの
圓谷静香さんにうかがいました。

お勧めのスキンケア・アイテムは?

アルガンオイル
アルガンオイル

化粧水をつけた後に、アルガンオイルを塗ると良いですよ。ビタミンEを多く含み、アンチエイジング効果があるので、乾燥対策にはこれ1本でバッチリです。顔だけでなく全身に使えます。アルガンオイルはビオのお店などで、日本よりも安価で手に入ります。

また、特に夏は肌を冷やして引き締めることも必要です。肌の温度が上がると、シミやたるみが出やすくなります。そこでお役立ちなのが炭酸水。市販の炭酸水を冷蔵庫で冷やし、洗顔に使ってみてください。火照った肌をクールダウンさせてくれます。 

その他、普段の肌のお手入れ、リフレッシュのほか、日焼けのアフターケアにも効果的なのがローズウォーター。天然成分を使っているので、お子さんも安心して使用できますし、女性のホルモンバランスを整える効果もあります。

左写真)
オーガニックコスメブランドMaienfelserのローズウォーターは、
「デメター(Demeter)」認証付き。
お問い合わせは このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください まで

夏のメイクで気を付けるべきポイントは?

夏は日焼け防止のためにと、リキッドファンデーションを厚く塗りがちですが、絶対に厚塗りをしてはダメ! この季節は、汗と乾燥によって肌がいつもより余計に皮脂を出そうとします。そこで厚塗りをすると、化粧崩れしやすくなってしまうのです。夕方、くすみで肌がドロドロになってしまったという経験はありませんか? ベースメイクは、肌に軽く叩き込むようにつけ、残りを顔の中心から素早く顔の外に向けて伸ばすようにしてください。

素肌感を出すのに最適なメイク商品は?

BBクリーム
BBクリーム

俄然お勧めなのがBBクリーム。ファンデーションクリームや日焼け止めなどの機能を有する優れものです。朝、洗顔の後にしっかりと化粧水をつけ、日焼け止めを塗ったらBBクリームをつけます。そして一度ティッシュで押さえて余分な油分を取り、パウダリーファンデーションを塗ります。最近は、UVカット効果のあるものも出ていますよ。そして、最後にミスト化粧水を軽く吹きかければ、素肌っぽいベースメイクの完成です!

ベースメイクでは、年齢と共に出てくるシミなどをカバーするのではなく、むしろそれを含めた自分の肌を生かすことが大事です。明るめのBBクリームを顔の中心、頬の辺りに叩き込み、その残りをぐっと外側へ伸ばすようにつけると、自然な仕上がりになります。顔全体にしっかり塗り込むと、かえって不自然になってしまいますよ。

今、どんなメイクが流行っていますか?

マットなリップが流行っていますね。コンシーラーで唇の黒ずみなどを消した後、マットな色の口紅を塗ります。マット感が強過ぎる(ツヤがない)と感じるのであれば、上から少しグロスを塗ればOK。大事なのは、メイクのポイントを1つに絞ることです。例えば流行りの太眉を作るなら、アイブロウとマスカラのみ、という具合に。また、頬の色を引き出すための土台チークも大切です。

夏のネイル・ネイルケア Q&A

オスブルグ里奈さん
ネイルサロンFuUMaの
オスブルグ里奈さんにうかがいました。


今の季節に多い爪のトラブルは?

日本だと「乾燥=冬」というイメージがありますが、ドイツでは夏の方が乾燥しています。加えて紫外線も強いので、肌がそれらの刺激を受けるのと同時に、爪へのダメージも大きくなりがち。乾燥による二枚爪や、少し伸ばしただけで爪が折れてしまうといったトラブルをよく聞きます。

トラブルを回避するためのケアについて教えてください。

ネイルオイル
ネイルオイル。
気付いたときに、
こまめにケアすることが大事

ネイルケアというと、ハンドクリームを塗ったり、家事をする際にグローブをしたり……という方法を思い付く方が多いと思います。もちろん、それらも大事なことなのですが、唇にリップクリームを塗るのと同じように、爪には専用のネイルオイルを使うことが有効です。これを爪の周りにきちんと塗布することで乾燥を予防でき、健康な地爪が保たれます。ネイルオイルはドラッグストアなどで手に入るので、ポーチに入れて持ち歩き、気付いたときに塗りましょう。選ぶ際のポイントは、ホホバオイルやアーモンドオイルなど、天然成分が多く含まれているかどうかを確認すること。天然成分は浸透率が良く、肌へのリスクも少ないですから。

爪に色を塗らない場合でも、ささくれの処理など、可能なケアをした方が良いと思います。ささくれも、放置しておくと硬くなってしまい、結果的に健康な爪が生える妨げとなりますからね。爪の根元が硬くなっていると、爪に溝ができて線が入ったり、形が悪くなってしまいがちです。健康な爪を生やすには、爪の根元のキューティクル部分を大切にする必要があります。

その他、体の内側から行うケアとして、栄養バランスの取れた食事が大切です。爪は体の先端なので、栄養が行き渡るのも最後。特にビタミンを多く摂ることを心掛けましょう。ネイルをキレイにすることは、女子力アップに最も効果的です!

夏のネイルデザインこの夏、お勧めのネイル・デザインは?

夏の定番はターコイズブルーですね。また、白と黒やブルーを組み合わせたマリーン系のボーダーも多いです。今年は特に、貝殻を埋め込むシェルネイルや、グラデーションにして爪の根元をクリアにする涼しげなデザインが人気です。様々な色を使ってカラフルにしたり、ラメを使って光を取り入れたりと、明るくすることで夏っぽさが出ると思います。

ネイルデザインサロンできれいに仕上げたネイルを長持ちさせるには?

サロンで地爪の上に直接塗ったジェルネイルは、通常3週間~1カ月程度持ちます。ただ、生活スタイルによっては持ちが悪くなってしまうことも。例えば水仕事が多い方や、1日中パソコンのキーボードを打っている方などの場合、どうしても爪の先端へのダメージが大きくなり、ネイルが剥がれやすくなってしまいます。そのような方は週に1回程度、ジェルネイルの上からマニキュアのトップコートを塗ると、持ちが良くなります。

最終更新 Mittwoch, 03 Juli 2019 18:10
 

ヴァイオリニスト樫本大進インタビュー:ベルリンフィル第1コンサートマスター

ヴァイオリニスト樫本大進インタビュー樫本大進

約束の時間、樫本大進はベルリン・フィルハーモニーの楽屋口に現れた。
舞台裏の食堂に連れられて行くと、メンバーが次々に彼に話し掛ける。
2010年からこの名門オーケストラの第1コンサートマスターを務める彼は、
流麗な英語とドイツ語でテンポ良く応対する。
樫本は日本人だが、音楽と人間の土台を築いたのは紛れもなくドイツにおいて。
これまで住んだ3つの都市で、彼はどのような出会いを経て、何を学んできたのか。
サイモン・ラトル指揮公演のリハーサル初日という慌ただしい中、
インタビューは始まった。
(取材・文:中村真人)

Daishin Kashimoto
1979年、ロンドン生まれ。恵藤久美子の下で3歳よりヴァイオリンを習う。5歳で父親の赴任に伴いニューヨークへ。7歳でジュリアード音楽院プレカレッジに入学、田中直子に師事。11歳のときに名教授ザハール・ブロンに招かれ、リューベックに留学。20歳よりフライブルク音楽院でライナー・クスマウルに師事。90年、第4回バッハ・ジュニア音楽コンクールでの第1位獲得を皮切りに、96年のフリッツ・クライスラー、ロン=ティボーの両国際音楽コンクールでの1位ほか、5つの権威ある国際コンクールにて優勝した。2010年、ベルリン・フィルの第1コンサートマスターに就任。使用楽器は1674年製アンドレア・グヮルネリ。最新録音に、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全集(Warner Classics)がある(ピアノはコンスタンチン・リフシッツ)。

リューベックのブロン先生

初めてドイツに来られたのはいつですか?

日本の幼稚園に通った後、父の赴任先のニューヨークで6年間暮らしたのですが、9歳と10歳の夏、親に連れられて欧州に来ました。僕が欧州で見聞を広められるようにと、いろいろな国を訪れ、様々な先生のマスタークラスに通ったのです。そんな中、1人の先生が「俺のところについて来い」と言ってくださいました。それがリューベックに住むザハール・ブロン先生でした。僕が11歳のときです。

父は仕事があったので、母と単身でドイツ生活を始めましたが、母は最初、気が進まなかったようです。父の元を離れ、ドイツ語も分からなければ、当時は英語も通じないような北ドイツの片田舎に突然移住したわけですから、怖いですよね。しかも、1990年の東西統一直後で、何がどうなるか分からない状況でした。  

リューベックに移り住んだのは11月の終わりです。寒いし、月を見ながら学校へ行くなんていうことは、それまでなかったので、寂しい感じがしました。ただ逆に、夏になれば夜遅くまで明るいし、気持ち良かったのですが。

Daishin Kashimoto

若い頃にドイツらしい小さな町で過ごしたことは、
音楽をやる上で良かった

リューベックというと、トーマス・マンの小説に出てくるような、どんよりした空の下に広がる古い街並みが思い浮かびます。

そうですね。教会がいっぱいあって、バッハがオルガンを弾いた教会もありますし、米国から来たので余計に歴史を感じましたね。もちろん米国にも教会はありますが、リューベックには1300年頃に造られた古い教会が残っている。米建国は1776年ですから、「その400年前にこの教会はすでに存在したのか。自分の楽器が造られる300年も前からこの教会は建っていたのか」と思うと、歴史の重みを感じました。

11歳の頃からそういうことを感じながら、ドイツの音楽に親しんできたのですか?

練習中に特別そのようなことを感じていたわけではありませんが、今になって思うのは、若い頃にドイツの空気を、ベルリンのような国際的な大都市ではなく、ドイツらしい小さな町で味わえたことは、音楽をする上で良かったと思います。

現地のギムナジウムにも通いました。ドイツ語が分からなかったので、最初の3カ月程、宿題が免除されたんです(笑)。最初は授業の内容が全く分かりませんでしたが、クラスに1人、英語が話せる子がいて、その子が通訳してくれました。でも子どもなので、3カ月も経つと、皆とドイツ語で普通に会話できるようになりました。

約10年に及んだリューベック時代の中で、忘れられない出来事は?

1歳から19歳ぐらいまで、最も人間性が作り上げられていく時期に滞在したので、良い意味でも悪い意味でも、様々な経験をしました。ヴァイオリンをやめたいと思った時期もありますし、普通に友達と遊んだり、自転車で走り回ったり……。初めてドイツで大晦日の花火を見たときは、家族全員で「戦争が始まった!」とびっくりしました(笑)。

当時は、1日どのくらいヴァイオリンを練習されていましたか?

学校がお昼に終わり、家で昼食をとって、その後練習です。初めの頃は真面目に5、6時間弾いていましたよ。家では夜10時ぐらいまで練習できたので、そこから宿題をし始め、朝は7時に家を出る。一度、眠くてたまらなくなり、学校から帰って昼寝をして、起きたら次の朝だったことがありました。レッスンもありましたし、当時から睡眠時間は少なかったですね。でも、これは反抗期が始まる前の話です(笑)。

ブロン先生の元へは、どのくらいの頻度で行かれていましたか。

ほぼ毎日通っていました。先生がどこかへ行くときに「一緒について来い」と言われることもありました。ロシア人の先生でしたが、レッスンはドイツ語。周りにロシア人の生徒もたくさんいたので、私も少しロシア語が分かるようになりました。

当時、日本語を話す相手は、母と音大の学生さん数人ぐらい。ちょうど思春期だったので、母ともそれほど会話がなく、日本語のレベルは自分でも「まずい」と思っていました。日本で演奏活動を始めた頃は、インタビューを受けるのも怖くてたまらなかったです。後から日本人の友達が増え、妻も日本人なので、日本語を使う機会が増えて上達してきましたが……。恥ずかしいことですよ、日本人なのに。

リューベックの歯科医の家にホームステイをされていたこともあったそうですね。

母がリューベックを不在にした際、そしてフライブルクに移る前の約1年間、そこにホームステイをさせていただきました。もともとは、僕のドイツ語の先生の掛かり付けの歯科医だった方です。自分と年が近い息子さんが2人いらっしゃって、現在は息子さんが医院を継いでいます。今でも時々連絡を取っていて、何かあると診てもらうこともあります。一番信頼できますからね。子どもの頃から一緒だったし、僕は1人っ子なので、友達というより兄弟のような存在です。


フライブルクのクスマウル先生

リューベックからフライブルクへ移ろうと思った理由は何ですか。

ブロン先生には9年間お世話になりました。大人になるまで指導していただいた後、何か違うものを経験したい、周りの環境を完全に変えてみたいという気持ちが強くなりました。そんな折、フライブルク音大のライナー・クスマウル教授に出会い、先生をすぐに気に入ってしまったんです。

あえて自分の道を歩かせ、
見守ってくれたクスマウル先生

クスマウル先生との出会いについて教えてください。

当時、マネジメントが同じだったクリスティアン・テツラフのヴァイオリンが大好きで、一度彼を訪ねて演奏を聴いてもらいました。彼はどこでも教えていないので、誰かほかの先生を紹介してほしいと頼んだら、クスマウル先生を紹介してくれたんです。でも、後で聞いたら、クスマウル先生はクリスティアンのことを個人的には知らなかった(笑)。直接は知らないけれど、この人が良いのではと、クリスティアンはぱっと思い付いたようです。だから、彼のおかげでフライブルクへ行ったようなもので、今ベルリンにいるのもある意味その延長ですね。もっとも、クスマウル先生はベルリン・フィルのポジションを僕に勧めるようなことは一度もなかったですが。

2人の先生のタイプは全然違いました。丁寧に育ててくれたブロン先生に対し、クスマウル先生はどちらかというと「自分で考えて、自分の道を行きなさい」というタイプ。見守りながらも、道から外れ過ぎてしまうと直してくれるという感じで、先生の方針の違いに最初は戸惑いもありました。また、「今日は何を弾く?」という話になったとき、チャイコフスキーの協奏曲を出すと、正直なクスマウル先生は、「それは俺よりお前の方が上手いじゃないか。それよりモーツァルトを弾け」と言うような方でした。もちろん素晴らしいことを言ってくださるのですが。

クスマウル先生には、バッハとモーツァルトをたくさん見ていただきました。技術的なことよりも、基本的に音楽的なアドバイスをしてくださいました。ご自身の人生経験をレッスン中にもたくさん話してくださって、それを聞くのが一番楽しかったですね。先生はソリストとしてすべてのコンチェルトを弾いているし、室内楽の分野でも、ピアノ・トリオを何十年もやっていた。その上、早い時期から教授職を務め、ベルリン・フィルのコンサートマスターとしてオーケストラのことも知っている。ヴァイオリニストとしてできることをすべてやってきた先生なので、様々な経験を聞けたのは大きかったです。

フライブルクの町の魅力は?

良いところですよ。町の雰囲気も人も、リューベックとは全然違います。大学の町なので、若い人がとても多い。最後の時期、町のど真ん中にあるアパートの上の階に住んでいたのですが、窓から町の向こうに山が見えるんです。(平地の)ベルリンではまずないことですよね。音大の裏にぶどう畑があるなど、自然が目に見えるところにあって、それが気持ち良かったです。近くの湖に行ってお茶をしたり、スキーをしたり。フランスが近くて、ワインも美味しいですし……。引退後、フライブルクに移住するドイツ人が多いそうですが、その気持ちがよく分かりますね。

そして、ベルリンへ

小澤さんが、自分のことを思って
わざと冷たくしていたと知り、感動した

約10年間住んだフライブルクから、いよいよベルリンへ。ベルリン・フィルのコンサートマスターのオーディションを受けたのは、ガイ・ブラウンシュタインさん(元ベルリン・フィル第1コンサートマスター)のアドバイスがきっかけだったそうですね。

ガイのことは12歳くらいの頃から知っていて、世界にはすごい人がいるものだと思っていました。その後、室内楽でも一緒に弾いていましたが、あるとき彼が、「安永徹さん(元ベルリン・フィル第1コンサートマスター)がもうすぐ辞めるようだから準備しておけ」と言ったんです。自分はオーケストラをやったことがないのに、何を言っているんだろうと思いました。でも、そのうち何度も電話が掛かってきて、「オーディションの申し込みをしたか? 早く送れ。キャンセルはいつでもできるから」と言う。彼がいなければ、ここに来ようなんて思わなかったですね。自分がオーケストラに入れるなんていう感覚はなく、経験もゼロでしたから。

実は、ベルリン・フィルのオーディションは2回受けていて、1回目は2次で誰も採用されずに終わったんです。そんなときにゲスト・コンサートマスターとして呼んでいただき、小澤征爾さんの指揮でメンデルスゾーンのオラトリオ「エリア」を弾きました。僕はとても感動して、絶対にやりたい仕事だと思いました。正直、1回目のオーディションでは本当にそれをやりたいのか、自分にできるのか分からない状態でしたが、小澤さんとの共演を機に、2回目のオーディションには強い気持ちで臨み、通りました。

小澤さんと共演した際、何か話をされましたか。

それが、あまりお話しできなかったんです。協奏曲で共演するなど、昔から知っていたのに、小澤さんは「お疲れ様!」と言ってすぐに帰ってしまい、あまりお話ししてくださらなかった。嫌われたんじゃないかと思って落ち込みましたよ。でも、後でヴィオラ奏者の川本嘉子さんと電話で話した際にたまたま聞いたのですが、小澤さんはあえて僕に冷たくしていたようなのです。リハーサル中、小澤さんはぱっと見て僕がベルリン・フィルに入ることに興味があるかもしれないと思ったとか。そのとき、「オーケストラのメンバー全員が自分(小澤さん)のことを好きなわけじゃない。もし僕のことを嫌いな人がいたとして、その人に大進と仲良くしているところを見られたら、彼にとって不利になる」と思って、わざと冷たくしたのだそうです。「そこまで考えてくださっていたのか」と感動して泣いてしまいました。小澤さんとは、ぜひまた共演したいです。

Daishin Kashimoto
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ベートーヴェンの協奏曲は、
自分の中でイメージが出来上がっていないと弾けない

コンサートマスターとしての樫本さんも、もうすっかり板に付いてきたという印象です。

ベルリン・フィルの団員としての生活は、もう5シーズン目になりますが、まだ初めての曲が多いんですよ。最初、安永さんと電話でお話ししたとき、「(一通りのレパートリーを弾くのに)少なくとも10年は掛かるんじゃない?」と仰っていて驚きましたが、本当にそのくらい掛かるようですね(笑)。このオーケストラはレパートリーが広いのに、皆曲をよく知っているんですよ。僕はゼロから始めているので、まだこれからです。実は、ベートーヴェンの「英雄」も「運命」も第7番も弾いたことがありません。弾きたい曲がたくさんあります。

樫本さんが20歳だった頃のインタビュー記事を最近拝読し、その中に「ベートーヴェンの協奏曲が大好きだけれど、自分にはまだ弾くことができない」という箇所がありました。最近、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタに集中して取り組まれていましたが、当時と比べて技術面、精神面でどのような変化がありましたか?

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、自分の中でのイメージが出来上がっていないので、弾いている意味があまりないんです。例えば、ブラームスの協奏曲は弾くほどに新しい発見があって、もっと弾きたくなるのですが、ベートーヴェンの曲は経験によって出来上がるというよりは、すでに出来上がっているものがないと難しいですね。ただ最近、ヴァイオリンソナタ全曲を弾いてレコーディングをする機会に恵まれ、少しは自分の中のイメージが熟しているはずなので、また協奏曲に取り組んでみても良いかなと思っています。

オフのときは、どのように過ごされていますか?

基本的に家でのんびり、何もしていないですよ。昔から家でぼーっとするのが好きなタイプなんです。人と会って食事をしたり、ワイワイするのも好きです。普段、ツアーに出ていたりして、自宅で過ごすことがあまりないので、家にいるときは特別なことはしませんね。

ベルリンで好きな場所はありますか?

ヴィクトリア・ルイーゼ広場が大好きで、あそこに住みたいなと昔から思っているんですよ。あとは、ルートヴィヒキルヒ広場とか。ティアガルテンの公園の中にあるカフェも好きです。人と会うときは、そういう場所に行くことが多いですね。ただ、ベルリンは広過ぎて、まだちゃんと把握できていない部分がありますね。東の方へ行ったら、多分迷子になっちゃうと思います(笑)。

樫本さんにとって、ドイツとはどういう国ですか?

音楽や音楽の文化に対して、世界で一番理解がある国だと思います。最近は厳しい事情もありますが、これほどいたる所に劇場やオーケストラがある国って、なかなかないじゃないですか。芸術を大事にしてくれているというのはありがたいことで、住みやすい国ですね。

日本のこと


樫本さんは日本人ですが、音楽的な土台を築かれたのも、現在の拠点があるのもドイツです。逆に日本に対しては、どのような想いをお持ちですか?

日本では、出身や所属を大事にするところがありますよね。僕の場合、日本の音大を出ていないので、どこにも所属できませんが、逆にどこからもダメと言われない立場なので、気楽にいられる感じです。でも、日本へは仕事でしかなかなか行けないですね。

数年前から、兵庫県の赤穂と姫路で毎年開催されるル・ポン国際音楽祭の音楽監督を務めていらっしゃいます。

米国に住んでいた頃、夏休みになると、母の故郷であり、祖父が住んでいた赤穂に遊びに行っていました。子どもの頃から繋がりがある、故郷のような町です。そのような場所で、皆さんに室内楽の素晴らしさに触れていただきたいと願って、自分からアイデアを出しました。

お寺やお城でもコンサートが行われるそうですね。

地元の皆さんにクラシック音楽、それもシンフォニーだけでなく室内楽にも親しんでいただきたい。そのためには、彼らにとってアイデンティティーを感じられる場所でコンサートができたらと思ったのです。

やはり、お寺などで演奏すると、特別な空気が生まれますね。音響や湿気の問題はありますが、この音楽祭ならではの特色を大事にしていきたいと思います。お客さんもそれを楽しみに聴きに来てくださいますし、遠方から来られる方には町の魅力を伝えられますしね。姫路城など、素晴らしいですよ。お城の中庭にステージを作り、背景に姫路城が見えて……。大好きな祖父が住んでいた場所ですし、できればこれからも続けていきたいと思っています。

最終更新 Mittwoch, 19 Juni 2019 17:12
 

フランクフルト発 気ままな小旅行

フランクフルト発 気ままな小旅行

フランクフルトの魅力を堪能した後は、そこからちょっと足を延ばして、ドイツらしい風景が見られる町へ出掛けてみませんか。まだ誰も知らない自分だけの発見を求めて、初めての土地を歩くのはワクワクするもの。ここでは、有名どころからあまり知られていない小さな町まで、観光で訪れる人も、市内やその近郊に暮らす皆さんも楽しめる散策スポットをご紹介します。
(編集部:林 康子)

フランクフルトから南へ

情報協力:JALPAK International (Germany) GmbH

ドイツ・ロマンの真髄に触れる
ハイデルベルク Heidelberg

ハイデルベルク Heidelberg
行き方 フランクフルト中央駅からICまたはECで約50分
ツーリスト・インフォメーション:中央駅前

ドイツ最古の大学を擁する町ハイデルベルク。名所の1つである「哲学者の道」の名が想起させる通り、旅情溢れるハイデルベルク城や、凝った装飾が施された建物が並ぶ旧市街の景観は、どこか知的な雰囲気を 醸し出し、古くからゲーテやショパン、ユーゴーなど、数多くの詩人や芸術家を魅了してきた。ドイツ・ロマン主義の骨頂とも言えるこの町は、学生の町ならではの活気に満ちている上、年間を通して世界中から訪れる観光客で大賑わい。旧市街へと続くハウプト通りへ一歩足を踏み出せば、どこからともなく古き良き中世の香りが漂ってくる。

ハウプト通り Hauptstraßeハウプト通り
Hauptstraße

欧州一長い歩行者通りと言われるこの通りの長さは、途中の脇道も含めると1.6kmに及ぶ。道沿いには、レストランやカフェから土産物屋、ファッション、雑貨屋まで、実に様々なショップが立ち並び、毎日大勢の市民や観光客で賑わっている。ビスマルク広場から10分ほど歩くと、聖霊教会(Heiliggeistkirche)や市庁舎(Rathaus)のあるマルクト広場に出る。

ハイデルベルク城ハイデルベルク城 Schloss Heidelberg

この城が史料に初めて登場するのは1225年。15世紀以降は、約500年にわたってプファルツ選帝侯の居城として使われ、17世紀の三十年戦争、それに続くプファルツ継承戦争によって城は次第に破壊されていくこととなる。旧市街を見下ろすように建つルネサンス様式の城趾のどっしりとした佇まいが、この町の激動の歴史を物語っている。

www.schloss-heidelberg.de
城へは、Kornmarkt駐車場脇から出ているケーブルカーで行ける(入城料込みで6ユーロ)

ホテル&レストランホテル&レストラン
Hotel zum Ritter St. Georg

聖霊教会の向かいに建つ後期ルネサンス様式の建物は、プファルツ継承戦争による被害を免れた数少ない建造物の1つ。先端に聖ゲオルクの騎士像が立っていることから「Der Ritter(騎士)」と呼ばれるこの建物は現在、ホテル&レストランになっており、レストランではバーデン地方の郷土料理を提供している。今の季節は、白アスパラがお勧め!

Hauptstraße 178, 69117 Heidelberg
www.ritter-heidelberg.de

学生牢 学生牢
Studentenkarzer

1778~1914年の間、夜間に騒いだり、決闘をしたりと、学則を破った学生を罰するための牢屋として使用されていた。牢屋と言っても、食べ物やビールの持ち込みが許され、学生たちの間では、むしろここに入ることが名誉とみなされていたほど。牢屋に入った記念に学生が残していった似顔絵や名前などが壁一面にびっしりと刻まれている。

Augistinergasse 2, 69117 Heidelberg
入場料:3ユーロ(割引2.50ユーロ)
※入り口は大学博物館側


“とっておき”が隠れている宝箱
バート・ヴィンプフェン Heidelberg Bad Wimpfen

バート・ヴィンプフェン Heidelberg Bad Wimpfen
行き方ハイデルベルク中央駅からSバーンとバスで約1時間半
現在、Bad Wimpfen駅を通る区間の鉄道は工事中のため、Sinnheim駅ないしBad Rappenau駅から代替輸送バスを利用する。
ツーリスト・インフォメーション:Hauptstraße 45

人口7000人にも満たない小さな温泉保養地。しかし実は隠れた名所で、街中にそびえ立ついくつかの尖塔や家々が織り成すシルエットをして「ドイツ一美しいスカイライン」と言わしめるほど、風光明媚なスポットなのだ。古代ローマ時代に築かれた城砦に起源を持つ、歴史ある町でもあり、静かに佇む重厚な建築を見上げれば、はるか昔から時が止まったままかのような錯覚に陥る。そして町を歩いていると、個人経営の小さなショップやカフェが多いことに気付く。町中を隈なく見て回り、自分だけのお気に入りのアイテムを見付けるのも楽しいかも。

青い塔 Blauer Turm青い塔
Blauer Turm

ネッカー川沿いにそびえる町のシンボル。外敵から町を守る監視塔として、650年来ずっと塔守が存在し続けているという珍しい塔の天辺からは、メルヘンの世界そのままの絶景が望める。650年前の塔守も、オレンジ色の切妻屋根がひしめき合うように建つ町の様子を、現在と同じように見守っていたことだろうと、当時に思いを馳せずにはいられない。

Burgviertel 9, 74206 Bad Wimpfen
入場料:1.50ユーロ

石けん屋さん 石けん屋さん
rosenzeit

バラの花をあしらった看板のロゴがかわいらしいこのお店では、ドイツ、フランス産の石けんやバスオイルを中心に、化粧品からアーティスティックな腕時計、雑貨まで、オーナーのマルガレッテ・ヴュルツさんが厳選した小物を販売している。やさしい香りを放つ色とりどりの石けんは、眺めているだけでも癒し効果絶大。店内では、不定期でアート作品の展示も行っている。

Marktrain 4, 74206 Bad Wimpfen
www.rosenzeit.eu

雑貨屋さん 雑貨屋さん
Zill Waren aller Art

店頭に看板はなく、一見、おしゃれに飾り付けられた普通の住宅と思ってしまいそうなこちらのお店は、オーナーのビルギッテ・ツィルさんの名を冠した「ツィルの何でも屋」。お店の前のカエルやアヒルなどの置き物に誘われて中へ入ると、食器やクロスなどのキッチンアイテムを中心にバラエティーに富んだ雑貨が所狭しと並んでいる。

Bollwerkgasse 5, 74206 Bad Wimpfen

ティールーム Cornwallティールーム
Cornwall

町を一巡りして、ちょっと休憩したいというときはこちらへ。英国コーンウォール出身のオーナー、ペギー・フェイリーさんが、本場の紅茶と手作りのサンドイッチやカップケーキ、クッキー、ペイストリーでもてなしてくれる。当地の伝統を意識した明るく華やかなインテリアの店内でティータイムを過ごせば、気分はすっかり英国紳士・淑女!?

Hauptstraße 50, 74206 Bad Wimpfen
www.cornwall-tearoom.de

フランクフルトから北へ

情報協力:JTB Germany GmbH

ライン渓谷に広がるおとぎの国
マールブルク Marburg

マールブルク Marburg
行き方 フランクフルトからICで約1時間
ツーリスト・インフォメーション:Pilgrimstein 26(バス停Rudolfsplatz前)

メルヘン街道の途上にあるマールブルクは、ハイデルベルク、ゲッティンゲン、テュービンゲンと並び、ドイツの4大大学都市として古くから栄えてきた。かのグリム兄弟が学生時代を過ごした町、ルターが宗教論争を戦わせた場所としても知られている。旧市街はライン渓谷の険しい斜面の上部に築かれており、そこに張り巡らされた石畳の細い坂道がノスタルジーを誘う。まずは中心部のマルクト広場(Marktplatz)を目指し、1527年に建てられたルネサンス様式の壮麗な市庁舎の時計台から鳴るラッパ(毎時)を聴いたら、おとぎの国への旅の始まり!

グリム兄弟が住んだ家 グリム兄弟が住んだ家
Barfüßerstraße 35

方伯城の直下に広がる旧市街オーバーシュタットの中心街はバルフューサー通り(Barfüßerstraße)。その中の1軒(3番地)に、グリム兄弟が学生時代の1802~03年に下宿した家がある。今でこそおしゃれなお店が建ち並ぶショッピング街だが、当時この界隈は薄暗く汚かったといい、兄のヤーコプは階段が多く、犬の糞だらけで物騒なことに憤慨していたのだとか。



市内最古のカフェCafé Vetter 市内最古のカフェ
Café Vetter

創業100年を超えるマールブルク最古のカフェ。現在は、4代目のザンドラ&アクセル・フェッター夫妻が店を切り盛りしている。ここでいただけるのは、ベーキングミックスや合成香料、人工甘味料などを使用しない無添加のケーキやサンドイッチなどの軽食。創業当時から代々守られてきたレシピによるホームメイド・ケーキは気取らない素朴な味わい。

Reitgasse 4, 35037 Marburg
www.cafe-vetter-marburg.de

ヘッセン方伯城ヘッセン方伯城
Landgrafenschloss

旧市街のマルクト広場から北へ向かって勾配のきつい坂を上り、ラーン川を臨む丘陵の頂に出ると、威風堂々たる方伯城がお目見え。11世紀にヘッセン伯爵の居城として建てられた城で、内部にはマールブルク大学の文化史博物館があり、市の歴史に関する資料が展示されている。この城からは、市内から遠くの山々まで、美しい風景を一望できる。

www.marburg.de/schloss

エリザベート教会エリザベート教会
Elisabethkirche

1228年に当地に居を据え、慈善活動に努めたというテューリンゲン伯爵夫人のエリザベートを奉る、ゴシック様式としてはドイツ最古の教会で、1235年にドイツ騎士団によって建設された。教会内のステンドグラスにはエリザベート夫人の生前の様子が描かれており、彼女の墓もここにある。ファサードの両側に建つ2つの塔が圧巻!

Elisabethstaße 3 35037 Marburg
www.elisabethkirche.de


ウェルテルの足跡を追って
ヴェッツラー Wetzlar

ヴェッツラー Wetzlar
行き方 フランクフルトからREで約1時間
ツーリスト・インフォメーション:Domplatz 8(大聖堂の向かい)

1774年に刊行され、当時世界的に一大ブームを巻き起こした文豪ゲーテのヒット作『若きウェルテルの悩み』。婚約者のいる女性シャルロッテに一目惚れし、恋に落ちたウェルテルの悲哀を、ゲーテが実体験を基に綴ったこの書簡体小説の舞台がヴェッツラーだ。作品を読んだことがある人なら、この町のいたるところに点在するウェルテルの軌跡をたどれば、小説の世界に迷い込んだ気分になるだろう。旧市街は小規模だが、ドーム広場(Domplatz)やコルンマルクト(Kornmarkt)には中世から変わらぬ町並みがしっかりと残されており、見ごたえ十分。

大聖堂 Dom Wetzlar大聖堂
Dom Wetzlar

13世紀初頭、近郊の町マールブルクやリンブルクで次々に町を象徴する教会の建築が決まったことに倣い、ヴェッツラーは1230年に大聖堂の建築を決めた。町の力を誇示する存在として威厳ある大聖堂の建設が目指されたが、出来上がったのは左側の塔が欠けた左右非対称のアンバランスな建物。その理由は、市行政と施主が建設予算の捻出をめぐり争っていた上、さらに14世紀に入ると市が財政難によって破産の危機に陥ってしまい、大聖堂の建設続行が叶わなくなってしまったから。未完成の外観は、時代の波に翻弄された大聖堂の数奇な運命を物語っている。

www.dom-wetzlar.de

イェルザレムの家 Jerusalemhausイェルザレムの家
Jerusalemhaus

ゲーテが『若きウェルテルの悩み』を書くきっかけとなった、友人カール=ヴィルヘルム・イェルザレムの死。小さなお店が軒を連ねるジルヘーファー通り(Silhöfer Straße)を南下した先に、イェルザレムが暮らし、1772年にピストル自殺を遂げた家が建っている。赤い木の柱と左右2つの出窓が特徴の木組みの建物は現在、博物館となっており、イェルザレムの直筆の書簡をはじめ、彼の生活を偲ばせる品々が展示されている。

開館時間:火~土14:00~17:00
Schillerplatz 5, 35578 Wetzlar

ロッテハウスロッテハウス
Lottehaus

ゲーテが恋したシャルロッテが、1753年の生誕から73年の結婚まで暮らした家。ゲーテがここへ足繁く通ったことも記録に残っている。1863年に、当地の市民のイニシアティブによってシャルロッテ記念館として保存していくことが決定した。1922年以降、博物館として『若きウェルテルの悩み』の初版や、当時のこの小説の受容の様子に関する史料を保存・展示している。なお、同じ敷地内には、産業発展を中心にヴェッツラーの歴史を紹介するStadt- und Industriemuseumと、ライカが本拠を構えるレンズの町らしく、視覚やレンズに関する展示を行うViseumの2つの博物館も併設されている。

開館時間:火~日10:00~13:00、14:00~17:00
Lottestraße 8-10, 35578 Wetzlar


自然を愛でに、ガーデニングショーへ
ギーセン Gießen

マールブルクとヴェッツラーの間にあるギーセンでは現在、第5回目となるヘッセン州ガーデニングショーが開催中だ。時間があれば、植物を愛でに、途中下車して立ち寄ってみては。

ヘッセン州ガーデニングショーヘッセン州ガーデニングショー
Landesgartenschau

市内東部、35ヘクタールの広大な公園内に咲き誇る色とりどりの花々……。ガーデニングショーでは、世界中の植物、庭に関する最新の情報が各所に散りばめられており、ただ歩いて花や草木を観賞して楽しむだけでなく、学術的な視点から造園を見る良い機会にもなる。

ギーセン駅から5番バスでLandesgericht下車、徒歩2分
入場料:大人15ユーロ(割引13.50ユーロ)
www.landesgartenschaugiessen.de

ホテル&レストラン
Hotel & Gasthausbraurei Alt-Gießen

ロッテハウスガーデニングショーを見終えてお腹が空いたら、市内へ戻って食事タイム。ギーセン駅から程近いこちらのレストランでは、ギーセンの自家醸造のビールを、ヘル(hell)、ドゥンケル(dunkel)、ヴァイツェン(Weizen)、そして季節によって替わるスペシャル(Spezial)の4種類にて提供している。また、平日の日替わりランチ・ビュッフェは6.90ユーロとお手頃。夏季にはビアガーデンも開放される。

Westanlage 30-32, 35390 Gießen
www.hotel-alt-giessen.de

最終更新 Freitag, 16 Mai 2014 13:14
 

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

マルセイユに行ってみよう - フランス第2の都市で太陽を満喫!

日照時間が延び、
遠出するのに最適な季節がやって来ました。
「燦々と照り付ける太陽の光を浴びに、
ドイツから国外へ羽を伸ばしたい!」
という方にお勧めなのが、
南仏らしい穏やかさと港町の活気を併せ持つ
フランス第2の都市マルセイユ。
日光の力でエネルギーをチャージしたら、
この街が誇る文学、建築、
そして食の世界を堪能しよう!
(取材・文:フランスニュースダイジェスト Kei Okishima)

ドイツからの行き方

OUIGO飛行機であれば、ベルリンからマルセイユ・プロヴァンス空港へ直行便で行くことができる。所要時間は約2時間。デュッセルドルフやフランクフルト、シュトゥットガルトなど、その他の主要空港からはアムステルダムやパリ、ジュネーブなどを経由することになる。

マルセイユ・プロヴァンス空港から市内のマルセイユ・サン・シャルル(Marseille-Saint-Charles)駅までは、シャトルバスで約30分。パリ旅行と併せてマルセイユも訪れたいという場合には、フランス国鉄(SNCF)が昨年、営業を開始した格安列車ウイゴー(OIGO) を利用するという手もある。パリとリヨン、ヴァランス、アヴィニョン、エクス・アン・プロヴァンス、マルセイユ、ニーム、モンペリ エを結んでおり、チケット料金は最安値のもので片道10ユーロから販売されている。パリからの所要時間は3時間強。パリの出発駅はRER線のマルヌ・シェシー(Marne-la-Vallée-Chessy)駅となるのでご注意を。

OUIGO公式ホームページ www.ouigo.com

港町を見守ってきた800年の歴史
旅の始まりはノートルダム・ド・ラ・ガルドから

ノートルダム・ド・ラ・ガルド

ボンヌ・メール19世紀まで、貿易の中心地として栄えたマルセイユ。旧港の南の丘、147.85メートルの高台に、ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院(Notre-Dame de la Garde)はそびえる。現在の寺院は19世紀に建築家エスペランデュによって建てられたものだが、歴史をたどれば基となった寺院は、1214年に丘の上に建てられていた。今年、誕生から800年を迎える。寺院の上には黄金に輝く9.72メートル、重さ約1トンの聖母マリア像が町を見下ろすように立っている。この黄金に輝く聖母マリアは「ボンヌ・メール(良き母)」と呼ばれ、これまで漁を、町を、そして住民を見守ってきた。内部のモザイク装飾は圧巻。内部には天井からいくつもの船がつり下げられていたり、海にまつわる絵画などが飾られていたりと、漁や平癒に対する感謝の気持ちから納められた奉納品が飾られている。ここから見るマルセイユは絶景。市内から徒歩で来るには、かなりの坂道を登ることになるので、バスが便利。

Basilique Notre-Dame de la Garde

Rue Fort du Sanctuaire 13281 Marseille
Tel: +33 (0)4 91 13 40 80
開館時間:4月~9月 7:00-19:15、10月~3月 7:00-18:15(9:00以降が望ましい)
アクセス:旧港(Vieux-Port)からバス 60番で、
ノートルダム・ド・ラ・ガルドのパーキングまで
www.rtm.fr

小説の舞台で一休み
モンテ・クリスト伯の舞台、イフ島へ

イフ島

1529年、フランソワ1世が町を守るための要塞として建設したイフ島の城シャトー・ディフ。その後、逃亡不可能な建築スタイルと立地から、監獄として使用されるようになった。フランス革命のリーダーとなったミラボーもここに監禁され、「専制政治論」を完成させた場所として知られている。また、作家アレクサンドル・デュマは、フランスの新聞「ジュルナル・デ・デバ」に連載した「モンテ・クリスト伯(巌窟王)」の小説の舞台にシャトー・ディフを選んだ。主人公、エドモン・ダンテスは無実の罪でシャトー・ディフに投獄され、14年間をこのイフ島で過ごしたという設定だ。シャトー・ディフの窓からは、マルセイユの高台にそびえるノートルダム・ド・ラ・ガルドが見える。

シャトー・ディフChâteau d'If

Embarcadère Frioul If
1, Quai de la Fraternité, 13001 Marseille
4月1日~5月15日 9:30-16:45、
5月16日~9月16日 9:30-18:10、
9月17日~3月31日 9:30-16:45(月休)

アクセス

マルセイユ市内からイフ島までは旧港からフェリーで約20分

イフ島行きのフェリー

Frioul If Express
Tel: +33 (0)4 96 11 03 50
www.frioul-if-express.com

ル・コルビュジエの集合住宅
ユニテ・ダビタシオンを体感

ル・コルビュジエ20世紀最大の建築家と言われるル・コルビュジエが建てた巨大な集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」。中でも一番初めに建てられたマルセイユのユニテ・ダビタシオンは、今日でも世界中の人を魅了している。

この集合住宅は第2次世界大戦後復興期の1947~52年、理想的な生活のスタイルを実現するために造られた。137メートル×56メートル×24メートル、18階建てという巨大な建物の中には23種類の異なる部屋のタイプがあり、1600人が生活することができる。この集合住宅は1つの玄関ホールから出入りするようになっており、建物全体が1つの小さな町のようなコンセプトで造られている。1階部分はピロティーになっていて、この巨大な建物を柱がしっかりと支えている姿は圧巻。ピロティーのおかげで自転車を置いたり、自由に通り抜けることができたりと、ゆったりとしたスペースが確保されている。多くの部屋がメゾネット形式になっているため、エレベーターは3階、6階のように数階ごとに停止するのも 特徴の1つ。中間階には共同のスペースや店舗があり、屋上にはプールや運動ができる場所などが設置されている。屋上ではマルセイユの空、海、山、そして太陽を満喫できる。

コルビュジエの建築内で宿泊

ユニテ・ダビタシオンの見学は、個人で見る分には無料で、売店などがあるエリアや屋上を見学することができる。しかし、この世界にゆっくりと浸りたい建築ファンやコルビュジエファンにお勧めなのが、同集合住宅内にあるホテルだ。部屋は16平方メートルまたは32 平方メートルがあり、1~ 4人まで宿泊可能。 世界中のファンが予約する人気ホテルなので、旅が決まったら早めに予約を取ろう。

ユニテ・ダビタシオン内にはミシュラン・ガイドにも紹介されているレストラン「Le Ventre de l'Architecte」がある。宿泊が難しい人は、こちらでゆっくりと食事を堪能してみては?

Unité d'Habitation

280, Boulevard Michelet 13008 Marseille

個人での見学(共有部分のみ可能)

毎日9:00-18:00

ガイド付き見学

火~土 14:30~、16:30~(各1h30、要予約)
www.marseille-tourisme.com
(Visites-GuidéesからLe Corbusier en exclusivitéを選択)

ホテル

Hôtel Le Corbusier
Tel: +33 (0)4 91 16 78 00
www.gerardin-corbusier.com

レストラン

Le Ventre de l'Architecte
Tel: +33 (0)4 91 16 78 23
www.leventredelarchitecte.com

アクセス

マルセイユ駅から地下鉄2番線(Dromel方面)
ロン・ポワン・ドゥ・プラド(Rond Point du Prado)駅下車。
その後21番、21S番、22番、22S番のいずれかのバスで
ル・コルビュジエ(Le Corbusier)駅下車。

肌が喜ぶ植物オイル
職人が作るマルセイユせっけん工場を見学

マルセイユせっけんマルセイユのせっけんは、植物性のオイルと苛性ソーダを混ぜたもの。ルイ14世の時 代の1688年10月5日、財務総監を務めていたジャン=バティスト・コルベールにより、原料の油脂はオリーブ・オイルにすることなど、マルセイユのせっけん作りの製法が定められた。現在でも伝統的な方法で作られているマルセイユせっけんは、72%の植物オイルを含んでおり、かま炊きけん化法で植物オイルとソーダを煮詰め、その後、塩水で不純 物を取り除くなど、約80時間の行程を経て生み出されている。

マルセイユせっけんを代表する「植物油脂72%」と刻印された600gのせっけんは、お土産にぴったり。ほかにも、南仏で特に有名なスポーツ、ペタンクの形をしたせっけんや、パスティス(後述)の香りがするせっけんなどもお勧めだ。また、特別注文で、結婚式の引き出物用に名前が刻印されたせっけんを注文する人や、生まれた赤ちゃんと同じ重さのせっけんを記念に作ってほしいという依頼を受けることもあるのだそう。面白いアイデアがあれば、ぜひ事前に問い合わせをしてみよう。

せっけん作り
左)圧延機に掛け、せっけん素地を均一にしている 右)最後に丸いせっけんの形にプレスする

せっけん作りを見学できるお店

Savonnerie Marseillaise de la Licorne  
34 Cours Julien 13006 Marseille
Tel: +33 (0)4 96 12 00 91
www.savon-de-marseille-licorne.com

せっけん作り見学

11時、15時、16時(日祝以外)、無料

憲章で守られている伝統スープ
ブイヤベースに舌鼓

その昔、漁師たちが売れそうにない魚や売れ残った魚などをスープにして食べたことから始まったブイヤベース(La bouillabaisse)は、今やマルセイユの代表料理として知られている。伝統的なマルセイユの本格派ブイヤベースは1980年に制定 された「ブイヤベース憲章」で守られており、材料や調理法には決まりがある。魚は地中海の岩礁に生息するもので、ホウボウ、アンコウ、マトウダイ、カサゴ、足長ガニなどの中から4種類以上の魚を使わなければならず、エビ類や貝、タコ、イカなどは入れない。ベースとなるスープは決められた小魚でだしを取る。ほかに使用される材料は、塩、タマネギ、コショウ、パセリ、じゃがいも、ニンニク、オリーブ・ オイル、サフラン、フェンネル、オレンジの樹皮など。ルイユという特製のソースと、ニンニクの香りが付けられたクルトンと一緒に提供される。最初にスープのみを客に出し、その後に魚を別の皿に盛り、提供するというのが基本的なパターンだ。

市街では複数のレストランがブイヤベースを提供しているが、きちんと調理をしているレストランでは待ち時間も長いので、余裕を持って行こう。また、量もかなり多めなことをお忘れなく。

ブイヤベース

お薦めレストラン

小さな港の前にあり、マルセイユの雰囲気にゆっくりと浸りながら
静かに過ごすことができるレストラン。
Chez Fonfon
140, Vallon des Auffes 13007 Marseille
Tel: +33 (0)4 91 52 14 38
www.chez-fonfon.com

気になる伝統料理・菓子

ピエ・エ・パケPieds et paquets
ピエ・エ・パケ

羊の足と内臓をワインとトマトソースで煮込んだ伝統料理。

ナヴェットNavette
ナヴェット

舟の形をしたビスケット。2月の聖燭節には、クレープではなくナヴェットを食べる習慣も


ご当地ものにこだわって
マルセイユでアペリティフ

アペリティフの歴史をたどっていくと、古代ローマ時代から存在していたことが分かる。古代ローマ人は食欲を増進させるため、食事の前に少しアルコールを含む特別な効能を持った飲み物を飲む習慣があった。アペリティフという言葉の語源は、ラテン語の「aperire =開く」というもの。この伝統は世紀を越えて受け継がれ、19世紀には食前に飲むすべてのアルコール飲料のことを「アペリティフ」と呼ぶようになった。マルセイユでは、アペリティフはとても大切。カフェやバーで、また、友人を自宅に招いてゆったりとしたア ペリティフの時間を楽しんでいる。日が長くなるこれからのシーズン、テラスのあるカフェでゆっくりと楽しもう。

マルセイユ生まれのリキュール「パスティス」

パスティスマルセイユのアペリティフとして欠かせないのが、マルセイユ生まれのアルコール、パスティスだ。パスティスの前身ともいわれるのが、19世紀、フランスの芸術家たちを魅了したアルコール「アブサン」。強い陶酔感と興奮をもたらすアブサンは、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、ロートレック、ランボー、ボードレールなど、フランスにいた多くの芸術家を魅了した魔のお酒と言われている。しかし20世紀に入りアブサンの製造が禁止され、その代わりにポール・リカールがアブサンの製法を改良して作ったのがパスティスだった。スターアニスやフェンネル、リコリスの香辛料が強いため、スーッとした後味が暑い気候のマルセイユに爽快感を与える。ちなみに「Pastis de Marseille(マルセイユのパスティス)」と表記するためには、アルコール度が45%以上で1リットル当たり、2g以上のアネトール(アニスの主成分)が含まれていなければならない。パスティスは水割りが一般的で、水を入れると白く濁るのが特徴。慣れてきたらカクテルにも挑戦しよう。有名どころでは、グレナデン・シロップ(sirop de grenadine)を加えたLa tomate、ミントのシロップ(sirop de menthe)を加えたLe perroquetなど。

La Cagole
マルセイユご当地ビール La Cagole

マルセイユにノスタルジックな思いを抱える幼なじみの友達2人が作ったビールメーカー。ビールの色はマルセイユの旧港(Vieux-Port)の水の色と同じだとか!初めはパニエ地区の小さなブラッセリーで作られたそうだが、今やマルセイユのご当地ビールとして浸透し、市街のブラッセリーやバー、スーパーで購入できる。
www.lacagole.com

Fada Cola
マルセイユ発の炭酸飲料 Fada Cola

お酒はちょっと、という人には、マルセイユ発の炭酸飲料水Fada Colaを。レモネードなどの炭酸飲料を展開している。La Cagoleビールも、Fada Colaも、パッケージのイラストがかわいいので、ちょっとした手土産にも喜ばれるかも。
www.fadacola.fr

最終更新 Donnerstag, 04 Juli 2019 11:53
 

ドイツ各地の民俗祭

地域の伝統を今に伝えるドイツ各地の民俗祭

伝統を後世に伝える大切な役割と、人々に日常を忘れさせ、
そのひとときを心から楽しめる娯楽性も兼ね備えた「祭り」。
それぞれの祭りにはその土地特有の慣習や歴史が
反映されていて、子どもたちにとっては、
地域で行われる民俗祭が1年のうちで
最大のイベントだったりもするだろう。
賑やかな音楽、華やかな衣装、
そこでしか食べられない料理……。
民俗祭は非日常へと誘ってくれるだけでなく、
ドイツ各地に伝わる風習に触れる良い機会ともなるはず。
(編集部: 山口 理恵)

ヘクセン・ナハト魔女の祭り ヴァルプルギスの夜
ヘクセン・ナハト
Walpurgisnacht

ブロッケン山・ハルツ
Brocken, Harz Sachsen-Anhalt

4月30日(水)

キリスト教が広まる以前、季節を2分して考えていたケルト人は、毎年5月1日に春を祝う祭りを行っていたが、その前夜には、魔女たちも夜な夜な集まって祝宴を上げていたという……。不思議な現象が起こると言われるハルツ山脈のブロッケン山は、17世紀中期以降、魔女が集まる場所として知られるようになり、現在も山頂の広場には、毎年この日に魔女や悪魔(に仮装した人)たちが押し寄せる!真夜中の山の中で、一夜限りのミステリアスな祭りを体験してみては?

www.harzinfo.de

マイスタートゥルンク 市長の武勇伝が祭りの由来
マイスタートゥルンク
Meister trunk

ローテンブルク
Rothenburg, Bayern

6月6日(金)~ 9日(月)

宗教戦争の真っただ中、ローテンブルクは新教軍に侵略され、窮地に立たされる。その際、敵の大将ティリーが出した提案が、「大量のワイン(3.25リットル)を一気に飲み干せる者がいれば、すべてを許してやろう」というもの。これを老市長ヌッシュが受けて立ち、見事にワインを飲み干して町を救ったという伝説にちなんだ祭り。パレード(8日)には大勢の観光客が訪れる。ティリー大将とヌッシュ老市長が登場する市議宴会館の仕掛け時計もお見逃しなく。

www.meistertrunk.de

ハノーファー射撃祭射撃クラブのパレードが圧巻
ハノーファー射撃祭
Schützenfest

ハノーファー
Hannover, Niedersachsen

7月4日(金)~13日(日)

約600年以上の伝統を持つ世界最大の射撃祭。当地に75ある射撃クラブのメンバーによるパレードは欧州でも最大級で、毎年150万人もの人々がこの祭りを訪れている。移動遊園地やディスコパーティーなども同時開催されるので、厳かな雰囲気の伝統的な祭りを祝うだけでなく、老若男女が楽しめる夏の一大祭りとなっている。名物はLüttje Lageというお酒。アルコール度数7~10%の地元の黒ビールと、32%の蒸留酒コルンを混ぜた伝統的な飲み物だ。

www.schuetzenfest-hannover.net

テンツェルフェスト主役は何と言っても子どもたち
テンツェルフェスト
Tänzelfest

カウフボイレン
Kaufbeuren, Bayern

7月10日(木)~21日(月)

1497年から続く、バイエルン州最古と言われる子ども祭り。毎年1000人以上の子どもたちが参加し、15世紀 の皇帝マクシミリアン1世の来訪を称える。当時の王様や貴族に扮した子どもたちの仮装パレードは壮観だ。子どものための祭典というだけあって、子ども向けプログラムが充実。ソーセージ作りや機織り、パン造りといった様々な職業を体験できる。付き添いの大人にはビールの試飲や、お風呂に浸かりながら1杯、なんていうユニークなプログラムも。

www.taenzelfest.de

カルテンブルク騎士祭1歩足を踏み入れれば、そこは中世の世界
カルテンブルク騎士祭
Kaltenberger Ritter turnier

カルテンベルク
Kaltenberg, Baden-Württemberg

7月11日(金)~27日(日)

カルテンベルク城で毎年開催される、中世を忠実に再現した祭り。中世風の屋台が80軒以上立ち並び、当時の衣 装を身にまとった人々が手工芸品や食べ物などを提供する姿を見れば、中世にタイムスリップしたような気分になるだろう。会場には中世音楽が鳴り響き、ダンサーや曲芸師、楽器の演奏者らが思い思いのパフォーマンスを披露する。ハイライトは、野外アリーナで開催される、騎士たちの臨場感溢れる決闘シーンや馬上演技。歴史的背景の解説なども行われる。

www.ritterturnier.de

キンダーツェッヒェ町を救った子どもの勇気を称える
キンダーツェッヒェ
Kinderzeche

ディンケルスビュール
Dinkelsbühl, Bayern

7月18日(金)~27日(日)

1632年春、三十年戦争でスウェーデン軍に包囲されたディンケルスビュールは降伏を迫られ、敵軍はいよいよ町を焼き払おうとする。そこで少女ローレが仲間を引き連れ、町を焼かないよう懇願すると、心を打たれた敵将は退散し、町は破壊から免れたという逸話が歴史に残る。この祭りは、このときの勇気ある子どもたちを称え、毎年開催されており、期間中、中世の面影を今に残す町の内外では、前述の史実を基にした劇や、ゴシックスタイルの衣装を着た人々のパレードが楽しめる。

www.kinderzeche.de

鉄ひげ博士が帰って来る!町医者の伝説を語り継ぐ
鉄ひげ博士が帰って来る!
Doc Eisenbarth is back in town!

フィーヒタッハ
Viechtach, Bayern

7月19日(土)~8月3日(日)

18世紀初頭に実在した伝説の名医ヨハン・アイゼンバルトは、「鉄ひげ博士」としてニーダーザクセン州のハン・ミュンデンという町で活躍し、生涯を閉じた。ヤブ医者だったとも言われるが、その理由は、変わった治療を施したからとか、腕の良さが妬まれて、同業者によってその名が付けられたという説もある。彼の生誕地である当地では、彼の功績を称え、毎年彼の 活躍ぶりをお芝居にした野外劇を開催し、期間中の上演は全8公演。
料金は大人17ユーロ、8~14歳は8ユーロ。

www.viechtacher-land.de

花の祭典町中が花で満たされる
花の祭典
Blumenkorso Bad Ems

バート・エムス
Bad Ems, Rheinland-Pfalz

8月29日(金)~9月1日(月)

米・パサディナ、フランス・ニースに次ぐ花祭りが、ドイツ有数の温泉地で開催される。地元の伯爵が市場を開いたのが始まりだが、現在は巨大なフラワーマーケットと移動遊園地が立つ一大イベントに発展。花のパレードは31日14:00〜。通りは歩行者天国となり、30台もの華やかな山車が続々とお披露目される。モチーフには『ハリー・ポッター』や『ヘンゼルとグレーテル』を題材にしたユニークなものも。使用される花はダリアだけでも150万本!観覧料は大人8ユーロ。

www.blumenkorso.de

中世スペクタクルショー中世の暮らしを芝居で再現
中世スペクタクルショー
Arnsberg Mitterlalteriches Spectaculum

アルンスベルク
Arnsberg, Nordrhein-Westfalen

9月6日(土)・7日(日)

アルンスベルク城跡で2年ごとに開催されているショー。中世に暮らした人々や兵士たちの日常を、史実に即した芝居仕立てで紹介する。城の廃墟を利用した舞台を騎士たちが馬に乗って走り回り、火の中を駆け抜けるシーンは、まさにスペクタクル。その他、中世音楽を演奏する女性バンドのコンサートが催され、夕方にはファイヤー・ショーが始まるなど、見どころ満載の2日間。会場内には、珍しい手工芸品店が並ぶスタンドや食べ物の屋台も併設されている。

www.arnsberg-info.de

アルムアプトリープ農業大国ならではの祭り
アルムアプトリープ
Almabtrieb

オーバーシュタウフェン
Oberstaufen, Bayern

9月12日(金)・19日(金)

アルプスに放牧した牛と牧人たちの帰還を祝う、アルゴイ地方の収牧祭。この両日、オーバーシュタウフェンでは、約100日間を牛とともに山で過ごした牧人たちがバイエルンの民族衣装を身にまとい、牛たちと山を下りてくる。カウベルや草花で着飾った牛たちが町の中を練り歩く光景を一目見ようと、毎年大勢の観光客も訪れ、無事牛たちを酪農家へ帰した後は、盛大な祭りが始まる。ビールやソーセージ、チーズが振る舞われ、人々はこの行事が幕を下ろすと、夏の終わりを実感する。

www.oberstaufen.de

ハイン城跡祭 個性的なプログラムが盛りだくさん
ハイン城跡祭
Hayner Burgfest

ドライアイヒェンハイン
Dreieichenhain, Hessen

9月12日(金)~14日(日)

フランクフルトの南約20キロの場所に位置するハイン城跡。当地で毎年開催される祭りは今年で75年目を迎え、今回のテーマは「野生の魔力」。敷地内では女性鷹匠によるショーや、観客が歌って踊れるコンサートなど、訪れる者を飽きさせない様々なプログラムが用意されている。会場内には子どもたちが中世の職業を体験できるコーナーも点在。小ぢんまりとしていて、ローカルな中世の雰囲気がたっぷり味わえる。1日券は大人10.50ユーロ(12歳以下は無料)。

www.hayner-burgfest.de

ブレーメン「自由市場」北ドイツのオクトーバーフェスト
ブレーメン「自由市場」
Freimarkt Bremen

ブレーメン
Bremen

10月17日(金)~11月2日(日)

北ドイツの「オクトーバーフェスト」とも称される祭りの起源は1035年。当時、地元の同業組合の許可がなくても、誰でも自由に商売ができた「自由市場」が立っていたことに由来する。近年は祭りとしての色合いが濃くなり、中央駅前広場や世界遺産の市庁舎前広場に、移動遊園地や350もの屋台、ビールテントが設置され、400万人以上が訪れる国内屈指の祭りとなった。ローラント像は巨大ハート形レープクーヘンが飾られて愛らしい印象に。名物はスモークうなぎ!

www.freimarkt.de

最終更新 Dienstag, 02 Juli 2019 17:40
 

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