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特集


復活祭の過ごし方

復活祭の過ごし方

春が一歩一歩近づいてくる。桜が咲き、花屋にはチューリップが並び、青空が時折、顔を出すようになると、長かった冬ももう終わり。街行く人の足取りも、心持ち軽やかになったようだ。今週末は復活祭。4連休にどこか旅へ出かける人もいるだろう。

だがドイツでは、復活祭は家族といっしょに過ごす日である。クリスマスと同様、大切な行事の一つだ。夜に大きなイースターファイヤーを見て、日曜の朝は庭に隠された卵やチョコレートを探す──、今年はそんな伝統的なドイツの復活祭を過ごしてみよう。

復活祭とは?
ドイツ語でオースターン(Ostern)、英語でイースターと呼ぶこのお祭りは、キリスト教の最も重要な祝祭日。キリストが十字架に架けられて亡くなった後、3日目によみがえったことを祝う日である。復活祭は、春分の日の後に来る最初の満月の次の日曜日とされており、3月22日から4月25日の間で毎年日付が変わる移動祝日だ。今年は3月23日。

3月21日(金) KARFREITAG (聖金曜日)

キリストが十字架に架けられた日。十字架の上でキリストが何も飲まなかったことから、昔は市民もこの日には飲み物をまったく口にしなかったという。通常は、15時から教会で礼拝が始まり、復活祭までの間、教会の鐘は鳴らなくなる

3月22日(土) KARSAMSTAG (聖土曜日)

北ドイツや中部ドイツでは、夜にイースターファイヤーを燃やす。集めた小枝をできるだけ高く積み上げて火をつけるのだが、てっぺんに藁でできた魔女の人形を飾るところも。火の周りでは市民が集い、ビールやホットワイン、バーベキューなどを愉しんで憩いの場となる。悪霊から守る意味や、灰によって肥沃な土地になるようにとの願いも込められているとか。翌日まで徹夜する地方もある。

3月23日(日) OSTERSONNTAG (復活祭)

復活祭の朝は、卵探しから始まる。家族みんなで、庭や屋内に隠された色とりどりの卵やお菓子を探し、宛名の付いたちょっとしたプレゼントもいっしょに隠されているのが愉しい。その後の食事では、これまで40日間にわたる断食期間を経てきたため、卵はもちろん、ベーコン、ハム、子羊やウサギ肉のステーキ、焼いた鶏肉や蒸した鶏肉、子牛などが饗される。また、卵やバターをふんだんに使ったパン やケーキも焼かれる。

3月24日(月) OSTERMONTAG (聖月曜日)

「エマオの日(Emmaustag)」との別称を持つ。エマオとはエルサレムに近い村の名で、復活したキリストは、エマオに向かっていた二人の若者の前に姿を現したという。この日は、家族で自然の中を散歩するのが慣わしだとか。

卵を隠すのは……?
卵に絵を描いて庭に隠しているのが、うさぎたち。背中にしょったリュックに卵をたくさん詰めて走っているという。地域によってはうさぎではなく、スイスではカッコウ、ヴェストファーレンやヘッセン地方ではキツネ、テューリンゲンでは鶏が、その役割を引き受けているのだとか。昔はコウノトリやロバ だったこともあるらしいのだが、多数の競争者の中から勝ち残ったのがうさぎ。いまではいちばん有名な“卵配達係”である。

なぜ、卵?
この時期になるとスーパーでは、紫やピンクなどのどぎつい色の付いた卵が売られている。卵の形をしたチョコレートもよく見かけるが、なぜ卵なのだろうか?これは、キリストが復活したことと、雛が卵から生まれることを結びつけたことに由来する。また、春になって再び草木が芽吹く喜びを表すとも言われている。すでに5世紀には、教会では卵をキリスト復活のシンボルとしていたそうだ。

☆こんな遊びも☆
自分のイースター卵をスプーンにのせ、バランスを取って歩こう。 折り返し地点で引き返し、最初に戻ってきた人が勝ち。もちろん、卵を落としたら負けだ。

各地の復活祭のイベント情報

ベルリン

卵探し
Freilichtmuseum Domäne Dahlem 3月24日(月)11:00~15:00
マーケット&フェスト
Alexanderplatz 開催中~4月6日(日)
Zentraler Festplatz 開催中~4月13日(日)
Britzer Baumblüte 開催中~4月6日(日)
Zitadelle 3月22日(土)~24日(祝)
Wilhelmstadt 3月22日(土)~24日(祝)

ケルン

イースター移動遊園地
Deutzer Brücke~Severinsbrücke 3月22日(土)~4月6日(日)

フランクフルト

卵探し
Palmengarten 3月23日(日)、24日(祝)11:00~16:00
Zoologischer Garten 3月23日(日)、24日(祝)10:00~16:00

ハンブルク

うさぎチョコレート探し
船の中に隠された1896個のうさぎ型のチョコレートを探そう!
RICKMER RICKMERS 3月24日(月)10:00~14:00
12歳以下対象、入場料無料
イースターファイヤー
Öjendorfer Park 3月22日(土)16:00~(点火19:00)
Jenfelder Moorpark 3月22日(土)19:30~
Alsterdorfer Markt 3月22日(土)17:00~
Glinder Osterfeuer(Kupfermühlenweg) 3月22日(土)18:00~
Hausbruch 3月22日(土)18:00~
Meiendorf(Dreieckskoppel / Saseler Straße) 3月22日(土)18:00~
Kirchsteinbek 3月22日(土)19:00~
Billstedt-Horn (Horner Rennbahn) 3月22日(土)16:00~
Oldenfelde Siedlung(Hanni Park) 3月22日(土)17:00~

ミュンヘン

卵探し
Tierpark 3月23日(日)、24日(祝) 12歳以下対象
マーケット&フェスト
Olympiapark 3月23日(日)11:00~17:00

本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です

最終更新 Freitag, 30 August 2019 12:00
 

サッカー・高校選抜チームがドイツへやって来る

サッカー・高校選抜チームがドイツへやって来る

サッカーの日本高校選抜チームが、3月15日(土)から19日(水)までドイツで合宿をはる。これは20日(木)から開催されるスイス・ベリンツォーナ国際ユースサッカー大会に参加するためで、今年の第86回全国高校サッカー選手権から選抜された優秀選手18名が、世界のクラブユースとの国際大会に挑む。ドイツでの合宿中に、フォルトゥナ・デュッセルドルフのユース、そして小野伸二選手が所属するVfLボーフムのユースと練習試合を行う予定だ。

Vfl ボーフムのユースチーム
VfLボーフムのユースとは18日に対戦

同大会は毎年スイスで開催されているが、日本高校選抜は、1987年からデュッセルドルフ国際ユースサッカー大会と毎年交互に参加しており、偶数年の今年はベリンツォーナ大会に出場。グループリーグでASローマ、FCチューリッヒ、スポルティング・リスボンと対戦する。

高校選抜だけに、将来日本代表入りする可能性の高い逸材が揃っている。これまでにも、名波浩、川口能活、中村俊輔、平山相太などがこの欧州遠征に参加し、世界のサッカーに触れる貴重な経験を積んだ。

昨年のデュッセルドルフ大会では最下位に終わったが、06年のベリンツォーナ大会では優勝。今年は、サッカー選手権で初優勝した流通経済大柏(千葉)のエース、FW大前元紀選手に期待がかかる。166センチ、56キロの小柄ながら、インターハイ、全日本ユース大会、選手権の3大会すべてで得点王という前代未聞の偉業を成し遂げ、J1清水エスパルスへのプロ入りが決定している。

大前選手
史上初の得点王3冠となった大前元紀選手

川渕三郎・日本サッカー協会会長が「史上最強チーム」と呼ぶ今年のチーム。将来有望な若きキッカーたちへ、声援を送りに出かけよう。

練習試合日程  * 各試合とも入場無料


日本高校選抜チーム vs Fortuna Düsseldorf
日時 3月17日(月)キックオフ 18:30
場所 Paul-Janes-Stadion(デュッセルドルフ)
住所 Flinger Broich 87, 40235 Düsseldorf

日本高校選抜チーム vs VfL Bochum U19
日時 3月18日(火)キックオフ 18:30
場所 Stadion Stefansbachtal(ボーフム近郊)
住所 Ochsenkamp 26, 58285 Gevelsberg

最終更新 Freitag, 30 August 2019 12:04
 

F1開幕特集

3月16日開幕 F1開幕特集

昨シーズンは最後の最後まで、ミキ・ライコネンとルイス・ハミルトンが優勝争いを繰り広げ、わずか1ポイントの差でライコネンがチャンピオンとなったF1。いよいよ、3月16日(日)のオーストラリアグランプリ(GP)を皮切りに、世界を舞台にした熱い戦いが始まる。昨季は17戦だったが、今年は1戦多い18戦。初の試みとなる夜開催のシンガポールや、モナコ同様、市街地を走ることになるバレンシアなど、見どころは多い。

昨季はハミルトンの同僚だった3位のアロンソが、今季は年間王者になったこともある古巣ルノーから出走する。ライコネン、ハミルトン、アロンソの優勝争いから目が離せない。しかし、いちばん注目したいのは新顔の二人だ。トヨタのティモ・グロック(ドイツ)とウィリアムズの中島一貴(日本)。全22人のドライバーのうち、今季はなんと、ドイツ人が5人、日本人が二人。優勝争いに絡むのは難しいにしても、我々にとっては応援しがいのあるシーズンとなるだろう。

7月には、フランクフルト郊外のホッケンハイムでドイツのGPが開催される。チケットを取って、迫力あるレースを生で体験してみてはどうか。

カレンダー
第1戦 3月16日 メルボルン(オーストラリアGP)
第2戦 3月23日 セバン(マレーシアGP)
第3戦 4月6日 サヒール(バーレーンGP)
第4戦 4月27日 バルセロナ(スペインGP)
第5戦 5月11日 イスタンブール(トルコGP)
第6戦 5月25日 モナコ(モナコGP)
第7戦 6月8日 モントリオール(カナダGP)
第8戦 6月22日 マニクール(フランスGP)
第9戦 7月6日 シルバーストーン(イギリスGP)
第10戦 7月20日 ホッケンハイム(ドイツGP)
第11戦 8月3日 ブダペスト(ハンガリーGP)
第12戦 8月24日 バレンシア(ヨーロッパGP)
第13戦 9月7日 スパフランコルシャン(ベルギーGP)
第14戦 9月14日 モンツァ(イタリアGP)
第15戦 9月28日 シンガポール(シンガポールGP)
第16戦 10月12日 富士(日本GP)
第17戦 10月19日 上海(中国GP)
第18戦 11月2日 サンパウロ(ブラジルGP)
11チームの各ドライバー

フェラーリ キミ・ライコネン(フィンランド)
フェリペ・マッサ(ブラジル)
BMWザウバー ニック・ハイドフェルト(ドイツ)
ロバート・クビサ(ポーランド)
ルノー フェルナンド・アロンソ(スペイン)
ネルソン・ピケJr.(ブラジル)
ウィリアムズ ニコ・ロスベルク(ドイツ)
中嶋一貴(日本)
レッドブル デビッド・クルサード(スコットランド)
マーク・ウェバー(オーストラリア)
トヨタ ヤルノ・トゥルーリ(イタリア)
ティモ・グロック(ドイツ)
トロ・ロッソ セバスチャン・ボーデ(フランス)
セバスティアン・フェッテル(ドイツ)
ホンダ ジェンソン・バトン(英国)
ルーベンス・バリチェロ(ブラジル)
スーパーアグリ 佐藤琢磨(日本)
アンソニー・デビッドソン(英国)
フォース・インディア アドリアン・ズティール(ドイツ)
ジャンカルロ・フィジケラ(イタリア)
マクラーレン ルイス・ハミルトン(英国)
ヘイキ・コバライネン(フィンランド)


日本人&ドイツ人ドライバー7人の横顔
佐藤琢磨佐藤 琢磨 Takuma Sato
スーパーアグリ

1977年1月28日、東京都出身。モナコ在住。19歳までは自転車競技をしており、20歳からレーシングカートを始めた。わずか5年後にF1のシートを獲得。02年のオーストラリアGPでジョーダン・ホンダからデビューを果たす。04年にはアメリカGPで3位となり表彰台に上った。
中島一貴中嶋 一貴 Kazuki Nakajima
ウィリアムズ

1985年1月11日、愛知県出身。英オックスフォード在住。元F1ドライバー中嶋悟の息子。07年シーズンよりウィリアムズのテストドライバー。中国GPでアレクサンダー・ヴルツが引退したことを受け、最終戦ブラジルGPでデビュー。 今季は第2ドライバーとして参戦。
ニック・ハイドフェルトニック・ハイドフェルト Nick Heidfeld
BMWザウバー

1977年5月10日、ノルトライン=ヴェストファーレン州メンヒェングラッドバッハ出身。スイス在住。00年にプロスト・グランプリからF1に参戦。01年にザウバー、04年にジョーダン、05年にウィリアムズへ移籍。06年からはBMWザウバーで第1ドライバーを務める。
ニコ・ロスベルクニコ・ロスベルク Nico Rosberg
ウィリアムズ

1985年6月27日、ヘッセン州ヴィースバーデン出身。モナコ在住。フィンランド人の元F1チャンピオン、ケケ・ロスベルクの息子。フィンランド語は話せないとか。母はドイツ人。06年に、父の古巣・ウィリアムズからF1に参戦、昨季最終戦では自己最高の4位入賞を果たした。
ティモ・グロックティモ・グロック Timo Glock
トヨタ

1982年3月10日、ヘッセン州リンデンフェルス出身。ケルン在住。04年にジョーダン・グランプリのテストドライバーとなり、同年、カナダGPのデビュー戦で2ポイントを獲得。昨年はBMWザウバーのテストドライバー、そして今季からはトヨタの第2ドライバーとして出走する。
セバスティアン・フェッテルセバスティアン・フェッテル
Sebastian Vettel
トロ・ロッソ

1987年7月3日、ヘッセン州ヘッペンハイム出身。ジュネーブ在住。小さいときから頭角を現し、昨年、カナダGPでクラッシュしたクビサの代役として、弱冠19歳でBMWザウバーからアメリカGPでF1デビュー、8位入賞。これが認められて、シーズン途中でトロ・ロッソへ移籍した。
アドリアン・ズティールアドリアン・ズティール Adrian Sutil
フォース・インディア

1983年1月11日、ミュンヘン近郊グレーフェルフィング出身。スイス・ニーダービップ在住。音楽家の父を持ち、ピアニストになる英才教育を受けたが、エンジン音に惹かれてレーサーに。昨年、スパイカーからF1参戦。今シーズンは、前スパイカーのフォース・インディアから出走する。

7月はホッケンハイムで生の迫力を

地図フランクフルトから車で南へ約1時間。ホッケンハイムリンクは森の中に位置する。昨季よりドイツGPは、ニュルブルクリンクとホッケンハイムリンクで交互に開催することになった。

F1は、実際に見るのとテレビで見るのとでは、大きく印象が異なるスポーツである。サーキットの喧騒、レースクイーンたちの華やかさ、そして何といってもマシンの走る豪快な音とスピード。以前、鈴鹿で見たことがあるが、あまりの迫力に鳥肌が立ったことを覚えている。

ドイツGPは7月18日からテスト走行など予選が始まり、決勝は20日の14時スタート。現地へ足を運び、盛り上がる観客とともに熱き声援を送ろう。万が一、トヨタやホンダ、スーパーアグリが勝ったら国歌をいっしょに歌ったりして……そんな心配、今年はまだいらないかな。

Mockenheim

チケット情報

カテゴリ
3日間通し
チケット
決勝1日
チケット
カテゴリー1 中央ブロック
446€
405€
カテゴリー2 南側ブロック
347€
315€
カテゴリー3 南側ブロック
内側ブロック
北側ブロック
297€
270€
カテゴリー4 内側ブロック
北側ブロック
248€
225€
カテゴリー5 立見席
149€
135€
カテゴリー6 立見席
105€
95€
カテゴリー7 家族チケット
(大人二人&子ども二人 / 南側ブロック)
659€
599€

※これに、3%の予約手数料と10ユーロの手数料件送料が加算される。
※カテゴリー3~6では、子ども料金は半額となる。

[チケット予約]
電話で 06205-950222
インターネットで www.hochenheimring.de

INFO

course決勝スタート時間:14:00
距離:4574キロ
周回数:67周(全30万6458キロ)
平均時速:209.277キロ(2006年)
収容人数:約12万人

住所:Motodrom, 68766 Hockenheim
TEL:06205-9500
www.hockenheimring.de

リンクへの行き方

車で行くのが便利だが、電車でもホッケンハイム中央駅からリンクまでシャトルバスが出ている。中央駅からは徒歩でも約30分ほど。公共バス「Waldstr./Friedof」で下車すると、リンクまでは500メートルだ。

昨年の順位

ドライバー結果
1. ライコネン フェラーリ 110
2. ハミルトン マクラーレン
109
3. アロンソ マクラーレン
109
4. マッサ フェラーリ
94
5. ハイドフェルト BMWザウバー
61
6. クビサ BMWザウバー
39
7. コバライネン ルノー
30
8. フィジケラ ルノー
21
9. ロスベルク ウィリアムズ
20
10. クルサード レッドブル
14
11. ヴルツ ウィリアムズ
13
12. ウェバー レッドブル
10
13. トゥルーリ トヨタ
8
14. フェッテル BMW トロ・ロッソ
6
15. バトン ホンダ
6
16. R.シューマッハー トヨタ
5
17. 佐藤琢磨 スーパーアグリ
4
18. リウッツィ トロ・ロッソ
3
19. ズティール スパイカー
1
20. バリチェロ ホンダ
0
チーム結果
1. フェラーリ
204
2. BMWザウバー
101
3. ルノー
51
4. ウィリアムズ
33
5. レッドブル
24
6. トヨタ
13
7. トロ・ロッソ
8
8. ホンダ
6
9. スーパーアグリ
4
10. スパイカー
1
11. マクラーレン *
-
* マクラーレンは、スパイ事件の罰として、すべてのポイント(218点)を剥奪された。

この人ご存じ?

ニキ・ラウダニキ・ラウダ Niki Lauda

ドイツでF1と言ったら必ず登場する赤いキャップがトレードマークのこのおじさん、実は、すご~い人なのだ。1971年から85年までオーストリア人の元F1ドライバーとして活躍し、75、77、84年のワールドチャンピオン。大企業の御曹司として生まれ、レーサーになるせいで家から勘当された。その後F1デビューを果たすが、76年のドイツGPで事故。全身に大やけどを負い、生命も危うい状況だった。しかし奇跡的に6週間でF1に復帰する。現在は、格安航空会社「ニキ航空」の経営者でもある。

カイ・エーベルカイ・エーベル Kai Ebel

F1中継をドイツで放送するのは、いつもRTL局。その番組内で、周りのレースクイーンに負けないほど、トレードマークの派手なシャツを着て走り回り目立っているのが、この人。ケルン体育大学を卒業後、1988年よりRTLのスポーツ局に勤め、92年以降はF1の現地レポーターとしてさまざまなコメントをお茶の間に伝えている。突撃取材が持ち味。いまではF1の顔となったこの人、デュッセルドルフ近郊の町メンヒェングラッドバッハ出身で、デュッセルドルフ市内で見かけることもあるとか。

テレビ情報 - 初戦・オーストラリアGP

予選 3月15日(土) RTL3:00~ 生中継 12:45~ 再放送
決勝 16日(日) RTL4:15~ 生中継 10:00~ 再放送

最終更新 Freitag, 30 August 2019 12:13
 

中村勘三郎 ベルリンに来たる!

中村勘三郎ベルリンに来たる!

歌舞伎俳優・中村勘三郎氏率いる平成中村座のベルリン公演が5月に行われるのに先立ち、2月28日(木)11時30分、公演会場となる「世界文化の家」(Haus der Kulturen der Welt)で勘三郎氏が会見した。ドイツでの歌舞伎公演は15年ぶりとのことで、べルリンに拠点を置く日本のメディアのみならず、地元の記者も多く参加し、会見は和やかなムードで始まった。

「今回、ベルリンにお招きいただいたことを、非常に嬉しく思っています。ドイツ、特にベルリンの演劇がいま非常に過激でおもしろいと我々演劇人の間ではよく話題になりますし、私の父(17代目中村勘三郎)が1965年にベルリンのフォルクスビューネで伝統的な歌舞伎を披露したこととも関係があります。18代目を継いだ息子の私が、このエキサイティングな町で、今度は新しい試みの歌舞伎をやらせていただくことは大きな喜びですね」

記者会見の様子
記者会見に臨む中村勘三郎氏(中央)

勘三郎氏といえば、演出家の野田秀樹と組んだり、歌手の椎名林檎の曲を取り入れたりするなど、歌舞伎という伝統芸能に新しい要素を積極的に取り入れることで知られる。日本の多くの若者に支持されるのもそれゆえだ。

「代々受け継がれてきた歌舞伎の伝統的な部分は、もちろん尊重します。ただ、江戸時代の人々にとって歌舞伎が大きな楽しみだったように、いまの歌舞伎だって、観ておもしろいものでなければと私は考えている のです」

記者会見の様子
ドイツ人記者も多数出席した

串田和美を演出に迎えた今回の演目「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は、「命懸けで何かを守ろうとする人々の義理と人情、暴力をテーマにした大阪の下町が舞台」とのこと。ニューヨークではすでに2度上演され、辛口で知られるニューヨーク・タイムズ紙からも絶賛された。

会見後の質疑応答では、興味深い質問が相次いだ。「お父様が今回の舞台を観たらどういう反応をすると思いますか?」というドイツ人記者の質問に対しては、「古典についてはまだダメだと言うでしょうね。でもこういう新しい試みは、『(生きていたら)オレが最初にやりたかった』と悔しがると思います」と言って、記者たちの笑いを誘った。

会見の前日には「世界文化の家」の舞台を下見したという。

「舞台は東京のシアターコクーンに似ています。最初は花道を作ろうかと思っていたのですが、考えを改めました。実はちょっとおもしろいアイデアも浮かんでいて、それがどういうものになるかは、5月のベルリンの舞台をどうぞ楽しみにしていてください」

平成中村座のベルリン公演は5月14日から21日まで。伝統と革新の町ベルリンで、中村勘三郎氏が歌舞伎旋風を巻き起こしそうだ。

(TEXTE:MASATO NAKAMURA)


最終更新 Dienstag, 13 September 2011 17:40
 

若松孝二監督インタビュー:ベルリン国際映画祭閉幕特集 [後編]

ベルリン国際映画祭閉幕特集 -後編-

若松孝二監督にインタビュー

カリスマ的前衛作家として国際的な人気を誇る若松孝二監督。今年のベルリナーレでは、新作「実録・連合赤軍~あさま山荘への道程」のほか、トリビュートとして過去の作品3本が上映された。702号に続き、ベルリン国際映画祭閉幕特集・後編となる今号では、フォーラム部門でNETPAC (最優秀アジア)賞とCICAE(国際芸術映画評論連盟)賞の2冠を戴いた監督に、同受賞作について語っていただいた。

Koji Wakamatsu
1936年4月1日、宮城県生まれ。高校中退後上京し、さまざまな職を経て映画監督に。1963年にピンク映画「甘い罠」で監督デビュー。“ピンク映画の黒澤明”と称され、次々とヒット作を世に送り出した。65年に若松プロダクションを立ち上げ、足立正生、山本晋也、高橋伴明らを輩出。主な作品に「胎児が密猟するとき」(1966)、「腹貸し女」(1968)、「寝盗られ宗介」(1992)などがある。また、「女学生ゲリラ」(足立正生監督、1969)、「愛のコリーダ」(大島渚監督、1976)をプロデュースするなど、プロデューサーとしても高名である。

権力者側の視点に立って、映画を撮ってはいけない

許せなかった「突入せよ! あさま山荘事件」

赤軍というのは、かつてのファシスト国家にしかないのですよ。国家のいいなりになっていた親の世代への拒否反応から生まれたのです。しかし、連合赤軍は、ドイツ赤軍とイタリアの「赤い旅団」とは違い、権力に対してではなく、自分の仲間たちに銃口を向けてしまった。それを僕は、断じて許すことができません。

今回の作品で、僕は彼らを批判するつもりはありません。中立的な視点から赤軍を描いたつもりです。それをどう受け止めるかは、観客が決めてくれればいい。僕が撮るというと、皆、また革命映画だろうと思うでしょうが、今回は違う。そういうものは、まただれか他の人が撮ってくれればいい。

原田眞人監督の「突入せよ!あさま山荘事件」(2002)を観て、これは許せないと思いました。権力者側の視点に立って映画を撮ってはいけない、というのが僕の持論です。そこで、なんとか事実に近い映画を撮りたいと思った。中で何が起きたのか、世界で何が起こっていたのか、なぜあそこまでいったのかを徹底的に描くために、どうしても60年安保まで遡り、自分でもきっちり理解する必要があった。

全財産を担保に

昔から撮影のスタイルはまったく変わっていません。例のごとく密室劇なので、経済的でしたし、カメラ3人、照明二人、助監督4人という小さいチームで撮りました。役者はオーディションで選びました。皆最初は“イケメン”でしたよ。怒鳴りつけて、繰り返させて、どんどん追い込んでいった末に、ああいう役柄に近い顔立ちになっていったのです。当時の学生たち特有の話し方を教えるのは大変でしたね。赤軍のように合宿をして、撮影をしました。

制作上の制約がなかったので、楽しみながら作れました。自分は絶対にこれを残さなければならないと決めて、自分で資金を集めて、自分ですべてをやりました。全財産を担保に入れました。名古屋に自分の映画館を持っているので、日本ではそこで先行上映をしています。

元赤軍派メンバーと一般観客の反応

若松監督元赤軍派メンバーたちはこれを見て、「ようやく自分たちのことが認められた」と喜んでくれました。肩身が狭かったが、これでやっと面を上げることができると。20年の懲役を終えた植垣康博も見てくれました。東京拘置所にいる重信房子はシナリオに朱筆を入れてくれた。鑑賞後、一般の観客たちはほとんど泣いて出てきます。あまりの衝撃で椅子から立ち上がれないという人もいました。

オウム事件についての記録映画を撮った森達也監督と、3度ほど対談しました。赤軍とオウム、どちらのケースでも、優秀で生活に困らない若者たちがテロ事件を引き起こしている。しかし、麻原彰晃が自分の欲望を満たすために組織を利用したことに対し、森恒夫は、本気で革命を起こそうとしたと思うんです。

今度の作品にもエロティシズムを期待した観客がいるかもしれませんが、これは実録ですからね。実際、少しでも変なことを考えたら、それこそ「粛正」ですよ。殺されてしまうんです。植垣は「俺は適当にやってたよ」とか言うけれど、その事実は残っていない。昨今のいじめと同じで、閉塞情況のはけ口が、暴力や他者の排除に行ってしまったのでしょう。

僕はパレスチナ難民キャンプ、サブラ・シャティーラの大虐殺(レバノンのベイルート市内で1982年に起きた虐殺事件)の後を訪ねたことがありますが、恨みを持って死んだ人の顔は凄まじいものです。リンチ死した赤軍メンバーの死顔はそれとは違う。彼らは粛正されても恨んではいなかったのではないのでしょうか。永田洋子に「総括」を強要され、遠山美枝子が自分の顔を打つシーンだけは、特殊メイクを雇いました。鏡に映る遠山の腫れ上がった顔が、永田の顔と並ぶところで、永田に「この醜い顔は、あなたの内面そのものですよ」と言ってやりたかった。

警官を映画の中で殺すために監督になった

僕は映画の中で警官をたくさん殺してやろうと思って、監督を志しました。僕ほどたくさん権力者を殺した人間はいないんじゃないですか?皆僕に騙されて、お色気目当てで映画館に来て、バサッと刀で切られるような目に遭って帰っていく。僕は人に気に入られたくて映画を作っているわけじゃない。作品は、手をかけなくても自然に育っていくものです。いまの日本は難病や犬猫の映画、マンガの映画化、リメイクばかり。程度の低いものを作って、宣伝にお金をかけている。皆バカですよ。

僕が影響を受けたのはゴダール(ジャン=リュック・ゴダール、フランスの映画監督)だけです。彼に「映画には文法がない」ということを教わって以来、自由に作るようになりました。きちんとした考えさえあれば、どんなに無茶苦茶に撮ってもちゃんと繋がります。日本の映画から学ぶことなんて一つもありません。向こうは僕から学んでいるかもしれませんがね。それでも大島渚には共鳴しますし、北野武は好きです。いちばん好きなのは「あの夏、いちばん静かな海」かな。あれと同じで、「実録・連合赤軍」も青春映画なのです。青春はなんでもありです。そして苦しいです。僕の映画はどれも苦しいんですよ。

(INTERVIEW:KAYO ADACHI-RABE)

ベルリナーレでの若松作品

100本以上のアヴァンギャルドな“性と革命の映画”を撮った若松孝二監督を、再評価する機運が高まっている。今回のベルリナーレでは彼の初期作品3本と、新作「実録・連合赤軍~あさま山荘への道程(United Red Army)」が出品され、大反響を呼んだ。

写真:©Internationale Filmfestspiele Berlin

壁の中の秘め事
「壁の中の秘め事」
そのうち「壁の中の秘め事(Secrets Behind the Wall)」は、1963年にベルリン映画祭のコンペティション部門に出品されたもの。ある団地の住人たちの欲望と孤独が織りなす心理ドラマだ。当時日本では「国辱ムービー」のレッテルを貼られたが、欧州ではスタイリッシュな映像で高い評価を得ている。
ゆけゆけ第二の処女
「ゆけゆけ第二の処女」
「ゆけゆけ第二の処女(Go, Go Second Time Virgin)」(1969)は、驚くべき画面展開で、今回特に注目を浴びた傑作。若者たちの性衝動をニヒルな世界観で捉えている。監督の思想的盟友である足立正生の脚本が、透徹した不条理を追求した。
天使の恍惚
「天使の恍惚」
「天使の恍惚(Ecstasy of the Angels)」(1972)は、一連の赤軍事件に対する若松監督の直接的なリアクションといわれる。追いつめられたアナーキストたちが、内部分裂しながら爆弾テロに走る。過激な内容のため、公開当時は上映拒否が相次いだ。
実録・連合赤軍~あさま山荘への道程
「実録・連合赤軍
~あさま山荘への道程」
上映時間3時間の大作「実録・連合赤軍~あさま山荘への道程」は、学生運動の始まりから、アジトでのリンチ事件を経て、あさま山荘事件に至るまでの過程を、記録資料を交えながら人間ドラマとして再現したもの。自らも赤軍に参加していた若松監督ならではの、鬼気迫る映像が胸を打つ。上映後のディスカッションも大いに盛り上がった。

(TEXTE:KAYO ADACHI-RABE)

第58回ベルリン国際映画祭レポート
ファンタジーとドキュメンタリーの繚乱

今年のベルリナーレでは、商業的な劇映画よりも、想像力豊かな実験的作品やドキュメンタリー映画が俄然光って見えた。足立ラーベ加代(映画研究者)

傑作ぞろいのドキュメンタリー作品

マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督による、ローリング・ストーンズのコンサート記録映画 「Shine a Light」(米国)は圧倒的だった。伝説のザ・バンドの解散ライブ記録「ラスト・ワルツ」から30年、スコセッシは最新の技術でスターたちの強烈な存在感と対決するかのように、挑発的な撮り方をしている。「ただの記録ではなく、カメラや編集の力によるポエジーを発散させたかった」という。劇作家だったチェコ共和国初代大統領の記録をP.コウテツキ(Pavel Koutecky)と M.ヤネク(Miroslav Janek)監督が撮った「市民ハヴェル(Obcan Havel)」(チェコ)でも、国賓としてストーンズが現れ、独特の愛嬌を振りまいていた。こちらも突出した人物の素顔に迫った快作である。

 Shine a Light 市民ハヴェル
左)Shine a Light 右)市民ハヴェル(Obcan Havel)
©Internationale Filmfestspiele Berlin

ユンゲ夫妻(Winfrien Junge&Barbara Junge)の世界最長観察記録「ゴルツォーの子どもたち(Die Kinder von Golzow)」の最終巻「...dann leben Sie noch heute...」(ドイツ)も絶賛を浴びた。この作品は、1961年に、ある小学校に入学したひとクラスの子どもたちの人生を、2007年まで追ったもの。同窓生でいちばん出世した隣り町の町長になった女性の、ドイツ統一後の失脚には泣かされる。この作品に現れる“本物の生活時間”は、唯一無比の映画的体験ではないだろうか。

日本在住の中国人監督リ・イン(Li Ying)のドキュメンタリー「靖国」(日本/中国)④もすごい。不毛な議論を重ねるよりも、現場を知ることが肝心なのだ。「ご神刀」の鋳造所や、軍服姿の人や政治家たちが参拝に来る異様な場面など、いまでは撮影禁止になった境内の様子を衝撃的に伝える、貴重な記録である。

ゴルツォーの子どもたち(Die Kinder von Golzow) 靖国
左)...dann leben Sie noch heute... 右)靖国
©Internationale Filmfestspiele Berlin

独創性と想像力の競演

カナダのガイ・マディン(Guy Maddin)監督の「My Winnipeg」は耽美的な疑似無声映画で、かつ監督の故郷を紹介する疑似記録映画だ。弁士は監督本人。雪の降り止まない故郷を後にする列車の中で、主人公が子ども時代を回想する。前進するごとに後退する記憶、遠ざかるほどに立ちふさがる故郷。雪が見せる夢のように幻想的な、美しい映画だ。

フランスのミシェル・ゴンドリー(Michel Gondry) 監督の「Be Kind Rewind」も独創性で群を抜いていた。あるレンタルビデオ屋で、カセットの中身が磁気を帯びて全部消えてしまう。商売を続けるために、店員たちが人気映画を次々と自分たちで撮り直す。「ゴースト・バスターズ」「キングコング」「キャリー」など、悪趣味な選択も爆笑ものながら、チープな素材で有名シーンを再現する、瞬間芸の連発にお腹がよじれる。普通の映画の何倍ものアイデアが詰まった、才気ほとばしる作品だ。荻上直子監督の「めがね」、押井守監督の「真・女立喰師列伝」もやはり、だれにも真似のできない独特の発想で、世界の秀逸なファンタジー映画と肩を並べた。

ゴルツォーの子どもたち(Die Kinder von Golzow) 靖国
左)My Winnipeg 右)Be Kind Rewind
©Internationale Filmfestspiele Berlin

オードレイ・エストゥルゴー(Audrey Estrougo)監督の「Regarde-Moi」(フランス)は、ドキュメンタリータッチの劇映画。パリ郊外の団地でたむろする多国籍の若者たちの物語が、最初は男の子たちの側から、そして次に女の子たちの視点から繰り返し語られる。この視点の転換の仕方が画期的だ。ライバル関係にある女の子同士の友情が、赤裸々に描かれていて感動的だった。主人公の住空間を面白く捉えている点で、廣末哲万監督の「夕日向におちるこえ」や、熊坂出監督の「パークアンドラブホテル」も斬新だった。

Regarde-Moi
Regarde-Moi
©Internationale Filmfestspiele Berlin

娯楽映画 vs 実験映画

商業映画としては、ポール=トーマス・アンダーソン (Paul Thomas Anderson)監督の「There will be blood」(米国)が傑出していた。石油王を演じたダニエル・デイ=ルイスとうさん臭い宣教師役のポール・ダノの、悪党ぶりが猛烈にうまい。轟音のような音楽がスクリーンを何倍にも膨らませる。

ジェームス・ベニング(James Benning)監督の実験映画「RR」(米国)は孤高の名作だった。列車が現れ、風景の中を通り過ぎるまでを延々と撮る。こんなところによく列車が来るものだとか、金属音にもいろいろな音色があるなあとか、この角度で列車が通りすぎるのが、これほど痛快なのはなぜだろうなどと感慨に浸りつつ、感覚の刺激に没頭できる。「列車はそれ自体が映画的です」とおっしゃる巨匠に、今年もまた多くを学んだ。

There will be blood, RR
左)There will be blood 右)RR
©Internationale Filmfestspiele Berlin

(TEXTE:KAYO ADACHI-RABE)

最終更新 Freitag, 16 August 2019 18:15
 

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