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コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿

栗田路子、プラド夏樹、田口理穂 ほか


発行元:光文社
ISBN 978-4-334-04516-6

コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿

7カ国のコロナ対策を振り返る

本書は、英独仏米とコロナ禍で注目を浴びたベルギー、スウェーデン、ニュージーランドの7カ国にそれぞれ在住するジャーナリストが、パンデミック当初からの約1年の出来事について、各国を率いたリーダーの言葉と共にまとめたレポートだ。ドイツの項は、本誌連載「私の街のレポーター」に寄稿中の田口理穂さんが担当している。

パンデミックが始まって少なくともしばらくの間は、自分の身の回りのことを考えるのが精一杯だった。そんななかで他国の詳しい状況を知ることは、多くの人にとって困難だったに違いない。本書では当時きちんと知ることができなかった、知っているつもりだった各国の状況を、現場の空気感を肌で味わってきた人の声を通じて振り返ることができる。

この1年のコロナ対策では、各国のリーダーの力量が問われたと同時に、彼らの素顔が見える機会ともなった。専門家の意見を積極的に取り入れて支持されたリーダーもいれば、SNS で市民たちのひんしゅくを買ったリーダーもいる。その国の市民の結束が生まれるのか、はたまた社会が分断されるのか、彼らの一つひとつの選択や言動によって大きく変わるのだ。

人々の心に訴えるリーダーたちの言葉

各国を比較して改めて感じられるのは、市民に寄り添えることが、リーダーに必要な素質の一つであること。例えば、次のようなリーダーの言葉が本書で紹介されている。

「ドイツは文化の国であり、博物館や劇場、オペラハウス、文学館など多様な施設があります。文化的催しは私たちについて、また私たちのアイデンティティーを表すものです」
(メルケル首相、ドイツ)


「あなたと、親しい方を大事にして。そうすれば、みんなを守れるのだから」
(ウィルメス副首相、ベルギー)


「喜んでください。検討の末、イースターバニーとトゥースフェアリーはエッセンシャルワーカーとして認めます」
(アーダーン首相、ニュージーランド)
※子ども向けの記者会見にて

もちろん、現在把握している事実や今後の政策方針を透明性をもって分かりやすく国民に伝えることが、リーダーには求められる。しかしそれだけで終わるのではなく、人間味を感じる気遣いやユーモアに溢れたこうした言葉によって、人々の心にさらに深く訴えかけることができるのではないだろうか。

第一波では「コロナの優等生」と称されたドイツも、第二波、第三波では苦戦を強いられ、一時は支持率が上がったメルケル政権も求心力を失いつつある。本書で取り上げられた国で、政権交代したところもあるほか、各国が迅速なワクチン接種という新たな課題にもぶつかっている。いまだ続くコロナ・パンデミックを市民と共に乗り越えられるリーダーシップが、今後も各国首脳に求められるだろう。

 
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