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MAMA, ICH MAG DICH…がんばれ、ブランデンブルク州!
~“あなたの知らないドイツ”への誘い~
塚本晶子 著 

作品社
ISBN 978-4-86182-154-7

ドイツ16州の名前とその場所を地図上で挙げよ、と言われてスラスラと答えられる人は少ないだろう。有名なバイエルン州やザクセン州は別として、ブランデンブルク州と聞いてもそんな所あったっけ?なんて人もいるかもしれない。本書はそんな読者にぴったりの“ドイツの秘境”ブランデンブルク州のガイドブックなのである。

著者は1980年生まれ、現在ベルリンのフンボルト大学でジェンダー学とヨーロッパ民俗学を専攻している。本書ではポーランドに国境を接し、ベルリンをぐるりと取り囲むブランデンブルク州について、見聞したことや同州出身のパートナーを通じて知った土地と人々の魅力を、歴史的な背景を絡めつつ独自の視点で綴っている。

興味深いのは、同州に居住する、スラブ系のソルブ人らドイツの少数民族(先住民)について書かれた記述だ。ともすればドイツ=ゲルマン=ドイツ語というイメージを持ってしまいがちだが、ソルブ文化を守るための活動が旧東ドイツ時代から行われ、今もラジオ・テレビなどのメディアでソルブ語の番組が放送されるなど、少数民族保護へのさまざまな取り組みがなされているという。普段ではなかなか知ることのできないドイツの一端である。

この地を語るとき、旧東ドイツ時代の過去を避けて通ることはできないが、ベルリンの壁が崩壊したときは9歳だったという著者は、「分断されたドイツというのは、世界史の出来事」と位置づける。過去にとらわれることなく、いまの素顔を自分の視点で紹介しようとするスタンスは、この土地への愛着に満ち溢れている。

観光スポットだけでは飽き足らなくなった人、ぜひこの1冊をリュックサックに入れてブランデンブルク州を訪れてみてほしい。(樹)



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