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Di. 11. Aug. 2020

ビール小話
歴史の裏にビールあり!文化の影にビールあり!人類の歴史を語るのにビールは欠かせません。
知れば知るほどに、楽しく美味しくビールを飲めるはず。
毎月ちょっと面白い、そしていつかは役に立つ(?)小話をご紹介します。


世界中で飲まれるギネスの秘密

世界中で愛されている黒ビール、ギネス(Guinness)。今や150カ国以上で飲まれ、1日の総消費量はグラス1000万杯。黒い液体にクリーミーな泡と、チョコレートやコーヒーを連想させるふくよかな味わい。普段は地元のドイツビールばかりという人でも、ギネスは飲んだことがあるのではないでしょうか。

ギネスは英国の西隣、アイルランドの首都ダブリンで誕生したビールです。創業は1759年12月31日。創業者のアーサー・ギネスが、使われていなかった醸造所を年45ポンドでリース契約したことからギネスの歴史は始まりました。そのリース契約の期間はなんと9000年という冗談のような本当の話!

ギネスビール
ギネスを注ぐとグラスの中に泡の対流が生まれる。
落ち着くまでの2分間、美しい泡のショーを眺めよう

ギネスの唯一無二の味わいの秘密は、副原料に使われる2種類の大麦にあります。麦芽になる前の大麦を焦げ色が付くまでしっかりと焙煎したローストバーレイは、黒い色とコーヒーのような香ばしさをもたらし、大麦を高温で押しつぶしたバーレイフレークはドライな味わいを造り出します。実はこれ、当初は税金対策でした。麦芽に対する税金が値上がりしたため、副原料として大麦を加えたのです。しかし、これは偶然のたまものではなく、英国から半植民地的な支配を受けていたアイルランド人の不屈の精神によって生まれたものでした。税金を軽減するために工夫を重ねた結果、より美味しいビールが生まれる。日本のビールにも言えることですね。

ところで、ギネスはなぜ多くの国で愛飲されるに至ったのでしょうか。それにはアイルランドの悲しい歴史が関係しています。アイルランドの痩せた土地では作物が育ちにくく、19世紀半ばには度重なる大飢饉によって多くの餓死者が出ました。飢饉は大量の国外移民を生み、人口の半分近くが新天地を求めて故郷を去ったといいます。特に、建国したばかりの米国には多くのアイルランド人が渡りました。毎年3月には、世界各地でアイルランドの祝祭日、セントパトリックデーが祝われ、街がシンボルカラーの緑に染まります。世界中に散っていったアイルランド人が故郷を懐かしみ、口にしたのがギネスでした。

世界中のどこにいても最高のギネスを飲んでほしい、それがギネスの親心。誰でも生ビールのような泡を作ることができる「ウィジェット・システム」缶は、そんな理由から発明されました。缶を開けると、中に詰められたプラスチック・ボールから圧縮されたビールが吹き出し、それが、ビールをグラスに注いだときにクリーミーな泡を完成させるという仕組みです。

ダブリンのギネス工場は2000年に改装され、外観はそのままに、内部の一部は博物館になりました。注ぎの名人のギネスを目当てに、世界中から観光客が訪れています。ダブリンのパブでは夜な夜なアイリッシュ音楽が演奏され、賑やかで楽しい雰囲気。この夏はダブリンでギネスの歴史に思いを馳せながら一杯、なんていうのはいかがでしょうか。

 
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コウゴ アヤコ: ビアジャーナリスト協会会員。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らし、暇を見付けては欧州各地の醸造所やビアハウスを旅して回る。2010年からは拠点を日本に移し、ライフワークである旅とビールをミックスした「旅ビール」を楽しんでいる。ブログ「ビアテイスターの世界ぐるっとビール旅」http://gogorinreise.blog34.fc2.com
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