【ベルリン 5月8日 時事】ドイツのシュタインマイヤー大統領は8日、第2次大戦でナチス・ドイツが連合国に降伏して80年の節目に合わせて連邦議会(下院)で演説し、「過去と向き合う者は、未来を諦めることもない」と述べた。ナチスの過去を背負いながら、自由と民主主義を積極的に擁護するよう求めた。
シュタインマイヤー氏は、5月8日がドイツにとって「解放の日」だと強調した。一方で「解放者」だったソ連の後継国家ロシアが、ウクライナ侵攻を「ファシズムからの解放」だと正当化していることを「最も重大な犯罪を隠すためのものだ」と非難。ウクライナを見捨てることは「5月8日の教えを放棄することだ」と支援継続を訴えた。
「(戦後)秩序の形成に重要な役割を果たしてきた米国が、今やそれに背を向けている」とも指摘。同盟を軽視し自国を優先するトランプ政権をけん制した。
さらに、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、ナチスの過去を矮小(わいしょう)化しようとしていると懸念を表明。「攻撃的なナショナリズムや民主主義軽視がどこにつながるか、われわれは知っている」と語り、ナチスの過去は「重荷」ではなく「現在と将来の危機を乗り越えるカギだ」と記憶の継承を呼び掛けた。
2 Mai 2025 1241号
終戦80周年記念特集
追放はどう語られてきた?
戦後独を考えるための問い