【ベルリン 5月9日 時事】ドイツで過激派を監視する公安組織、憲法擁護庁は8日、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を「右翼過激派」として扱うことを留保すると決めた。同党が「過激派」との認定に対し、仮差し止めを請求したことを受け、司法判断を待つことにした。
同庁は2日、AfDを「右翼過激派」と正式認定したと発表した。これに対しAfDは5日、「移民政策に対する正当な批判を犯罪化しようとしている」と訴え、ケルン行政裁判所に差し止めを求めた。
AfDに対する監視についても、認定前の水準が維持される。最近過熱していた党の廃止や国家公務員からの党員排除などの議論に、ブレーキがかかりそうだ。同庁は過去に「過激派の疑い」との認定にAfDが差し止めを求めた際も、同様の対応を取った。
過激派認定を巡っては、AfDと親和性の高いトランプ米政権がX(旧ツイッター)上で「(過激派認定は)民主主義の皮をかぶった暴政だ」(ルビオ国務長官)と非難。独外務省が「われわれは極右を止める必要があることを歴史から学んでいる」と反論するなど、波紋が広がった。
2 Mai 2025 1241号
終戦80周年記念特集
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