ドイツのメルケル元首相は27日、東京都内で講演し、高関税政策など自国優先主義を強めるトランプ米政権について「人類の問題は多国間主義でしか解決できない」と批判的な見解を示した。対米通商交渉に当たっては「自分たちの利益は何かを明確に示し、断固たる決意を持つ必要がある」と強調した。
メルケル氏は現在の米社会について「多国間主義を疑問視するのはトランプ氏だけではない。大手テック企業もそういう傾向にある」と警戒感をあらわにした。また、米国は国際協調で経済力を強化してきたと指摘。「他国との協調なく、自国民を豊かにすることはできない」と訴えた。
トランプ政権がハーバード大に留学生の受け入れ資格の剥奪を通知するなど、学問の自由への圧力を強めていることについては「米国や西欧の歴史を大きく揺るがしている」と危機感を示した。
ロシアによるウクライナ侵攻を巡っては「ウクライナの主権維持が重要。プーチン大統領の説得は難しいが、対話の継続が大事だ」と強調した。
16 Mai 2025 1242号
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