(10月16日 時事)ドイツ国際物流大手DHLグループは15日、アフリカのサハラ以南に3億ユーロ(約530億円)以上を投資する計画を発表した。世界貿易の中で戦略的重要性を増しているサハラ以南地域で、傘下の3社を通じてインフラ整備やサービス強化に当たり、電子商取引や生鮮食品、ライフサイエンス・ヘルスケアなどに関連したビジネス機会の可能性を探る。
アフリカでは地域統合が加速度的に進み、貿易機会が拡大。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)により、域内取引が深化するとともに、他地域との間で新たなルートが築かれ、アフリカ企業と世界のバリューチェーンとの結び付きが強まりつつある。
DHLの調査によれば、サハラ以南の今年前半の貿易額は、ドルベースで前年同期比10%増となり、伸び率は北米の7%、中南米の5%を上回った。2025~29年の年平均伸び率は4.3%と見込まれ、地域別では南・中央アジアに次ぐ2番目の高さになると予想されている。
◇地元企業の競争力強化
DHLエクスプレス社は玄関口の整備や航空輸送の拡充、時間指定輸送網の強化に当たる。また、サハラ以南で専用の航空網を有する唯一の国際宅配業者として、アフリカと欧州やアジアとの結び付きを強める。同社のピアソン最高経営責任者(CEO)は「わが社のネットワークを強化することで、アフリカの企業が世界の舞台で競えるようにしたい」と意欲を示した。
DHLグローバルフォワーディング社は、アフリカの貿易成長をけん引する主要な産業ソリューションの強化に投資を集中。エネルギーや産業の能力拡充、世界的なエネルギー移行におけるアフリカの役割への支援、農産物・園芸品の輸出業者のための生鮮物流やコールドチェーンの強化、ライフサイエンス・ヘルスケア関連の物流における専門性の強化を手掛ける。取り組みに当たっては、DHLの貨物網や関税に関する専門性を活用し、アフリカと欧州、アジア、中東を結ぶルートを拡充する。
DHLサプライチェーン社は拡大する需要に対応するため、ライフサイエンス・ヘルスケアに焦点を合わせ、温度管理機能の向上やフルフィルメントの迅速化を目指す。
17 Okt. 2025 1252号
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