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Hautarztpraxis Dr Chen プライベート皮膚科診療院 Dr. チェン
Fr. 14. Dez. 2018
ベッティーナさん&カタリーナさん
ベッティーナさん(左)&
カタリーナさん母娘

異国の風を運ぶ母娘

スパイスはエネルギーの源よ

今回の仕事人
Bettina Matthaei & Katharina Wilck
ベッティーナ・マテイ &
カタリーナ・ヴィルク

「1001 Gewürze」の経営者。母ベッティーナ・マテイ(65)は、元クレイアニメのクリエイター。娘のカタリーナ・ヴィルク(33)はジャーナリスト。2人は家族の協力を得て、2003年に「1001 Gewürze」社を興した。以来、高品質でオリジナリティー溢れるスパイスの販売や著作活動、セミナーなどを通して、その奥深い世界を広く紹介している。

グラフィックデザイナーからクレイアニメ制作者へ

ベッティーナ・マテイはハンブルク生まれ。父親は建築家、母親はカメラマンだった。クリエイティブな環境下に育ち、芸術系ギムナジウム(Musisches Gymnasium)に通学したこともあって、将来は芸術に関わる仕事に就きたいと考えていたが、大学進学に当たって芸術を選択する勇気はなかった。確実に収入が得られる道へ進もうと、ミュンヘンでグラフィックデザインを専攻、主にタイポグラフィーや広告デザイン、パッケージデザインを集中的に学んだ。卒業後は広告代理店でデザイナーとして働いた。

その後、チェコ人のアニメ映画監督アレクサンダー・ザプレタル(Alexander Zapletal)と結婚。彼が取り組んでいたクレイアニメの世界で活躍することになる。当初は、すでにあったキャラクターを動かしていたが、やがて独自のキャラクターを考案するように。ドイツ・チェコ共同制作の子ども向けテレビ番組「ルーチー(原題はLuzie, der Schrecken der Straße)」(1980)に登場する「フリードリヒ&フリードリヒ」や、ドイツのテレビ番組「ハロー・スペンサー」に登場する動物のキャラクターなどは、彼女が生んだものだ。やがて彼女はクレイアニメの世界で、キャラクターデザインだけでなく、コンセプトや脚本も任されるようになった。

大人気「プロンスターズ」のクリエイターから料理本の著者に

彼女にとって最も大きな仕事は、1987年から制作を開始した「プロンスターズ」。もともとは大手企業の洗剤のコマーシャル用に彼女が考案した泥んこモンスター、油汚れモンスター、ばい菌モンスターの3匹のモンスターたちで、これらのキャラクターがドイツ版「セサミストリート」のディレクターの目に止まり、100回を超えるクレイアニメを制作することになった。放映当時は、ドイツの子どもたちに大人気のシリーズだった。

しかし、クレイアニメもその他のアニメも、ドイツで制作されるものは安価な輸入アニメとの競争に勝てず、やがてベッティーナの活躍の場は失われていった。一方で、彼女は「プロンスターズ」のキャラクターを使って子ども向けの料理の本を作れたら……と考え始めていた。また、旅行好きの両親が常に世界各地のスパイスを持ち帰って異国料理に挑戦していたこともあり、幼い頃からスパイスに興味があった。子どもの頃、初めて挑戦した料理はカレーだった。彼女はカレーに使うスパイスをはじめ、世界各地のスパイスの多様さ、面白さを本にできないだろうかとも考えていた。プロンスターズの料理本は残念ながら実現しなかったが、 2003年に「1.50ユーロ以下でできるレシピ」というレシピ本を出版。以後、フードジャーナリストに転身する。「この本は、米や玉ねぎ、人参など安価な素材を、多彩なスパイスを使用することで素敵な1品に変身させるというコンセプトで作ったの」。また、2作目の「スパイスを加えて(Würzen)」(2004年)ではエキゾチックなスパイスを紹介し、その使用法を指南した。

思いがけない起業

ベッティーナが、女性雑誌「ブリギッテ」に処女作と2作目のアイデアを持ち込んだところ、編集部は10ページを割いて10のレシピを掲載することを決定。また、読者がレシピで紹介されたスパイスを入手できるよう、スパイスの注文販売も請け負ってほしいと依頼された。そこで彼女は、いきなりスパイス販売を手掛けることになってしまう。「1001 Gewürze」社は、こうして誕生した。

1001 Gewürze
挽きたてのグリーンペッパー。
スパイスは工房の小さなミルで少量ずつ挽いている

アビトゥア(大学入学資格)取得後、ハンブルクの出版社で2年にわたって研修を行い、フリーランスのジャーナリストとして活動していた娘のカタリーナは、仕事の傍らで母と共に会社の設立、運営に取り組んでいたが、徐々に会社の仕事が増えたため、2006年にフルタイムで働くことを決意する。以後、社長職を受け持っている。「母は情熱的な料理人でもあり、特にスパイスの使い方が抜群に上手かった。子どもの頃は、お腹を空かして帰ってくると、『残り物のフライパン炒め(Restpfannen)』と言って、台所の野菜からたちまち美味しい1品を作ってくれた。毎回異なるスパイスでね」とカタリーナは言う。

スパイスの奥深さを伝える母娘

同社では高品質のスパイスを少量で買い付け、常に新鮮な商品を提供しているほか、近年需要が増えているミックススパイスの開発にも熱心だ。ベッティーナは、起業後もスパイスをテーマとした料理本を書き続け、これまでの著書は20冊に上る。会社では、彼女が主に商品開発に取り組み、カタリーナは経営のほか、ネーミングやパッケージデザインなどを担当。すべての商品が母娘の絶妙なチームワークから生まれている。商品構成はベーシックなスパイスや乾燥ハーブだけでなく、バーベキュー用、カレー用、チャイやコーヒー用、デザート用と、用途別のミックススパイスも多彩。ハンブルクスパイス、ワインスパイスなどのユニークな商品もある。「疲れたときには唐辛子系のスパイスが元気をくれるし、ハーブ系スパイスはリラックスさせてくれる。 スパイスはエネルギーの源なのよ」とカタリーナは語る。

1001 Gewürze
「シュプリンクルズ」は、賞味期限が半年~ 9カ月というブレンド。
炒ったヘーゼルナッツやドライオリーブなどを使用している

2人は、スパイスの使い方を指南するセミナーも積極的に開催。ハパク・ロイド・クルーズ社からの依頼で、2004年以降は毎年クルーズ船「MSヨーロッパ号」に乗船し、船上でもスパイス講習会を行っている。2人が世界各地を旅して見付けてくるスパイスを心待ちにしているプロの料理人も多いのだとか。

1001 Gewürze GmbH
Geierstraße 1, 22305 Hamburg
Tel. (Büro) : 040-806070350
www.1001gewuerze.de


 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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