柔らかな風が心地良い季節が到来し、各地でさまざまな屋外イベントが開かれています。ノルトライン=ヴェストファーレン州デュイスブルク近郊のメールス市では、6月6日~9日にかけて国際ジャズ・フェスティバル「Moers Festival」が開催されました。
アフリカ料理屋台で、セネガルの郷土料理「ヤッサ」を購入
メイン会場は、メールス市中心部の市立公園から続く広々とした緑地帯に位置する「enni.eventhalle」。この周辺に野外ステージ、飲食・雑貨の屋台エリア、キャンプ場が広がっています。1972年に始まったこのフェスティバルは、フリージャズシーンを代表するフェスティバルとして成長し、次第にジャズのみならずワールドミュージックや電子音楽など幅広くカバーするように。例年、精霊降臨祭の時期に実施され、今年で第54回を迎える歴史ある音楽祭です。
国際フェスティバルという名にふさわしく、参加アーティストは国内や欧州のみならず、昨年は日本がフィーチャーされたり、今年は中国とルワンダの小特集が組まれたりと、国際色がとても豊か。チケットなしで行き来ができる屋台エリアでも、アフリカ料理やピエロギ、グルテンフリーのうどんなど、さまざまな国の屋台が出店します。
私が訪れた日曜日は時折小雨も見られましたが、ピアノが積まれたワゴンや自転車で動く簡易ステージなど、屋外ならではの仕掛けも充実。家族連れや子どもたちがのびのびと空間を楽しんでいる姿が印象的でした。
優しい味付けがとてもおいしかったです!
個人的なハイライトは、昨年に続き招待された音楽家、日野浩志郎さんらによるプロジェクト「PhaseTransition」(「相転移」の意)によるライブパフォーマンスです。深夜0時に始まったにもかかわらず、なんとパフォーマンスの会場は満席でした。ヴィブラフォン、マリンバ、和太鼓などの打楽器と、エレクトロニクスが作り出す圧巻の響きに、観客からは大きな拍手が湧いていました。
初夏といっても朝晩はぐっと冷えるため、翌朝早くにキッチンカーで手にした温かいコーヒーにほっと一安心。空の下で楽しむ音楽と食とを満喫した週末となりました。ちなみに前日の土曜日には、フェスティバル側委嘱による日野さんの新作「Chronograffiti」の世界初演があり、こちらも話題になっていました。
深夜に行われたパフォーマンス「Phase Transition
さて、屋外イベントといえば、これから野外での映画上映会もにぎわう季節ですね。近郊では、ケルンの「Open Air Kino Köln」やデュッセルドルフの「Alltours Kino Düsseldorf」などがありますが、個人的なおすすめは、今年第41回を迎えるボンの国際無声映画祭。ボン大学のアルカーデン・ホーフ(Arkadenhof)を会場に無声映画の屋外上映を行っており、例年貴重な日本映画も紹介されます。今年は8月7日(木)~17日(日)に実施とのこと。穏やかで気持ちの良いドイツの夏、ぜひお近くの野外イベントを楽しんでみてはいかがでしょう。
1991年生まれ、ケルン在住3年目。映画とビールと音楽が大好き。最近はケルンの地ビールであるケルシュに合う和食レシピを研究中。