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ロストックで模索するウィズコロナ時代の生活スタイル

「気を付けて、ライオンだ! ただのシマウマにならないで、アプリを使おう! 」。ロストックの街中に現れた、等身大のライオンのパネルにはこんなメッセージが続きます。「全ての危険が目に見えるものではありません。コロナウイルスではなく、ライオンが(街をうろついて)いると想像してみてください。みんなで危険を可視化させて、確実に安全な道を進んでいきましょう!」

3月8日、ロストックでは、ついにスーパーやドラッグストア以外の商店の営業が再開されました。ロストックはコロナ禍に見舞われてから、感染者数が他都市に比べて明らかに低い水準で推移し続けています。現在では入場制限こそありますが、予約をせずに買い物ができます。そんななか、一つだけこれまでと大きく変わったことが、アプリのLucaを利用してお店に「チェックイン」すること。

大学広場に設置されている、等身大のライオンパネル大学広場に設置されている、等身大のライオンパネル

街の目抜き通りに並ぶほとんどの店頭には、チェックイン用のQR コードが掲示してあります。お店に入るには、それをアプリ経由で読み取るだけ。アプリを使えない、もしくは使わない人は手書きで連絡先を各店舗に提出。このアプリは利用者、店舗、保健所と連携しており、アプリ利用者や店舗で感染が確認されれば、接触があった可能性のある人に通知が届くようになっています。さらに市民の動きと感染経路のデータを収集し、近い将来にまた起こりうる第X波に備えようという目的があります。

ロストック市を含むメクレンブルク=フォアポンメルン州は、早々にこの「チェックインシステム」を導入。私自身、アプリの利用を始めてから10日ほど経ちましたが、すぐに慣れました。最近ではすっかりご無沙汰の飛行機に搭乗する感覚に似ているので、何だか少しウキウキ。もちろん賛否両論ありますが、このひと手間でロックダウン中にできなかったことが可能になり、今後の対策にもなるのであれば、それに越したことはないかなと思っています。

店頭のQR コード店頭のQR コード

ロストックでは3月中旬に、博物館と美術館も再開しました。3月下旬には劇場での公演や、地元サッカーチームの試合も777名の観客を入れて行われたりと、コロナ禍でも文化や経済を活性化させていく道を模索しているようです。ちなみに、なぜ777人かというとロストックは昔から数字の「7」と深い結びつきがあるんです。これはまたの機会にお話ししますね。

コロナ禍が始まってから早1年。この1年で感じたことは、最初のロックダウン以前の「普通」が戻ってくるまでには、まだまだ時間がかかるか、もしくは全く新しい「普通」が生まれるだろうということ。アプリというIT技術を駆使して、街を闊歩するライオンのごときウイルスから、ひらりと身をかわす……ひとまずロストックでは、これが「普通」になっていくのかもしれません。

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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