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人々の笑顔が溢れる2年ぶりのクリスマスマーケット

太陽がすでに冬眠してしまったかのような11月中旬の北ドイツの港町、ここはロストック。完璧なまでに灰色の空を背景に、目の覚めるような黄色の葉っぱをまとったイチョウの木に心を奪われるも、「われに太陽を与えよ……!」という言葉が出てくる日々です。長くドイツに住んでいると、冬の風物詩の必要性が身に染みますよね。そう、クリスマスマーケットです!

ノイヤーマルクトのピラミッドノイヤーマルクトのピラミッド

記念すべき、11月22日。この日を祝福するかのように、雲隠れしていたとしか思えない太陽が顔を出し、北ドイツ最大のクリスマスマーケットがついにロストックで始まりました!2年ぶりの開催に、お店の人も街ゆく人もマスクをしていてもにじみ出るうれしそうな顔に幸せが感じられます。

今年はコロナ禍での開催なので、人が集まってしまうステージ、それに関係する音楽や寸劇プログラムは全てキャンセルとなり、例年よりお店同士の間隔を空けるため、屋台の数は少なくなっています。また屋内飲食スペースでは2G プラスルール、屋外では2Gルールが適用。各会場でしかるべき証明書を提示し、色が毎日異なるアームバンドを入手する必要があります。

粉砂糖たっぷりのロストックのムッツェン粉砂糖たっぷりのロストックのムッツェン

ロストックのクリスマスマーケットには、可動式タイプでは世界最大のピラミッドが聖マリエン教会前のノイヤーマルクト(Neuer Markt)に設置されています。ピラミッドといっても円すい状で上部にプロペラが付いていて、キリスト生誕祭であるクリスマスの登場人物たちが数段に配置されてくるくると回る、ドイツではおなじみのクリスマス装飾です。

私の一番のおすすめは「中世クリスマスマーケット」(Historischer Weinachtsmarkt)。会場は13世紀に建てられた修道院(現在は博物館)の、当時から残る市壁に囲まれた裏庭という本気のロケーション。薄暗いなか、昔ながらの方法で鋳造をしたり、木彫りをしたりしているテント、占いやおとぎ話をする小屋、そして蜂蜜のお酒「メット」を片手に温まれるたき火など、あの少し怪しげな雰囲気は病みつきになりますよ。

2021年のグリューワインカップ2021年のグリューワインカップ

そしてクリスマスマーケットといえば、屋台グルメ!皆さんは「ムッツェン」(Mutzen)と聞いてどのようなものを思い浮かべますか? 実はこのムッツェン、名前は同じでも地域によっては全然違う揚げ菓子なのです。私の経験上、西側のムッツェンはピンポン玉より少し大きく、グラニュー糖がかかっているタイプ。でもそれはロストックでは、Quarkbällchen(クヴァルクベルヒェン)と呼ばれています。こちらでは薄く伸ばした生地を一口大のひし形に切って揚げて、粉砂糖をたっぷりとかけたものがムッツェンです。コーン型の紙袋にこぼれんばかりの白いお化粧をまとったムッツェンを一つずつ竹串でいただきます。上着が粉砂糖だらけになってもお構いなしに、揚げたてをグリューワイン片手にほおばる幸せ。今年は十分に気を付けながら、2年ぶりのその幸福を楽しみたいものです。

※本記事の情報は、2021年11月25日のものです。

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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