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遠くの南独より近くの北欧!?ロストック発フェリーの旅

ドイツに住んでいると、車や電車で陸続きの外国に行くことはよくありますよね。ロストックからは、船で「海外」に行くことができるのです。今回は、ロストック発フェリーで行くデンマークをレポートします。

実はロストック市民にとって、デンマークは比較的身近な存在。歴史をひも解いてみても、常に友好関係にあったかどうかは別として深い関わりを持っています。また、2020年のコロナ禍の際にコロナ封じ込めに成功した街の市長として、ドイツ全土で一躍有名になった当時のロストック市長マドセン氏もデンマーク出身です。なお、彼は現在お隣のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン(SH)州の経済大臣を務めています。デンマークにはSH州経由でユトランド半島側から入国することもできますが、ロストックからだとロストック・デンマーク間またはロストック・スウェーデン間を往復するフェリー定期便が存在しています。

フェリーからの景色。ヴァルネミュンデ港に停泊中のクルーズ船AIDAフェリーからの景色。ヴァルネミュンデ港に停泊中のクルーズ船AIDA

ロストックのフェリー港は街の中心から車で約15分。高速道路出口には船での出国用の看板が立っており、コロナ禍以降、久々に車以外の方法で「海外」に出るわくわく感が高まります。といっても、トレーラーの運送をされている方にとっては日常ですが。そのまま進むとドイツの高速道路ではほとんどお目にかかれない料金所があり、そこでチェックインをすると、乗用車、キャンピングカー、そしてトレーラーやトラックが整然と並びます。

高速道路上であったら、目もくらみそうな渋滞の状態です。「この量の車両が全部フェリーに乗るの?」、「時間通りに出港できるの?」といった不安も束の間。港の向こう側から、デンマークからの巨大なフェリーが到着するやいなや、数珠玉がひもに引っ張られてスルスルと出てくるかのように、まずは乗船していた車両がフェリーから出てきます。そしてそれが終わった後、待機していた車両がとてもお行儀良くスムーズに、次々とフェリーに吸い込まれていくのです。そしてほぼ定時で出発。その整然さはまるで、日本の通勤ラッシュ時の駅を見ているかのようでした。

大渋滞ではなく、フェリー乗船待ちの車大渋滞ではなく、フェリー乗船待ちの車

ちなみにこのフェリー路線、90年代初頭までは列車がそのままフェリーに乗船し、到着地の港から目的地の駅までを走っていたそうです。鉄道の旅好きとしてはものすごく興奮しますが、乗用車の増加と、それに反比例するかのように鉄道利用者数が減少したために廃止されてしまいました。

さて、フェリー内といえば免税店やキッズスペース、フードコートもあります。約2時間の船旅、風さえ強くなければ船上であることを忘れるくらい快適。ロストックからミュンヘンまでは車で8時間、一方のロストックからコペンハーゲンまではフェリー乗船時間を含めて4時間ちょっとで到着できます。まさに、遠くの南ドイツより近くの北欧。ロストックの旅に北欧を、北欧の旅にロストックを組み込むのも楽しそうですね。

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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