ジャパンダイジェスト

快食、快眠、快便 - 心地良い眠りのために-

歳を取ってから「快食、快眠、快便」の大切さがよく分かるようになりました。最近は夜更かし気味で就寝が次第に遅くなり、翌朝起きてからしばらくはぼーっとした気分になることがあります。快眠の秘訣を教えてください。

Point

  • 疲労、夜、満腹で眠くなる
  • 脳の疲労回復、記憶定着、免疫の向上に大切
  • 成長ホルモンは夜に分泌される
  • 成人の20〜40%が睡眠障害を経験
  • 日本人は睡眠不足の傾向
  • 日々の習慣を見直すことも大切

なぜ睡眠が必要なのか?

脳と体の疲労や免疫機能の回復

体重の2〜3%を占める脳は、安静時に全身で使用されるエネルギーの20%を使う高エネルギー臓器です。睡眠中に、脳の機能のメンテナンスとリフレッシュが行われます(2021年のCell Reprts誌)。また、睡眠は身体の疲労回復に重要です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、細胞の修復にも関わっています。さらに睡眠は免疫力を高める働きを担っています。

記憶の定着

睡眠には記憶の整理、定着が行われます。徹夜や一夜漬けの勉強で覚えたことをすぐ忘れてしまうのは、そのせいだといわれています。

子どもの成長

骨や筋肉の発育に欠かせない成長ホルモンの分泌は、主に睡眠中になされます。なお年齢が若いほど、必要な睡眠時間が長くなっています。「寝る子は育つ」ということわざは、ある意味医学的にも正しいのかもしれません。

疲れて眠くなる(機能回復)

脳や体の疲れがたまると、脳の活動が低下して眠くなります。脳の機能を維持するためのメンテナンスです。

暗くなると増えるメラトニン(体内時計)

夜暗くなると、脳の松果体という内分泌器官からメラトニン(Melatonin)というホルモンが分泌されます。メラトニンには体内時計としての働きがあります。

お腹が一杯になると減るオレキシン(覚醒機序)

人(動物)はお腹が空いて食べ物を求めるときにオレキシンが増えて覚醒し、満腹になるとオレキシンが低下して眠くなります。これは食後の眠気にも関係します。

睡眠障害の種類

睡眠障害とは

日常生活に支障を来す場合を睡眠障害と呼んでいます。一般成人の20〜40%が不眠症状を経験し、慢性不眠は成人の約10%にみられると推測されています(厚生労働省のe- ヘルスネット、2012年の保険医療科学誌、日本睡眠学会ガイドライン)。

入眠障害

夜に就寝しようとしても眠れない状態です。午後遅い時間のカフェイン類の摂取、心配事やストレスなどが関係します。

中途覚醒

睡眠中に目覚める状態。ストレス、睡眠時無呼吸症候群(本誌1018号参照)、前立腺肥大症に伴う夜間頻尿のほか、晩酌のアルコールの作用が切れる時間帯などにもみられます。

早朝覚醒

本来起きる時間より2時間以上早く目覚めてしまい、再び眠れなくなる状態。夏時間で早く明るくなることや、加齢に伴う睡眠時間の減少なども関わっています。

日中過眠症

日中の過度な眠気のために、本来は寝ないような状況でも眠くなって日常生活に支障を来す状態です。背景として慢性的な睡眠不足、オレキシン低下が関係するナルコレプシー、トイレ以外はほとんど眠り続ける時期が周期的に現れる周期性傾眠症という病気も。

睡眠相遅延症候群

夜型生活が続いて朝起きられなくなる状態です。朝日を浴びないことが体内時計の乱れを引き起こしていると考えられています。

睡眠行動異常

眠っているときに突然大声を出したりするレム(体の眠り)睡眠行動異常と、夢遊病など眠りながら歩き回るノンレム(脳の眠り)睡眠異常行動があります。小児期にみられる夢中歩行、夜驚症状、中高年以降の神経疾患との関連が指摘される睡眠中の幻覚、興奮などがあります。

不眠に伴いうる症状・リスク

イライラ感、集中力や判断力の低下

神経がピリピリして、ちょっとしたことにも腹を立てたり、包容力が低下したりするなど、感情のコントロールにも影響します。簡単なことにも時間がかかり、不注意によるミスや判断ミスを犯しやすくなることも。

日中の眠気

運転中や会議中の眠気がみられます。居眠り運転事故の背景因子の一つとして、睡眠時無呼吸症候群の関与も指摘されています(1998年の臨床精神医学誌)。

風邪をひきやすくなる

睡眠不足状態が続くと、免疫状態が低下して風邪をひきやすくなります。

心の状態への影響

不眠を生ずるような強いストレスの持続は、うつ病の引き金にもなりかねません。

快眠のための知恵

マットレスは柔らか過ぎませんか?

快眠には自分に合った寝具が重要です。高級寝具が必ずしも良い寝具とは限りません。

日中体を動かしていますか?

毎日のストレッチ運動など、適度に体を動かすことで心身の緊張感もほぐれ、眠りやすくなります。

シャワー、入浴でリラックス

温かいシャワーで体もさっぱり、皮ふ温度も上がり、眠りに適した状態になります。

寝る時にスマホを眺めていませんか?

寝室でのスマホは光の刺激と検索行動で逆に目がさえてくることがあります。

週末の時差ぼけ

週末は遅寝遅起き生活をするなど、平日と週末に時間のズレがあることを「社会的時差ぼけ」(SozialerJetlag)といいます。ズレが大きいほど、月曜からのリズムに影響することがあります。

夜一定の時刻を過ぎると眠れない?

眠くなる時刻は各々の体内時計で決まっていて、これを無視して眠ろうとしても簡単には眠れません。最適な入眠時刻を過ぎると、入眠しづらくなることも。

昼寝はしない方が良い?

脳、体が疲れているときは30分ほど昼寝をすることで、頭もすっきりして仕事や活動の効率も上がります。

冬季うつと過眠、うつ病と不眠

冬場に増える冬季うつ(Winterdepression、Winterblue)は、抑うつ症状、過食(特に甘いもの)に加えて、特徴的な症状として「過眠」があります。一方うつ病では不眠の原因として重要です。

 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0211-383756)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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