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Sa. 07. Dez. 2019

水彩画からのぞく芸術の世界 寄り道 小貫恒夫

10. オーケストラとホール、そしてレーベルの変遷

10. オーケストラとホール、そしてレーベルの変遷

コンセルトヘボウ

毎年、欧州各国の音楽雑誌がオーケストラのランキングを発表していて、年によって多少順番の入れ替わりはあっても、上位3位はいつもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、そしてアムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が占めています。また、この3つのオーケストラが本拠地にしているそれぞれのコンサート・ホールも、音響の素晴らしさで有名です。

私が初めてウィーン・フィルの楽友協会(Wiener Musikverein)でオーケストラの演奏を聴いたときは、その重厚でまろやかな響きが何とも輝かしく、腰が抜けるかと思うほど驚嘆しました。また、ベルリン・フィルのフィルハーモニー・ホール(Berliner Philharmonie)では、音響の左右の豊かな広がりと聴こえてくる音のクリアさに感心しました。そしてコンセルトヘボウ(Concertgebouw)は、楽友協会に似た形状で、若干大きめのホール。左右の広がりも十分あり、何よりも自然な響きに感動しました。

この3カ所のホールでのオーケストラ鑑賞を体験した後、私ははたとあることに気が付きました。それは、各オーケストラが以前専属契約をしていた各レコード会社による録音からは、これらコンサート・ホールの特徴を生かした響きがそのまま聴こえてくることです。

以前はオーケストラとレコード会社の契約条件が厳しく、ウィーン・フィルはデッカ(英国)、ベルリン・フィルはグラモフォン(ドイツ)、そしてコンセルトヘボウはフィリップス(オランダ)と専属契約をしており、特別なケースがない限り、他社での録音はしませんでした。

デッカはダイナミック・レンジ(振幅範囲)が幅広く、重厚な録音が特徴的でしたし(録音セッションはゾフィエンザールという別会場)、グラモフォンは広がりのあるクリアな録音、そしてフィリップスは自然な響きを重視と、ホールの特徴を録音するときもそのまま生かしていたようです。オーケストラも録音技師たちも、ホールから多くの影響を受けていたのでしょうね。デジタル時代となり、この特徴は薄れてしまいました。

現在は、デッカ、フィリップス、グラモフォンともユニバーサル(米国)に統合され、ますます特徴がなくなってきました。フィリップスに至ってはレーベル名すらなくなり、寂しい限りです。

 

小貫 恒夫

小貫 恒夫 Tsuneo Onuki

1950年大阪生まれ、武蔵野美術大学舞台美術専攻。在学中より舞台美術および舞台監督としてオペラやバレエの公演に多数参加。85年より博報堂ドイツにクリエイティブ・ディレクターとして勤務。各種大規模イベント、展示会のデザインおよび総合プロデュースを手掛ける傍ら、欧州各地で風景画を制作。その他、講演、執筆などの活動も行っている。
www.atelier-onuki.com
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