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Fr. 25. Sep. 2020

水彩画からのぞく芸術の世界 寄り道 小貫恒夫

24. 私の好きな天使

24. 私の好きな天使

ムリーリョの「La Piedad(ピエダ)」
ムリーリョの「La Piedad(ピエダ)」

ヨーロッパにはキリスト教がテーマの絵画がたくさんあって、愛らしい天使(キューピッド)が描かれているものが多くみられます。特に有名な天使は、ドレスデンにあるラファエロが描いた名画「システィーナの聖母」で、雲に乗ったマリアの足元に描かれたほおづえをついて上を眺めている二人の天使でしょうか。この部分だけを取り出してデザインされたクリスマス・カードやグッズもあり、誰もが一度は見たことがある天使だと思います。

貝瀬

そんな中、私が一番好きな天使は、ムリーリョが描いた「La Piedad(ピエダ)」(上の絵画)に描かれている天使です。この絵は修道院を改装したセビーリャの美術館に展示されています。この美術館のハイライトと思われる正面壁面には、「ムリーリョの間」ともいえるほど、彼の代表的な名画の数々が飾られています。ただし、この絵はそのメインの展示場所から右側に外れた一角に展示されていて、彼の代表作というわけではないようです。事実、この絵のタイトルが分からなくて、この美術館のウェブサイトをはじめ、ありとあらゆるウェブサイトをインターネットで調べましたが出てきませんでした。とうとう私が撮った写真を貼り付けて、類似の画像を探したらやっと引っ掛かってきました。

タイトルはスペイン語で「La Piedad(憐れみ)」というそうですが、これはミケランジェロの彫刻「ピエタ」と同意のようです。十字架から降ろされたキリストがマリアの膝に頭をもたげ横たわっています。このマリアの目も紫色に腫れ上がっている様子が見事に描かれていますが、天使はその右端でひざまずいてキリストの左手を支えています。そして、この天使は眉間にシワを寄せ、今にも泣き出しそうな顔をして怒っています。目は赤紫に腫れ上がり、いかに泣いたかをうかがい知ることができます。その表情には、怒り、哀しみ、敬愛と、いろんな感情が凝縮して描かれていて、見ているとジーンとむせぶような感覚になり、身震いがするほどの感銘を与えてくれました。

 
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小貫 恒夫

小貫 恒夫 Tsuneo Onuki

1950年大阪生まれ、武蔵野美術大学舞台美術専攻。在学中より舞台美術および舞台監督としてオペラやバレエの公演に多数参加。85年より博報堂ドイツにクリエイティブ・ディレクターとして勤務。各種大規模イベント、展示会のデザインおよび総合プロデュースを手掛ける傍ら、欧州各地で風景画を制作。その他、講演、執筆などの活動も行っている。
www.atelier-onuki.com
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