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Mi. 11. Dez. 2019

水彩画からのぞく芸術の世界 寄り道 小貫恒夫

31. モレ・シュル・ロアンのシスレー2

31. モレ・シュル・ロアンのシスレー2

モレ・シュル・ロアンの石橋
モレ・シュル・ロアンの石橋

今回は、印象派の画家アルフレッド・シスレー(1939-99)が愛した街の話です。

ところで、私は気の赴くまま自分のスタイルで描いているつもりなのですが、人から「シスレーの絵に似ていますね!」と言われたことがありました。そう言われると嬉しいのですが、反面、気恥ずかしさも感じますし、何よりもシスレーさんに対して「シツレー」だなぁと恐れ入っていました。ただ、とても好きな画家だけに、どこか自然と似てくるのかもしれません。

そんなシスレーが晩年に移り住んだモレ・シュル・ロアンは、落ち着いた趣のある街です。淡いグレーの石造りの家並みは統一感があり、また、ひなびた感じを醸し出しています。城門を抜けて街の奥へと歩を進めると、シスレーが12枚もの連作を描いた教会が見えてきます。ノートルダム・ド・モレと言うそうですが、屋根は微妙にねじれ、緑鮮やかな苔が生えていて歴史の長さを感じさせます。

シスレーの家はこのすぐ裏側の小道に面していました。土壁で囲われた家の中に入ることはできませんが、ここからも教会が見えました。メインストリートをさらに進み、もう一つの城門を抜けると、これまた古い石橋が掛かっています。そう、ここがロワン川です。橋の右側からとうとうと流れる川がせき止められ、ここから一段下へ滝のようにゴウゴウと流れ落ちると、今度はゆったりとした流れとなり、その先のサン・マメス辺りでセーヌ川と合流していきます。橋の途中には水車小屋が古い佇まいを残し、なんと洗濯場まで当時のままのようです。川に沿って歩いていると「ああ、ここもだ!」とシスレーが描いた風景が眼前に現れます。

私も1枚描いてみる事にしました。彼が描いた同じ場所からでは失礼なので、ちょっと違う角度から描きました。集中していたのか気が付けばもう20時近くになっていたので、ホテルに戻り一休み、慌てて夕食に出かけた頃には21時をまわっていました。メインストリートに出ても人影がありません。わき道のお店も閉まっていて静かなものです。やっと閉まりかけのよろず屋を見つけ、辛うじてハム入りのバケットを買うことができました。時代に忘れられたような街ゆえに、シスレーが描いた風景にはたくさん出合うことができました。

 

小貫 恒夫

小貫 恒夫 Tsuneo Onuki

1950年大阪生まれ、武蔵野美術大学舞台美術専攻。在学中より舞台美術および舞台監督としてオペラやバレエの公演に多数参加。85年より博報堂ドイツにクリエイティブ・ディレクターとして勤務。各種大規模イベント、展示会のデザインおよび総合プロデュースを手掛ける傍ら、欧州各地で風景画を制作。その他、講演、執筆などの活動も行っている。
www.atelier-onuki.com
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