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Oliver Was­ser­mann
Mi. 19. Sep. 2018

47. トゥッツィングのブラームス

湖畔
トゥッツィングのシュタルンベルガー湖畔

ブラームスは大好きな作曲家なので、特に4曲ある交響曲は高校生の頃から親しんで聴いていました。その内の3番は比較的短い曲なので、レコードの余白にはオマケ的な扱いで「ハイドンの主題による変奏曲」がよくカップリングされていました。ところがこのカップリング曲をすっかり気に入ってしまい、途中から入っているにも関わらずこの曲の所を選んでよく聴いたものでした(もちろん3番も大好きな曲ですよ)。

その後、何十年も経ってミュンヘンに住んでいた時に演奏会で貰ったプログラムをパラパラ眺めていると、素敵な風景画が目に留まりました。それはコンプトンという画家が描いた水彩画でしたが、トゥッツィング(Tutzing)というシュタルンベルガー湖畔の町で、何とここでこの曲を作曲していたのです。Sバーンで行ける距離ですし行かない手はありません。少ない情報を頼りにブラームスが滞在したペンションが建つ中央通りを目指しました。

湖畔に出ると「ブラームス・プロムナード」と書かれた小さなプレートも掛かっていて、何だかウキウキとした気分になってきます。グリーンベルトの中央辺りにある大きな柳の下にはブラームスの碑が建っています。これは彼の生誕100周年を記念して建てられたそうですが、碑には「ヨハネス・ブラームス、作曲家、トゥッツィング、三作品」と書かれているだけでさっぱりとしたものでした。ブラームスがどういう経緯でここに来たのか分かりませんが、たまたまハイゼさんという人が最初に連れて来たそうで、すっかり気に入った彼は再びここを訪れ、5月から8月まで滞在したそうです。

私は湖に突き出た桟橋によっこらしょと座り込み、遠く連なるアルプスを眺めながらおもむろにiPhoneを取り出しました。低弦のピッチカートに乗ってオーボエが穏やかな主題を奏でます。そりゃこんな風景に囲まれていたら、穏やかな気分で作曲が進められるでしょうね。曲は進みホルンが軽快な旋律を高らかに鳴らし私の大好きな箇所に差し掛かりました。きっとこれは目の前の堂々と連なるアルプスを表現したのかなぁ~、クライマックスに入り待ってましたとばかりにトライアングルを伴って盛り上がりを見せた後、名残を惜しむようにフィナーレを迎えました。イヤァ~この上ない至福の20分間でした。

 
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小貫 恒夫

小貫 恒夫 Tsuneo Onuki

1950年大阪生まれ、武蔵野美術大学舞台美術専攻。在学中より舞台美術および舞台監督としてオペラやバレエの公演に多数参加。85年より博報堂ドイツにクリエイティブ・ディレクターとして勤務。各種大規模イベント、展示会のデザインおよび総合プロデュースを手掛ける傍ら、欧州各地で風景画を制作。その他、講演、執筆などの活動も行っている。
www.atelier-onuki.com
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