特集


ドイツのスイーツを味わおう

ドイツのスイーツを味わおう 素朴な美味しさに舌鼓

ビールやじゃがいも、ソーセージに引けを取らず、
甘いものも大好きなドイツ人。
Süßigkeiten in Deutschland老いも若きも、天気の良い日はカフェのテラスで
スイーツをほおばる姿をよく見掛ける。
ドイツのスイーツは大ぶりなものが多いけれど、
なぜかペロリと食べられてしまう。
今回は、定番のものから
もうすぐやって来るクリスマス菓子まで、
ドイツならではのスイーツを集めました。
これを見て食べたくなった方、食べ過ぎにはご注意を!
(編集部: 山口 理恵)

ケーキ編ケーキ編

ケーキ屋さんのショーケースに並ぶ様々なケーキを前に、どれも美味しそうで決められない! と頭を悩ませたことのある人は大勢いるだろう。それほど、ドイツのケーキのバリエーションは豊富なのだ。まずは、各地の伝統的なケーキをピックアップしてみよう。

Dresdener Eierschecke

カスタード好きにはたまらない
ドレスデン風アイアシェッケ

ドレスデン風アイアシェッケこのドレスデンの伝統菓子の発祥は、もともとはザクセンとテューリンゲン地域。小麦粉を使った土台とレーズンを混ぜたクワルク(Quark)または生クリーム、カスタードの3層構造になっている。Scheckeとは14世紀頃の男性の服装のことで、チュニックをベルトで留めた姿が3層に分かれて見えた。それになぞらえて、ケーキにその名が付けられた。

Frankfurter Kranz

フランクフルタークランツ地元民に愛される素朴な味
フランクフルタークランツ

その名が表す通り、フランクフルトの名物ケーキ。クランツとは「花輪」を意味する。リング状の型で焼いたスポンジとバタークリームを何層にも重ね、表面に砕いたヘーゼルナッツやアーモンドを隙間なくまぶし、てっぺんには砂糖漬けのチェリーを飾るのがお決まりだ。昔懐かしい素朴な味が、地元っ子に愛されている。

Schwarzwälder Kirschtorte

蒸留酒が決め手の大人の味
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテシュヴァルツヴェルダー・
キルシュトルテ

シュヴァルツヴァルトの名産キルシュヴァッサー(サクランボの蒸留酒)をココアスポンジにしみ込ませ、生クリームとブラックチェリーをサンド。ドイツ国内で同名のケーキを販売する場合は、材料にキルシュヴァッサーを使用していなければならない法律がある。使用していない場合は、その名称での販売は許可されないという厳格な決まりも。

Prinzregententorte

バイエルン王国の王子を称える
プリンツレゲンテントルテ

プリンツレゲンテントルテヘルントルテとも呼ばれ、バイエルン地方で親しまれているこのケーキが生まれたのは1886年。バイエルン王国の摂政王子ルイトポルトを称えて作られたのがきっかけだ。ビスキュイとバタークリームを重ね、ダークチョコレートで表面をコーティングしている。当初は、王子が支配する行政地域が7つあったことに因み7層で作られていたが、現在は6層のものもある。

Baumkuchentorte

バウムクーヘンよりお手軽?!
バウムクーヘントルテ

バウムクーヘントルテバウムクーヘンの小片をバタークリームの間に挟むという一風変わった珍しいケーキ。写真のように表面をマジパンで覆っているものや、チョコレートでコーティングしたものなどがある。バウムクーヘンそのものをいただけるカフェは少ないが(クリスマスの項参照)、こちらはケーキ店やパン屋で見掛ける、ドイツ人に人気のケーキ。


ケーキ編デザート編

ドイツ料理レストランや一般的なカフェで提供されるデザートの種類は多くない。日本のように、新作デザートが次々と登場することもあまりない。しかし、長年人々に愛されてきた品々だからこそ、味に関してはお墨付きと言えるだろう。

Apfelstrudel

ドイツ料理レストランの王道デザート
アプフェルシュトルーデルアプフェルシュトルーデル

本家本元はオーストリアだが、ドイツ料理レストランでは欠かせないデザート。薄いパイ生地は15世紀に中東から伝わったとされる。その生地に溶かしバターを塗り、刻んだリンゴにシナモン、砂糖、レモン汁などを加えて煮込んだフィリングをくるくると巻いて焼く。カスタードソースやバニラアイス、生クリームなどを添えていただくのが定番。

Rote Grütze

さっぱり系のデザートがお好みなら
ローテ・グリュッツェ

ローテ・グリュッツェ北部でよく食べられるベリーのデザート。クランベリーやラズベリー、ブルーベリーと、様々な赤いベリーを粥(Grütze)状になるまで煮込んで冷やし、生クリームやクワルク、バニラアイスをかけていただく、さっぱり系の一品。ラスクとの相性も抜群だ。グラスにベリーとクリームを重ねて盛り付ければ、見た目もお洒落なデザートに変身!

Palatschinken

東欧から伝わったクレープ
パラチンケン

パラチンケン薄く焼いたクレープ状のパンケーキで、東欧からオーストリアを経てドイツへと渡ってきた。パラチンケンの語源は、「平らなケーキ」を意味するPlacenta(ラテン語)。フィリングはバラエティーに富んでいるが、一般的なのはジャムや生クリームなど。粉砂糖やチョコレートソース、バニラソースなどを添えていただくのが通例だが、軽食として食べることも。

Sächsische Quarkkeulchen

主食にもデザートにもなる優れもの
ザクセン風クワルクパンケーキ

ザクセン風クワルクパンケーキクワルクにじゃがいもを練り合わせて焼いた小ぶりのパンケーキ。ザクセン州発祥のデザートだ。生地には、マッシュポテトとクワルク(3:1の割合)に卵、小麦粉、シナモン、レーズンを加える。外側はカリカリ、内側はモチっとした触感が癖になる。メインディッシュとしても食されるが、アイスや粉砂糖、フルーツを添えればデザートに。

Apfelpfannkuchen

たっぷりのバターとリンゴが絶妙にマッチ
リンゴのパンケーキ

リンゴのパンケーキ新鮮なリンゴを使ったパンケーキ。生地をたっぷりのバターで焼き、途中でリンゴの薄切りを並べて裏返す。生地自体は甘くないので、食べる際に粉砂糖やシナモン、アイス、シロップなどをかけて、好みの味と甘さに調整するのがポイント。リンゴが1年中手に入るドイツでは、家庭で手軽に作れるデザートとして親しまれている。


ケーキ編クリスマス編

クリスマス・シーズンが来ると条件反射のように食べたくなる特別なスイーツ。素朴なものが多いが、それがまたノスタルジーを伴って、子どもの頃に体験した和やかなクリスマスの情景を呼び起こす。

Vanillekipferl

「冬の味」を詰め込んだビスケット
バニラキプフェル バニラキプフェル

三日月型をした、なめらかな口溶けのビスケット。オーストリアのウィーンが発祥だが、現在はドイツ、ハンガリー、チェコ、ルーマニアでも、クリスマス・シーズンには欠かせない菓子となっている。アーモンドパウダーとバニラパウダーをたっぷり入れるのが一般的だが、地域によってはクルミやヘーゼルナッツ、ピーナッツを使用するところもある。手作りする家庭も多い。

Stollen

クリスマス菓子の代表格
シュトレン シュトレン

クリスマスと言えばシュトレン。生地にマジパンやレーズン、オレンジやレモンの皮が練り込まれたものなど、店や家庭によって様々。年中入手可能だが、アドヴェント(待降節)の期間中にクリスマスマーケットで購入し、クリスマスの日まで少しずつ食べるのが一般的。ドレスデンのシュトレンは殊のほか有名だ。

Dampfnudel

見た目は中華まん!
ダンプフヌーデル ダンプフヌーデル

中華まんを彷彿とさせる白くフワフワの蒸しパンは、クリスマスマーケットの定番スイーツ。屋台で目印となるのは、日本のコンビニでよく見掛けるガラス製の保温器。味は具の入っていない中華の花巻に似ていて、バニラソースやチェリーソース、またはケシの実をかけていただく。クリスマスマーケットでぜひお試しを。

Baumkuchen

特別な機会に食べる貴重なお菓子
バウムクーヘンバウムクーヘン

ドイツのスイーツと言えば「バウムクーヘン」。伝統菓子であることには変わりないが、専門技術や機械を持つ店でしか作られていないため、どこででも食べられるわけではない。ドイツ人にとっても口にする機会は少ない一品で、現在ではクリスマスや慶事といった特別なときに食べる菓子となっている。

Plätzchen & Speculatius

家庭で作る伝統の味
プレッツヒェン&
プレッツヒェン&シュペクラツィウスシュペクラツィウス

プレッツヒェンは、クリスマスの時季に家庭で作られるクッキー。ツリーやハート、星形などの鋳型を使用して焼き、アイシングやチョコレートで思い思いに飾り付けをする。シュペクラツィウスは、ヴェストファーレンやラインラント地方で食べられるクリスマスの伝統的な薄焼きクッキー。しょうがやナツメグ、シナモンなどを生地に練り込んで焼く。

Lebkuchen

地域の個性が出る定番菓子
レープクーヘンレープクーヘン

地域によって形態が異なるレープクーヘン。硬いビスケットのようなものから、アイシングがかかったパンのようなものまで、同じレープクーヘンの名称で親しまれている。ビスケットは昔、長期保存食としても重用されていた。材料にはハチミツと、カルダモンやクローブ、シナモンなどの香辛料、オレンジやレモンの皮などを使用する。

最終更新 Montag, 20 Oktober 2014 10:09
 

演劇ユニット・チェルフィッチュ主宰 岡田利規インタビュー

演劇ユニット・チェルフィッチュ主宰 岡田利規インタビュー演劇ユニット・チェルフィッチュ主宰 岡田利規インタビュー 演劇ユニット・チェルフィッチュ主宰 岡田利規インタビュー

今年5月末、ベルリンの劇場HAU(Hebbel am Ufer)で開催されたフェスティバル「ジャパン・シンドロームー福島以後の芸術と政治」。
その中のプログラムの1つとして、演劇ユニット・チェルフィッチュの新作『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』が上演された。壮麗なバロック音楽の旋律と、まったりとした身体パフォーマンス、台詞回しが融合する独特な作風。役者の身体の揺れに合わせて観る方の思考も浮遊するような不思議な世界は、どのようにして生まれるのか、ここドイツの観衆の目にはどう映るのだろうか。
現在、ドイツを含む海外ツアーを展開中のこの作品の背景に迫るべく、チェルフィッチュの主宰者、岡田利規さんにお話をうかがった。
(Interview & Texte: Yasuko Hayashi)

Toshiki Okada

1974年横浜生まれ。演劇作家・小説家。
97年に演劇ユニット「チェルフィッチュ」を旗揚げ。
2005年『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。
06年にドイツ・ミュルハイム劇作家フェスティバルに日本劇作家代表として参加。
07年、デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で第2回大江健三郎賞を受賞。
チェルフィッチュの作品では、現代の若者言葉と日常の動作を誇張したような身体性を持つ方法論を展開、国内外で注目を集めている。
公式サイト: http://chelfitsch.net

Super Premium Soft Double Vanilla Rich

(日本語公演、ドイツ語字幕付き)

【デュッセルドルフ】
会場:FFT(Forum Freies Theater)Düsseldorf Juta
10月30日(木)、31日(金)20:00 / 17.50ユーロ(割引9.80ユーロ)
Kasernenstraße 6, 40213 Düsseldorf
TEL: 0211-87678718   www.forum-freies-theater.de

【フランクフルト】
会場:Mousonturm
11月8日(土)20:00、9日(日)18:00
Waldschmidtstraße 4, 60316 Frankfurt am Main
TEL: 069-4058950   www.mousonturm.de

音楽とパフォーマンスの
アンバランスさが面白い

真夜中も蛍光灯が煌々と輝く、24時間眠らないスポット、コンビ二エンスストアでは、毎日のように様々な背景を抱えた人々が集まり、その人の数だけ異なる人間模様が繰り広げられている。『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』の舞台は、東京都内のとあるコンビニ。バイトの店員イガラシ君とウサミ君、新入りのミズタニさんを中心に、店を訪れる客を含めて、取りとめのない会話が淡々と展開されていく。どこにでもありがちなコンビ二の1コマ。しかし、一切の感情を押し殺したかのような彼らの無表情な顔は、その奥に、現代の日本社会が抱える何か得体の知れないものが見え隠れする。テーマありきの作品ではない。岡田氏は、コンビ二というありふれた日常の場面から、現代人を取り囲む問題を提起したかったのだろうか。

僕は作品の上演を通して、観客に何かを与えたいとは思っているけれど、得体の知れないものを掘り下げてほしいという特定の要求を持っているわけではありません。何かのテーマをそれとして作品の中で掘り下げるということは、はっきり言って不可能だと思うのです。抽象概念を使うことはできないので、掘り下げるというのならば、何か特定のものを使って行うよりほかない。そこで僕は、コンビ二が日本を象徴するものだから、そのシステムを自覚的に描こうとしました。ただ、コンビ二という器の中に社会のいろいろな問題を盛り込もうという意識はありませんでした。

チェルフィッチュ公演『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』

コンビ二を描くという作業の結果として出来上がった作品を観た観客がそれぞれ、そこから問題性なりテーマを見出していけば良いということなのだと言う。そのことをリアルに体感させるのが、劇中で使用されているバッハの音楽と、それとはまるで対照的な、気だるさをも感じさせる身体パフォーマンス。本作や前作『地面と床』をはじめ、チェルフィッチュの作品には身体性と音楽を意識したものが多い。通常はバックグラウンドに収まる音楽が、作品において大きな比重を占める「音楽劇」。役者の表情や台詞と音楽のミスマッチが、シュール感をより一層浮き彫りにする。

今回の作品とバッハの音楽を組み合わせたのは、そのアンバランスな感じが面白いと思ったからです。劇の内容と全く関係がなく、それが面白いと思うから。基本的に、僕が作り出す身体パフォーマンスと音楽って関係ないんですよ。ただ、音楽劇の場合には、パフォーマンスを音楽と無理やり関連付けるという作業をしますけれどね。

言葉のニュアンスが失われても
機能する台詞を書く

もう1つ、チェルフィッチュの作品を特徴付けているのが、台詞に現れる岡田氏の独特の言語観だ。修飾語を多用した『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』というタイトルからして、いかにもヒットを狙うコンビ二商品に付けられそうな名称だと、日本人であればピンと来るだろう。作中でも、今どきの若者らしい言葉が並ぶのだが、どもったり、繰り返したり、あまり抑揚もなく語られることによって、言葉のニュアンスが余計に誇張されているようにも感じられる。日本人だからこそ伝わる言葉のニュアンスをドイツ語で伝えるには、限界もあるのではないだろうか。

ドイツ語に訳したときに「ここまでは伝えたい」という最低ラインを設けているわけではありません。翻訳者を信用しているので。僕は日本語を書くとき、ニュアンスというのを非常に大切にしています。それは僕にとって、そして日本語ができる人にとって大事なことだからなのですが、そのニュアンスが翻訳によって伝わる、日本語が分からない人にも伝えたいなどとは端から思っていません。このニュアンスは日本語でしか伝わらないという台詞はあると思っています。そしてそれは(ドイツ語では)伝わらないです。ただ、だからといってそのニュアンスが存在しないような(ニュアンスのない)日本語を書くということも、僕にとってはあり得ないこと。つまり、日本語を書くときにニュアンスというのをものすごく大切にしているけれど、それと同時に、今書いている言葉のニュアンスが失われてもちゃんと成立する、機能する台詞を書こうという意識は常に持っています。

チェルフィッチュ公演『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』

ドイツの観客は、 リテラシーが高いと思う

岡田氏は2008年から毎年ドイツ公演を重ねる中で、当地の観客の反応にポジティブな手応えを感じていると言う。今回の作品も、コンビ二という日本特有の存在を扱う以上、台詞が機能しても、その社会的背景に関する知識がなければ、つまりコンビ二というものを知らなければ共感を得られない、伝わらないという懸念はなかったのか。

僕はこの作品でコンビ二のシステムを描いたので、コンビ二がないドイツでも作品の内容は伝わるつもりで作ったし、それは実際に伝わったと感じています。「ドイツにはコンビにはないよ」と言われたら、「それはそうですよね」で終わってしまうのでね。

上演後にどのようなリアクションが返ってくるかについてはあまり考えていないので、予想を裏切られるということもないのですが、ドイツの皆さんはいつもちゃんと観てくれていると思います。ふざけた作品なら、ふざけたものとして楽しんでくれるし、とてもシリアスでデマンディングな作品なら、真正面から高い集中力を持って付き合ってくれる。リテラシーが高いなと思います。

ドイツで公演を始めた頃はとにかく、演劇を観に来る人の動機や心構えというのが、社会に対する関心の延長上にあるというのを肌で感じたんですよね。それは、上演を行うことによって、あるいは公演後の観客との対話やジャーナリストの質問から得た印象です。演劇がそのように機能するのだということに驚いたと同時に、自分自身の考え方にもすごく影響を与えました。僕は演劇を作る人間なので、自分が作った作品を、そのように高い関心を持っている人たちの前で見せて、何か刺激を与えることができるのであれば、それほど嬉しいことはないなと思います。だから、ドイツで上演したこと、そしてそれを続けられているというのは、僕にとってすごく大きなことです。

言語が違っても機能する演劇。それを可能にするための核は、やはり演技する人間だろう。岡田氏が、自作の劇を演じる役者に求めるものとは。

独特であることですね。僕の求める方法をどのように形にするか。形にしたときに、同時にどのような味わいを出すかを重視しています。その人ならではのものを持っていないとね。僕の言葉をちゃんと理解して、どう表現してくれるかということです。最初から理解できる必要はないのだけれど。あとはもちろん、面白いこと。僕が「面白い」と思えることが大事なのですが。

チェルフィッチュ公演『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』

震災後に生まれた緊張感が、
作品をも変化させた

岡田氏にとって個人的に、そして劇作家として大きな転機となったのが、2011年3月の東日本大震災だったという。福島の原発事故の後、生まれたときからずっと暮らしていた首都圏を出て、熊本へ移住した。震災後に感じている将来への憂い、自分の中で起こった変化は、その後の作品にも反映されている。

原発事故の後、子どものことも考えて避難しました。避難という事実自体も大きな変化ですが、それによって、僕が日本で暮らす中でいろいろな意味での緊張感を感じるようになりました。例えば、僕は放射性物質というものに対する懸念を持っていて、住む場所も食べ物も気にしているけれど、気にしない人もたくさんいて、そのような人たちと共存するわけですよね。そう考えたとき、それ以前は持っていなかった緊張感を感じるようになりました。僕自身もそういう(緊張感を生み出すような)発言をするし、それがさらに緊張感を生む……その緊張感がある意味、日常になったというのも大きな変化で、そうなった自分が作る作品にも変化を与えますよね。

ただそれは、作品の中に緊張感が生まれるようになったというのではなく、作品の上演が観客との関係性において緊張感を引き起こすようなものを作りたいという気持ちが、以前より膨らんだということです。僕が感じているのと同じ緊張感を観客の皆さんにも経験させてあげたいというか。その緊張感の出所というのは、もはや放射能にとどまらず、政治であったりもします。今の日本の政治状況からは、僕には国がどんどん悪い方向へ進んでいるように見えます。さらに、自分たちが携わっている芸術や文化をめぐる状況というのも、この先悪くなっていくんだろうと思います。その理由の1つは、2020年に東京オリンピックがあるから。開催されるまでは良いと思いますが、終わったらとんでもないことになると思います。経済的に不況が進むというのもありますが、他者を排除するのが当たり前になったり、ある種の考え方の強要が行われたり。「いろいろな考え方があっていいよね」と言えることが少なくなり、息苦しくなっていくということですよね。事態がマイナスの方向に向かっていくという懸念はあります。

チェルフィッチュ公演『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』

どこにいても、演劇ができればハッピー

岡田氏は本年(平成26年)度、「文化交流史」に選出されている。これは、芸術家や文化人などを海外に派遣し、世界の人々の日本文化への理解を深め、海外の文化人とのネットワーク作りなどに繋がる活動を行う、文化庁主催の企画。このプログラムにおいて、岡田氏は韓国での活動を予定している。

来年、韓国・光州にオープン予定のアートコンプレックスで、オープニング・プログラムの1つとして新作を披露するのですが、そこには韓国の俳優さんにも出演していただく予定で、いわゆる(日韓の)コラボレーション作品になります。韓国ということで意識しているのは、国同士の関係がどれほど悪くなっても、僕だけは殺されないようにしようということですかね。仲良くしておきたいなと。まあでも、国という単位は僕にとっては全くもってどうでも良いことなので、今の話は冗談ですが(笑)。

2020年の東京オリンピック終了後は、日本でできる仕事なんてなくなると僕は思っているので、どこでだろうが演劇をやって生き延びていかなければならないというつもりだし、お金の問題ではなく、どこででも楽しく演劇を作りたいという想いです。もちろん、僕にはちゃんと使える言葉が日本語しかないし、この言語が好きなので、日本語を使って一緒に作れる日本人の俳優というのは、自分にとってやはり特別な存在なのですが、一方で、そんなことも言っていられなくなってしまうのかもしれないとも感じています。これから切ない将来が待っているのかなと。でも僕は、簡単に言えば演劇を作ることができればハッピーです。日本の将来に対しては悲観しているかもしれないけれど、僕はそれとは関係なく、ハッピーで演劇をやりたいと思っています。

チェルフィッチュ公演『スーパープレミアムソフト W バニラリッチ』

作品を手掛けるに当たって岡田氏が追求しているのが、強いパフォーマンスを作ること。「強い」とはどういうことなのか、説明できないと言う。ただ、自身が考える強さは絶対的なものであり、作品を作り、演出を行って、リハーサルをして……という一連の演劇制作のプロセスの中で、作品は強くなっていく。

演劇は、強くあるべきものだと思っています。強くないと、古いと思われてしまうから。

岡田氏が、劇団「チェルフィッチュ」を立ち上げたのは1997年。一度聞けば耳に残る、その特徴的な名前の由来を聞くと、自分自身がセルフィッシュ(利己的、わがまま)でチャイルディッシュ(幼稚)だから、その2つの言葉を掛け合わせてみたと説明しつつ、「何せ20年くらい前の僕が乗りで付けたものなので、もう忘れました」ときっぱり。そこに自分がやりたい演劇を作るという意味を込めたわけではないと、演劇との関連性を否定するが、その名は彼自身が作り上げてきた演劇の世界観に寄り添うように、存在感を確立してきたのではないだろうか。原発事故が自身に与えた衝撃を真正面から受け止めながら、自分が面白い、楽しいと思う演劇ができれば幸せと考え、強い作品を持って社会に対してメッセージを発信し続ける演劇作家、岡田利規の確固たる信念を感じられる舞台を観られる機会は、今後も世界各地でますます増えていきそうだ。


最終更新 Dienstag, 25 Juni 2019 16:15
 

ビジネス特集 - 第2弾 ドイツの保険・法務・マーケティング事情

ドイツの保険・法務・マーケティング事情

ドイツで拠点を開設した日本企業が
当地で直面する典型的な問題には、どのようなものがあるのだろうか。
従業員を雇用するに当たって必要な保険の仕組みはどうなっているのか。
そして、市場拡大を目指して事業戦略を練る際に要となるマーケティングの動向は。
ビジネス特集入念な下調べをして、用意周到にドイツへ乗り込んでも、
実際に現地で活動してみないことには
見えてこない課題もある。
前号から続くビジネス特集の第2弾では、
健康保険、法務、マーケティングの3つの分野に関し、
それぞれの専門家に留意点やアドバイスをうかがう。
(編集部:林 康子)

保険

会社にとって、従業員の保険加入の工面は拠点設立後に直面する重要な課題の1つ。ただ、ドイツの保険の仕組みを把握していなければ、加入に当たって何から手を付けて良いか分からないということにもなりかねない。医療に関わる広範囲な保障を提供し、健康促進プログラムにも力を入れる公的健康保険大手BARMER GEKに、ドイツの健康保険の基本的枠組みを教えていただく。

回答者
オリバー・ヴィンケルマン氏 BARMER GEK デュッセルドルフ地域統括所長
オリバー・ヴィンケルマン氏
(Oliver Winkelmann)

1970年ヴッパータール生まれ。1991年BARMERに入社、97~2000年、経営経済学の人事マネジメントを学び、同社のヴッパータール営業所所長やノルトライン=ヴェストファーレン州支部のマーケティング・販売部長などを歴任して、13年にデュッセルドルフ地域統括所長に就任。

公的健康保険の加入条件

会社の被雇用者であれば、公的保険への加入は基本 的に問題なく可能です。自営業者やフリーランサーの場合は、加入前にかなり広範囲に及ぶ審査が必要となりますが、その際には私たちが迅速、的確なサポートを行っています。就労していない加入者の配偶者や子どもなどの家族も、無料で共同加入することができ、加入者と同様の保障を受ける権利を有します。保障内容は病気やけがの際の救急治療から入院まで、医療に関わること全般に及びます。

日本人、企業へのサポート

日本人加入者の皆さんはしばしば、保険会社が自分たちの要求を十分に理解していないという不安、不満を訴えてきます。私たちは、その大きな原因が言語にあると思っています。健康保険は自分の体に関わることですから、母語で情報を得られるというのは非常に大事。被保険者1人1人のニーズに合った良質なサービスを目指す当社では、英語、日本語で個人的なご相談を受け付ける体制を整えています。  

さらに、これまで当社にとって被保険者と直に接する機会は主に各営業所でしたが、インターネットというコミュニケーション手段の発達により、現在は24時間いつでも、どこからでも相談を受け付けられるよう制度を整え、オンラインで可能なサービス内容を拡充している段階です。

また、BARMER GEKはドイツで新たに拠点を開いた日本企業向けに、その従業員の社会保障番号や健康保険ナンバーの取得申請手続き、雇用主に対する被保険者証明書の交付、健康保険カードや外国人局へ提出する保険証明書の作成など、設立の際に必要となる健康保険関連業務の包括的なサポートを提供しています。加えて、現地の日本企業や日系コミュニティーと緊密なネットワークを築き、健康保険の分野ではドイツ全域を網羅する、信頼の置けるパートナーとして認められています。

医療費カバーだけではない保険会社の役割

保険会社の第一の役割は、被保険者やその家族が病 気やけがなどの事態に遭遇した場合に、クオリティーの高い治療、介護をスムーズに受けられるようにお手伝いすることですが、その他、病気予防や治療の全段階において適切な戦略を立てることも、とても重要な任務の1つです。当社では長年、特に「予防」に重点を置き、様々な健康促進プログラムを提供しています。中でも力を入れているのが、高度な専門技能を持つ有資格トレーナーによるリラクゼーションや背中のトレーニングで、これらの病気予防コースを受講する際には補助金が給付されます(詳細は下記HP参照)。

BARMER GEKへのお問い合わせ

BARMER GEK Düsseldorf
Mercumstraße 10, 40223 Düsseldorf
TEL: 0800-332060671916(英/独)
FAX: 0800-332060671990
E-Mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.barmer-gek.de

法務 - ドイツの会社法務あれこれ

主なドイツの会社形態には、有限会社(GmbH)や株式会社(AG)、合名会社(OHG)、合資会社(KG)、AGとKGを組み合わせた株式合資会社(KGaA)などがある。中でも最も多いのはGmbH。実際に日本企業も多くがこの形態を取っているが、その理由は? また、設立の際に直面しやすい問題、そして避けたいけれど、どのようなことがトラブルや訴訟に発展するかも気になるところだ。会社・労働分野を専門とするデロイト・リーガル・ジャパン・デスクの弁護士に聞く。

回答者
若月ルイ氏Deloitte Legal Japan Desk ドイツ弁護士
若月ルイ氏
(Louis Wakatsuki)

フランクフルト/東京での司法修習を経て2001年にドイツ弁護士登録。米系国際法律事務所で、日独バイリンガルとしてドイツ国内の日本企業に関する豊富な経験を積み、12年よりデロイト・リーガル・ジャパン・デスク共同責任者。企業法務(労働法、会社法、商法)を専門としつつ、その他の分野でも包括的なアドバイスを行う。講演活動も積極的に展開。

GmbHが選ばれる理由

ドイツで、会社形態としてGmbHが最も多い理由としては、まずAGと比べて設立が簡易であるという点が挙げられます。AGとGmbHの会社法の条文の数を比べても、AG法では410条もあるのに対し、GmbH法にあるのは、わずか85条。具体的にはAGの場合、5万ユーロの基本資金が必要となりますが、GmbHは2万5000ユーロで設立が可能です。  

また、その簡易さは運営に関しても同様で、AGの機関として監査役会が必要ですが、GmbHでは規模が一定の枠を超えない限り、その設置は不要ということも大きなポイントです。なお、2008年11月以降は最低資本金1ユーロで設立が可能なUG(Unternehmergesellschaft)“ミニ・GmbH”という会社形態もできましたが、資本金が少ないがゆえに、会社の信頼性が得られるかという観点からしても、ドイツへの進出を考える際にこの形を選択する日本企業はあまりありません。

会社設立に当たって直面する問題

会社の組織形態として駐在員事務所(Repräsentanz)、支店(Zweigniederlassung)、GmbHのいずれを選択するにせよ、会社の設立手続きにおいて定められている登記簿謄本やその翻訳およびアポスティーユを日本から取り寄せ、ドイツ当局に提出する必要があります。書類を揃えるのは簡単そうでいて、実はその不備が案外多く、それが設立手続きの遅延の原因となったりします。

また、設立の手続きと並行して事務所の賃貸や従業員の雇用など、様々な契約を結ぶことになりますが、契約書の内容によっては思いもよらない問題に発展することがあります。例えば、社外に関することであれば、事前に解約条件や契約期間などに関する項目によく目を通さなかったがゆえに、解約したいときにすぐにできないといったことです。

ドイツは原則、契約社会ですので、1つ1つの会社の活動に契約書が必要となりますが、いったん交わした契約書は内容に不備があっても取り返しがつきません。当事務所でも、企業からすでに署名された契約書の内容に関するチェックを求められることがありますが、署名をした以上、会社にとっていかに不利な内容が書かれていたとしても、弁護士として出来ることは少ないというのが実情です。契約内容について専門家にチェックを依頼するのであれば、署名前に行うことが後々のトラブルを防止する上で得策と言えます。

最も訴訟になりやすいケースは解雇

ドイツ人は基本的に、自分に権利があると思ったら必ず訴訟を起こします。「訴訟」と聞くと、日本人にとっては喧嘩沙汰というイメージが強いですが、ドイツ人にとって訴訟は感情の問題ではなく、遵法精神を持って自分の権利を請求しているに過ぎません。例えば、最も多い訴訟は従業員の解雇をめぐるものですが、その場合も従業員が会社に対して「喧嘩を売る」というよりは、まずは裁判官に解雇が有効か無効かを問うためのものと捉えた方が良いでしょう。

企業弁護士として解雇をめぐる労働裁判に立ち会う場合、解決策として和解を勧めることが多いです。それも、退職金を支払う形が多いのは事実ですが、解雇訴訟は退職金をめぐる訴訟ではなく、前述のように解雇の有効/無効性を問うもの。解雇が無効と判断されれば、結果は雇用の継続にほかなりません。ただ、いったん解雇通知が出され、訴訟になった以上、会社側も従業員も概ね雇用継続を望まないため、退職金を支払うことで和解が図られるのです。

訴訟を未然に防ぐ

ドイツでは、商法であれ労働法であれ、訴訟を起こす場合には常にかかる事実があったか否かの証明責任が問われます。したがって、訴訟以前に以下の点を常に心掛けることで、訴訟を未然に防ぐことができます。

  • 企業活動に関するあらゆることを書面に残す
  • 下手な口約束をしない (口約束も約束と取られ、それを証明する第三者がいる場合には不利な要件となります)
  • 曖昧な表現の文書やメールを送らない
  • 状況を取り繕うために、思ってもいないことは絶対に言わない

さらに、契約書の作成に当たっては、当該契約の終了または更新の際にも問題が生じやすくなります。したがって締結の際、「契約終了」や「契約更新」の項目を設けるのであれば、細心の注意が必要です。前述のように、いったん交わした契約の内容を覆すのは難しく、締結時に契約外のことを口にしたり、メモなどのサイドレターや相手方に有利な文言の入ったメールを送れば、それだけで将来的に非常に不利になり、訴訟の原因になることを念頭に入れていただきたいと思います。

デロイト・リーガル・ジャパン・デスクへのお問い合わせ

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TEL: +49-(0)69-7191884 -17
Mobile: +49-(0)171-2846846
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マーケティング - ドイツでマーケティング

日本企業がドイツ・欧州市場におけるシェア拡大を狙うとき、ビジネス活動の核となるのがマーケティング戦略だ。彼を知り己を知れば百戦殆うからず。市場開拓は、まず現地で誰を対象にビジネスを展開していくのか、現地の競合他社はどのような手法を取っているのか、そして自分たちがそこで何を売り込もうとしているのかを慎重に見極めることから始まる。そのための予備知識として押さえておくべきドイツのマーケティング事情を、現地で日本企業を支える博報堂ドイツにうかがう。

回答者
蓮 昌幸氏 Hakuhodo Deutschland GmbH アカウント・ディレクター
蓮 昌幸氏
(Masayuki Ren)

2003年よりドイツ在住。博報堂ドイツにて、欧州展開をしている日本企業のマーケティング活動を、様々な施策を通してサポートしている。クリエイティブからメディアまで、ドイツのみならず、欧州全土での戦略立案を行うマーケティングのスペシャリスト。

日独の消費文化比較

日本は何と言っても消費社会。とにかく物が消費され、次から次へと新商品が出回ります。そこでは、消費者に購入を促すために自ずとマーケティング方法も非常に細分化され、結果としてムーブメントやブーム、トレンドを作ることが重要になります。その良い例が、アイドル・グループのAKBです。CDの売り上げが落ち込む中、販売するCDにアイドルと握手できる機会を提供する握手券を付けることで購入を促したり、一般の人の中からアイドルを募集し、トップを決める総選挙を企画し、それをマスメディアに流すことで話題性や共感が秋葉原という限定された地域から全国へと広がり、一大ムーブメントとなっていく。これは、和を重視する日本ならではのマーケティングと言えます。また、特に高齢者層を中心に、まだまだテレビ文化が根強く残っていて、テレビを使って購入を促す流れを作ることを、日本の企業は得意としています。

一方、ドイツは消費社会が成熟した個人主義社会。消費者が周りに影響されて買うことは少なく、その商品がいかに自分の生活に楽しみを与えてくれるかという点を重視します。したがって、ブランド名だけで商品が買われることもなく、コピー商品であっても自分の求める機能が備わっていればそれで十分という人もたくさんいます。そこでは商品テストなどのレビュー文化が進んでいて、その中で取り上げられ、良い商品だと認められることがブランドの確立に繋がります。

「マス」から「ターゲット」へ

商品訴求の方法としてのマーケティングといえば、従来、テレビや雑誌広告などを大量に投下する「マス・マーケティング」が即効性のある手段として主流でした。しかしこれには多大なコストが掛かるため、現在では「ターゲット・マーケティング」に移行する企業が増えています。これは文字通り、囲い込みたいターゲット層を絞って売り込みを掛けていく手法。具体的には、インターネットを通してできるだけ多くの人(1000人単位)に商品の認知度や消費動向に関する聞き取りを行うクオンティティー(量的)調査と、調査対象を15人程度に絞って実際に商品を見せ、体験してもらうことでその価値について意見を聞くクオリティー(質的)調査の2種類があります。それらのデータを収集・分析し、取り込みたいターゲットを決めて売り込みを掛けていきます。この調査を四半期や半年スパンで定期的に行い、その結果や売れ行きに応じて広告内容やメディアを変えていくというのが基本的な方法です。

ドイツで強いメディア、SNSの可能性

使用されるメディアの割合としては、ドイツでは伝統的に雑誌広告が強いですね。そこで重視されるのがビジュアルのインパクト、つまりアウトプットの質をいかに高めるかという点です。商品の写真1枚にしても、合成など様々な加工を施して、ピカピカに仕上げて掲載する。ビジュアルに訴える文化が根付いているために、徹底して品質にこだわった広告を雑誌やポスターで見せ、そのインパクトをきっかけに、きちんとした消費者の商品理解に繋げていくというオーソドックスな手法が定着しています。

また近年、人々がソーシャルメディア(SNS)に費やす時間の割合がますます高まっています。このことがデジタル領域におけるマーケティングの可能性を広げていますが、その内容は単に企業がバナー広告を投下するというだけにとどまりません。求められているのは受身型の広告ではなく、企業と消費者のインタラクティブな関係。企業のフェイスブックやツイッターでの投稿に対するシェアやリツイートが増えれば、自動的に情報が拡散される。SNSに力を入れることで、企業がすべき発信を行ってくれる「ブランド大使」が増えるのです。SNSを使ったマーケティングの成否は、そこでいかに話題性を作るかに掛かっています。

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ドイツでビジネス お役立ちリンク

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最終更新 Dienstag, 02 Juli 2019 13:43
 

展覧会「エジプトへ!マックス・スレーフォクトと パウル・クレーの旅」

エジプトへ!マックス・スレーフォクトとパウル・クレーの旅


エジプトへ!マックス・スレーフォクトとパウル・クレーの旅ドイツ印象派を代表する画家マックス・スレーフォクト、
詩情豊かな独自の絵画世界を極めたパウル・クレー。

全く作風の異なる画家の「2人展」が、エジプトというテーマの下、ドレスデン国立美術館とデュッセルドルフK20の共同プロジェクトとして初めて実現した。

通常はほとんどドレスデンの館外へ出ることのないスレーフォクト作品にも触れられる貴重な展覧会だ。同展で、20世紀初頭の近代絵画の軌跡をじっくりとたどってみよう。


2014年9月6日(土)~2015年1月4日(日)
火~金 10:00~18:00 土日祝日 11:00~18:00
毎月第1水曜 10:00~22:00(18:00以降入場無料)
月曜休館
入場料:大人12ユーロ、割引9.50ユーロ、団体(10人以上)1人9ユーロ
Kunstsammlung NRW K20 Grabbeplatz
Grabbeplatz 5 40213 Düsseldorf
Tel: 0211-8381 204 www.kunstsammlung.de
Kunstsammlung NRW K20 Grabbeplatz

アフリカ大陸は19世紀後半から20世紀前半に掛けて、欧州知識人たちの“巡礼の地”だった。この地で見聞を広め、教養と知見を高める。それは偉大な古代文明とエキゾチックな風土に触れ、欧州文明のルーツを確認すると同時に客観化するための試みだった。こうした時代背景の下、近代絵画の先駆者たちは創作上の新しいインスピレーションを得るためにチュニジア、アルジェリア、そしてエジプトへと渡った。ルノワール、カンディンスキー、マティス、ココシュカ……。マックス・スレーフォクトとパウル・クレーの旅も、この伝統を継承するものだった。

スレーフォクトは1914年春にエジプトへ向けて出発した。当時のエジプトは大英帝国の保護国。ドイツもまだ帝政が敷かれていた時代だ。スレーフォクトは元来、異文化やエキゾチシズムに傾倒しており、ドイツのアトリエでも『アリババと40人の盗賊』などの出版物に細密な挿絵を描く中東ファンだった。それでも現地の印象は、想像をはるかに超えるものだったようだ。「これこそ真正のオリエント」「何もかもが異なっている」と家族への手紙に興奮を伝えている。

Max Slevogt

エジプトでスレーフォクトは、屋外での制作に専念した。強い太陽の下で輝く白いターバンを巻いた男たちや、深くうねるターコイズブルーの海を、夢中で描き続けた。その手法は写実的で自然主義的。バザール、モスクでの祈り、半裸の子どもたち、砂漠や小さな漁村など、絵のモチーフはどの作品にも明確に見て取ることができる。同時に筆触を強調し、コントラストの強い色の組み合わせを採用した点では印象主義的だ。

彼は挿絵のドローイングで培った高い技術をカンバス上で自在に展開し、非常に素早く、かつ正確に対象を描写した。「自分は対象を見て消化し、再現する機械のようだ」と語っている通り、驚異的なスピードで39日間の滞在中に21枚の絵を完成させた。2時間で1枚を仕上げた日もある。エジプトの太陽と風土が、彼自身もそれまで意識していなかった創作エネルギーを呼び覚ましたのだろう。こうして生まれた作品群は、作家が現地で受けた印象を鮮烈に伝え、スレーフォクト自身の代表作となると同時に、後にドイツ印象派絵画の頂点に位置付けられた。

一方、クレーは14年後の28年末にエジプトを訪れ、17日間滞在した。クレーの姿勢がスレーフォクトと決定的に異なる点は、現地ではほとんど制作をせず、帰国後にアトリエで初めて筆を取ったことだ。エジプトで得たインスピレーションを自分の中で熟成させ、様々な技法を試しながら表現し、時間を掛けて描き直す作業を通して、ようやく作品へと昇華させたのだった。

スレーフォクトと同様、クレーも名所や遺跡を訪ねているが、強く魅かれたのはむしろ、ナイル河畔の肥沃な灌漑(かんがい)農地の風景。「(河の)流れは動脈だ。野菜や果樹の緑が実に豊かだ」と書き残している。帰国した1929年には、「積み重ね絵画(Lagenbilder)」と呼ばれる作品が80枚余り誕生した。大きさの異なる横長の長方形を水平に積み重ねたこの構成は、旅の前から採用していたものだが、ナイル河畔の整然と区画割りされた農地の印象がこのスタイルを決定的にしたと言われる。代表作は『測量後の畑』『本道と脇道』などだ。

Paul Klee

特に『本道と脇道』では、 幾十もの不規則な間隔の水平線と、画面中央上に向かって斜めに引かれた何本もの垂直線によって遠近法の効果が生まれ、天上まで続く石段のような荘厳な構成が生まれている。これをピラミッドに重ね合わせることも可能だろう。また、細かい傷状に仕上げた表面は遺跡のそれを思わせる。くすんだ青緑と淡いオレンジなどを組み合わせた色使いも素晴らしく、クレーには珍しい大型作品であるため、この展覧会のハイライトの1つとなっている。

また、『エジプトからの眺め』『ナイルの伝説』などの作品ではタイトルから、また象形文字めいた記号を用いていることから、エジプトとの関連がうかがわれる。しかし、作品全体としてはイスラム世界のエキゾチシズムでなく、あくまでもクレー独特の謎めいたポエジーが前面に出ており、エジプトでの体験もまた、1つの文化や宗教に傾倒しないクレーの普遍的世界観に取り込まれたことを物語っている。

(K20非常勤スタッフ 田中聖香)

最終更新 Dienstag, 02 Juli 2019 12:23
 

ビジネス特集 - 第1弾 企業のドイツ進出支援枠組み

企業のドイツ進出支援枠組み

世界各地の政情不安が影響し、
ややその勢いに陰りが見られるとはいえ、
ドイツ経済はいたって堅調、欧州内での独走状態が続く。
加えて、「メイド・イン・ジャーマニー」という言葉が示す
確かな品質や堅実さ、欧州の中心にあるという立地は
海外進出を考える日本企業に、ドイツに目を向けるのに十分な根拠を与えている。
当地でのビジネスを成功させるカギとは。
今回から2号連続でお届けするビジネス特集。
まずは、企業のドイツ進出をサポートする枠組みをご紹介しよう。
(編集部:林 康子)

基本情報

FrankfurtRheinMain GmbH

Unterschweinstiege 8, 60549
Frankfurt am Main
日本企業相談窓口 TEL: +49 (0)69-68603866
(Mr. Jörn Siegle)
FAX: +49 (0)69-68603811
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www.frm-united.com

Wirtschaftsförderungsamt Düsseldorf

Burgplatz 1, 40213 Düsseldorf
日本企業相談窓口 TEL: +49 (0)211-8995870
(Ms. Sabine Heber)
FAX: +49 (0)211-8935870
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www.duesseldorf.de

Invest in Bavaria - Die Ansiedlungsagentur des Freistaats Bayern

Prinzregentenstraße 22, 80538 München
日本企業相談窓口 TEL: +49 (0)89-242107503
(Ms. Kaori Yamaguchi-Humpert)
FAX: +49 (0)89-242107557
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バイエルン州駐日代表部 〒105-0001
東京都港区虎ノ門5-11-1
オランダヒルズ森タワーRoP 801
TEL: +81 (0)3-6809-1416
(Dr. Christian Geltinger,
Ms. Noe Tayama)
FAX: +81 (0)3-3433-1552
E-Mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
www.invest-in-bavaria.jp

海外企業誘致機関の役割

ドイツでの会社設立を考える外国企業にとって、最初の相談窓口となるのが、各地に存在する企業誘致機関。地域の経済的魅力や立地のメリットをアピールし、国内外の企業に向けて売り込みを図っている団体で、州や市、自治体が一行政機関として設置している場合もあれば、会社の形態を取って運営されている組織もある。その役目は、当該地域での会社設立に関わる包括的な支援。具体的な業務 内容は、拠点開設の際の法的・事務的手続きに関するサポートから事務所スペースや工場などの物件探し、各産業分野の当該地域のマーケットや立地条件などに 関する統計データの提供、税理士や企業、人材コンサルタント、弁護士など専門家の紹介、滞在・労働許可取得の準備、関連の行政部署や現地のビジネス・コミュニティーとのコンタクト作りまで多岐にわたる。

誘致機関のこれらのサービスの利用はすべて無料で、拠点開設を経て実際に事業が動き出した後も、工場拡大や事務所移転、従業員の新規雇用、租税・労働法に関するアドバイスなど、現地でのビジネスが円滑に進むよう、各企業のニーズに即して様々な側面でテーラーメイドのサービスを提供している。ここで紹介するフランクフルトラインマイン有限会社、デュッセルドルフ市経済振興局、インベスト・イン・ババリアの3つの団体はジャパン・デスクを置いており、日本人職員ないし 日本語を話す職員が常勤。日本企業にとっては、日本語で気軽に問い合わせることができるだけでなく、日本国大使館・総領事館やJETRO、商工会議所、さらには地元の産業クラスターなどとも強力な関係を持ち、日本企業との付き合いが豊富なエキスパートのアドバイスを仰ぐことができる頼もしい味方と言えよう。


Frankfurt Rhein Main
フランクフルト・ライン・マイン地域

基本情報

フランクフルト
面積
1万4755km²
人口
552万人(フランクフルト:69万人)
就業者数
288万人
日本人人口
4600人(フランクフルト:2600人)
日本企業数
230社(フランクフルト:160社)
GDP
1790億ユーロ(2009年)

日本の機関・お役立ちリンク

フランクフルトラインマイン有限会社
イェルン・ジーグレ氏

回答者
イェルン・ジーグレ氏 (Jörn Siegle)
弁護士。2005年よりフランクフルトラインマイン有限会社の日本担当プロジェクト・マネージャー。

地域の経済的魅力
外国企業のビジネスを支えるインフラを完備

外国企業にとってのフランクフルト・ライン・マイン地域の第1の魅力は、その豊かな国際性にあると思います。多くの産業分野で英語が標準語として使われており、外国人コミュニティーに特化した数多くのサービスが提供されています。例えば国際金融都市フランクフルトには、多数の外国銀行がそれぞれ欧州拠点となる支店を構えており、外国のビジネスパーソンが自国のメインバンクを通して金融取引の処理を迅速に行うことができます。その他、日系コミュニティーに関して言えば、例えば日本語ができる弁護士や日本人医師らが活動しています。  

当地はドイツのデジタル通信網の中心地で、超高速データ通信が普及していることも魅力の1つ。また、欧州の中心に位置し、欧州大陸最大のハブ空港、物流の大動脈として機能する主要アウトバーン、内陸河川航路、フランクフルト中央駅を拠点とする鉄道網など、欧州市場への参入をスムーズにする交通インフラも整っています。さらに、幅広い分野で高度な技術・能力を持つ専門労働力が揃っていること、生活の質が高いことも大きなポイントです。

日本企業にとっての利点
「ジャパン・センター」を中心とした日系コミュニティー

フランクフルト・ライン・マイン地域には現在、4000人を超える日本人が居住しており、日本企業の一部は、すでに40年以上も当地の経済の一端を担っています。それを象徴するのが、フランクフルト市内中心部に建つ高さ115mの傑作建築「タウヌスタワー・ジャパン・センター」です。赤茶色の天然石で覆われた外壁と左右対称のフォルムは古典的な日本建築のデザインを踏襲し、畳にヒントを得た石基と広く出っ張った屋根が日本の伝統的な石灯篭を想起させます。この建物を中心に広がる日系ビジネス・コミュニティーが、投資家の間で当地の経済拠点としての人気を高めるのに貢献しているのです。

フランクフルトラインマイン有限会社の役割
当局と企業の間を取り持つ業務も

日本企業は他国企業と比べて、ドイツ進出に先立ち、実に入念な事前調査を行ってきますが、企業が私たちに問題を訴えてくることもあります。先頃、自動車関連の大手日本企業の進出を支援する中で、同社が何人かの日本人従業員の滞在許可が交付されるまでの待機期間が長過ぎるため、短縮できないものかとの問い合わせを受けました。これは、駐在事務所の従業員の数が非常に多かったために生じた問題でしたが、私たちが外国人局に、なぜ日本からそれだけ多くの駐在員を派遣する必要があるのかについて理由を説明したところ、問題は解決され、同社は希望人数分の滞在許可を得ることに成功しました。このように、私たちは行政機関と企業の間を迅速かつスムーズに仲介する役割も果たしています。

Düesseldorf
デュッセルドルフ市

基本情報

デュッセルドルフ

面積
217.41km²
(ラインルール地域:1万1738 km²)
人口
59万人(ラインルール地域:1160万人)

就業者数
38万人*(ラインルール地域:570万人)
*社会保険加入義務のある被用者
日本人人口
5300人

日本企業数
360社(ノルトライン=ヴェストファーレン州:560社)

GDP
3570億7000万ユーロ
(2012年、ラインルール地域)

日本の機関・お役立ちリンク

デュッセルドルフ市経済振興局
ウヴェ・ケルクマン氏

回答者
ウヴェ・ケルクマン氏 (Uwe Kerkmann)
マールブルク大学で日本学専攻。日独産業協力推進委員会(DJW)事務局長、ベルリン経済振興局アジア・太平洋地域コンサルタントなどを経て、2009年よりデュッセルドルフ市経済振興局局長。

アンネッテ・クレークス氏回答者
アンネッテ・クレークス氏 (Annette Klerks)
2009年よりデュッセルドルフ市経済振興局国際ビジネスサービス部長。外国企業の当地での拠点設置プロジェクトをサポートしている。

地域の経済的魅力
日本企業が欧州統括拠点にしやすい環境

デュッセルドルフは日本企業にとって、ドイツ・欧州における重要な経済拠点となっています。製造業であれば、工場は欧州各地に置き、当地に欧州でのビジネスの統括拠点を構える傾向があります。その理由は何か。この街には50年前から日本企業が存在していますが、当初から市は彼らとオープンに接し、良好な関係を築いてきました。そのために、会計事務所や税理士、弁護士、人材コンサルティング、不動産など、ビジネスに関連するあらゆるサービスから、生活に関わる医師や薬局、美容院、託児施設、学校にいたるまで、日本人、日本企業向けのインフラが非常に良く整っていることにほかなりません。

日本企業にとっての利点
成熟した日本企業支援のスキーム+ドイツ社会への統合支援

私たち経済振興局だけでなく、市のほかの部署にも日本企業と深く関わっている職員たちがいます。これは他都市にはないデュッセルドルフの特異性だと思います。また、年に数回、市長や副市長など市のトップと日系コミュニティーの代表者との会合を開き、多くの日本企業が抱える共通の問題に取り組んでいます。日本企業が当地で快適にビジネス活動を行えるようにサポートする、問題があれば解決策を探ることが私たちの最大の関心事ですからね。  

現在は、在デュッセルドルフ日本総領事館や日本商工会議所、日本クラブなどの発達した日系コミュニティーと連携して、日本企業と市のインフラ、つまりドイツ社会を結び付ける枠組みを作ることに注力しています。今、特に議論の的となっているのが、国際企業が有能な人材、専門労働力をいかに確保するかという問題であり、日本企業も「我々も同業のグループに加わりたい。土着企業とのネットワークを築きたい」と訴えています。そのため、私たち経済振興局も日本企業という括りで支援するだけでなく、各企業の産業分野におけるネットワーキングに励んでいます。

デュッセルドルフ経済振興局の役割
中小企業のニーズにも個別対応

以前は、特に日本の小売業者にとってデュッセルドルフ市は、すでに大きな日系マーケットがあるという意味で最適な立地でしたが、過去数年で事情は変わりつつあります。例えば、ユニクロがドイツ1号店をデュッセルドルフではなくベルリンに出したように。デュッセルドルフが「日系ナンバーワン」の立地ではなくなりつつある現在、私たちも大企業に限らず、欧州でのビジネス展開を考える中小企業も個別にサポートする体制を整えています。特に国際経験豊富なマネージャーのいない中堅企業にとって、私たちが日本語で対応できることの意義は大きいと思っています。例えば企業が建設許可を申請する際、私たちが通訳の役割を担って市の関連当局と連絡を取り、日本企業との間を取り持ちます。これはデュッセルドルフ市が過去50年で日本企業と共に築いてきた独自のノウハウです。ですから、どんな小さな疑問・質問でも私たちにお問い合わせください。

Bayern
バイエルン州

基本情報

バイエルン
面積
7万550km²
人口
1250万人(ミュンヘン:131万人)

就業者数
500万人*(ミュンヘン:75万人*)
*社会保険加入義務のある被用者
日本人人口
6900人(ミュンヘン:3000人)
日本企業数
350社(ミュンヘン:250社)
GDP
4880億ユーロ(2013年)

日本の機関・お役立ちリンク

バイエルン州経済省企業誘致部 インベスト・イン・ババリア
ヴォルフガング・フプシュレ氏

回答者
ヴォルフガング・フプシュレ氏(Dr. Wolfgang Hübschle)
法学博士。2013年よりバイエルン州経済省企業誘致部インベスト・イン・ババリア部長。

地域の経済的魅力
OEM、中東欧市場に近い利便性

現在、バイエルン州に進出している約350社の日本企業の中で、特に多い分野は自動車や電機、機械工業です。彼らが当州に進出する主な理由としては、自動車大手BMWやアウディ、商用車大手MANといったメーカーのOEM(発注元企業の名義やブランド名で販売される製品を製造する企業)が近いことが挙げられます。

また、地理的に中東欧市場へのアクセスが良いという点を重視する企業も多いですね。そして、生活のクオリティーが高いことや都市部における安全性、日本人のための生活インフラが整っていることも重要なポイントです。もちろん、私たちインベスト・イン・ババリアのスタッフの献身的な支援も忘れてはなりません。ミュンヘンの事務所には日本人スタッフの山口香織氏が常勤し、企業からの相談に日本語で対応しているほか、東京のバイエルン州駐日代表部ではクリスティアン・ゲルティンガー氏や田山野恵氏が、日本企業のバイエルン州への足掛かりを作る役割を担っています。私たちが提供するサービスはすべて無料です。

日本企業にとっての魅力
「インダストリー4.0」のポテンシャル市場

近年の産業の動向として、デジタル化が工業における製造プロセスを劇的に変えているということが挙げられます。ドイツでは今、政府のイニシアティブで「インダストリー4.0*」という政策が進められています。バイエルン州の産業のバリュー・チェーンの約4分の1がデジタル・サービス、デジタル製品に関わっているので、これらの商品を扱う企業にとっては当地に大きなポテンシャルがあると言えます。

また、日本企業が州都ミュンヘンに営業事務所を構えるだけでなく、「メイド・イン・ジャーマニー」「メイド・イン・ババリア」というもの自体を品質保証ラベルとして位置付けるようになってきており、これが当地に生産工場を構えることに繋がっています。例えば昨年9月には、大阪に本拠を置く繊維・化成・バイオ素材大手の東洋紡が欧州初の工場をウンターフランケン地方のオーベルンブルクに開設しました。

*製造プロセスにおいて、設計や開発、生産に関するあらゆるデータをインターネットを通して蓄積・分析し、生産・供給システムを自律化、効率化しようとするもの。

インベスト・イン・ババリアの役割
異文化理解の重要性を喚起

日本企業の代表者がしばしば抱える悩みに、現地社員とのコミュニケーションの難しさや誤解があります。そのような問題に対して私たちは、異文化理解の重要性を説くようにしています。必要があれば、異文化コミュニケーション・トレーニングの分野で活動するコンサルタントを紹介するなどの支援も施しています。さらに、外部のパートナーと協力して日本企業向けに「国際マネジメントのチャンスと課題」「ドイツにおけるPRとメディア」などと題したワークショップを共催しており、これらも大変好評を得ています。

ドイツでビジネス お役立ちリンク

  • 《外国企業誘致機関》
    FrankfurtRheinMain GmbH
    Unterschweinstiege 8, 60549 Frankfurt am Main
    日本企業相談窓口
    TEL: +49 (0)69-68603866
    (Mr. Jörn Siegle)
    FAX: +49 (0)69-68603811
    E-Mail: このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください
    www.frm-united.com
    FrankfurtRheinMain GmbH
  • 《外国企業誘致機関》
    Invest in Bavaria - Die Ansiedlungsagentur des Freistaats Bayern
    Prinzregentenstraße 22, 80538 München
    日本企業担当窓口
    TEL: +49 (0)89-242107503
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    FAX: +49 (0)89-242107557
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    バイエルン州駐日代表部
    〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-11-1
    オランダヒルズ森タワーRoP 801
    TEL: 03-6809-1416
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    FAX: 03-3433-1552
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    Invest in Bavaria
  • 《外国企業誘致機関》
    NRW.INVEST GmbH
    Völklinger Straße 4, 40219 Düsseldorf
    TEL: +49(0)211-13000136
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    www.nrwinvest.com
    NRW.INVEST GmbH
  • 《外国企業誘致機関》
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    Burgplatz 1, 40213 Düsseldorf
    日本企業相談窓口
    TEL: +49 (0)211-8995870
    (Ms. Sabine Heber)
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最終更新 Freitag, 12 September 2014 15:28
 

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