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Fr. 14. Dez. 2018
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ドイツで100年続くもの私のとっておき 38
ドイツで100年続くもの
見市 知

発行元:産業編集センター

100年前、ドイツは1914年に勃発した第1次世界大戦の最中にあった。ここから、ドイツの激動の20世紀は始まり、ドイツ帝国、ワイマール共和国、ナチス統治下、東西分裂、そして再統一と、5度も国の体制が変わる。法律が変わり、人々の暮らしも価値観も、大きく様変わりしたこの100年の間、変わらずに受け継がれてきたモノと生活の1コマが、ドイツという国の文化を根底から支えていたのだということを、本書「ドイツで100年続くもの」を読みながら感じた。ドイツが「ドイツ」たる所以は、政治体制が変わっても、時の権力者に抑圧されてもなお、市民が固持し、大切に築き上げてきた日常の中にあるのだ。

この100年、変わらずにあるということは、まったくもってたやすいことではない。例えば、パン職人や菓子職人は、戦後は瓦礫の中で食糧不足に悩まされ、東ドイツ時代は贅沢品であるバターの使用を制限され、東西ドイツが統一してからは、急に市場経済の中に放り込まれた。

本書に登場する職人や経営者は、その時々の政治情勢の中で柔軟に経営の舵を取ることを求められる。元祖自然派レフォームハウス(本書P72)の2代目は、商売を続けるためにやむなくナチ党員となったが、戦後、その事情を知る地元のユダヤ人顧客の嘆願に助けられ、罪には問われなかったという。そういう生き残りを賭けた綱渡りを経て、今がある。

しかも、本書で紹介されるのは、大企業の話ではない。ともすると見逃されてしまいそうな町のお店や風景の1つ。丁寧なインタビューを重ねることで浮き上がる、町の人たちのしなやかな強さが、静かに胸を打つ。「今と変わらない規模でお店をやっていくこと」がこれからの目標と語るユーネマン・スリッパ工房(本書P28)の4代目レノさんの言葉が、低めの目標ではなく、まさに挑戦であることを私たちは知る。不器用に時代の荒波を乗り越え、不器用にも経営哲学や理念を貫いてきた彼らだからこそ、100年の歴史を刻むことができたのだ。彼らの次の100年の物語、語られる日が来ることを願ってやまない。(高橋 萌)


 
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