旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978 年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールにほれこみ1 年半ドイツで生活したことも。「ビール王国」(ワイン王国)、「ビールの図鑑」(マイナビ)、「BRUTUS」(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。
www.jbja.jp/archives/author/kogo

米大統領も堪能したケルンの麦芽粉砕所ビール

ケルン中央駅を降りると目の前に、世界最大のゴシック建築であるケルン大聖堂が圧倒的な風格で出迎えてくれる。紀元前ローマ時代からの歴史を持つケルンにはさまざまな見所があるが、ビール好きならば地元のビール、ケルシュをぜひともご賞味いただきたい。

ケルシュは、「ケルシュ協約」に調印しているケルン近郊の醸造所で、決まった製造法で造られたビールだけがそう名乗ることができる。つまり新鮮なケルシュはケルンに行かねば飲めないのだ。特徴的なのはその製造法で、発酵はエールビールの酵母を用い、熟成はラガービールのように低温で行う。それにより、エールのような華やかな香りと、ラガーのような爽快感が生まれ、まさに「いいとこ取り」のビールに仕上がる。

ケルン中央駅から南に歩いて15分ほど、ホイマルクト広場の一角にあるマルツミューレ・シュバルツ醸造所も、ケルシュ協約に基づいたケルシュを造っている。ホイマルクトは16~19世紀初頭まで穀物取引の中心的存在で、この地域のほとんどの醸造所に麦芽を供給していた。この醸造所は1854年に創業。名前とラベルの風車は、この場所にあった公営の麦芽粉砕所(ドイツ語でMal zmühle)に由来する。

醸造所の並びにある伝統的な雰囲気の直営レストランは、米国人観光客に人気だ。当時米国の大統領であったビル·クリントンが1999年にケルンで開催されたG8サミットの際に訪れ、帰り際に「Ich bin ein Kölsch」(私はケルン人です)と言ったことで有名になった。

Mühlen Kölschは原料の一部に小麦麦芽を使用しており、白ブドウを連想させるふくよかな香りがグラスから湧き上がる。口に含めば穀物の風味がしっかりと感じられ、次いで現れるホップの苦みも鮮やかで、スーッと喉を滑り落ちていく心地よさがある。またすぐに次の一杯が欲しくなるビールだ。

https://muehlenkoelsch.de

vol.63
Mühlen Kölsch

Mühlen Kölsch

 
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