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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

世界遺産の街を望むビアガーデンで燻製ビールを

バイエルン州オーバーフランケンにあるバンベルクは、ユネスコの世界遺産にも登録されている美しい古都。そして伝統的なラオホビールの街として知られている。ラオホ(Rauch)とはドイツ語で煙のこと。ビール自体に燻製のような香りが感じられるビールだ。スペツァル醸造所は1536年の創業以来、自社で麦芽づくりを行っている。有機農法で栽培されたオーバーフランケン地方産の麦芽を浸水して発芽させ、ブナの木を燃やした炎で24時間かけてゆっくり乾燥させることで独特の燻製香が麦芽に付く。その工程は非常に繊細で、オーナーで醸造責任者であるクリスチャン・メルツ氏の感覚と技術が頼りだ。

ここバンベルクでビールを堪能するなら、これからの暖かい季節、ビアガーデンはいかがだろうか。レグニッツ川の河畔の旧市街地を散策しながら、街の南側にあるシュテファンスベルクの丘に向かおう。丘の中腹にはいくつかのセラー(貯蔵庫)がある。冷蔵設備のない時代、人々は山の斜面や地下に穴を掘り、天然の冷蔵庫としてセラーを使用していた。スペツァル醸造所のセラーもかつてこの場所にあり、蔵出しのビールをビアガーデンで提供していたのだ。現在も丘の頂上に直営ビアガーデン「スペツァル・ケラー」がある。ケラーの門扉をくぐり、草原の中に敷かれた緩やかな階段を登る。地元客もピクニック気分で登っていく。その先には美しいビアガーデン。眼下には中世の街並みを残す旧市街地、反対側の丘の上に目をやると威風堂々とそびえるバンベルク大聖堂。どこを切り取っても絵になる。

木陰のテーブルに席を取ったら、さっそく燻製香る特別なビールを注文しよう。1杯目におすすめなのは「RauchbierLager」。ラガーらしくすっきりとした飲み心地で、鼻に抜けるスモーキーな香りがたまらない。ローストポークなどのグリル料理と共に味わいたい。

https://brauerei-spezial.de

vol.64
Rauchbier Lager

Rauchbier Lager

 
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