Hanacell

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

北の港街ハンブルクでパリムパリム

中世から貿易拠点として栄えたドイツ第二の都市ハンブルクで、エルベ川周辺の都市開発が進んでいる。2001年から始まった都市開発は現在も進行中で、街の快適性や環境面を追求した「持続可能な街づくり」が最重要テーマだ。エルプフィルハーモニーやマルコ・ポーロ・タワーなど、古くからの景観や環境と一体化した街を散歩するのは大変面白い。

クラフトビールも進化中。なかでもフィッシュマルクトの一角にあるウーバークヴェル醸造所は、流行のクラフトビールをそのまま真似するのではなく、ドイツらしく咀嚼(そしゃく)して表現している。醸造所は古い倉庫を改装し、レストランとテラスを併設。古い赤レンガの壁や高い天井を生かしつつ、外壁や醸造タンクは地元のアーティストによりビビットに装飾され、独特の雰囲気をつくり上げている。また、市内の倉庫の屋上に都市型農業「グリーンパウリ」を開設し、緑地保全や子どもたちへの食育の場を提供しているという。

「Palim Palim Pale Ale」は英国発祥のペールエールと呼ばれるスタイルのビール。本来はペールエールに使用されない小麦麦芽を加えることで、よりフルーティーに仕上げている。グラスに鼻を近づけるとリンゴの蜜のような香りが漂う。苦味はオレンジの皮のようで、キャラメルのような麦芽の甘みとのバランスが良く、豊かな味わいが特徴。

「Palim Palim」とは、ドイツのドアベルの擬音語で、日本語でいう「カランコロン」。コメディアンが使用したことでドイツ中に広まったそう。昔ながらの小さな個人商店にはドアベルが付いており、この音を鳴らして店に入り、小間物を買ったのだとか。街にスーパーマーケットが増えてこの音を聞く機会が少なくなった今、ドイツの人たちの郷愁を誘う音だろう。新しいものと古いものが混在するハンブルクを代表する、新しいけれど懐かしさも感じさせるビールだ。

www.ueberquell.com

vol.68
Palim Palim Pale Ale

Palim Palim Pale Ale

 
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