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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

バイエルンの森を愛した詩人のビール

エシュルカムはバイエルン州にある人口3600人ほどの小さな街。チェコとの国境に近く、のどかな牧草地と豊かな森に囲まれた南ドイツの典型的な田舎街といえる。ここで愛飲されているビールが「Waldschmidt Jakobi Weissbier」だ。この街に1832年に生まれ育った作家マクシミリアン・シュミットに由来する。ドイツではよく知られている19世紀の作家で、彼の作品は当時のバイエルン王ルートヴィッヒ二世からも愛され、摂政ルートポルトからは「ヴァルトシュミット」との称号を贈られた。

「ヴァルト」がドイツ語で「森」を意味する通り、彼の作品の多くは故郷エシュルカムの森と民俗に深く根ざしたもの。88年の生涯で、数多くの民話や演劇、詩を発表するとともに、自然や伝統文化の素晴らしさを人々に伝えるためのさまざまな活動を行っている。

例えば1890年には、観光促進を目的にバイエルン観光協会を設立。1895年にはミュンヘンのオクトーバーフェストで、民族衣装のフェスティバルを行った。彼は「コスチュームシュミット」という異名も持つほど民族衣装に愛着が強かったそうで、このフェスティバルはオクトーバーフェストでの民族衣装パレードの始まりといわれている。

これは、多くのバイエルン人が気付いていなかった伝統文化の価値を「再発見」するきっかけにもなっただろう。もしヴァルトシュミットがいなければパレードもバイエルン観光も大して面白みがないものになっていたかもしれない。今年は3年ぶりにミュンヘンでオクトーバーフェストが実施される予定で、みんなが楽しみにしている。

Waldschmidt Jakobi Weissbierは小麦由来の甘みや、完熟したレモンを連想させる酸味とフルーティーな風味が感じられ、ふくよかな味わい。少しのホップの苦みがアクセントになり、ゴクゴクと飲めてしまう軽快な飲み心地だ。

www.waldschmidt-bier.de

vol.69
Waldschmidt Jakobi Weissbier

Waldschmidt Jakobi Weissbier

 
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