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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

よみがえった歴史、200年前のハーブビール

私たちの祖先はいつからビールを飲んでいたのだろう? 現存する醸造の記録は、紀元前3000年頃のメソポタミアが最古だ。欧州に広まったのは3世紀に始まるゲルマン人の大移動がきっかけ。5000年以上の長い歴史の中で、ビールはさまざまに変遷している。

メソポタミアでは砕いたパンに水を加えて発酵させたものが「ビール」であり、ホップの効能が「発見」される16世紀ごろまで、欧州ではさまざまなハーブが風味付けに使用されていた。ハーブのビールは「ビール純粋令」( ビールの原料を制限した法令)のドイツ全土への適用や、ラガービールの広がりとともにドイツでは姿を消していった。

そんな200年前に失われたビアスタイルの一つが「ブロイハン」だ。1526年に北ドイツのハノーファーで誕生し、17~18世紀にかけて北ドイツ全土に広まった。ベルリン固有の「ベルリナーヴァイセ」の原型にもなったといわれている歴史的に重要なビールだ。

近年のクラフトビールの世界的隆盛により、味わいの多様性やローカル色が喜ばれるようになると、歴史的なビールが見直されるようになった。ブロイハンをよみがえらせるべく奮闘したのが、ハノーファーから東へ車で40分ほどのゼーンテという小さな街に住む、クリストフとステファンのディグワの兄弟だ。二人は教会や博物館の蔵書からビールに関する記述を拾い出し、当時のハンザ同盟の地域で流通していたスパイスを探すなどして2年かけてブロイハンを復元。2021年に国際的なクラフトビールの大会で表彰されるなど、注目を集めている。

風味付けにはホップを含む6種のハーブを使用し、シナモンやクローブなど、グリューワインを連想させるスパイシーで華やかな香り。酸味と複雑な風味はブナの木に由来する野生酵母と乳酸菌によるもの。エレガントな飲み心地は、秋の夜長の歴史小説のお供にぴったりだ。

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vol.70
Broyhan

Broyhan

 
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